南部連合に従軍した祖父を持つ,アメリカ文学の畑の人が,思い入れたっぷりに描いている. 南部のノスタルジアを,これでもかと表現している姿は,感情移入モノである. 戦闘の推移などを述べた資料と違って,精神風土,文化という面から南部を描き,北部と対立せざるを得なかった人たちの,傲慢と苦悩がそこかしこに… 「敗北して初めて,強固な南部が生まれた」 南部贔屓の著者の先入観もあるのだろうけど,敗れてもなお,ピケット将軍が言ったように, 「お前たちは,なつかしのヴァージニア出身だってことを忘れるんじゃないぞ…」 北部に敗れたヴァージニアではなく,南部連合として北部と対等に戦った誇りあるヴァージニア. 故郷に誇りを抱く指揮官は,今の世の中どれほどいるというのだろうか. 日本で言えば, 「お前たちは,日本国ではなく,懐かしの大日本帝国出身だってことを忘れるんじゃないぞ…」 と,誇りを込めて言う様な感じなのか(笑 これほど文学的な,精神的な側面から,南北戦争を述べる本もまた珍しい.