『大江山の鬼』として広く知られている鬼。『源頼光の鬼退治』をはじめ、日本各地に数々の伝説を残す。
その出生は諸説あるが、『御伽草子』に記されている戸隠山説と、『奈良絵本』に書かれている伊吹山説が有力であり、
そのどちらとも、山神の加護を受けうまれた男児が、人々を惑わし、やがて鬼となり、放浪ののち大江山に棲み付くという
点において共通している。
その正体については、山賊説、疫病神説、または日本に流れ着いた外国人説等、様々な説がある。
他の鬼と同様に、酒呑童子もその当時の社会の枠組みから逸脱した存在だったのかもしれない。
また、酒呑童子は「王威も民力も神仏の加護もうすれる時代が来るのを待っていた」とされる。
これは藤原氏が権力を握り、政治を私物化して遊蕩に耽り、民が虐げられていた当時の状況に対する
反抗勢力として酒呑童子を描いたものなのであろうか。
『御伽草子』の中で語られている酒呑童子は、いわゆる悪鬼の代表格であり、最強の鬼と言って差し支えない。
金棒や刀を奮い、配下の鬼と共に夜の平安京を荒らしまわり、人々を震え上がらせた。
ウブメ