【回答】
じゃあ,まずは「階級」と「職務」の概念について.
軍隊ってのは,上の人間の出した命令に下のものが服従するという基本構造がありまして,その「上」「下」の度合いを「階級」という言葉で表します.
下は兵卒から上は将官まで,さまざまな階級が存在しますが,具体的な名称は時代・国・組織によって異なります.
で,一般には「大将」というのは,軍人のほぼ最高位を示す階級です.
まあ,国や時代によっては「元帥」という,さらに上位の称号を付与することもありますが.
で,これらの「階級」は,それを必要とする「職務」にいる人間に,与えられるのが普通です.
たとえば軍艦一隻を統括する「艦長」という職務を持つ人間は,たいがい「大佐」あたりの階級である,とか.
で,「大将」という位が必要になるような職務というのは,軍隊の総合指揮を行なう部署であることがほとんどです.
前線の軍を指揮する立場にいる「大将」なら,その人は控えめに見積もっても「方面軍司令官」,つまり国家レベルの軍事計画の何分の一かを,まるまる実践する立場である可能性が高いでしょう.
中央の軍官僚だったら,「大将」ともなるとそうとうの権限を持った人物,今で言うなら次官かあるいは大臣クラス.
そういう大所高所から「軍事」をつかさどる役割が,「大将」の階級を持つ人物の多くの「職務」です.
「司令官」というのは,軍組織を何らかの一まとまりで区切ったときの,その中でもっとも強い指揮権を与えられた人物のこと,と言えましょうか.
まあ,「職務」の一つです.
だから,この「何らかのひとまとまり」の何らかが分からないとなんともいえませんが……
たとえば旧帝国海軍の職務で「連合艦隊司令長官」とあったら,この人はさらに上位の組織から降りてきた命令を遂行するため,「連合艦隊」を動かす責任を負う人物,ということになるわけです.
この「階級」と「職務」の二本立てのシステムで,軍隊は運営されています.
ですから「階級」が高くても,「職務」の範囲の外のことに対しては,発言権は保証されないわけで,こうやって「上意下達」と「命令系統の保持」という二つの組織運営の重要命題を,軍隊では制度的に保証してるわけです.