西暦2158年から2185年にかけて地球上のあらゆる国家が覇権を競い合った戦争のこと。
別名六雄三姫の騒乱ともいう。
主戦場はヨーロッパ、北アフリカ、中国を中心とした東アジア、アメリカ(USA)、
ロシア全土(極東・西部それぞれ)と広範囲に渡り、無数の核兵器が使用された。
途中(2163年)ロシアが国内の内紛を収集できずに崩壊し、
フォリス帝国、ロストフ王国をはじめ多くの小国が新勢力として台頭した。
事の発端は世界的な経済危機が発生したことである。
これによって先進各国は自国の利を守るのに必死になり、
途上国では餓死者が多発する事態に陥った。
最初に軍事的な行動に踏み出したのは北朝鮮である。
北朝鮮は韓国、日本、USAに対して突如核攻撃を実行した。
これにより韓国は壊滅的な被害を受け、
日本・アメリカの大都市も多くが火の手に包まれた。
これに対してアメリカが核による反撃を実施。北朝鮮もまた一夜にして焦土と化す。
この騒動をきっかけに、イラン・イラクなどが無差別的とも言える核攻撃を、
欧米各国に対して強行。USA・EU対核保有途上国の図が出来上がる。
またロシアと中国も対アメリカ戦に参戦。
世界各地に核の雨が降り注ぐ大惨事となった。
結果、多くの死者と被爆者が生まれ、世界的な恐慌は激しさを増すばかりであった。
この戦争で真っ先に滅亡したのは戦端を開いた北朝鮮とその被害を受けた韓国で、
朝鮮半島は無残な姿に変わった。
また集中攻撃を受けたアメリカも衰退の一途を辿っていく。
日本も大きく国力を落とし、極東ロシアへの難民が続出した。
戦争が常態化した世界の中で、多くの英雄達が誕生した。後の六雄三姫である。
最初に頭角を現したのはフランスのクロード・ヴィダルである。
彼はEUを一つの共和国として纏め上げ、初代大統領に就任した。
彼は北アフリカに侵攻し、EUに北アフリカ諸国を強制加盟させた。
こうしてEAUが生まれた。
同時期に、ロシアは貧困から国内でテロや反乱が頻発し、
遂に国家としての体をなせなくなる。2063年のロシア崩壊である。
これによって、イリヤ・アンドレエフは旧ロシア南東部にロストフ王国を、
日系移民だった朝霧司(初代)は極東にフォリス帝国を建国し、
それぞれ英雄となった。
一方EAUでは、クロードが暗殺されてしまう。
その後を引き継ぎ、EAUをより強固な組織にしたのが、セシル・マクスウェルである。
核の被害を免れた南アメリカではブラジルのソフィア・ラッテスが、
南アメリカ大公国を築き上げる。
またインドではシュリニヴァーサ・ラマヌジャンの指導のもと、
領土拡張政策が推し進められた。
その後、息を潜めていたUSAもセリア・ノーランドの手腕により国力を回復し、
カナダ、メキシコといった周辺諸国への侵略行為を行うまでになった。
EAUは領内にあった非加盟国を次々と吸収していったが、
唯一独立を守ったのがスイスである。
これはヴィルヘルム・テル(オリジナル)の未来予知能力によるものであり、
後にスイスは彼を崇める宗教国家へと形を変えていく。
長く核の被害に苦しんだ日本だったが、
黒沢雅が首相となると、辣腕を発揮し、防衛のみならず、
焦土と化した朝鮮半島を越えて中国や旧ロシア極東に派兵するまでに至った。
以上の9人が世界中で知名度を得たことから、
この戦争は六雄三姫の騒乱ともいう。
長い戦いの中で領土拡張政策に限界を感じ始めた各国は次第に二国間、
あるいは多国間条約を結び、一時的な休戦を得ていく。
その最終段階が、多くの残存国家が批准したスラヴァ条約である。
この条約によって、核兵器の全面使用禁止及び廃棄が決定され、
また一切の戦闘行為が禁止された。
後者はすぐに破られることになったが、核の根絶は成し遂げられた。
それだけの教訓を人類はようやく得たのである。