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第3話 : アイドルマスター 第3話 "すべては一歩の勇気から" より

テーマ曲 : Ready!!

【アバン】

ミキが基地に帰還する。

・ミキが戦武に乗って帝国軍基地に帰還する。 ・友軍機も続々と帰投する。戦武だけではなく、戦車や歩兵達も含む。 ・ミキが肩で息をしていること。ミキがコックピットで下を向く。


【Aパート】


ミキがシャワールームで自虐的に笑う。

・ミキがシャワーを頭から浴びている。壁に手をつき、長い髪から雫が零れ落ちる。 ・水が流れる音。浴室にミキの吐息が漏れる。 ・ミキが栓を捻ってシャワーを止める。無音。 ・ミキが鏡を覗きこむ。ためを作り、鏡に向かって苦笑いを浮かべて、「へたくそ」と呟く。

先の戦闘での自分を不甲斐無く思ったミキがショウとリョウに八つ当たりしてしまう。

・ミキが基地内の廊下を歩いている。ショウ、リョウと出くわし、互いに気づいてアイコンタクトを取る。 「お疲れ様」 「そっちも」 ・ミキがリョウに礼を言う。ミキの視線にリョウが照れて頬を掻く。 「ありがとね、リョウ。あなたがいなかったら、あたし死んでた」 「あはは。困った時はお互いさま、ってことで」 「ショウの方も大活躍だったみたいじゃない。話は聞いたわよ」 「まぁな。いい出だしだったとは思ってるよ」 「それじゃ」 ・別れ際、ショウはミキの気落ちを察して励ますが、逆効果になる。 「ちょい待ち」 「何?」 「いや……。お疲れさん」 「えぇ。それじゃ後で、作戦室で」 「なぁ鳥内」 「だから何? あと、あたしのことはミキでいいって言ったでしょ? 皆そう呼ぶんだから」 「あぁ……。わりぃ。そういやお前さ、四機倒したんだってな。すげぇじゃねぇか」 ・ミキが不機嫌さを隠そうともせず露わにする。 「そういうあんたは何機倒したのよ。それに、敵の大将機も追い返したんでしょ。一体どっちが凄いのかなんて、子供にだって判断できるわ」 ・ミキが踵を返す。ショウがすがるような目つきでリョウを見つめ、リョウが肩を竦める。

リュウクリスを連れて日本軍最前線基地に到着する。

・後続の本隊が到着したこと。ケンと子龍が前線の将としてリュウとクリスを出迎える。リュウが総大将であること。クリスが完全な白人であること。 ・リュウがクリスを共和国からの援軍として全員に紹介する。ケンと子龍の二人に関してはクリスと旧知の仲であること。 「二人ともよくやってくれた。作戦はひとまず成功と言っていいだろう」 「ケンと子龍は知っているだろうが、彼女が私の副官、クリス・クロフォード少佐だ。共和国からの援軍として、本作戦に参加してくれることになった。皆も仲よくしてくれ」 ・ケン、子龍の二人とクリスが、再会を喜び合う。 「あなたがたならきっとやってくれると信じていました」 「いいえ。まだまだこれからです。あなたの力が必要だ」 「ええ。そのために私はここに来たのです。ともに戦いましょう。世界に対して大義のない侵略戦争を繰り返す、悪しき帝国と」 ・ケンと子龍が順番にクリスと握手を交わす。 ・ケンの直属の配下の三村和樹がリュウの偉大さを龍将軍?という二つ名とともに強調し、指揮されることに喜びを表現する。ケンが苦笑する。 「龍将軍――。佐々木大佐がじきじきの指揮を仰げば軍は百戦百勝。我らも必ずや勝利を収めることができましょう」 「和樹……。そう簡単にはいかんさ」 「だが、やるしかない」 「無論です。敵がどんなに強大であろうとも、私達は退くわけにはいかないのです。残された八千万の日本国民のために」

悩み込むミキにトモエがそっと寄り添う。

・ミキがラウンジで缶ジュースを握り締めて落ち込んでいる。トモエ?が声を掛ける。 「ミキちゃん! 良かった。生きてたんだ」 ・ミキが力なく笑う。トモエがミキに元気がないのを見抜く。 「ミキちゃん、どうしたの?」 「え? 別にどうも……」 「隠したって分かる」 ・ミキが照れ笑いを浮かべる。 「強がることも出来ないんだ、あたし」 ・トモエが困った顔を浮かべる。ミキは俯いてしまい、ジュースの缶を握る手に力を込める。 「あたし、もっと強いつもりだった……」 ・トモエがミキを支える。 「ミキちゃんは強いよ。それは整備係である私が良く知ってる。ミキちゃんはいっつも戦武の限界まで戦ってる。データだってそう言ってるもん」

ショウとリョウが姿を現し、助言する。

「そうだ。お前は弱くない。俺達が上手すぎるんだよ」 「ショウ君、その言い方はちょっと……」 「事実だろ。こういうのははっきりさせておいた方がいい。お前は下手じゃねぇ。リョウがそう言ったんだから確かだ」 「あなたが?」 「君は決して平凡なライダーじゃないよ。僕やショウ君ともそんなに差はないと思う」 「差は、あるのね」 「否定はしない。僕達の方が上手い。それはショウ君の言った通り。だけどだからって君は落胆しすぎだと思う」 「僕の見た限り、君の戦いざまは決して恥ずべきものじゃなかった。今日のあれは、相手も悪かった。相当の使い手だよ」 「でも、あなたは追い払った」 「あぁ、女々しいな。こういうのは気合が大事なんだ。ハートだよ、ハート」 「そうね。あなたがたなりに、あたしを励まそうとしてくれてるのよね。ありがと」 ・ミキが立ち上がる。 「さぁて、今日の報告書書かなくちゃ。始末書もね」 ・ミキが痛々しさの窺い知れる笑みを浮かべる。


八中が姿を見せ、会合の時間であることを知らせる。

・八中が四人を見つけ、声を掛ける。 「お前達、纏めてこんな所にいたのか」 「そっちの新入り二人の歓迎会の準備ができている。早く来い」

イチの部隊?が顔合わせをする。

・イチ、ミキ、ショウ、リョウ、八中、そしてトモエ達整備チーム等、四十名が基地内部の一室に集められていること。 ・ショウとリョウが壇上中央に立ち、その脇、部屋の片隅にイチと八中が揃って座っていること。 ・残りは整然と並べられたパイプ椅子に思い思いの格好で腰を降ろしていること。 「今日の戦闘結果の分析については、明日以降にしようと思う。それよりもまずは新任の二人を迎え入れたい」 「既に名前くらいは知っている人間も多いだろうが、改めて紹介しよう。今日付けで俺の部隊に着任することになった高谷将一大尉と竹内良太大尉だ」 「ともに疾風?のライダーとして参加してもらう。これで俺のノワール?、八中の珀王?、ミキの胡蝶?と合わせて、計五機の布陣が揃ったということだ」 「そうだな。まずは二人に軽く自己紹介でもしてもらおうか」 ・ショウがリョウと視線を合わせ、一歩前に出る。ショウの背が低いこと。 「高谷将一です。階級は大尉。周りからはショウ、って呼ばれてたんでそれで。アルセーニエフ?の士官学校を追い出されてここに来ました。詳しくはリョウの方に聞いて下さい」 ・ショウが顎でリョウに続きを促す。リョウが溜息交じりに前を向き、凛とした声で挨拶をする。 「竹内良太。十四歳です。ショウ君と同じように、僕のことはリョウと呼んで下さい。階級は紹介された通りの大尉ですが、実戦経験はほとんどありません」 「ショウ君と同じく、アルセーニエフの士官学校を摘まみ出されたところを拾って頂きました」 ・イチが口を挟む。 「こいつの母親はあの元ヘクセンリッター?四大女王の一人、竹内瑠衣だ。俺と彼女とはいくらか面識があってな。その縁で二人を引き受けることができた」 「二人とも士官学校での成績は抜群だ。アルセーニエフの麒麟児二人と、聞いたことがある者もいるかも知らん」 「本来ならこんな新規部隊に配属されるクラスの実力ではないんだが……、まぁ、色々とな。その辺に興味がある者は当人に当たってくれ。二人は喋りたければ喋ればいいし、話したくないならそれでも構わん」 ・イチがショウとリョウに部隊を紹介する。 「では次は、俺達からの挨拶と行こうか。俺は川早一郎。階級は中佐。この騎士団の団長ということになる。だが堅苦しいのは嫌いだ。イチ、でいい」 「そして、横にいるのが八中清矢少佐。この騎士団の実質的な要だ。俺も軍を仕切るのは初めてだからな。分からないことがあると八中を頼ってばかりいる。何か困ったことがあったら、まずはこいつに訊くといい」 「あと一人、ライダーだけは紹介しておこう。ミキ!」 ・イチの声で、ミキが起立する。 「鳥内実季。お前達と同じく大尉であり、戦武胡蝶の専任ライダーだ。もっともその胡蝶は先日の戦闘で破損して修理中、今日は今日で俺のノワールを傷物にしてくれたようだが」 ・イチが手振りでミキに座っていい、という合図を送る。 「この五名に、整備班や後方支援部隊を加えた今ここにいる計四十名が、俺の騎士団のメンバーの全てだ」 「ちなみに、騎士団の名前はまだない。腹案もないから、ネーミングセンスの光る良案があったら言ってくれ」 「この部隊を含めて、本基地には大小九つの騎士団が所属している。他の部隊とのいざこざは起こしてくれるなよ。こっちが新参なんだからな。面倒事は勘弁してくれ」 「あとは、そうだな。今日の戦いでも分かっただろうが、ここは最前線だ。それを忘れるな。俺からは以上だ。他に何かあるか?」 ・誰からも声は上がらない。 「では、今日はこれで解散とする。ショウとリョウ、それとミキは、今日中に戦闘報告書を纏めて俺の所まで持って来い。では、解散とする」 ・集まっていた面々が三々五々に散る。ミキの憂鬱な横顔が映し出される。ミキは腰を上げず、最後まで残る。


【Bパート】

ミキがショウ、リョウの鍛練に感服させられる。

・早朝、ミキが基地内部のトレーニングルームを訪れると、既に電気が点灯している。 ・ミキが様子を窺うと、ショウとリョウの二人がランニングマシンの横で談笑している。二人がミキに気付き、手を振る。 ・ミキが部屋に入る。 「早いのね」 「習慣だからな。こっちに来て一週間はどたばたでそんな暇もなかったが、やっぱり落ち着かなくて仕方ねぇ。昨日から始めたんだ。今日はもうそろそろ上がろうかと思ってたところだよ」 「もう終わったの?」 「一通りは」 「何時起き?」 「四時半くらいかな」 「これからどうするの?」 ・ショウとリョウが顔を見合わせる。 「疾風のメンテナンスを確認して、軽食を取って、それから基地の中を散策しようかって話してた。結構広いから、十日やそこらじゃまだよく知らない場所も多いし」 「良かったらあたしにトレーニングメニューを教えてくれない? 代わりに基地を案内するから」 ・ショウがリョウの意見を横目で確認しつつ、代表して答える。 「俺達は構わないけど、普通だぜ?」 「それでもいいから」 「じゃあ、まぁ……」 ・警報が鳴り響く。 「敵襲か?」 「みたいね」 「朝駆けとはいい度胸じゃねぇか。やってやるぜ。ほらリョウ、ミキ、行くぞ」 「うん」 「え、ええ」

ミキがライダースーツに着替える。

・ミキがライダースーツを装着する。更衣室に他の人影はない。 ・鏡に映った自分を見つめて、強く頷く。


ミキ達が戦武に乗り込む。

・戦武格納庫が上へ下への大騒ぎになっていること。 ・ミキが一歩一歩、歩を進める。 ・ミキが胡蝶を見上げ、視線を下に戻してイチ、ショウ、リョウ、八中が揃っているのを見つける。皆がライダースーツを身につけ、ヘルメットを脇に抱えていること。 ・ミキが小走りに駆けよる。 「すみません。遅れました」 「トレーニングルームにいたことは二人から聞いている。十分だ」 「これで全員か。速かったな」 「では、出撃を?」 「無論だ。敵はハバロフスクを迂回して、基地の東側から直接ここを叩きに来たらしい」 「山を越えてですか」 「そういうことになるな」 「既に一部で交戦が始まっている。俺達も速やかに出陣。交戦ポイントはここから約30キロ地点だ。速度のあるショウとリョウは先行しろ。俺と残りの二人は後から追いかける」 「はいっ」 ・イチが親指で疾風を指し、敬礼したショウとリョウがそれぞれの機体の元へ駆け出す。 「俺がトップを取る。右に八中、左はミキに任せる。いいな?」 「はい」 「分かったわ」 ・イチが不敵に微笑む。 「さぁ、派手に行くぞ。帝国中に俺達の名前を轟かせるんだ」 ・イチが反転してノワールに向かい、ミキと八中もそれぞれの機体へと走り出す。

帝国軍と日本軍が軍事衝突を起こす。ショウとリョウが活躍する。

・戦闘描写。戦闘ヘリと戦武の混成部隊で挑みかかってくる日本軍に対して、帝国軍の戦武部隊が応戦する。 ・戦況は帝国側が劣勢。白煙の中から砲撃が雨あられと降り注ぎ、帝国軍の戦武が撃破されていく。煙が晴れた後の白い大地には赤い機体が浮かび上がる。 ・カメラが切り替わる。蒼い機体が一本の槍だけで二体の戦武と近接戦闘を繰り広げ、そこに戦車がバックアップする。帝国軍は手傷を負って逃げようとするが、そこを逃さず蒼い戦武の槍が貫き、叩き切る。 ・蒼い機体のコックピットの中、子龍の横顔の影が映し出される。通信が入る。 「やるじゃない」 「こんなものじゃないさ」 ・ショウとリョウ、二機の疾風が戦場に到着する。レーダーの反応に、子龍が上空を見上げる。二機の疾風が肉眼で確認できる。 「白い二機の疾風……。このあいだの奴か」 「私達が引き受けるわ」 「厄介な相手だぞ」 「理解しているつもり」 ・クリス率いる銀色の飛行型戦武?部隊が映し出される。 「各機散開。敵は少数よ。囲んで速やかに殲滅します」 ・クリス視点。左右に部隊が散っていく。クリスが呟く。 「さぁ、見せてよ。私に、帝国の威光とやらを」 ・クリスの眼前で、ショウ機がリョウ機の影に隠れる。直後、リョウ機が急上昇し、ショウ機が後ろから突如として現れ、小銃を発砲しながら突撃してくる。 ・クリスがショウの猪突猛進な攻撃を大きく右に避けてかわすが、ショウはクリスを追尾してくる。ショウが小銃をポケットに仕舞い、ナイフの二刀流でクリスに近づいてくる。 ・クリス機は右手にライフル、左手に盾。クリスが発砲するが、ショウは怯まず綺麗に弾道を避けて間合いを詰め、クリスに斬りかかる。クリスは盾で防ぐ。金属の擦れる音。 ・交差した直後、クリスが斜め上空を振りかえると、ショウは既に反転して攻撃態勢を整え、再度今度は降下しながら突っ込んでくる。 ・ショウとクリスのカットイン。 ・ショウが右手のナイフを投げつける。クリスは左手の盾で防ぐ。残る一本のナイフを両手で握り締め、ショウが斜め上からクリスの胴を襲う。 ・クリスが咄嗟にライフルでゼロ距離射撃しようとターゲットを合わせるが、刹那、ショウが視界から消える。 ・クリスが驚きに硬直した僅かな間の後、左肩に被弾する。クリスが振り返ると、そこには小銃を構えたリョウ機。クリスがライフルを向けるとリョウはクリスの友軍機を盾にして射線を塞ぐ。 ・爆発音にクリスがそちらに視線を向けると、ショウが友軍機の胸にナイフを突き立てている。ナイフを手放してショウは友軍機から離れ、友軍機は制御を失って墜落していく。 ・クリスが前後左右を見回すが、二機の異なるカラーリングの疾風はちらりと見えては友軍機や雲の影に消える。 「全機、聞こえるわね。一時後退。合流して互いの背後を消しなさい」 ・クリスが唇を噛み締める。

イチ、ミキ、八中が参戦する。

・イチ、ミキ、八中がフォーメーションを組んで戦場に辿り着く。イチがショウ、リョウ、ミキ、八中に指示を下す。 「――の通りだ。いいな?」 「……」 「ミキ、おいミキ。聞いていたのか?」 「だ、大丈夫。ごめんなさい」 ・やや斜め前を走っていたイチがミキの機体を振り返る。イチの唇が動く。 「作戦を変える。ショウ、ミキと組め。八中とリョウは俺とだ」 「え?」 「イチ、どういうことですか?」 「隊長命令だ。異論は認めなさい。ショウとリョウは一旦下がって俺達と合流しろ」 「りょ、了解」 ・イチの眼前に激しく争う戦武と戦車、戦闘ヘリの群れ。 「来たぞ」 ・イチがノワールのギアを一段階上げる。 「八中、付いてこい」 ・イチが戦場へと斬り込み、深く溜息をついた八中が後を追う。呆気に取られるミキのすぐ横に、ショウが降りてくる。 ・二人の視線の先では、両軍の衝突が激しさを増していく。ショウがミキを促す。 「おい、行くぞ」 「分かってる」 ・ショウが微かに地から離れ、ミキを先導するように戦場へと舞い戻る。

ショウはミスしがちなミキを支援しつつ八面六臂の大活躍を見せる。

「避けろっ」 ・ショウが台詞とともに大きく右に曲がり、ミキが反射的に左に跳ぶ。何百発という弾丸が二人のいた地点を掠めて飛んでいく。 ・ショウの視線の先にいたのは、赤い機体。 ・ショウVSケン。 「またてめぇか。赤いの!」 ・ショウとケンのカットイン。 「こいつは俺がやる。邪魔しないでくれ」 ・ミキを置き去りにし、ケンとショウがぶつかり合う。ミキは少し離れた場所で、ついぼんやりと傍観してしまう。 ・ミキが敵の的になり、危機に陥ったのをショウが救う。 「ぼさっとするな! 馬鹿野郎が!」 ・ミキを庇ってできたショウの隙にケンが攻撃を繰り出すが、ショウはミキの盾になりつつ防ぐ。 ・ミキの頬を一筋の涙が伝う。 ・ミキが吠え、ショウとケンの戦いに割って入るようにライフルを構える。 「あたしだって!」

イチがリョウと八中を連れて奮戦し、リュウを退ける。

・イチがどんどんと前に出る。通り過ぎざま、何でもないように戦車を真っ二つに叩き斬る。 ・イチを狙った戦闘ヘリを、八中が砲撃して落とす。 ・リョウ視点。イチのフォローに回ることを決意したリョウが、目に付く敵を次々と小銃で撃破していく。 ・イチがリュウの機体?を捕捉する。コックピット内部のリュウの姿。リュウもまたイチ達の進軍に勘づく。 「あれが大将機か」 「前に出過ぎです」 「問題ない」 「八中少佐」 「いつも通りだよ。まったく」 「二人とも、聞こえているぞ」 ・イチがリュウまで一直線に斬りかかって行き、防ごうとした護衛達と接近戦で火花を散らす。 ・八中がライフルを放ちながら後に続き、リョウも覚悟を決めて二人の後から突っ込んでいく。 ・イチ&リョウ&八中VSリュウ&護衛兵。 「そこの総大将、俺と勝負しろ」 ・イチが大剣一本で護衛兵たちの猛攻を華麗に捌ききる。左右に護衛兵を従えたリュウがイチに向かってくる。 「雑魚は任せた」 ・周囲をリョウと八中に預け、イチがリュウに向かって突進する。リュウも青龍偃月刀を構え、一機で向かってくる。 ・イチとリュウが剣を交える。イチ、リュウの順でカットイン。 ・イチが猛然と何度も斬りかかるが、リュウは武器の大きさを生かして防御に徹する。 「どうした。守るだけか?」 「イチ、危ない!」 ・二機の護衛兵が左右から斬りかかってきたのを、イチは大剣を振り回して纏めて振り払う。 ・イチがリュウを見る。リュウが地を蹴って跳び、大上段から青龍偃月刀を振り下ろす。 ・リョウが間に割って入り、二本の短剣を交差させてリュウの攻撃を受け止めると、リュウは空中でバックステップするように後ろに下がり、距離を取って着地する。 ・リュウの前に二機の護衛兵。そしてイチの前にリョウと八中がそれぞれ大将を守るべく身を割り込ませる。 「黒い機体。ケンから聞いてはいたが、大したものだ」 ・リュウが退き、護衛兵も殿を務めつつ下がっていく。 「イチ、これ以上はっ!」 「分かっている。潮時だ。こちらも引き上げるぞ」


ケンの部隊の和樹が戦死する。

・ミキの乱入に、ショウとケンの二人ともに虚を突かれる。 ・ミキがライフルでケンを狙う。一瞬早く正気を取り戻したショウが場所を空け、その隙間からミキがケンを完全にロックする。 「こんのぉおお」 ・ケンが反応できず、呆然とする。 ・ミキがトリガーを引き、弾丸がケンの機体の脇腹を貫く。ケンの機体が爆発する。 ・ケンのコックピットに電流が走る。アラーム音が鳴り響く。 「くっ」 ・逃げようとしたケンをショウが追う。 「隊長ぉーーー!」 ・ケンの機体を庇って、和樹が飛び出してくる。 ・ショウが和樹をナイフで一閃する。 ・ケンが言葉を紡ごうとするが、声にならない。 ・和樹の機体が轟音とともに爆散する。 「……っ」 ・和樹の機体が邪魔をしている間に、ケンが全力で逃走する。ショウが逃げていくケンの追撃は無理と判断し、地上に降りる。 ・ショウにミキが寄ってくる。 「逃がしちゃったわね。ごめん。余計なこと、しちゃったかしら」

ショウの言葉に叱咤され、ミキが気持ちを切り替える。

「馬鹿じゃねぇの?」 「ば、馬鹿とは何よ!」 「やればできるじゃねぇか」 ・ミキが頬を紅潮させる。


【Cパート】

戦場でミキが何かを掴む。

・趨勢が決した後、ミキがショウに問いかける。 「お、追わないの? あたしならともかく、あんたなら追いつくかもしれないわ」 「仲間を置いて一人で敵を追い掛けられるかよ」 「ありがと」 「ねぇショウ。あたしにはやらなきゃいけないことがあるの。あたし、そのためにも頑張るから」 「ん? ああ。いいんじゃねーの。何か知らねぇけど」


登場人物