イディア


形而上学(上)>>イディア

イディアについて

1. 言葉の意味とそれができる過程として必要な抽象化について見てみましょう。「リンゴ」は、個別のリンゴだけを指すのではなく、リンゴの集合にはいるものをすべて、あるいはそれぞれを指します。また「好き」という言葉も、思い入れの具合など個人的な意味合いを、考慮はできますが、「好き」の意味が相手に伝わらないと、日常言語における機能が、うまく働かなかったことになります。人それぞれにとっていろいろな「リンゴ」いろいろな「好き」があっても、言葉として機能するには、抽象化が、必要となります。また数学においては、一意性(矛盾や間違いを排除する)という目的のもとに、それぞれの数学分野でその対象が抽象化されています。

2. イディアの抽象化は、普遍性を求めるという部分では、数学に似ています。しかし、最高のイディアとされる善のイディアは、人間性という価値観(真偽ではなく、善悪)、言い換えると、人間の生活における意味を求めています。イディアは目的論的な性格を持っているのだと言えます。

3. 美のイディアは、美しいものを、美しくしている、「美そのもの」であるという説明がされています。それでは、どうしたら美のイディアを知ることができるかという、過程や手段はプラトンによって示されてはいません。その事情を考えると、イディアは、イメージとしてあるというのが適当であると思います。

4. イディアが、宇宙の外にあるというのも、イディアへたどり着くことを困難にしています。