このページでは,12月14日火曜日に日無より問題が公表され次第,問題解説を掲載します. →公表されました.
[2010-12-15] ページ作成.1アマ工学A-6まで終了.
[2010-12-20] 1アマ工学A-15まで終了.
Q[C]の点電荷からr[m]張られた点における電界の強さE[V/m]は
E=Kq/(r^2)で表されます.ここでK=1/(4πε0)≒9x10^9ですが,計算
の途中で消えてしまいますから,覚えていなくても大丈夫です.さて,
2つの点電荷はどちらも正ですので,A点とB点を結ぶ線上では,A点
の点電荷が与える電界とB点の点電荷が与える電界はちょうど反対向
きです.したがってP点で電界の強さが0になるというのは,2つの電
荷の与える電界の大きさがちょうど等しいということになります.
点Pから点Aまでの距離(求める答え)をr[m]とおけば,点Aと点Bの距
離が1[m]ですから,点Pから点Bまでの距離は(1-r)[m]と書くことがで
きます.したがって,点Pでは,次の等式が成り立っていることにな
ります:Kx8/(r^2)=Kx32/((1-r)^2).これをrについて解きます.
8x(1-r)^2 = 32xr^2,8x(r^2-2r+1)=32xr^2,24xr^2+16xr-8=0,
3xr^2+2xr-1=0,(3r-1)(r+1)=0, r=1/3,-1となります.点Pは点Aと
点Bの間にありますから,0≦r≦1です.したがってr=1/3となり,
3番が正解です.2次方程式が出てきますが,答えを順に入れていっ
て3xr^2+2xr-1が0に最も近くなるものを選んでも解けるでしょう.
[A]がちょっと迷うかもしれません.[B]はレンツの法則とすぐに出る
でしょう.[C]は左手か右手か,ですが,磁界中を電流が流れると電
磁力が発生するのが左手,磁界中で導体を動かすと起電力が発生する
のが右手,と覚えます.これで2番に答えが決まります.
(1)電磁誘導によってコイルに誘起される起電力の大きさは、コイル
と鎖交する磁束の時間に対する変化の割合に比例する。これを電磁誘
導に関する[ファラデー]の法則という。
(2)電磁誘導によって生ずる誘導起電力の方向は、その起電力による
誘導電流の作る磁束が、もとの磁束の変化を妨げるような方向である。
これを[レンツ]の法則という。
(3)運動している導体が磁束を横切ると、導体に起電力が発生する。
磁界の方向、磁界中の導体の運動の方向及び導体に発生する誘導起電
力の方向の三者の関係を表したものをフレミングの[右手]の法則という。
(1)はコイルの自己インダクタンスの公式L=(μ0xn^2xπxr^2)/lを思
い浮かべて解きます.つまり,巻数nの2乗に比例,コイルの半径rの
2乗に比例,コイルの長さlに反比例,ということです.
(2)はコイルのリアクタンスの公式|Xl|=2πfLを思い浮かべます.つま
り,周波数と自己インダクタンスとに比例して大きくなります.
ここまでで1番に解答は絞れます.
(3)はややこしいですが,交流に関するオームの法則V=ZIと,コイル
のリアクタンスの複素数表記Xl=j2πfLとから,電流に対して電圧が
90度位相が進む,のがコイルです.でも問題は電圧に対して電流は?
と聞いていますので,遅れる,が正解です.
3つのうち2つわかれば解ける,というのはちょっと甘めの出題かな.
(1) コイルの自己インダクタンスは、コイルの[巻数の2乗]に比例する。
(2) コイルのリアクタンスは、コイルを流れる交流電流の[周波数]に比例する。
(3) コイルに流れる交流電流の位相は、加えた電圧の位相に対し90度 C 。
おおっ,キルヒホッフの法則だなっ,と思ったあなた.そうなんです
がまずは落ち着いて問題を見ましょう.求めたいのはI3とVabです.
Vabのほうが簡単です.I1=2[A],R1=3[Ω]とわかっていますから,
この抵抗では2x3=6[V]の電圧降下が起こっています.よってab間の電
圧は12-6=6[V]と決まります.これで正解は2番か4番かにしぼられ
ました.I3を求めるには「任意の点に流れ込む電流の和は0になる」
の法則(第1法則)を使います.a点に流れ込む向きを正とおけば,
a点では2-3+I3=0が成り立っています.したがってI3=1[A],つまり
I3は下から上に流れる電流ということになります.ということで4番
が正解.
[ちょっとつっこんで]まじめにキルヒホッフの法則で方程式を立てて
も,R2,V2,R3,V3の値はひととおりには定まりませんから,かえって
混乱してしまいます.もっというと,-V2+2xR2=6およびV3-R3=6が成
り立つ組み合わせなら何でもいいわけです.難しく考えすぎるとかえ
ってどつぼにはまってしまう例です.
直列共振回路の公式f=1/(2π√(LC))をCについて直すと,C=1/(Lx(2πf)^2)
となり,f=14.1x10^6[Hz], L=1x10^(-6)[H]を代入して解くと,
2x3.14x14.1≒88.5, 88.5^2≒7830, 1/7830=128x10^(-6)
となりますので,C=1/(1x10^(-6)x7830x10^12)=128x10^(-12)=128[pF]
となります.コンデンサの並列接続の合成容量は個々のコンデンサの
容量の和ですから,Cv+C=128[pH]になるように解答の選択肢からCvを
選ぶとすると,Cv=60[pF]が近いでしょう.これで4番か5番に正解が
絞られました.次は先鋭度Qです.公式Q=ωL/R=1/(ωCR)のどちらを
つかってもよいですが,断然ωL/Rを計算するほうが楽そうです.
ω=2πf=88.5x10^6ですので,ωLは=88.5x10^6x1x10^(-6)=88.5,
よってQ=88.5/2≒44となって,5番が正解となります.細かい計算が
面倒な問題ですね.計算尺がほしくなります.
最初Cに電荷が蓄えられていなければ,t=0においてv=0でなければな
りません.e^0=1ですから,4番と5番はv=0にならないので脱落です.
一方tが十分大きいときは,充電が完了してv≒Eになります.e^x=1
となるxはx=0ですから,1番ではtが大きくなったときe^xのxが小さ
くなりませんからこれも脱落.2番か3番かということになります.
Cが小さいほうが早く充電されますから,より小さいtでe^xのxが小さ
くなるためには,3番の式でなければなりません.よって3番に正
解が決まります.
遮断周波数は電流増幅率が1/√2=-3dB(電力1/2)と覚え,トランジ
ション周波数はβ(エミッタ接地回路の電流増幅率)が1,と覚えま
す.どちらも周波数が高いほど高周波特性がよい,ということになります.
トランジスタの電流増幅率の大きさが、その周波数特性の平坦部にお
ける値の[1/√2]になるときの周波数を[遮断]周波数という。この周
波数が[高い]ほど高周波特性の良いトランジスタである。
1 図1は、接合形トランジスタのPNP形である。
…正解.エミッタ-ベース間の矢印の向きがE→Bなので,この方向
はP→N,したがってPNPであることがわかる.
2 図2は、接合形FETのNチャネル形である。
…正解.ゲートからソース-ドレインへの矢印の向きから,D-S間
(チャネル)がN型半導体,ゲートがP型半導体であることがわかる.
3 図1は、バイポーラ形のトランジスタ、図3はユニポーラ形のト
ランジスタである。
…正解.普通のトランジスタはバイポーラ,FETはユニポーラと覚えます.
4 図3は、MOS形FETのNチャネルエンハンスメント形である。
…正解.チャネルが点線で表されているのがエンハンスメント型,
実線で表されているのがデプレッション型です.
5 図2と図3のFETをソース接地増幅器として用いるとき、入力
インピーダンスが高いのは図2のFETである。
…誤り.MOS型FETのほうが入力インピーダンスが高くなります.
ということで,5番が誤り(正解).
等価回路図を見れば答えが書いてあるようなものです.
電圧増幅度すなわちA=v_o/v_iを計算すればよいわけです.
v_i=i_b x h_ieです.v_o=i_c x R_L で,トランジスタですから
i_c = h_fe x i_b となります.全部代入しましょう.
A=(h_fe x i_b x R_L )/(i_b x h_ie)=(h_fe x R_L) / h_ieとなって,
2番が正解です.
雑音指数NFは,入力側の信号対雑音比(S/N比)に対して、出力側の
S/N比がどれだけ劣化するかを示すもので,[入力のS/N比]/[出力のS/N比]
で計算します.したがって,1番のNF=(S_i/N_i)/(S_o/N_o)が正解です.
定番の暗記問題,ということで,水晶発振器はマイクロ波を直接は発
生できませんので,3番が誤り(正解)です.4番のマグネトロンは
電子レンジに入っていますから見ようと思えばみられるかもしれませ
ん?が,他はどこへ行ってみればいいのやらさっぱり見当がつきませ
ん…
逓倍のこつは歪ませること,となれば,A級増幅でなくC級増幅と連想
できるでしょう.高調波,という言葉もすぐに出ますね.正解は4番
ということになります.
エミッタ接地増幅器を、ベース・エミッタ間電圧対コレクタ電流特性
曲線のコレクタ電流の遮断点より更に深いバイアス電圧を加え、[C級]
増幅として動作させると、コレクタ電流の波形のひずみが[大きく]な
り、コレクタ同調回路を励振(入力)周波数の[高調波]の一つに同調さ
せて、必要な周波数を取り出すことができる。
P_m=P_c(1+(M^2)/2) の公式を思い出して解く問題.試験中に導くの
はちょっとやっかいなので,ちゃんと暗記しておきましょう.
P_m=100x(1+(0.6^2)/2)=100x(1+0.36/2)=100x1.18=118[W]で3番が正解.
1 この回路は、バイポーラトランジスタを用いたエミッタ接地(共通
エミッタ)形増幅回路である。
…正解.入力はベースから入り,コレクタから出力を取っていて,
エミッタが入力出力の共通端子として機能しています.
2 トランジスタの動作点は、C 級動作となるように図中のバイアス
電源VB により設定される。
…誤り.SSBの終段はB級かAB級で動作するように設定されます.
3 図中のCN は、中和用コンデンサであり、増幅回路が安定に動作す
るように調整される。
…正解.出力から入力に入り込んでしまう信号をうまく打ち消す仕
掛けです.
4 図中のRFC は、高周波インピーダンスを高く保ち、直流電源回路へ
高周波電流が漏れることを阻止するためのものである。
…正解.高周波電流が電源回路を経由してほかの部分へ入り込むの
を防ぎます.
5 図中のLR 並列回路は、寄生振動防止用の回路である。
…正解.意図しない周波数で発振を起こしてしまう寄生振動を防ぐ
ためのものです.
ということで正解は2番.
インターフェア対策をこたえる問題.HF波は通さず,それより高い周
波数(VHFやUHF)のFM放送やテレビ放送を通過させる,というのですか
ら,高域を通すフィルタ,つまり高域フィルタ(ハイパスフィルタ)
を用いることになります.正解は4番.
(1) アマチュア局の基本波がFM受信機やテレビジョン受像機の入
力段に加わらないようにするため、[高域フィルタ(HPF)]をFM受信
機やテレビジョン受像機のアンテナと給電線の間に挿入する。
(2) これによって、フィルタのカットオフ周波数以下のアマチュア
局の短波(HF)帯の基本波の周波数成分を[減衰]させ、これ以上の
FM受信機やテレビジョン受像機の受信周波数を[通過]させて、電
波障害対策を行うものである。
なかなかがっつり面倒な問題がならんでいますね.新問ではないから,
勉強した人にはさほど障害ではなかったかもしれませんが,全体とし
てなかなか難しめの印象です.毎年12月期は合格率が下がるのがジン
クスですが,今回はどうでしょうね.
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