【質問】 米軍はなぜ国際軍事法廷に反対するのでしょうか?


 【質問】
 米軍は国際軍事法廷に妙に強行に反対していますが,何か後ろ暗いことがあるのでしょうか?

 【回答】
 国際軍事法廷なんてのは,東京とニュルンベルクの奴しかありませんよ?
 用語は正確に使いましょうや.
 「国際刑事裁判所」(ICC)のことでしょ.

 反対の理由は,
「米兵が政治的に訴追される危険がある」
と,米国自身が公言してます.
 米国の側から見れば,そういう理屈になりますが,これを米国以外の国の立場から見れば,
「正義の決定権を米国の手から離されることに反対している」
という言い方になりましょうな.

 国連や国際機関が国家の上位に立つべき,という思い込みが強すぎる日本人には理解しづらいことですが
「国際機関もまた,国益追求のための道具である」
というのは,米国のみならずどこの国の外交でも共通する思考です.
 米国はその経済力と政治力,軍事力で「世界の警察官」の立場にいるわけですが,その「権力」を執行するときに,自国の国益に沿った形で使いたくなるのは,当然の理屈でしょう.
(警察官は,職務を遂行するためにという条件付きで権力を移譲されてるだけで,米国は自力で世界の覇権を担ってる以上,それを好き勝手に使うのは悪いとは,なかなか自覚できないわけで……)
 それに対する制約をかけられてしまうことを,米国はかなり嫌います.
 そこらへんの「モンロー主義」,自分達の聖域には他人は手を出すな,と主張したがる根性は不変ですね.

軍事板,2002/08/27

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