日本無線協会より9月2日火曜日に試験問題と解答が公表されました.
2007年8月期までは2ちゃんねる上級ハム受験スレに
問題解説を投稿していましたが,前々回(2007年12月期)より直接こちらのサイトにページを設けて書いています.
理由は,一時的にせよスレッドを占領することになってしまい,それを望まない読者も少なからずおられるから,です.
ときどきは宣伝させていただくことをお許しいただいて,こつこつこちらでまとめていきたいと思います.
掲示板に比べて,訂正ができるとか,多少表現が自由になるのも理由のひとつです.
11月3日に作業終了しました.
間違いなどありましたら,コメント欄にお書きください.
連絡用ページ経由でも結構です.
(管理人さんにご迷惑がかかってしまいますが,見落としは減ると思います.)
対地間静電容量とか出てきてびっくりしますが,何のことはない,
コンデンサ2個に独立に電荷を与えておいて,両端をショートした
ときの電荷の移動量は,という問題です.
C1=2[μF]にQ1=4[μC]の電荷を,C2=4[μF]にQ2=14[μC]の電荷を,
それぞれ与えたとあります.スイッチSを接にした後でも,2つのコ
ンデンサに蓄えられている電荷の総量はQ1+Q2=18[μC]のままです.
変わるのは,コンデンサの両端の電圧が同じになること,いいかえ
れば,コンデンサの両端の電圧が同じになるように電荷が移動する
ということです.Q=CVですからV=Q/C.Sが接のときのC1, C2の電荷
をQ1', Q2' (単位はμC)とすると,Q1'/C1 = Q2'/C2 かつ
Q1'+Q2'=18 となるはずです.これを解きましょう.
Q1'/2=Q2'/4, ... (1)
Q1'+Q2'=18. ... (2)
2Q1'=Q2'. ... (1)'
(1)'を(2)に代入して Q1'+2Q1'=3Q1'=18.よって
Q1'=6, Q2'=18-6=12.
Q1=4, Q2=14 でしたから,C2からC1へ2[μC]だけ電荷が動いたこと
になります.5番が正解.
コンデンサのエネルギーの公式は
W=(1/2)QV=(1/2)CV^2 ですね.4番が正解.
周波数 f = 60[Hz]の角速度は ω = 2π×60 = 120πです.
つまり1秒間に120πだけ回っているということ.このとき
π/7 は何秒間に相当するかというと (π/7)/(120π) = 1/(7×120)
=1/840≒1.2[ms]となります.3番が正解.
図中の長い抵抗をB点で二つに分けて,左側をRa, 右側をRbを書く
ことにしましょう.問題から,Ra+Rb=10[Ω]です.また,Rbには
RLと同じく12[V]の電圧がかかっていますから,Raには100-12=88[V]
の電圧がかかっています.さて,いまRLには5[A]の電流が流れている
と言いますから,Ra,Rbに流れる電流をそれぞれIa,Ibとしますと,
Ia=Ib+5が成り立ちます.I=V/R より Ia=88/Ra, Ib=12/Rb ですから
代入して 88/(10-Rb)=(12/Rb)+5.展開して整理しましょう.
88/(10-Rb)=(12+5Rb)/Rb,
(10-Rb)(12+5Rb)=88Rb,
120+50Rb-12Rb-5Rb^2=88Rb,
120+38Rb-5Rb^2=88Rb,
5Rb^2+50Rb-120=0. あ,2次方程式ですね.続けましょう.
Rb^2+10Rb-24=0, 因数分解して
(Rb+12)(Rb-2)=0.
したがって Rbは-12か2ですが,負の抵抗は通常あり得ないので
Rb=2[Ω]で4番が正解です…
となるはずなのですが,問題をよく読むと,あれれ?これ,問われている
のは Rb じゃなくて,RbとRLの並列接続の合成抵抗じゃないの?と
思えてきます.R=V/IですからRL=12/5=2.4[Ω]ですので,
1/Rb+1/R=1/2+1/2.4=12/24+10/24=22/24.よって
Rb//RL=24/22≒1.09ですので,数値の最も近い5番が正解?
まあ問題文の中で「BC間の抵抗の値」とあって「BC間の合成抵抗の値」
とはなってないとか,「正しいものを下の番号から選べ」とあって
「もっとも正解に近いものを…」とはなってないとか,いえなくは
ないですが,これはちょっと設問のミスじゃないのかなあ,と
思います.該当する受験者はダメもとで抗議してみたらどうかなあ.
お,久々に過渡応答の問題ですね.答えの見当をつけるには,
コンデンサCの端子電圧について,だいたいの見通しをつけると
いいです.つまり,スイッチSを接にしたとき(t=0)では,C
に電荷はたまってませんから,v=0となるはずです.e^0は1ですので,
t=0を入れてv=0になる選択肢は,2,3,5番です.
また,十分時間がたったあと(t=∞)では,v=Eとなるはずです.
e^∞は発散してしまいますが,e^(-∞)=0ですので,3番と5番は
t=∞を入れてv=Eとなりますね.あとはCRか1/CRかを
思い出すだけですが,Cが大きくなれば電圧の上がるのに時間がかかるように
なることを考えると,e^(-kt)(kはCRか1/CRのどちらか)において,
kは小さい方がe^(-kt)は遅く減少する,つまり電圧がなかなか上がらない
ということなので,Cが大きくなるとkは小さくなる,ということで
5番が残る,ということになります.おお,公式を覚えてなくても
何とか正解にたどりつきました!
近頃発売された吉川先生の「基礎からよくわかる無線工学」をお持
ちでしたら,68ページの問題13がまさにこの問題です.
トランジスタとFETの知識を問う問題.
図1はPNP形トランジスタの図記号.PはPositive(正),NはNegative(負)
から来ているので,矢印の向きはベース-エミッタ間のPNの関係を
表わしていて,電気の流れやすい方向に矢印をつけることになって
いますから,エミッタがP,ベースがNということになります.とこ
ろでわざわざ接合形トランジスタといっていますが,点接触形トラ
ンジスタの図記号って違ってたんですかねえ.
図2はNチャネル形の接合形FETの図記号です.ソース-ドレイン間
の電流の通り道がN形半導体なのがNチャネルです.ゲートはP形半
導体になりますので,ゲートの矢印の向きはPNの向き,すなわち
外から内向きになります.
図1はバイポーラ形,図2と図3はユニポーラ形です.なのでここ
が間違いで,正解は3番.
図3はNチャネルエンハンスメント形のMOS形FETの図記号です.
MOS形FETはデプレッション形というのもあって図記号が違いま
す.ああややこし.2つの違いは…ググッて調べてみてくださいw.
MOS型FETのほうが接合形FETより入力インピーダンスが高い
ので5番は正しい.
1番は光電池とかフォトダイオードですね.2番はバリスタ.3番
はサーミスタですかね.4番は発光ダイオードとか電球とか蛍光灯
とかになります.5番は可変容量ダイオード(バラクタダイオード)
でしょうか.
トランジスタを動作させるときの直流電源の極性に関する問題.
まずベース-エミッタ間の矢印の向きに電流を流すのが正しいので
それで選ぶと,1番,2番,3番が合格となります.つぎに,コレ
クタ-エミッタ間の電流も矢印の向きになりますので,それに該当
するのは1番だけとなります.まあ電池の向きがお互いに反対を
向いている,と覚えている人が多いでしょうか.
微分回路と問題文に書いてあるのが大きなヒントです.つまり電圧の
変化したところを検出しますので,1番と5番がそれに該当します.
さらに変化の向き(電圧が上がるか下がるか)をとらえているのは5
番ということでこれが正解.1番は微分してさらに絶対値をとったと
きの波形です.4番は積分回路の波形です.
デシベルの計算問題.10logx=20になるxはlogx=2つまりx=100で
100倍ということなので7.5[mW]=0.075[W]の100倍で7.5[W]となり,
3番が正解です.入力が電力表記なので10logxでよいわけです.
電圧表記だったら20logxで計算することになります.
…と,ここまででとても面白いことに気が付きました.
A-6からこのA-10までの解答(番号)なのですが,なんと前回の
20年4月期の1アマ工学と同じです!こんなこともあるんですね.
というか,もしかして暗記戦術の受験生へのサービスか?(笑)
周波数逓倍器は,わざと入力を歪ませて高調波を発生させ,フィル
タで必要な周波数だけ選択して,入力の何倍の周波数の出力を得る
ものですので,それに注意すればこの穴埋めは簡単ですね.
エミッタ接地増幅器を,ベース・エミッタ間電圧対コレクタ電流特
性曲線のコレクタ電流の遮断点より更に深いバイアス電圧を加え,
[C級]増幅器として動作させると,コレクタ電流の波形のひずみが
[大きく]なり,コレクタ同調回路を励振周波数の[高調波]のひとつ
に同調させて,必要な周波数を取り出すことができる.
(1) 高調波の発生を防止するフィルタの遮断周波数は,基本波周波
数より[高い].
高調波を通さないフィルタということで,低域フィルタを使って,基
本周波数は通し,第1高調波以上の周波数は通さないように,遮断周
波数を基本周波数と第1高調波の間に設定します.
(2) 高調波トラップは,[特定の高調波]に正しく同調させる.
高調波トラップは,狙った高調波だけを減衰させるもの.
(3) 送信機で発生する高調波がアンテナから発射されるのを防止す
るため,[低域フィルタ(LPF)]を用いる.
(1) で述べたとおり.
公式暗記問題なのですが,もし公式を忘れてしまったときの悪あが
きとして,A-5を解いたときと同じようにねちねち考えてみましょう.
変調度が0%(m=0)のときは,P=Pcになるはずです.4番と5番が脱落
します.変調度が増えていくと,P>Pcになります.なぜかというと,
電圧(電流)が2倍になれば,電力は4倍になるからです.つまり,
搬送波に正弦波で変調をかけたとき,搬送波の電圧をVcとすれば
Vc(1-m)からVc(1+m)まで電圧が変化しますので,このときの瞬間の
電力はそれぞれ{Vc(1-m)}^2,{Vc(1+m)}^2に比例する量になるはず
ですから,{Vc(1+m)}^2-{Vc(1-m)}^2=(Vc(1+m)+Vc(1-m))(Vc(1+m)-Vc(1-m))
=4mVc^2>=0となって,電圧が高い方の電力が大きいことがわかります.
したがって,1番の選択肢もありえません.2番か3番かということ
になります.そういえば確か2乗の項が公式にはあったよなあ,と
思い出せば2番を選ぶことができます.
公式の導き方は「解説・無線工学」でも詳しく説明されているので
省略します.「基礎からよくわかる無線工学」では139〜140ページ
あたりに載っています.
受信機でおこる混信妨害のうち,「相互変調による混信」に関する
知識を問う問題. 「非直線性」と「高調波」が選べれば正解できます.
相互変調による混信とは,ある周波数の電波を受信しているとき,
受信機に希望波以外の二つ以上の強力な不要波が混入したとき,回
路の[非直線性]により,不要波の[高調波]の和または差の周波数が
生じ,これらの周波数の中に受信機の[中間周波数]や影像周波数に
合致したものがあるときに生ずる混信をいう.
影像周波数妨害では,影像周波数が同じ中間周波数に変換されてし
まうので,
1 中間周波増幅器の同調回路の選択性を良くする.
は残念ながら効果なしです.いきなり正解が出てしまいました.
2 中間周波数をできるだけ高く設定する.
は,中間周波数を高くすれば影像周波数は希望波から大きく(中間
周波数の2倍だけ)離れることになるので効果あり.
3 高周波増幅器の同調回路の選択度を良くする.
は,影像周波数が受信機に入ってくるのをカットする効果あり.
4 影像周波数に対するフィルタ(トラップ回路)を受信機の入力
側に入れる.
も影像周波数が受信機に入ってくるのをカットする効果あり.
スケルチ回路の知識を問う問題.Cの「周波数弁別器」を忘れてし
まっても,動作を止めるのが「低周波」増幅器なのは考えれば当た
り前ですし(だって高周波増幅器止めたらそもそも電波が来てるか
どうかさえわからなくなっちゃうから),実際のスケルチ回路の
働きを知っていれば(電波が来てない時の耳障りなジャー音をカッ
ト)Aの「低く」も問題なく選べますから,たやすく正解を得られ
ますね.
(1) 受信機の入力レベルが所定の値より[低く]なると,[低周波]増
幅器の動作を停止して出力に雑音が現れるのを防ぐ装置である.
(2) スケルチ回路には代表的な3方式があるが,[周波数弁別器]の
音声帯域外の雑音を整流して得た電圧で動作するノイズスケルチ方
式および受信信号の搬送波のレベルに応じて動作するキャリアスケ
ルチ方式がよく知られている.
ややこしそうに見えますが,順番に考えればとても簡単な計算問題.
「R3を流れるブリーダ電流は40[mA]とする」とあり,R3の両端の電
圧は「出力端子Bから12[V]60[mA]」から12V.したがってオームの
法則R=V/IよりR3=12/40=0.3[kΩ]=300[Ω].R2に流れる電流はR3を
流れるブリーダ電流と出力端子Bから取り出す電流との和ですから
60+40=100[mA].R2の両端の電圧は「出力端子Aから24[V]160[mA]」
と「出力端子Bから12[V]」とから24-12=12[V].したがってR2=12/100
=0.12[kΩ]=120[Ω].R1の両端の電圧は50-24=26[V],R1に流れる
電流はR2に流れる電流と出力端子Aから取り出す電流との和ですか
ら160+100=260[mA].したがってR1=26/260=0.1[kΩ]=100[Ω].
公式一発の問題.分母は定格負荷における電圧ですよ〜.というこ
とで (63-60)/60=5[%].
アンテナ電流は,アンテナに流れ込む電流.実効抵抗は,アンテナ
の見かけの抵抗で,放射抵抗と損失抵抗の和.放射抵抗はアンテナ
からの電力の送出に寄与している抵抗分,損失抵抗は寄与しない
(無駄な)抵抗分.それぞれRrとRlと書くと,Rr+Rl=50.で,アン
テナ電流は3[A]とありますから,アンテナの両端の電圧はV=IRより
3x50=150[V]だったことになります.するとアンテナ全体では
150x3=450[W]の電力を消費しているわけですね.したがって放射効
率は270/450=60[%].また,放射抵抗Rrで270[W]の電力が消費され
ているから,Rrの両端には270/3=90[V]の電圧がかかっている,し
たがってRr=90/3=30[Ω].
折り返し半波長ダイポールアンテナ,とありますから,つぶれた楕
円みたいなやつですね.ダイポールだからインピーダンスは72,と
やらないように.約300Ω,と覚えておきましょう.実効長は知ら
ない人も多いかも.でも八木アンテナの放射器,は,VHFのテレビ
アンテナを思い浮かべればOK.
(1) 給電点インピーダンスは約[292][Ω]である.
(2) 実効長は,使用する電波の波長をλ[m]とすれば,[2π/λ][m]
である.
(3) 八木アンテナの[放射器]として多く用いられている.
平衡不平衡の問題.なぜバラン(バルン)が必要か,のお話.誘導
されるままに答えていけば自然に正解.
半波長ダイポールアンテナに同軸給電線で直接給電すると,[平衡]形
アンテナと不平衡給電線とを直接接続することになり,同軸給電線
の外部導体の外側表面に[漏えい電流]が流れる.このため,半波長ダ
イポールアンテナの素子に流れる電流が不平衡になるほか,同軸給
電線からも電波が放射されるので,これらを防ぐため,[バラン]を用
いて整合を取る.
電波の散乱現象についての設問.電波伝搬はひたすら暗記暗記.
(1) 電波の散乱は,物体によるものだけに限らず,大気中の[誘電率]
にむらがある場合にも生じ,対流圏散乱通信は,この現象を利用す
るものである.
(2) 短波(HF)帯の不感地帯において弱い電波が受信されることがあ
るのは,[電離層]の乱れによって生じる電波の散乱によるものだと考
えられている.
電波伝搬でもう1問.頻出問題ですね.確実に暗記を.
(1) 一般に電波は送受信点を結ぶ[大円通路]を通り,そのうち図のS
のようにもっとも短い伝搬経路を通る電離層波は電界強度が大きく
無線通信に用いられる.しかし短波帯の遠距離通信においては,S
の伝搬通路が昼間で[第一種]減衰が大きく,Lの伝搬経路が夜間で減
衰が少ないときは,Sの伝搬経路よりも図のLの伝搬経路を通る電波
の電界強度が大きくなり,十分通信できることがある.
(2) このような逆回りの長い伝搬経路による電波の伝搬をロングパ
スといい.条件により同時にSとLの二つの伝搬経路を通って伝搬す
ると,電波の到達時間差により[エコー]を生じることがある.
第一種減衰は短波(HF)帯の電波がD層およびE層を通過するときの減
衰で,昼間は強く,夜間は弱い.第二種減衰は電波が電離層で反射
するときの減衰.
パルス波の繰り返しはオシロスコープの4目盛り分ごとに起きてい
ますので,1目盛りあたり40[μS]だというのですから4目盛りで160
[μS].したがって周波数に直すと1/160[MHz]=6.25[kHz]です.3
番が正解です.電圧が高い時の時間(60[μS])と低いときの時間
(160-60=100[μS])が異なるのは,パルスの繰り返しに注目してい
るときは関係ないので無視してOKです.出題者のかく乱攻撃に惑
わされないようにw.縦軸の情報だって問題を解くにはいらないし.
デジタル電圧計の知識を問う問題.積分形と逐次比較形の違いを問
うところが新しいでしょうか.
(1) 被測定電圧がアナログ量である電圧を,デジタル電圧計によっ
て計測するためには,[A-D]変換器によってアナログ量をデジタル
量に変換する必要がある.
(2) [A-D]変換器は,その変換回路形式により,主に積分形と逐次
比較形の二つの方式に分けられ,両者を比較した場合,一般に回路
構成が簡単なのは[積分形]であり,変換速度が速いのは[逐次比較形]
である.
積分形は,入力信号で容量の決まったコンデンサを充電し,その時
間を測ってデジタル値を得る方法.(サンプリングと計測を分けて
実施する二重積分形というやり方が一般的のようです.)逐次比較
形は,D-A変換器を使って比較電圧を作りだし,入力電圧と比較電
圧を比較して,差がもっとも小さくなるようにD-A変換器の入力値
であるデジタル値を決定していく方法.ググるといろいろ説明が出
てくるので,気になる方は調べてみてください.
コンデンサに関する知識を問う問題.
(1) コンデンサは構造や材質などによっていろいろな種類に分類さ
れ,誘電体に紙を利用したものを[紙(ペーパー)]コンデンサとい
い,主に低周波用に用いられる.
(2) 雲母の薄片にすずまたはアルミニウムはくを電極としてつけた
ものを[マイカ]コンデンサといい,絶縁性がよく,湿度及び周波数
特性ともに優れている.
(3) アルミニウムの表面に作られた,極めて薄い酸化被膜を誘電体
としたものは[電解]コンデンサといい,大容量のものが作れるが,
極性があるので[直流用]として用いられる.
(4) 円板または円筒状の磁気に銀を焼き付けて電極にしたものを
[セラミック]コンデンサといい,比誘電率が大きいため,コンデン
サの形状を小さくすることができる.
ペーパーコンなんてもうオーデオマニヤさんだけでしょ使うのw.
(3)は問題を読めば電解コンデンサのこととわかりますが「酸化被膜」
であれっ?と思うかも.
ホトトランジスタ(フォトトランジスタ)に関する知識を問う問題.
アは誤り.コレクタですね.矢印の付いている方がエミッタ.
イは誤り.発振作用はなく,高感度(増幅しますからね).
ウは正しい.光を当てることがベース-エミッタ間電流を流すこと
に相当する.
エは正しい.
オは正しい.電気的な影響を遮断したいときによく用いられる.
フェージングの知識を問う問題.英語では fading と書くので,現
代ではフェーディングと呼ぶべき(フェードアウトのフェードです
ね)だと思うのだけど(といつもぼやいていますw).
(1) フェージングを軽減する方法には,受信電界強度の変動分を補
償するために電話(A3E)受信機に[AGC]回路を設けたり,電信(A1A)
受信機の検波回路の次にリミタ回路を設けて,検波された電信波形
を正しい[方形波]に修正するなどの方法がある.
(2) ダイバーシチィによる軽減方法も有効である.[周波数]ダイバ
ーシティは,同一送信点から二つ以上の周波数で同時送信し,受信
信号を合成または切り替える方式であり,一方,[空間]ダイバーシ
ティは,受信アンテナを数波長以上離れた場所に設置して,その信
号出力を合成または切り替えるという方法である.また,受信アン
テナに垂直アンテナと水平アンテナの二つを設け,それぞれの出力
を合成または切り替えて使用する[偏波]ダイバーシティという方法
も用いられている.
イを「方形波」と正しく書けた人は少なかったのではないでしょう
か.検波後の電信波形は,確かに電波がきたとき(短点長点が送ら
れているとき)だけ電圧が上がって,電波のないときは0になる
「方形波」あるいは「矩形波」です.「矩形波」という選択肢なら
正しく答えられた人は多かったんじゃないでしょうか.
ダイバーシティはアマチュア無線ではほとんど使わない手法だと思
うので,この出題は適切か?というとちょっと疑問です.
等価地球半径係数Kについて問う問題.頻出問題なので暗記しまし
ょう.
(1) 大気の屈折率は高さにより変化し,上層に行くほど屈折率が
[小さ]くなる.そのため,電波の通路は[下方]に曲げられる.しか
し,電波の伝わり方を考えるとき,電波は[直進]するものとして取
り扱ったほうが便利である.
(2) このため,地球の半径を実際より大きくした仮想の地球を考え,
この半径と実際の地球の半径との[比]を等価地球半径係数といい,
これを通常Kで表わす.
(3) Kの値は[4/3]である.
CM形電力計の知識を問う問題.
CM形電力計は,送信機と[疑似負荷]又はアンテナとの間に挿入して
電力の測定を行うもので,容量結合と[誘導結合]を利用し,給電線
の電流および電圧に[比例]する成分の和と差から,進行波電力と
[反射波]電力を測定することができるため,負荷の消費電力のほか
に負荷の[整合状態]を知ることもできる.CM形電力計は,超短波
(VHF)帯における実用計器として,取り扱いが容易なことから広く
用いられている.
「超短波帯における実用計器として」というくだりが新しいところ
でしょうか.
計算問題が少ないかなあ,と計算問題マニアとしてはちょっと残念w.
暗記問題中心の構成で,今回も成績はよかったのではないかな,と
思います.
ごくごく素直な出題で1アマ問題らしくないなあ.
根拠となる条文はつぎのとおり.
この法律およびこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては,次
の定義に従うものとする.
一 「電波」とは,300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をい
う.
二 「無線電信」とは,電波を利用して,符号を送り,または受
けるための通信設備をいう.
三 「無線電話」とは,電波を利用して,音声その他の音響を送
り,または受けるための無線設備をいう.
四 「無線設備」とは,無線電信,無線電話その他電波を送り,
または受けるための電気的設備をいう.
五 「無線局」とは,無線設備および無線設備の操作を行う者の
総体をいう.ただし,受信のみを目的とするものを含まない.
六 「無線従事者」とは,無線設備の操作またはその監督を行う
ものであって,総務大臣の免許を受けたものをいう.
(法2条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線設備の設置場所は予備免許の指定事項ではなく,無線局免許の
申請に必要な事項です.
総務大臣は,前条の規定により審査した結果,その申請が同条第1
項各号または同条第2項各号に適合していると認めるときは,申請
者に対し,次に掲げる事項を指定して,無線局の予備免許を与える.
一 工事落成の期限
二 電波の形式および周波数
三 呼出符号(標識符号を含む.),呼出名称その他総務省令で
定める識別信号(以下「識別信号」という.)
四 空中線電力
五 運用許容時間
(法8条1項)
無線局の免許を受けようとする者は,申請書に,次に掲げる事項
を記載した書類を添えて,総務大臣に提出しなければならない.
[途中略]
四 無線設備の設置場所(移動する無線局のうち,...(省略;
アマチュア局は含まれない)...以外のものについては移動
範囲.第18条を除き,以下同じ.)
[以下略]
(法6条1項)
根拠となる条文はつぎのとおり.
ちゃんと追いかけるのはけっこう面倒くさいです.
免許人は,
通信の相手方,通信事項もしくは
無線設備の設置場所を変更し,または
無線設備の工事をしようとする
ときは,あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない.
2 第9条第1項ただし書,第2項および第3項の規定は,
前項の規定により無線設備の変更の工事をする場合に準用する.
(法17条)
前条の予備免許を受けた者は,工事設計を変更しようとするときは,
あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない.ただし,総務
省令で定める軽微な事項については,この限りでない.
2 前項ただし書の事項について工事設計を変更したときは,遅滞
なくその旨を総務大臣に届けなければならない.
3 第1項の変更は,周波数,電波の型式または空中線電力に変更を
きたすものであってはならず,かつ,第7条第1項第1号または第2項
第1号の技術基準(*)に合致するものでなければならない.
(*) 工事設計が第3章[第28条〜第38条]に定める技術基準に適合すること.
[以下略]
(法9条)
前条第1項の規定により無線設備の設置場所の変更または無線設備
の変更の工事の許可を受けた免許人は,総務大臣の検査を受け,当
該変更また工事の結果が,同条同項の許可の内容に適合していると
認められた後でなければ,許可に係る無線設備を運用してはならな
い.ただし,総務省令で定める場合は,この限りでない.
2 前項の検査は,同項の検査を受けようとする者が,当該検査を
受けようとする無線設備について第24条の2第1項または第24条の13
第1項の登録を受けたものが総務省令で定めるところにより行った
当該登録に係る点検の結果を記載した書類を総務大臣に提出した場
合においては,その一部を省略することができる.
(法18条)
無線設備等の点検の事業を行う者は,総務大臣の登録を受けること
ができる.
(法24条の2,1項)
総務大臣は、前条第1項の登録を受けた者(以下「登録点検事業者」
という。)について[以下略].
(法24条の3)
外国において無線設備等の点検の事業を行う者は、総務大臣の登録
を受けることができる。
2 ...[略]...の規定は前項の登録を受けた者(以下「登録外国点
検事業者」という。)について[以下略].
(法24条の13)
根拠となる条文はつぎのとおり.
免許人は,免許状に記載された事項に変更を生じたときは,その免
許状を総務大臣に提出し,訂正を受けなければならない.
(法21条)
免許人は,法第21条の訂正を受けようとするときは,総務大臣また
は総合通信局長に対し,事由および訂正すべき箇所を附して,その
旨を申請するものとする.
2 前項の申請があった場合において,総務大臣または総合通信局
長は,あらたな免許状の交付による訂正を行うことができる.
3 総務大臣または総合通信局長は,第1項の申請による場合の外,
職権により免許状の訂正を行うことがある.
4 免許人は,新たな免許状の交付を受けたときは,遅滞なく旧免
許状を返さなければならない.
(免許規則22条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
電波法に基づく命令の解釈に関しては,別に規定せられるもののほ
か,次の定義に従うものとする.
[途中略]
五十六 「割当周波数」とは,無線局に割り当てられた周波数帯
の中央の周波数をいう.
五十七 「特性周波数」とは,与えられた発射において容易に識
別し,かつ,測定することのできる周波数をいう.
五十八 「基準周波数」とは,割当周波数に対して固定し,かつ,
特定した位置にある周波数をいう.この場合において,この
周波数の割当周波数に対する偏位は,特性周波数が発射によ
って占有する周波数帯の中央の周波数に対してもつ偏位と同
一の絶対値および同一の符号をもつものとする.
[途中略]
六十一 「占有周波数帯幅」とは,その上限の周波数をこえて輻
射され,およびその下限の周波数未満において輻射される平
均電力がそれぞれ与えられた発射によって輻射される全平均
電力の0.5パーセントに等しい上限および下限の周波数帯幅
をいう.ただし,周波数分割多重方式の場合,テレビジョン
伝送の場合等,0.5パーセントの比率が占有周波数帯幅および
必要周波数帯幅の定義を実際に適用することが困難な場合に
おいては,異なる比率によることができる.
[以下略]
(施行規則2条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
電波の主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の性質及び
伝送情報の型式は、次の各号に掲げるように分類し、それぞれ当該
各号に掲げる記号をもつて表示する。ただし、主搬送波を変調する
信号の性質を表示する記号は、対応する算用数字をもつて表示する
ことがあるものとする。
一 主搬送波の変調の型式 記号
[途中略]
(2) 振幅変調
(一) 両側波帯 A
(二) 全搬送波による単側波帯 H
[途中略]
(3) 角度変調
[途中略]
(二) 位相変調 G
[途中略]
二 主搬送波を変調する信号の性質 記号
[途中略]
(2) デイジタル信号である単一チヤネルのもの
(一) 変調のための副搬送波を使用しないもの 一
[途中略]
(3) アナログ信号である単一チヤネルのもの 三
[途中略]
(4) デイジタル信号である二以上のチヤネルのもの 七
[途中略]
三 伝送情報の型式 記号
[途中略]
(2) 電信
(一) 聴覚受信を目的とするもの A
[途中略]
(4) データ伝送、遠隔測定又は遠隔指令 D
(5) 電話(音響の放送を含む。) E
[途中略]
2 この規則その他法に基づく省令、告示等において電波の型式は、
前項に規定する主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の
性質及び伝送情報の型式を同項に規定する記号をもつて、かつ、そ
の順序に従つて表記する。
[以下略]
(施行規則4条の2)
根拠となる条文はつぎのとおり.
高圧電気(高周波もしくは交流の電圧300ボルトまたは直流の電圧
750ボルトをこえる電気をいう.以下同じ.)を使用する電動発電
機,変圧器,ろ波器,整流器,その他の機器は,外部より容易に
ふれることができないように,絶縁しゃへい体または接地された
金属しゃへい体の内に収納しなければならない.ただし,取扱者
のほか出入りできないように設備した場所に装置する場合は,こ
の限りでない.
(施行規則22条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
周波数をその許容偏差内に維持するため,送信装置はできる限り電
源電圧または負荷の変化によって発振周波数に影響を与えないもの
でなければならない.
2 周波数をその許容偏差内に維持するため,発振回路の方式は,
できる限り外囲の温度もしくは湿度の変化によって影響を受けない
ものでなければならない.
[以下略]
(設備規則15条)
ほぼ毎回出題される目的外通信の禁止に関する問題.正確に暗記し
ましょう.
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線局は,免許状に記載された目的または通信の相手方もしくは通
信事項(...[略]...)の範囲を越えて運用してはならない.ただし,
次に掲げる通信については,この限りでない.
一 遭難通信(...[略]...)
二 緊急通信(...[略]...)
三 安全通信(...[略]...)
四 非常通信(地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その
他非常の事態が発生し,または発生するおそれがある場合に
おいて,有線通信を利用することが著しく困難であるときに
人命の救助,災害の救援,交通通信の確保または秩序の維持
のために行われる無線通信をいう.以下同じ.)
五 放送の受信
六 その他総務省令で定める通信
(法52条)
無線局を運用する場合においては,無線設備の設置場所,識別信号,
電波の形式および周波数は,免許状等に記載されたところによらな
ければならない.ただし,遭難通信については,この限りでない.
(法53条)
無線局を運用する場合においては,空中線電力は,次の各号の定め
るところによらなければならない.ただし,遭難通信については,
この限りでない.
一 免許状等に記載されたものの範囲内であること
二 通信を行うため必要最小のものであること
(法54条)
無線局は,免許状に記載された運用許容時間内でなければ,運用し
てはならない.ただし,第52条各号に掲げる通信を行う場合及び総
務省令で定める場合は,この限りでない.
(法55条)
次の各号のいずれかに該当するものは,1年以下の懲役または100万
円以下の罰金に処する.
[途中略]
四 第52条,第53条,第54条第1項または第55条の規定に違反し
て無線局を運用した者
[以下略]
(法110条4号)
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線局は,他の無線局または電波天文業務(宇宙から発する電波の
受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう。)
の用に供する受信設備その他の総務省令で定める受信設備(無線局
のものを除く。)で総務大臣が指定するものにその運用を阻害する
ような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない.
ただし,第52条第1号から第4号までに掲げる通信(*)については,こ
の限りでない.
(*) 遭難通信,緊急通信,安全通信,非常通信
(法56条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線局は,無線機器の試験または調整のため電波の発射を必要とす
るときは,発射する前に自局の発射しようとする電波の周波数およ
びその他必要と認める周波数によって聴守し,他の無線局の通信に
影響を与えないことを確かめた後,次の符号を順次送信し,さらに
1分間聴守を行い,他の無線局から停止の要求がない場合に限り,
「VVV」の連続および自局の呼出符号1回を送信しなければなら
ない.この場合において,「VVV」の連続および自局の呼出符号
の送信は10秒間を超えてはならない.
一 EX 3回
二 DE 1回
三 自局の呼出符号 1回
2 前項の試験または調整中は,しばしばその電波の周波数により
聴守を行い,他の無線局から停止の要求がないかどうかを確かめな
ければならない.
3 第1項後段の規定にかかわらず,海上移動業務以外の業務の無
線局にあっては,必要があるときは,10秒間を超えて「VVV」の
連続および自局の呼出符号の送信をすることができる.
(運用規則39条)
略符号の意味は以下のとおり.
略符号 意義
EX 機器調整または実験のため調整符号を発射するときに
使用する.
DE 〜から
VVV 調整符号
(運用規則別表2号の2,抜粋)
根拠となる条文はつぎのとおり.
ひとつ前の条文から読まないと,意味が完結しません.
通信中において,混信の防止その他の必要により使用電波の形式ま
たは周波数の変更を要求しようとするときは,次の事項を順次送信
して行うものとする.ただし,用いようとする電波の周波数があら
かじめ定められているときは,第2号に掲げる事項の送信を省略す
ることができる.
一 QSUまたはQSWもしくはQSY
二 変更によって使用しようとする周波数(または形式および周
波数)
三 ?(「QSW」を送信したときに限る.)
(運用規則34条)
前条に規定する要求を受けた無線局は,これに応じようとするとき
は「R」を送信し(通信状態等により必要と認めるときは,「QS
W」および前条第2号の事項を続いて送信する.)ただちに周波数
(または形式および周波数)を変更しなければならない.
(運用規則35条)
Q符号ならびに略符号の意味は以下のとおり.
Q符号 意義
QSU その周波数(または〜kHz(もしくはMHz))で(種別
〜の発射で)送信または応答して下さい.
QSW? そちらはこの周波数(または〜kHz(もしくはMHz))
で(種別〜の発射で)送信してくれませんか?
QSY 他の周波数(または〜kHz(もしくはMHz))に変更し
て伝送してください.
QSW こちらはこの周波数(または〜kHz(もしくはMHz))
で(種別〜の発射で)送信しましょう.
(運用規則別表2号の1,抜粋)
略符号 意義
R 受信しました.
(運用規則別表2号の2,抜粋)
根拠となる条文はつぎのとおり.
この条文も頻繁に出題されるので,丸暗記しておかないといけませ
ん.
総務大臣は,無線局の発射する電波の質が第28条の総務省令で定め
るものに適合していないと認めるときは,当該無線局に対して臨時
に電波の発射の停止を求めることができる.
2 総務大臣は,前項の命令を受けた無線局からその発射する電波
の質が第28条の総務省令の定めるものに適合するに至ったとの申出
を受けたときは,その無線局に電波を試験的に発射させなければな
らない.
3 総務大臣は,前項の規定により発射する電波の質が第28条の総
務省令で定めるものに適合していると認めるときは,ただちに第1
項の停止を解除しなければならない.
(法72条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
総務大臣は,免許人等がこの法律,放送法もしくはこれらの法律に
基づく命令またはこれらに基づく処分に違反したときは,3箇月以
内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ,...[略]...,または
期間を定めて運用許容時間,周波数もしくは空中線電力を制限する
ことができる.
(法76条1項)
根拠となる条文はつぎのとおり.
総務大臣は,無線従事者が左の各号の一に該当するときは,その免
許を取消し,または3箇月以内の期間を定めてその業務に従事する
ことを停止することができる.
一 この法律もしくはこの法律に基づく命令またはこれらに基づ
く処分に違反したとき.
二 不正な手段により免許を受けたとき.
三 第42号第3号(*)に該当するに至ったとき.
(*) 著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない者.
(法79条1項)
いわゆる「80条報告」で有名な電波法80条ですね.でもいやらしい
選択肢だなあ.
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線局の免許人等は,次に掲げる場合は,総務省令で定める手続に
より,総務大臣に報告しなければならない.
一 遭難通信,緊急通信,安全通信または非常通信を行ったとき.
二 この法律またはこの法律に基づく命令の規定に違反して運用
した無線局を認めたとき.
三 無線局が外国において,あらかじめ総務大臣が告示した以外
の運用の制限をされたとき.
(法80条)
総務大臣は,無線通信の秩序の維持その他無線局の適正な運用を確
保するため必要があると認めるときは,免許人等に対し,無線局に
関し報告を求めることができる.
(法81条)
国際法規の設問に入りました.
根拠となる条文はつぎのとおり.
これも毎回出ますので,第3地域の周波数割当てについて正しく暗
記しましょう.日本で許可されている周波数帯とかならずしも合い
ませんから注意.
1800kHz - 2000kHz
3500kHz - 3900kHz
7000kHz - 7100kHz
10100kHz - 10150kHz
14000kHz - 14350kHz
18068kHz - 18168kHz
21000kHz - 21450kHz
24890kHz - 24990kHz
28MHz - 29.7MHz
50MHz - 54MHz
44MHz - 146MHz
430MHz - 440MHz
1260MHz - 1300MHz
(S5,第3地域のみ抜粋)
根拠となる条文はつぎのとおり.
あの有名な電波法59条「何人も法律に別段の定めがある場合を除く
ほか,特定の相手方に対して行われる無線通信(...[略]...)を傍
受してその存在もしくは内容を漏らし,またはこれを窃用してはな
らない.」は,この条文に従う形で設けられているのです.
構成国は,国際通信の秘密を確保するため,使用される電気通信のシ
ステムに適合するすべての可能な措置をとることを約束する.
(憲章184[37条1])
主管庁は,憲章および条約の関連規定を適用するにあたり,次の事
項を禁止し,および防止するために必要な措置をとることを約束す
る.
(1) 公衆の一般的利用を目的としていない無線通信を許可なく傍
受すること.
(2) (1) にいう無線通信の傍受によって得られたすべての種類の
情報について,許可なく,その存在もしくは単にその存在を
漏らし,またはそれを公表もしくは利用すること.
(S17.1,S17.2,S17.3)
根拠となる条文はつぎのとおり.
いつもは「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」のほう
から出題されるのですが,今回は「国際電気通信連合憲章(附属書)」
からの出題で,若干日本語の翻訳文が異なっています.かく乱され
た受験者も多かったのではないでしょうか.
有害な混信
無線航行業務その他の安全業務の運用を妨害し、又は無線通信規則
に従って行う無線通信業務の運用に重大な悪影響を与え、若しくは
これを反覆的に中断し若しくは妨害する混信
(憲章1003[附属書])
いつも出題されるほうの条文はこちら.なんとも微妙な違い.
有害な混信
無線航行業務その他の安全業務の機能を害し,またはこの規則に
従って行われる無線通信業務の運用を著しく低下させ,妨害し,も
しくは反復的に中断する混信
(S1.169)
「国際電気通信連合憲章」はインターネットで条文を読むことがで
きるのですが,「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」
のほうはまだ見つけることができません.冊子を買うととっても高
いので,万人が従うべき規則の条文なのだから,無料で参照できる
対策を国がとるべきだと思うのですけどね.せめてITU(国際電気
通信連合)から英語でよいので公開すべきだと思うのですが,有料
公開なのです.受益者負担ということなのでしょうけど,「万人が
従うべきもの」なんだからねえ…ぶつぶつ…
根拠となる条文はつぎのとおり.
憲章,条約または無線通信規則の違反は,これを認めた局から各自
の主管庁に報告する.
(S15.19)
根拠となる条文はつぎのとおり.
いっぱいあるなあ(笑).
免許人は,その無線局を廃止するときは,その旨を総務大臣に届け
出なければならない.
(法22条)
免許人が無線局を廃止したときは,免許は,その効力を失う.
(法23条)
免許がその効力を失ったときは,免許人であった者は1箇月以内に
その免許状を返納しなければならない.
(法24条)
無線局の免許等がその効力を失ったときは,免許人等であった者は,
遅滞なく空中線を撤去しなければならない.
(法78条)
次の各号のいずれかに該当する者は,30万円以下の過料に処する.
[途中略]
二 第22条(*)([略])の規定に違反して届出をしない者
(*) 免許人は,その無線局を廃止するときは,その旨を総務
大臣に届け出なければならない.
三 第24条(*)([略])の規定に違反して、免許状を返納しない
者
(*) 免許がその効力を失ったときは,免許人であった者は1
箇月以内にその免許状を返納しなければならない.
[以下略]
(法116条)
次の各号のいずれかに該当するものは,30万円以下の罰金に処する.
[途中略]
十八 第78条(*)の規定に違反した者.
(*) 無線局の免許等がその効力を失ったときは,遅滞なく
空中線を撤去しなければならない.
[以下略]
(法113条)
いちばん数字の暗記が面倒なところのひとつでしょうか.あとはス
プリアス発射あたりの数字ですが,法律改正後は出題がありません.
あんまり複雑で覚えきれないと見ているのかな(笑).
根拠となる条文はつぎのとおり.
総務省令で定める送信設備には,その誤差が使用周波数の許容偏差
の2分の1以下である周波数測定装置を備え付けなければならない.
(法31条)
法第31条の総務省令で定める送信設備は,次の各号に掲げる送信設
備以外のものとする.
一 26.175MHz を超える周波数の電波を使用するもの.
二 空中線電力10ワット以下のもの.
三 法第31条に規定する周波数測定装置を備え付けている相手方
の無線局によってその使用電波の周波数が測定されることと
なっているもの.
四 当該送信設備の無線局の免許人が別に備え付けた法第31条に
規定する周波数測定装置をもってその使用電波の周波数を随
時測定し得るもの.
[途中略]
七 アマチュア局の送信設備であって,当該設備から発射される
電波の特性周波数を0.025パーセント以内の誤差で測定する
ことにより,その電波の占有する周波数帯幅が,当該無線局
が動作することを許される周波数帯内にあることを確認する
ことができる装置を備え付けているもの.
[以下略]
(施行規則11条の3)
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線電信による通信(以下「無線電信通信」という。)の業務用語
には、別表第2号に定める略語又は符号(以下「略符号」という。)
を使用するものとする。ただし、デジタル選択呼出装置による通信
(以下「デジタル選択呼出通信」という。)及び狭帯域直接印刷電
信による通信(以下「狭帯域直接印刷電信通信」という。)につい
ては、この限りでない。
(運用規則13条1項)
運用規則別表2号より抜粋:
1 Q符号
Q符号 意義
QRH? こちらの周波数は変化しますか?
QRN? そちらは,空電に妨げられていますか?
QRP? こちらは,送信機の電力を減少しましょうか?
QRZ? 誰がこちらを呼んでいますか?
QSB? こちらの信号には,フェージングがありますか?
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線従事者は,免許の取消しの処分を受けたときは,その処分を受
けた日から10日以内にその免許証を総務大臣または総合通信局長に
返納しなければならない.''免許証の再交付を受けた後失った免許証
を発見したとき''も同様とする.
2 無線従事者が死亡し,または失そうの宣告を受けたときは,戸
籍法([略])による死亡または失そう宣告の届け出義務者は,遅滞な
く,その免許証を総務大臣または総合通信局長に返納しなければな
らない.
(従事者規則51条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
数年前に変わった部分ですので,なるべく最新の教科書・参考書で
チェックしましょう.アマチュア業務に関する規定ですから,プロの
試験では出題されない部分ですので,工学に自信のあるプロ資格持
ちの受験者ほど要注意です.
異なる国のアマチュア局相互間の伝送は,地上コマンド局とアマチ
ュア衛星業務の宇宙局との間で交わされる制御信号は除き,意味を
隠すために暗号化されたものであってはならない.
(S25.2A)
アマチュア局は,緊急時および災害救助時に限って,第三者のため
に国際通信の伝送を行うことができる.主管庁は,その管轄下にあ
るアマチュア局への本条項の適用について決定することができる.
(S25.3)
アマチュア局の最大電力は,関係主管庁が定める.
(S25.7)
憲章,条約および無線通信規則のすべての一般規定は,アマチュア
局に適用する.
(S25.8)
今回の試験から(1アマ2アマとも)大きく変わったことは,法律
のどの条文からの出題かを明記するようになったことです.たとえ
ば今回のA-1は19年8月期のA-1とほぼ同一出題ですが,今回は問題
文に「電波法(第2条)の規定に照らし」と明記されています.あ
いまいさが排除される方向に変更されたということでしょうか.
今後はどの条文が何回出題されたかという分析が容易になり,出題
者側が(その資格を有するものが知っておくべき条文として)どこ
をポイントだと思っているかが明確になる,という意味で勉強の的
を絞っていくのに有益な情報となるでしょう.
磁力線の性質を問う問題,って,まさか「S極から入ってN極」な
んて問題出さないでくださいな(笑).他はみんな正しいので覚え
ましょう. 4番が正解(つまり誤り).
問題を簡単に見るため,まずコンデンサCと10[μF]のコンデンサと
の並列接続による合成静電容量を x [μF]としましょう.するとこ
の問題は,「10[μF]と x [μF]のコンデンサを直列につないだと
き,合成静電容量が6[μF]になった.xを求めよ.」という問題に
なります.公式に当てはめて,1/(1/10+1/x)=6,すなわち
1/10+1/x=1/6 となる x を求めることになります.
(x+10)/10x=1/6 だから 6(x+10)=10x,4x=60,x=15 ですね.
ところで x は「コンデンサCと10[μF]のコンデンサとの並列接続
による静電容量」だったのですから,Cの静電容量は15-7=8[μF]
となります. 3番が正解.
交流回路の問題ですね.落ち着いて順序良く解きましょう.まずは
回路のインピーダンスを求めます.530[μF]のコンデンサのリアク
タンスはXc=1/(2πfc)=1/(2x3.14x50x530x10^(-6))=10^6/(3.14x100x530)
=1000000/166420≒6[Ω]です.リアクタンスと抵抗の合成インピー
ダンスは,直接足してはだめで,2乗してから足して平方根をとらな
いといけません.すなわち Z = √(6^2+8^2)=√(36+64)=√100=10[Ω]
となります.これで,回路に流れる電流がオームの法則 V=IZから
計算できます.I=V/Z=50/10=5[A]です.コンデンサにも抵抗にも
5[A]の電流が流れますから,V_C=IXc=5x6=30[V],V_R=IR=5x8=40[V]
となって3番が正解となります.V_C+V_R=30+40=70になっちゃうじ
ゃないか!とびっくりしますが,交流ですから同時にV_C=30かつV_R=40
にはならない,ということなのですね.Excelを使ってグラフを書い
てみました.電圧の最大値は問題に出てくる値の√2倍になっている
ことに注意しましょう.(実効値と最大値の関係)
チップ抵抗の抵抗値を読む問題は初めてですね.3ケタの場合は,
最初の2ケタが仮数,最後の1ケタが指数です.すなわち
20x10^5=2x10^6=2[MΩ]となります.3番が正解.昔のカラーコード
なら赤黒緑金,ですか.金はないけど(笑).
ところで,この問題の図って,Wikipediaにある画像にそっくり!
数値まで一緒って何なんでしょう…
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%B5%E6%8A%97%E5%99%A8
(チップ抵抗の数値の読み方も載ってます.)
サーミスタとバリスタについて問う問題.
(1) サーミスタは,[温度]によって抵抗値が大きく変わる特性を利
用している.
(2) バリスタは,[電圧]によって[抵抗値]が大きく変わる特性を利
用している.
バリスタは避雷器に使われる,と覚えると覚えやすいかも.高い電圧
がかかった時だけ抵抗値が下がって雷の電気を逃がすことができます.
2番が誤りです.NPN型トランジスタは「ちょっと(ベースから)
電流を入れると(コレクタから)わっと電流を吸い込む」素子であ
り,PNP型トランジスタは逆に「ちょっと(ベースから)電流を吸
い出すと(コレクタから)わっと電流がわき出る」素子であると覚
えるといいです.「吸い出す」ためにはエミッタからベースに電流
が流れるようにする,すなわちエミッタよりベースの電位は低くし
なければなりません.
NOR回路の真理値表を求める問題です.NORとはNOT ORのことですか
ら,まずOR回路の真理値表を作るといいです.どちらかが1なら1
ですから,
入力A | 入力B | 出力 |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 1 |
となります.この出力の NOT をとったものが NOR回路ということで
すから,結局
入力A | 入力B | 出力 |
0 | 0 | 1 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 0 |
となります.2番が正解.
ちなみに1番はNAND回路,3番はAND回路,4番はOR回路の真理値表
です.
Nチャネル接合型FET増幅回路の問題.ゲート-ソース間の電圧の掛け方が
トランジスタと逆ですが,同じように考えられるというわけです.
(1) 回路は,[ソース]接地増幅回路であり,バイポーラトランジスタの
[エミッタ]接地増幅回路に相当する.
(2) 電圧増幅度は,1より大きくすることができ,入力電圧と出力電圧
の位相関係は[逆]位相となる.
2番が誤り(つまり正解).「低電力変調は,高い電力効率を得る
ことができ」ではなく,変調段以降でひずみの少ない増幅方式をと
らねばなりませんから,無信号時でもそれなりのバイアス電流を流
しておかなければなりません.つまり電力効率は低くなります.ま
た「調整は容易」ではなく,「変調特性」はひずみがでやすくなる
とされています.
むかしの真空管式の無線機では,これを覚えてないと電波が出せま
せんでしたが,いまもうこんな儀式が必要な無線機ってないよねき
っと.
(1) 初めに,可変コンデンサVC2の静電容量を[最大]にする.次に
可変コンデンサVC1を調整して,終段電力増幅器のコレクタ電流を
示す直流電流計M1の指示値が[最小]となるようにする.
(2) 次に,VC2の静電容量をわずかに[減少]させると,アンテナ電
流を示す高周波電流計M2の指示値が増加し,M1の指示値も変化する
ので,VC1を調整し直してM1の指示値が[最小]となるようにする.
(3) (2)の作業を繰返しながら,M2の指示値が所要の値となるよう
に調整する.
正解は1番.
「高域フィルタ」「低域フィルタ」はそれぞれ「高域通過フィルタ」
「低域通過フィルタ」と読み換えましょう.(英語では High-pass
Filter,Low-pass Filter となってわかりやすい.)そうすればお
かしいのは4番だとわかります.「送信機と受信機の間に,高調
波が放射されないよう高域を通すフィルタを挿入する」って,
そりゃ変だよねって.
影像(イメージ)周波数妨害がスーパヘテロダイン方式に特有の現
象であることを知っていれば,1番と2番はすぐ除外できます.あ
とは問題文に沿って考えれば,また,選択度,忠実度,安定度とい
う用語も,一般的な常識に照らして想像すれば,無理なく当てはめ
ることができますね.正解は5番.
(1) 中間周波増幅器は周波数混合器で作られた中間周波数の信号を
増幅するとともに,[近接周波数]妨害を除去する働きをする.
(2) 中間周波増幅器の通過帯域幅が受信電波の占有周波数帯幅と比
べて極端に広い場合には,必要としない周波数帯幅まで増幅される
ので[選択度]が悪くなる.また,通過帯域幅が極短に狭い場合には,
必要とする周波数帯幅の一部が増幅されないので[忠実度]が悪くなる.
普通の短波ラジオでA1A電波を聞くと,カッカッという音しか聞こ
えません.クリック音というやつです.BFO は beat frequency
oscilator の略語.うなり発振器と訳されます.昔はよくBFOの自
作記事が雑誌に載ってました.トーン発振器は低周波(音声帯域)
の発振器を指す一般用語.マークとスペースはRTTYあたりでも出て
くる用語ですね.正解は2番.
AM(A3E)受信機で電信(A1A)電波を受信すると,[クリック]音しか得
られない.このため,AM(A3E)受信機に[BFO]を付加し,その出力を
中間周波数信号と共に検波器に加えて検波すれば,電信の[マーク]
受信時に可聴音が得られる.
アンテナの問題に入りました.正確な暗記が勝負です.誤っている
のは3番.半波長ダイポールアンテナの放射抵抗は約73Ωです.他
は全部正しいので,きちんと覚えておきましょう.けっこういろい
ろ出ますよ.
3番か5番かで迷う問題ですね.グランドプレーンアンテナ(a;ブ
ラウンアンテナともいう)の給電点インピーダンスは約21Ω.スリ
ーブアンテナ(b)の給電点インピーダンスは,半波長ダイポールア
ンテナと同じ(約73Ω)になります. やはり正確な暗記がものをい
います.
(1) スリーブアンテナは,[b]である.
(2) アンテナaとbの水平面内指向性は[全方向性(無指向性)]である.
(3) アンテナaとbの給電点のインピーダンスは,[異なる].
MUF(最高使用周波数;これより高い周波数は電離層を突き抜ける),
LUF(最低使用周波数;これより低い周波数はD層E層での第一種
減衰(吸収される)が強くて使えない),FOT(最適使用周波数,
MUFの85%の値)と,正しく覚えていれば,12時のMUFが20MHzと読め
ますからその85%で17MHzと計算できます.正解は4番.
ついでですから略語のもとの綴りも載せておきましょう.
MUF…Maximum Usable Frequency, LUF…Lowest Usable Frequency,
FOT…Frequency of Optimum Traffic.
D層は通信に用いる電波の反射には寄与しないので,1番2番はす
ぐ除外できます.あとはフェージングの用語の暗記の問題.3番が
正解です.
(1) 短波(HF)帯の通信では,主に[F]層反射を利用するが,電離層
の高さや電子密度および使用周波数の関係により,電波が電離層を
突き抜けたり,反射したりするために,受信点において電波が入感
したり消滅したりするフェージングが生じる.このようなフェージ
ングを[跳躍性]フェージングという,このフェージングは,使用周
波数がMUFぎりぎりの付近で発生しやすい.
(2) 送信点から発射された電波が二つ以上の異なった経路を通って
受信点に達するとき,各到来波の位相がそれぞれ別々に変動し,そ
の合成の電界強度が変動するために生ずるフェージングを[干渉性]
フェージングという.
300[μA]=0.3[mA]ですから,10倍の分流器を作りたいということで
すね.分流器は電流計に並列につなぐ抵抗です.つまり電流計に
0.3[mA]流したとき,分流器に3-0.3=2.7[mA],すなわち0.3[mA]の
9倍の電流が流れてほしいということです.オームの法則 V=IRよ
り,電圧が同じなら,9倍電流を流したければ抵抗値は1/9倍にす
ればよろしい.というわけで720/9=80.正解は5番です.
18年4月期に1アマで出題されて話題になった接地抵抗の問題です.
今度は数式を答えさせていますね.この問題は,そもそもどういう
回路を測定しているのかがわからないとちんぷんかんぷんです.
このように考えます.端子(1)(2)(3)にはそれぞれ接地抵抗R1,R2,R3
の一端がつながっています.もう一方の端は地面につながっている
と考えます.地面は導体だとみなしていますので,R1,R2,R3の地面
につながっているほうは短絡している(互いにつながっている)と
考えます.
端子(1) --- R1 --- 地面
端子(2) --- R2 --- 地面 (互いにつながっている)
端子(3) --- R3 --- 地面
R1, R2, R3を測るには,抵抗計をもってきて,一方の端を端子(1),
(2),(3)に,もう一方を地面につなぐ…え?どうやって?はい,そ
こがみそです.実際の測定では「地面につなぐ」ということがとて
も難しい,というかできないわけです.そこで頭のいい人が考えた
のがこの問題のやり方で,つまり端子(1)と端子(2)の間の抵抗R12
を測るとR1+R2の抵抗値を測っていることになる,(2)と(3)なら
R23=R2+R3を,(1)と(3)ならR13=R1+R3を測っている,という具合で
す.求めたい未知数がR1,R2,R3の3つで,式も3つ揃いましたから,
連立方程式を解けば,R1,R2,R3が求められるよ,というわけです.
考えた人は頭いいなあ(笑).というわけで,
R12=R1+R2
R23=R2+R3
R13=R1+R3
をR1について解けばよいわけです.R12+R13=(R1+R2)+(R1+R3)
=2R1+(R2+R3)=2R1+R23 となりますから,R1=(R12+R13-R23)/2 と解
くことができます.正解は1番.解くべき回路がわかりさえすれば
簡単にできますね.
定電圧回路の問題ですね.Dzはツェナーダイオードで,みかけの抵
抗として働き,常に両端の電圧を一定に保とうとします.負荷に流
れる電流が増えると,Rに流れる電流が増える,したがってRの両端
の電圧が上がります.RとDzでCの両端の電圧を分圧していますので,
Rの電圧が上がればDzの電圧は下がってしまいます.そこでDzはみか
けの抵抗値をあげて,自分に流れる電流を減らします.逆に負荷に
流れる電流が小さければ,Dzは自分のみかけの抵抗値を下げて,自
分に流れる電流を増やします.このようにしてDzは,負荷に流れる
電流の量が変動しても,負荷に掛かる電圧を一定に保つように働き
ます.というわけで誤りは4番(つまり正解)ということになります.
コンデンサの知識を問う問題.基本通りですので落ち着いて答えま
しょう.コンデンサ…進む,コイル…遅れる,という覚え方をして
いる人が多いと思いますが,「電圧の位相に対して電流の位相が…」
だというのは頭に入れておいたほうがいいです.でも確かにいまま
でこれを逆に質問した問題は見たことがありませんけれど…
(1) 平行平板コンデンサは,向かいあった二つの金属板の間に[電荷]
を蓄えることができ,静電容量は,金属板の間隔に[反比例]する.
(2) コンデンサは静電容量が[大きい]ほど交流電流をよく通し,コ
ンデンサを流れる電流の大きさは静電容量が一定のとき[周波数]に
比例し,位相は電圧より90度[進む].
各種ダイオードの知識を問う問題.バラクタダイオードは可変容量
ダイオードともいいます.電子チューナはこの素子がバリコンの代
わりをすることによって成り立っています.(1)のホトダイオードの
使い方は,俗に電流モードといわれる使用法で,反応速度が速いそ
うです.バイアス電圧をかけないと,光を当てた時にダイオードの
両端に逆方向の電圧が発生します.これは電圧モードとよばれます.
ノイズが小さい特徴があるが,特性的に使いにくいようです.
太陽電池はまさに大きなフォトダイオードを多数並べたものです.
発光ダイオードはLEDと呼ばれます.すっかりおなじみですね.
(1) 逆方向のバイアス電圧を加えたPN接合部に光を当てると,光の
強さに[比例]した電流が生ずる特性を持つのは,[ホトダイオード]
である.
(2) 電気信号を光信号に変換する特性を持つダイオードは[発光ダ
イオード]である.
(3) PN接合に[逆方向]の電圧を加えたときに,加える電圧により静
電容量が変化するという特性をもつのは[バラクタダイオード]である.
VSWRの知識を問う問題.Voltage Standing Wave Ratio の略語,と
いうのは試験に出ません(笑).VSWRの定義から,エとオの選択肢
であれ?と迷うところですが,VSWRはかならず1以上の数値となり
ますので,まずオが1と決まりますから,それに合うようにエを考
えればよいです.
VSWRとは[電圧定在波比]のことであり,給電線上に[定在波]が生ず
る場合,電圧の最大のところと最小のところができる.VSWRは,こ
のときの最大電圧と最小電圧の[比]で表される.給電線にその特性
インピーダンスと[等しい]負荷を接続すると,給電線のVSWRの値が
[1]となる.
電流力計形計器の知識を問う問題.
アは誤り.コイルを使うので高周波電流の測定に向かない(インピ
ーダンスが高くなるから).
イは誤り.直流でも計測できる.
ウは正しい.
エは正しい.
オは正しい.ちょっと手の込んだ作り.
鉛蓄電池の知識を問う問題.バッテリーの電解液でビニル製のジャ
ンバーを溶かしたことがあるので,絶対忘れません,希硫酸(笑).
kWhはおうちの消費電力を表すのによく使われる単位です.
(1) 鉛蓄電池は陽極に二酸化鉛,陰極に鉛を用い,電解液には[希
硫酸]を用いている.
(2) 蓄電池に電気エネルギーを蓄積することを[充電]といい,蓄電
池から電気エネルギーを取り出すことを[放電]という.
(3) 蓄電池から取り出しうる電気量を,蓄電池の[容量]といい,一
般にその単位を[Ah]で表す.
すでに合格率が発表されていますが,あまりぱっとしないですねえ.
A-2,A-3,A-19あたりが難しかったでしょうか.でも過去問を丁寧に
さらうことで充分対処可能だったと思います.
根拠となる条文はつぎのとおり.いやあ,なかなかいやらしい問題
ですねえ.どれも大丈夫そう(笑).でも2番だけが正しいです.
この法律は,電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって,
公共の福祉を増進することを目的とする.
(法1条)
この法律およびこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては,次
の定義に従うものとする.
一 「電波」とは,300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をい
う.
二 「無線電信」とは,電波を利用して,符号を送り,または受
けるための通信設備をいう.
三 「無線電話」とは,電波を利用して,音声その他の音響を送
り,または受けるための無線設備をいう.
四 「無線設備」とは,無線電信,無線電話その他電波を送り,
または受けるための電気的設備をいう.
五 「無線局」とは,無線設備および無線設備の操作を行う者の
総体をいう.ただし,受信のみを目的とするものを含まない.
六 「無線従事者」とは,無線設備の操作またはその監督を行う
ものであって,総務大臣の免許を受けたものをいう.
(法2条)
根拠となる条文はつぎのとおり.罰則の暗記はけっこうやっかいで
すよね.整理して覚える必要があります.
無線局を開設しようとする者は,総務大臣の免許を受けなければならない.
ただし次の各号に掲げる無線局については,この限りでない.
[以下略]
(法4条)
次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役または100万円
以下の罰金に処する.
一 第4条の規定による免許がないのに,無線局を開設し,また
は運用した者.
(法110条1号)
根拠となる条文はつぎのとおり.ここにない選択肢が正解というこ
とになります.4番ですね.下で[申請]とあるのは,無線局の免許
を受けようとするときにこちらが記載する事項(法6条)のこと,
[指定]とあるのは,予備免許の段階で総務大臣から指定される事項
(法8条)のことです.どちらもこちらで書き加えたもので,本来の
条文にはありません.
総務大臣は,免許を与えたときは,免許状を交付する.
2 免許状には,次に掲げる事項を記載しなければならない.
一 免許の年月日および免許の番号
二 免許人(無線局の免許を受けた者をいう.以下同じ.)の氏
名又は名称および住所
三 無線局の種別
四 無線局の目的 [申請]
五 通信の相手方および通信事項 [申請]
六 無線局の設置場所 [申請]
七 免許の有効期間
八 識別信号 [指定]
九 電波の形式および周波数 [申請][指定]
十 空中線電力 [申請][指定]
十一 運用許容時間 [申請][指定]
(法14条)
根拠となる条文はつぎのとおり.最近は変更検査を登録点検事業者
に頼むアマチュア局もけっこういらっしゃるようですね.
前条第1項の規定により無線設備の設置場所の変更または無線設備
の変更の工事の許可を受けた免許人は,総務大臣の検査を受け,当
該変更また工事の結果が,同条同項の許可の内容に適合していると
認められた後でなければ,許可に係る無線設備を運用してはならな
い.ただし,総務省令で定める場合は,この限りでない.
2 前項の検査は,同項の検査を受けようとする者が,当該検査を
受けようとする無線設備について第24条の2第1項または第24の13第
1項の登録を受けた者(*)が総務省令で定めるところにより行った当
該登録に係る点検の結果を記載した書類を総務大臣に提出した場合
においては,その一部を省略することができる.
(*) 「登録点検事業者」または「登録外国点検事業者」のことを
いう.
(法18条)
参考までに「前条第1項」も載せておきます.
免許人は,
通信の相手方,通信事項もしくは
無線設備の設置場所を変更し,または
無線設備の工事をしようとする
ときは,あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない.
[以下略]
(法17条1項)
根拠となる条文はつぎのとおり.
送信設備に使用する電波の周波数の偏差および幅,高調波の強度等
電波の質は,総務省令で定めるところに適合するものでなければな
らない.
(法28条)
受信設備は,その副次的に発する電波または高周波電流が,総務省
令で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるもので
あってはならない.
(法29条)
電波の形式に関する問題はここのところ毎回の出題ですね.これま
ではだいたいポイントはあって,丸暗記しなくてもここさえ押さえ
ておけば,というのがあります.「ファクシミリ」が出てきたらま
ず誤りというのはセオリーです(笑).これまでは「F」で「ファ
クシミリ」というパターンが多かった.今回は「E」になっていま
すね.ちなみに「F」はテレビジョン.ファクシミリは「C」です.
根拠となる条文はつぎのとおり.
電波の主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の性質及び
伝送情報の型式は、次の各号に掲げるように分類し、それぞれ当該
各号に掲げる記号をもつて表示する。ただし、主搬送波を変調する
信号の性質を表示する記号は、対応する算用数字をもつて表示する
ことがあるものとする。
一 主搬送波の変調の型式 記号
(1) 無変調 N
(2) 振幅変調
(一) 両側波帯 A
(二) 全搬送波による単側波帯 H
(三) 低減搬送波による単側波帯 R
(四) 抑圧搬送波による単側波帯 J
(五) 独立側波帯 B
(六) 残留側波帯 C
(3) 角度変調
(一) 周波数変調 F
(二) 位相変調 G
(4) 同時に、又は一定の順序で振幅変調及び角度変調を行
うもの D
(5) パルス変調
(一) 無変調パルス列 P
(二) 変調パルス列
ア 振幅変調 K
イ 幅変調又は時間変調 L
ウ 位置変調又は位相変調 M
エ パルスの期間中に搬送波を角度変調するもの Q
オ アからエまでの各変調の組合せ又は他の方法によつて
変調するもの V
(6) (1)から(5)までに該当しないものであつて、同
時に、又は一定の順序で振幅変調、角度変調又はパル
ス変調のうちの二以上を組み合わせて行うもの W
(7) その他のもの X
二 主搬送波を変調する信号の性質 記号
(1) 変調信号のないもの 〇
(2) デイジタル信号である単一チヤネルのもの
(一) 変調のための副搬送波を使用しないもの 一
(二) 変調のための副搬送波を使用するもの 二
(3) アナログ信号である単一チヤネルのもの 三
(4) デイジタル信号である二以上のチヤネルのもの 七
(5) アナログ信号である二以上のチヤネルのもの 八
(6) デイジタル信号の一又は二以上のチヤネルとアナログ
信号の一又は二以上のチヤネルを複合したもの 九
(7) その他のもの X
三 伝送情報の型式 記号
(1) 無情報 N
(2) 電信
(一) 聴覚受信を目的とするもの A
(二) 自動受信を目的とするもの B
(3) フアクシミリ C
(4) データ伝送、遠隔測定又は遠隔指令 D
(5) 電話(音響の放送を含む。) E
(6) テレビジヨン(映像に限る。) F
(7) (1)から(6)までの型式の組合せのもの W
(8) その他のもの X
2 この規則その他法に基づく省令、告示等において電波の型式は、
前項に規定する主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の
性質及び伝送情報の型式を同項に規定する記号をもつて、かつ、そ
の順序に従つて表記する。
3 この規則その他法に基づく省令、告示等においては、電波は、
電波の型式、「電波」の文字、周波数の順序に従つて表示すること
を例とする。
(施行規則4条の2)
根拠となる条文はつぎのとおり.これもよく出るところ.
無線設備には,当該無線設備から発射される電波の強度(電界強度,
磁界強度および電力束密度をいう.以下同じ.)が別表第2号の3の
2に定める値を越える場所(人が通常,集合し,通行し,その他出
入りする場所に限る.)に取扱者のほか容易に出入りすることがで
きないように,施設をしなければならない.ただし,次の各号に掲
げる無線局の無線設備については,この限りでない.
一 平均電力が20ミリワット以下の無線局の無線設備.
二 移動する無線局の無線設備.
三 地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その他非常の事
態が発生し,または発生するおそれがある場合において,臨
時に開設する無線局の無線設備.
四 前三号に掲げるもののほか,この規定を適用することが不合
理であるものとして総務大臣が別に告示する無線局の無線設
備.
2 前項の電波の強度の算出方法及び測定方法については、総務大
臣が別に告示する。
(施行規則21条の3)
根拠となる条文はつぎのとおり.定番の暗記問題.
周波数をその許容偏差内に維持するため,送信装置はできる限り電
源電圧または負荷の変化によって発振周波数に影響を与えないもの
でなければならない.
2 周波数をその許容偏差内に維持するため,発振回路の方式は,
できる限り外囲の温度もしくは湿度の変化によって影響を受けない
ものでなければならない.
3 移動局(移動するアマチュア局を含む.)の送信装置は,実際
上起こり得る振動または衝撃によっても周波数をその許容偏差内に
維持するものでなければならない.
(設備規則15条)
根拠となる条文はつぎのとおり.目的外通信はほぼ間違いなく毎回
出題される定番中の定番.取りこぼしのないように.
無線局は,免許状に記載された目的または通信の相手方もしくは通
信事項(...[略]...)の範囲を越えて運用してはならない.ただし,
次に掲げる通信については,この限りでない.
一 遭難通信(...[略]...)
二 緊急通信(...[略]...)
三 安全通信(...[略]...)
四 非常通信(地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その
他非常の事態が発生し,または発生するおそれがある場合に
おいて,有線通信を利用することが著しく困難であるときに
人命の救助,災害の救援,交通通信の確保または秩序の維持
のために行われる無線通信をいう.以下同じ.)
五 放送の受信
六 その他総務省令で定める通信
(法52条)
無線局を運用する場合においては,無線設備の設置場所,識別信号,
電波の形式および周波数は,免許状等に記載されたところによらな
ければならない.ただし,遭難通信については,この限りでない.
(法53条)
無線局を運用する場合においては,空中線電力は,次の各号の定め
るところによらなければならない.ただし,遭難通信については,
この限りでない.
一 免許状等に記載されたものの範囲内であること
二 通信を行うため必要最小のものであること
(法54条)
根拠となる条文はつぎのとおり.これは簡単ですね.
無線局は,左に掲げる場合には,なるべく擬似空中線回路を使用し
なければならない.
一 無線設備の試験または調整を行うために運用するとき
[以下略]
(法57条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
無線局は,相手局を呼び出そうとするときは,電波を発射する前に,
受信機を最良の感度に調整し,自局の発射しようとする電波の周波
数その他必要と認める周波数において聴取し,他の通信に妨害を与
えないことを確かめなければならない.ただし,遭難通信,緊急通
信,安全通信および法第74条第1項に規定する通信を行う場合ならび
に海上移動業務以外の業務において他の通信に混信を与えないこと
が確実である電波により通信を行う場合は,この限りでない.
2 前項の場合において,他の通信に混信を与えるおそれがあると
きは,その通信が終了した後でなければ呼出しをしてはならない.
(運用規則19条の2)
根拠となる条文はつぎのとおり.試験に直接出ているのは無線局運
用規則第126条の1だけですが,正しく理解するためには第20条(第1
項)に加えて第261条もふまえないといけないということです.問題
の根拠となる条文の番号が明示されるようになったので,勉強しや
すくなったと思います.
呼出しは,順次送信する次に掲げる事項(以下「呼出事項」とい
う.)によって行うものとする.
一 相手局の呼出符号 3回以下(...[略]...)
二 DE 1回
三 自局の呼出符号 3回以下(...[略]...)
(運用規則20条1項)
空中線電力50ワット以下の無線設備を使用して呼出しまたは応答を
行う場合において,確実に連絡の設定ができると認められるときは,
第20条第1項第2号および第3号または第23条第2項第1号に掲げる事
項の送信を省略することができる.
2 前項の規定により第20条第1項第2号および第3号に掲げる事項
の送信を省略した無線局は,その通話中少なくとも1回以上自局の
呼出符号を送信しなければならない.
(運用規則126条の2)
アマチユア局の運用については、この章に規定するものの外、第四
章[125条〜137条]の規定を準用する。
(運用規則261条)
「非常の場合の無線通信」についての出題.「非常通信」と「非常
の場合の無線通信」との違いは,
・非常通信には「有線通信を利用することができないか,著しく困
難であるとき」という条件がつく.
・非常通信は,無線局の判断で行うことができる.
の2点です.
電波法やその関連法令には「法第74条第1項に規定する通信」とい
うのがよく出てきますが,この場合は「非常の場合の無線通信」と
「非常通信」の両方を指すものとして解釈します.
「ハムになる本」(CQ出版社,昭和49年5月15日増補改訂版)には,
「地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その他非常の事態が
発生し,または発生するおそれがある場合における人命の救助,災
害の救援,交通通信の確保または秩序の維持のための無線通信を一
般に『非常の場合の無線通信』といっています.」および「『非常
の場合の無線通信』のうち,有線通信を利用することができないか
またはこれを利用することが著しく困難である場合に行われる無線
通信を『非常通信』といいます.」という記述が出てきます.
つまり「非常通信」は「非常の場合の無線通信」に含まれるという
解釈が示されています.
根拠となる条文はつぎのとおり.
総務大臣は,地震,台風,洪水,津波,雪害,火災,暴動その他非
常の事態が発生し,または発生するおそれがある場合においては,
人命の救助,災害の救援,交通通信の確保または秩序の維持のため
に必要な通信を無線局に行わせることができる.
(法74条1項)
次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役または100万円
以下の罰金に処する.
[途中略]
七 第74条第1項の規定による処分に違反した者
[以下略]
(法110条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
総務大臣は,無線従事者が左の各号の一に該当するときは,その免
許を取消し,または3箇月以内の期間を定めてその業務に従事する
ことを停止することができる.
一 この法律もしくはこの法律に基づく命令またはこれらに基づ
く処分に違反したとき.
二 不正な手段により免許を受けたとき.
三 第42号第3号(*)に該当するに至ったとき.
(*) 著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない者.
(法79条1項)
根拠となる条文はつぎのとおり.「80条報告」でおなじみ?の電波
法第80条からの出題.
無線局の免許人等は,次に掲げる場合は,総務省令で定める手続に
より,総務大臣に報告しなければならない.
一 遭難通信,緊急通信,安全通信または非常通信を行ったとき.
二 この法律またはこの法律に基づく命令の規定に違反して運用
した無線局を認めたとき.
三 無線局が外国において,あらかじめ総務大臣が告示した以外
の運用の制限をされたとき.
(法80条)
根拠となる条文はつぎのとおり.4番がひっかけっぽいですね.国
籍については,昔は日本国籍を有しない人は,たとえ無線従事者の
資格が取れても,無線局の免許は与えられませんでした(電波
法第5条)が,現在はそのような制約はありません.(電波法第5条
第2項第2号による.)
次の各号のいずれかに該当する者に対しては,無線従事者の免許を
与えないことができる.
一 第9章[105条〜116条]の罪を犯し罰金以上の刑に処せられ,
その執行を終わり,またはその執行を受けることがなくなっ
た日から2年を経過しない者
二 第79条第1項第1号または第2号の規定(*)により,無線従事者の
免許を取り消され,取消しの日から2年を経過しない者
(*) 総務大臣は,無線従事者が以下の各号の一に該当する
ときは,その免許を取り消し,または3箇月以内の期
間を定めてその業務に従事することを停止することが
できる.
一 この法律もしくはこの法律に基づく命令または
これらに基づく処分に違反したとき.
二 不正な手段により免許を受けたとき.
三 著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない者
(法42条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
標準周波数報時義務
一般的受信のため,公表された高い精度の特定周波数,報時信号
またはこれらの双方の発射を行う科学,技術その他の目的のため
の無線通信業務
(S1.53)
根拠となる条文はつぎのとおり.
毎回出ますので,第3地域の周波数割当てについて正しく暗記しまし
ょう.日本で許可されている周波数帯とかならずしも合いませんか
ら注意.
1800kHz - 2000kHz
3500kHz - 3900kHz
7000kHz - 7100kHz
10100kHz - 10150kHz
14000kHz - 14350kHz
18068kHz - 18168kHz
21000kHz - 21450kHz
24890kHz - 24990kHz
28MHz - 29.7MHz
50MHz - 54MHz
144MHz - 146MHz
430MHz - 440MHz
1260MHz - 1300MHz
(S5,第3地域のみ抜粋)
根拠となる条文はつぎのとおり.
主管庁は,憲章および条約の関連規定を適用するにあたり,次の事
項を禁止し,および防止するために必要な措置をとることを約束す
る.
(1) 公衆の一般的利用を目的としていない無線通信を許可なく傍
受すること.
(2) (1) にいう無線通信の傍受によって得られたすべての種類の
情報について,許可なく,その内容もしくは単にその存在を
漏らし,またはそれを公表もしくは利用すること.
(S17.1,S17.2,S17.3)
根拠となる条文はつぎのとおり.
(混信を避けるために,)送信局の位置および業務の性質上可能な場合に
は,受信局の位置は,特に注意して選定しなければならない.
(S15.3,S15.4)
(混信を避けるために,)不要な方向への輻射または不要な方向か
らの受信は,業務の性質上可能な場合には,指向性のアンテナの利
点をできる限り利用して,最小にしなければならない.
(S15.3,S15.5)
根拠となる条文はつぎのとおり.ごちゃごちゃしてますねえ.
ア,イ,ウは条文通りで問題ないですね.エは廃棄していいんじゃ
なくて1ヶ月以内に返しなさいと.オは「10日以内に免許状の再交
付の申請をしなければならない」が誤り.「10日以内」というのは,
無線従事者免許証を亡くしたときに亡失届を出すのが「10日以内」
だったのですが,現在この規則は撤廃されています.
総務大臣は,免許を与えたときは,免許状を交付する.
(法14条1項)
免許がその効力を失ったときは,免許人であった者は1箇月以内に
その免許状を返納しなければならない.
(法24条)
免許人は,法第21条の訂正を受けようとするときは,総務大臣また
は総合通信局長に対し,事由および訂正すべき箇所を附して,その
旨を申請するものとする.
2 前項の申請があった場合において,総務大臣または総合通信局
長は,あらたな免許状の交付による訂正を行うことができる.
3 総務大臣または総合通信局長は,第1項の申請による場合の外,
職権により免許状の訂正を行うことがある.
4 免許人は,新たな免許状の交付を受けたときは,遅滞なく旧免
許状を返さなければならない.
(免許規則22条)
免許人は,免許状を破損し,汚し、失った等のために免許状の再交
付の申請をしようとするときは,理由及び免許の番号並びに識別信
号([略])を記載した申請書を総務大臣又は総合通信局長に提出し
なければならない.
2 前条第4項の規定(*)は,前項の規定により免許状の再交付を受け
た場合に準用する.ただし,免許状を失った等のためにこれを返す
ことができない場合は,この限りでない.
(*) 免許人は,新たな免許状の交付を受けたときは,遅滞なく
旧免許状を返さなければならない.
(免許規則23条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
アは「無線従事者以外の者が出入しない場所」とだけあって,警告
書のことは何もいっていないので誤り.イは条文のままですね.
ウとオはOK.エは「赤色で表示」とかはいっていないので誤り.
送信装置の空中線,給電線もしくはカウンターポイズであって高圧
電気を通ずるものは,その高さが人の歩行その他起居する平面から
2.5メートル以上のものでなければならない.ただし,左の各号の
場合は,この限りでない.
一 2.5メートルに満たない高さの部分が,人体に容易にふれな
い構造である場合または人体が容易にふれない位置にある場
合.
二 移動局であって,その移動体の構造上困難であり,かつ,無
線従事者以外の者が出入しない場所にある場合.
(施行規則25条)
根拠となる条文はつぎのとおり.Q符号はいっぱいあって覚える
のが大変ですが,結構出題されるのでやはり暗記して吉.
無線電信による通信(以下「無線電信通信」という。)の業務用語
には、別表第2号に定める略語又は符号(以下「略符号」という。)
を使用するものとする。ただし、デジタル選択呼出装置による通信
(以下「デジタル選択呼出通信」という。)及び狭帯域直接印刷電
信による通信(以下「狭帯域直接印刷電信通信」という。)につい
ては、この限りでない。
(運用規則13条1項)
運用規則別表2号より抜粋:
1 Q符号
名呼...名称または呼出符号
Q符号 意義
QRH? こちらの周波数は変化しますか?
QRK? こちらの信号(または[名呼]の信号)の明りょう度は
どうですか?
QRM? こちらの伝送は混信を受けていますか?
QRN? そちらは,空電に妨げられていますか?
QSY? こちらは,他の周波数に変更して伝送しましょうか?
根拠となる条文はつぎのとおり.うわー,これは覚えるのが大変で
すねえ.完答できた人はえらい!
総務大臣は,免許人等がこの法律,放送法もしくはこれらの法律に
基づく命令またはこれらに基づく処分に違反したときは,3箇月以
内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ,...[略]...,または
期間を定めて運用許容時間,周波数もしくは空中線電力を制限する
ことができる.
[途中略]
3 総務大臣は,免許人([略])が次の各号のいずれかに該当する
ときは,その免許を取り消すことができる.
一 正当な理由がないのに,無線局の運用を引き続き6箇月以上
休止したとき.
二 不正な手段により無線局の免許もしくは第17条の許可(*)を
受け,または第19条の規定による指定の変更(**)を行わせた
とき.
(*) 通信の相手方,通信事項,無線設備の設置場所の変更
または無線設備の変更の工事の許可.
(**)予備免許における識別信号,電波の形式,周波数,空中
線電力,運用許容時間の指定の変更.
三 第1項の規定による命令または制限に従わないとき.
四 免許人が第5条第3項第1号(*)に該当するに至ったとき.
(*) この法律または放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑
に処せられ,その執行を終わり,またはその執行を受け
ることがなくなってから2年を経過しない者.
(法76条)
根拠となる条文はつぎのとおり.
主管庁は,アマチュア局の操作を希望するものの運用上および技術
上の資格を検証するために必要と認める措置を執る.能力の基準に
関する指針は,最新版の勧告 ITU-R M.1554 に示されている.
(S25.6)
アマチュア局の最大電力は,関係主管庁が定める.
(S25.7)
憲章,条約および無線通信規則のすべての一般規定は,アマチュア
局に適用する.
(S25.8)
アマチュア局は,その伝送中短い間隔で自局の呼出符号を伝送しな
ければならない.
(S25.9)
主管庁は,災害救助時にアマチュア局が準備できるよう,また通信
の必要性を満たせるよう,必要な措置を取ることが奨励される.
(S25.9A)
1アマとかなり問題がかぶっていますね.ダブル受験はやはりお得
だと思います(笑).難易度的にもほとんど1アマとかわらない印
象です.
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