運用するバンドを選ぶ


短波にはいろんな周波数帯(バンド)があります。

  • 短波(short wave = SW、あるいはhigh frequency = HF)とは3MHz〜30MHzを指します。
  • 短波の中で、アマチュア無線で通常運用可能なバンドは9つ(3.5MHz帯、3.8MHz帯、7MHz帯、10MHz帯、14MHz帯、18MHz帯、21MHz帯、24MHz帯、28MHz帯)あります。そのうち、第3級アマチュア無線技士は、上級資格者専用の10MHz帯と14MHz帯を除く7バンドが使用できます。
  • 電波の飛び方の特徴の違いから、3.5MHz帯〜7MHz帯はローバンド、18〜28MHz帯をハイバンドと呼ばれます。なお10〜14MHzをミッドバンドとはあまりいいません。

短波通信は、季節・日間・時間の変化を伴う不安定なものです。

釣れたり釣れなかったりする釣りの様に、日によって良かったり悪かったりする自然の変化に左右されながら愉しむことになります。

  • 電波を用いた通信は、地球周囲を取り囲むイオンの層(ionosphere)と地表の反射を使って、遠距離に届いています。
    • 電離層は、地表に近い側から順にD層、E層、F層からなりますが、短波の大半のバンドでは、F層で電波が反射されます(3.5/3.8MHz帯はE層反射)。
    • 一回の電離層反射で届く距離は数百〜3000km位なので、日本国内(北海道〜九州ぐらいまで)は1回の反射で届いているはずです。海外に届く場合は、電離層と地表の反射を複数回繰り返し、そのたびに電波が減衰されます。
  • 季節的変化によって、F層反射以外の経路(パス)で相手に届くことがあり、「異常伝搬」と呼ばれます。
  • 電離層のゴキゲンによって反射のしかたが変わり、遠くに届いたり、近場ばかりがよく聞こえたり、海外の局しか聞こえないこともあります。まずは電離層まで電波が届き、電離層反射の減衰を受けても相応の強度で相手のアンテナまで届かせる必要があるわけです。
    • そのためにアマチュア無線家は、アンテナを改良したり、(免許の範囲内で)電力を上げ下げするなどして、通信(一種の実験)を成立させる努力をします。

デビューするバンドはどこがいい?

簡単にバンドの特徴を説明します。 バンドによって、アンテナの大きさや電波の飛び方に違いがあり、日夜混雑しているバンドもあれば、日頃は静まり返っているバンドもあります。

  • 3.5MHz帯 - 波長は84m位ですから、アンテナは非常に大きくなりますが、一年を通して国内の安定な交信が期待できます。ご年配の方が多く、技術的なトークが多めで、初心者にはちょっと敷居が高めです。早朝や夕方は海外局が入感します。
  • 3.8MHz帯 - 海外局との交信のみに使える、特殊なバンドです。生半可な設備では交信相手が見つからない、原理主義でアンタッチャブルなバンドです。
  • 7MHz帯 - 年中/一日中、国内外の交信相手が聞こえるにぎやかなバンドです。昼間は国内、夕方から朝は海外局がよく聞こえます。波長は42m位ですから、アンテナは大きくなりますが、一年を通して比較的安定な交信が期待できます。老若男女、いろんな方がいます。
  • 18MHz帯、21MHz帯 - 季節的変化に左右されやすいですが、、人口が多く、交信の機会が多いバンドです。5月〜9月ごろには、主に昼間に、国内の交信がにぎやかです。春と秋は海外の局が強く入感するときがあり、コンディション次第では簡単な設備で海外局との交信ができたりします。なお冬場はほぼほぼ死んでいます。波長は短いのでアンテナが小さくなります。
  • 24MHz帯、28MHz帯 - 18/21MHzよりもさらに季節的・時間的変化が激しい上に、交信するチャンスが少ない、奥深いバンドです。コンディションがよくなると「こんなに人いたの?」というぐらいにぎやかになりますが、デフォルトで静まりかえっているので、交信相手に恵まれず忍耐が必要。これまた敷居が高めです。

交信相手が聞こえてこないことにはお手上げですよね。

まず日常的にそれなりに交信が聞こえており、敷居があまり高くなく、自分にも交信の機会がある周波数から始めましょう。 ということで、7MHz, 18MHz, 21MHz帯がオススメです。

  • 交信しやすいシーズンが春から秋限定になるものの、アンテナのサイズが小さく済む18MHz帯か21MHz帯をお勧めします。
  • シーズン問わず運用するなら、運用する人口の多い7MHz帯がベストです。アンテナが大きくなってしまうのが悩みの種ですが、相手局の設備もさまざまで、弱い信号も拾いあげてくださる方もいるので、何とか出る方法を模索しましょう。