【書評】 『スエズ運河を消せ』


 【書評】 『スエズ運河を消せ』

 読了.
 見事な起承転結で,読むものを飽きさせない筆致.
 トイレの中でちまちま読んでいましたが,本当なら一気に読んでも良い本ですた.
 逆に面白すぎて,一気に読むのが勿体ないって感じ.
 一応,史実には沿っていますが,どちらかと言えば吉村昭テイストかな.

 舞台は1941年初頭から1942年にかけての北アフリカ戦線で,ジャスパーという魔術師と,様々な場所から集められたはみ出しモノが,マジックギャングというチームを作って行った,数々の戦場に於けるイリュージョンを描いた作品です.
 もう1つの側面は,1人の中堅将校の目から見た北アフリカ戦線と言う感じで,その当時の上層部の考え方とかが伺えて,非常に興味深いものがあります.

 訳については,前半部はそんなに首を傾げるものはなかったのですが,後半から最後にかけての部分では,端々に「ん?」と思える訳語があったりしました.
 まぁ,そんなに目くじらを立てる程のものではありませんが….

 しかし,出来ればその後のジャスパー達,「マジックギャング」の足跡も追ってみたいなぁ,と.
 特に戦後,ジャスパーがケニアに移住した後,マウマウ団の首領だったケニヤッタの顔を,イリュージョンで山に映し出したなんて記述を見ると,その辺りの事情を知りたいな,と思ってしまいました.

 因みに,この本の映画化権は.トム・クルーズが持っているらしいです.
 確かに,映画にしたら結構面白くなるなぁと言うものでした.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2012/01/08(日)

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