【質問】 ロンドン海軍軍縮条約のことだけど,米・英って実質お仲間なわけでしょ?


 【質問】
 ロンドン海軍軍縮条約のことだけど,米・英って実質お仲間なわけでしょ.
 米+英で考えれば太平洋だけ見ても,実質10:7にすることは容易では?
 また,逆になぜ対米・英比率6割だと日本の防衛は無理(日本の条約反対派の意見)という話になるの?
 6割でも太平洋だけ見れば,5:6で日本の方が優勢なのに・・・

 【回答】

米+英で考えれば 

 ロンドン海軍軍縮条約は別に日本だけを対象にしたものじゃなくて,ヨーロッパを含んだものになってることをお忘れなく.
 また,米英が必ず仲間ということはなく,歴史的に両者の利害が対立した事例はいくらでもあります.
 大西洋・東太平洋・フィリピンを支配しなくちゃならん米国と,全地球規模で植民地を持つ英国が,両国で総力あげて連合しないと,極東の新興国家に対抗できない,なんてメチャクチャな条約を,好きこのんで結ぶ理由はどこにもありませんよ.

6割でも太平洋だけ見れば,5:6で日本の方が優勢なのに・・・ 

 率直に言えば,組織維持のための官僚的強弁だから,です.
 浜口内閣は海軍に,
「兵力量の決定権は内閣にあり」
との約束を取り付けて条約を締結しましたが,軍令部はこれに従わず,政治工作を展開.  英タイムズ紙にその政治介入を批判されました.

 建艦競争の重税に疲れていた国民世論も,だいたいは条約に賛成したものの,右翼団体,そして政府攻撃が出来るなら理屈はなんでもよかった野党の政友会が,この軍令部の不満を根拠に運動を展開,「統帥権問題」を引き起こしてしまいます.
 このとき政府批判の先頭にたったのが,政友会総裁の犬養毅,
 目先の権力獲得の野心を,立憲政治の王道よりも優先させてしまった彼が,後に政党政治を否定する超国家主義DQN将校たちに射殺されてしまったのは,ある意味因果応報というべきか,歴史の皮肉というべきか……

軍事板,2002/08/25

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