労基法


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法の原則的諸規定

基本7原則

労働条件の原則

  1. 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
  2. この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるため、労働関係の当事者はこの基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

労働条件の決定

  • 労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとされている。
  • 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則、及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。
労働協約
労働組合と使用者との間で合意した、労働条件その他労働に関する広範な内容を文書によりまとめたもの
労働組合の数だけ存在する
就業規則
事実上、使用者が一方的に作成・変更することができる事業場内の自主的な規律
常時10人異常の労働者を使用する使用者は就業規則を作成する義務がある
労働契約
個々の労働者毎に、使用者との間で、その労働者に関する労働条件を合意したもの

均等待遇

 使用者は、労働者の国籍、信条または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的な取り扱いをしてはいけない。

  • ここで挙げられていない用件(ex:学歴、性別など)は対象にはならない
  • 労働関係が開始された後の差別を禁止するものであって、募集や採用についてはこの制限の対象外となる。

男女同一賃金の原則

 使用者は、労働者が女性であることを理由として、''賃金((について、男性と差別的な取り扱いをしてはならない。

  • 逆に、女性のみを有利に扱うことも禁止している。

強制労働の禁止

 使用者は、暴行、脅迫、監禁、その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意志に反して労働を強制してはならない。

中間搾取の排除

 何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない

  • 職業紹介事業は法律に基づいて許される場合に該当し、労働者派遣事業は派遣元と派遣労働者の間で直接労働契約を締結するため、他人の就業に該当しない。

公民権行使等の保障

 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙その他公民としての権利を行使し、または公の職務を遂行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならない。ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時間を変更することができる

  • 参政権や地方自治の職務などがこれに該当する。
  • この時間を有給とするかどうかは労使間の話し合いに委ねられる。

重要用語等


労働者と使用者の定義

労働者
職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
使用者
事業主(法人経営の場合は法人そのもの)、事業の経営担当者(法人の代表者や取締役など)、その他の事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者(管理職)をいう。
使用者であるかどうかの判断は役職ではなく、実態に基づいて行われ、中間管理職者等は、使用者にも労働者にも該当するのが通例

適用事業と適用除外

  • 適用事業
    • 労働者を一人でも使用した場合に労基法が適用される事業のこと
    • 製造・鉱業・建設・運輸交通・貨物取扱・農林・水産・商業・金融広告・映画演劇・郵便通信・教育研究・保健衛生・接客娯楽・焼却清掃が該当する
  • 適用除外
    1. 船員法に規定される船員には大部分の規定が適用されない
    2. 同居の親族のみを使用する事業、家事使用人には全部の規定が適用されない
    3. 一般職の国家公務員には全部の規定が適用されない
    4. 一般職の地方公務員には一部の規定が適用されない

労使協定

  • 労使間の合意で、法で禁止した行為又は特定の行為を適法に行う事ができるための根拠となるもので、原則的に事業場の全労働者に関して効力を有する
  • 労使協定の締結当事者は使用者と、労働者の代表者となる
    • 労働者の代表者は、当該事業場に労働者数の過半数で組織する労働組合があればその労働組合であり、そうでなければ当該事業場の労働者の過半数を代表する者となる。
    • 中間管理職者は労働者代表者の選出手続きには参加できるが、労働者代表者になることはできない。

労働契約の締結

労働契約と期間


労働基準法違反の契約

法13条
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分に付いては無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による

契約期間等

  • 労働契約の最長限度
    • 期間の定めのない契約:自由
    • 期間の定めのある契約:上限3年(初日から1年を経過した日以後は労働者はその使用者に申し出ることで、いつでも退職することができる)
      例外
      1. 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの:終期まで
      2. 認定職業訓練のため長期の訓練期間を要するもの:終期まで
      3. 特定の2種類(専門的知識等・満60歳以上)の労働契約:上限5年
  • 厚生労働大臣の定める基準
    • 契約締結時の明示事項
      • 契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない
      • 上記の場合において、契約を更新する場合がある旨を明示したときは、契約を更新する場合またはしない場合の判断基準を明示しなければならない
    • 雇い止めの予告
      • 勇気労働契約を更新しないこととする場合には、少なくとも当該契約期間の満了日の30日前までにその予告をしなければならない
      • 上記のものは、契約を3回以上更新し、または雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限られ、予め契約を更新しない旨を明示されている場合を除く
    • 雇い止めの理由の明示
      • 雇い止めの予告があった場合に、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない
    • 契約期間についての配慮
      • 勇気労働契約を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない(努力義務)
  • 助言と指導
    行政官庁は、上記の基準に関し、勇気労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言と指導を行う事ができる。

労働契約の明示義務等

労働契約の明示義務

 使用者は労働契約の締結に際し、以下の労働条件を明示しなければならない。

  • 絶対的明示事項(必ず明示しなければならない事項)
    1. 契約の期間に関する事項
    2. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
    3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
    4. 賃金(退職金、賞与等を除く)の決定、計算および支払いの方法、賃金の締め切りおよび支払いの時期並びに昇級に関する事項
    5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  • 相対的明示事項(定めをする場合には明示しなければならない事項)
    1. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
    2. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与および1ヶ月を超える期間を基礎として支給される精勤手当等並びに最低賃金額''に関する事項
    3. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
    4. 安全および衛生に関する事項
    5. 職業訓練に関する事項
    6. 災害補償および業務外の疾病扶助に関する事項
    7. 標章および制裁に関する事項
    8. 休職に関する事項

 絶対的明示事項については書面の交付により明示しなければならないが、昇級に関する事項については口頭でも差し支えない

違反時の手段等

  • 即時労働契約解除権
    • 明示された労働条件が事実と相違する場合には、労働者は、即時に労働条件を解除することができる。解除の結果使用者に損害が生じても、労働者は賠償の義務を負わない。
    • 労働者は、即時解除権を行使せずに明示された労働条件の履行を要求し、使用者がこれに応じないときは損害賠償を請求することもできる。
  • 帰郷旅費の支払義務
    • 即時労働契約解除を行使した労働者が、就業のために住居を変更した者であって、解除の日から14日以内に帰郷する場合には、使用者は必要な旅費を負担しなければならない。これには家族の旅費も含む。

労働契約の禁止事項

賠償予定等の禁止

 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
 ただし、就労開始後に労働者の責任により発生した現実の損害を賠償する旨を約束することや、約束が無くても現実の損害を賠償させることは問題無い。

前借金相殺の禁止

 使用者は、労働することを条件とする前貸しの債権と賃金とを相殺してはならない
 ただし、労働協約の定めまたは労働者からの申し出に基づき、生活資金を貸し付け、これを賃金から分割して控除するものは、貸し付けの原因、期間、金利等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白であれば前借金には当たらない。

強制貯蓄等の禁止

 使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、または貯蓄金を管理する契約(強制貯金)をしてはならない
 労働契約に付随せず、労働者の委託を受けて貯蓄金の管理を行う事(任意貯金)は、一定の要件を充たせば認められる。この場合、使用者自ら労働者の金銭を受け入れて管理する社内預金と、金融機関等に預け入れた預金についての通帳等を使用者が保管する通帳保管に分類される。

任意貯金

任意貯金の流れ

  1. 貯蓄金管理協定の締結
  2. 行政官庁(所轄労働基準監督署長)への届出
  3. 貯蓄金管理規定の作成
  4. 管理規定を労働者に周知
  5. 労働者の自由意志に基づき貯蓄金の受け入れを開始
  6. 貯蓄金の保全と請求に応じた返還等
  • 貯蓄金管理協定
    • この協定には以下の事項を定めておかねばならない。
      1. 預金者の範囲
      2. 預金者1人当たりの預金額の限度
      3. 預金の利率および利子の計算方法
      4. 預金の受け入れ及び払い戻しの手続き
      5. 預金の保全の方法
    • この協定は作成後に所轄労働基準監督署長に届け出を行わなければならない。
  • 貯蓄金管理規定
    • 貯蓄金管理協定に基づいて、実際に貯蓄金を管理する場合に必要となる具体的ルールのこと。
    • これを定めたときは、使用者は作業場に備え付けるなどの方法により、労働者に周知させなければならない。
  • 利子
    貯蓄金が社内預金であるときは、次の方法により利子を付けなければならない
    • 最低利率(現在は年5厘)の保障
      • これを下回る場合、省令による利率を付けたものとみなされる。
    • 利率適用時点は毎年度単位となるが、市中金利に急激な変更があったときは、10月1日から変更され、厚生労働大臣により告示される。
    • 利子の計算は預け入れの月(16日以降の場合を除く)から付ける。
  • 貯蓄金の返還
     使用者は、労働者が貯蓄金の返還を請求したときは、遅滞なく貯蓄金を返還しなければならない。
  • 貯蓄金管理の中止命令と返還義務
     使用者が返還請求に応じず、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、所轄労働基準監督署長は、その必要な限度内で、当該貯蓄金の管理の中止を命ずることができ、この場合には使用者は遅滞なく、貯蓄金を労働者に返還しなければならない。
  • 報告義務
     使用者は、毎年3月31日以前1年間における預金の管理状況を4月30日までに所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

労働契約の終了

解雇の意義と解雇制限

労働契約の終了事由と解雇

  • 労働契約の期間が定められていない場合
    • 使用者による解約
      • 解雇権の濫用は無効(客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合がこれに該当する)
      • 濫用に当たらない場合でも解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要
    • 労働者による解約
      • いつでも解約申し入れが可能
      • 申し入れ後2週間を経過すると発効
  • 労働契約の期間が定められている場合
    • やむを得ない事由がある場合を除き、原則として、契約期間中の解約申し入れは不可
    • やむを得ない事由が一方の過失によって生じた場合は他方に対して損害賠償義務を負うことがある
  • 当然に労働契約が終了
    • 期間の定めのある労働契約期間の満了
    • 定年年齢への到達
    • 労働者の死亡
    • 労使の合意による解約

解雇制限

  • 解雇制限対象者とその期間
    • 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業している労働者:休業期間中とその後30日
    • 産前産後の女性:産前産後休業期間とその後30日
      • 産前は最長で6週間(多胎妊娠の場合は14週)
      • 産後は8週間
  • 解雇制限対象者を解雇できる場合(所轄労働基準監督署長の認定が必要)
    • 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業しているか、その後30日間にある労働者
      • 打切補償を支払った場合
      • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合
    • 法定の産前産後休業期間及びその後30日間にある労働者
      • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合

解雇の予告等

  • 解雇予告の義務
    • 使用者が労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をしなければならない
    • 30日前に予告をしない場合には、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない
      • 解雇予告手当は解雇の申し渡しと同時に支払う必要がある
      • 30日からは解雇予告手当を支払った日数分短縮することもできる
    • 以下の場合においては所轄労働基準監督署長の認定を受けることで予告無しに解雇することもできる
      • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合
      • 労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合
  • 解雇予告の適用除外者
    • 日々雇い入れられる者
      • 1ヶ月を超えて引き続き使用されるに至った場合は解雇予告等の規定が適用される
    • 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
      • 所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は解雇予告等の規定が適用される
    • 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
      • 所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は解雇予告等の規定が適用される
    • 試用期間中の者
      • 試用期間が14日を超えるに至った場合は解雇予告等の規定が適用される

退職後等の措置

  • 退職後の証明書交付義務
    • 退職した労働者が以下の5事項について証明書を請求した場合には、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない
      1. 使用期間
      2. 業務の種類
      3. その事業における地位
      4. 賃金
      5. 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)
    • この証明書には、労働者が請求しない事項を記入してはならない
    • 証明書の記載について
      • 解雇の理由については理由を具体的に示す必要があり、その内容と解雇に至るまでの事実関係を記入しなければならない。
      • 解雇の事実のみの証明を請求された場合には、退職事由が解雇である旨のみを記入すべきであり、その他に解雇の理由を書き加えてはならない
      • 請求権の消滅時効期間は2年と解されている。
  • 解雇予告期間中の証明書交付義務
    • 解雇予告された労働者が、解雇予告日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない。
    • 解雇予告された日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合はその限りではない。(退職後の証明書に該当するため)
  • 金品の返還義務
    • 使用者は、労働者が死亡し、または退職した場合において、権利者の請求があった場合には、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

賃金

賃金関係の用語

  • 賃金
    • 名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの
    • 「労働の対象として支払われるものではない」ことから賃金ではないと解される例
      • 任意・恩恵的性格のもの(結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金、退職金等)
      • 福利厚生的性格のもの
      • 臨時に供される食事などの福利厚生又は義務の肩代わり
      • 実費弁償的性格のもの(作業用品代、制服の貸与等)
    • 「使用者が労働に支払うものではない」ことから賃金ではないと解される例
      • 第三者から受けるチップ等
      • 局外的に得られる利益
  • 平均賃金
    • 原則的な計算式
       算定事由発生日以前3ヶ月間の賃金総額/算定事由発生日以前3ヶ月の総日数
    • 例外的な計算式
      1. 日給・時間給・出来高払い制その他の請負制の場合
         賃金総額/その期間中の労働日数 × 60/100
      2. 賃金の一部が月・週・その他一定の期間によって定められた場合
         その部分の総額/その期間の総日数 + a. の額
    • 賃金締め切り日がある場合
       上記の計算式は、賃金締め切り日がある場合には、直前の賃金締め切り日から起算する。
    • 総日数と賃金総額を平均賃金算定式から除外するもの
      • 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
      • 産前産後の女性が法の規定によって休業した期間
      • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
      • 法定の育児・介護休業をした期間
      • 試用期間
    • 賃金総額を平均賃金算定式から除外するもの
      • 臨時に支払われた賃金
      • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
      • 現物給付
    • 平均賃金に関するその他の規定
      • 雇い入れ後3ヶ月に満たない者雇い入れ後の期間に基づいて計算する
      • 日々雇い入れられる者厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする
      • 以上によって算定することができない場合厚生労働大臣の定めるところによる
  • 平均賃金を用いる場合と算定事由発生日
    • 解雇予告手当の1日単価:労働者に解雇を通告した日
    • 休業手当の1日分の単価:休業の日
    • 年次有給休暇の1日分の賃金単価:休暇取得日
    • 災害補償の1日分の単価
      • 負傷・死亡原因事故の発生日
      • 疾病診断によってその発生が確定した日
    • 就業規則による減給の制裁の1日分の単価:制裁の意思表示が相手方に到達した日

賃金支払5原則と例外

通貨払いの原則

 日本国内で強制的な通用力のある貨幣で支払うことを指す。

 以下に例外を示す。

  • 法令に別段の定めがある場合
  • 労働協約に別段の定めがある場合
  • 次の方法(厚生労働省令)による場合(労働者の同意が必要、口頭可)
    • 通常賃金の場合
      • 労働者が金融機関に有する預貯金口座への振り込み
      • 労働者が証券会社に開設した一定の要件を満たす預り金である証券総合口座への払込み
    • 退職手当の場合
    • 通常賃金の場合
      • 労働者が金融機関に有する預貯金口座への振り込み
      • 労働者が証券会社に開設した一定の要件を満たす預り金である証券総合口座への払込み
      • 小切手、郵便為替

直接払いの原則

 労働者本人に対して直接支払うことを指す。

 使者への支払は可、代理人への支払は不可と解されている。

全額支払い

 控除等をすることなく全額を支払うことを指す。

 法令に別段の定めがある場合労使協定が締結されている場合は除く。

月1回以上払い

 毎月毎に少なくとも1回は支払うべきことを指す。

 臨時に支払われる賃金、賞与等や、1ヶ月を超える期間の勤務成績等を基礎として支給される手当等は除く。

一定期日払い

 特定され、一定の周期で到来する期日に支払うことを指す。

 臨時に支払われる賃金、賞与等や、1ヶ月を超える期間の勤務成績等を基礎として支給される手当等は除く。

その他の賃金に関する規定

  • 非常時払い
    • 使用者は、労働者が非常の場合の費用に充てるためとして請求した場合には、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を繰り上げて支払わなければならない。
    • 非常の場合は以下の場合が該当し、労働者の収入によって生計を維持する者について生じたものも含む。
      • 出産、疾病、災害に関するもの
      • 結婚、死亡
      • やむを得ない事由により1週間以上に渡って帰郷する場合
  • 休業手当
    • 使用者は、その責めに帰すべき事由により休業する場合には、休業期間中、休業した労働者に対して休業手当を支払わなければならない。
    • 支払い額は1日について平均賃金の60/100以上
    • 支払時期は所定の賃金支払日に行う必要がある。
  • 出来高払制の保障給
    • 労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない。

労働時間・休憩・休日の基本規定

労働時間

法定労働時間

  • 原則
     使用者は、労働者を休憩時間を除き1週間に40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならない
  • 特例
     以下に属する業種で、常時使用する労働者の数が10人未満の場合は、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。
    • 商業の事業
    • 映画・演劇(映画製作を除く)の事業
    • 保健衛生の事業
    • 接客娯楽の事業

労働時間の計算

  • 原則的な計算
     実労働時間+手待ち時間を労働時間とする
  • 特殊な労働時間の計算
    • 労働者が2以上の異なる事業場で労働した場合:これらの時間を通算する
    • 坑内労働:労働者が坑口に入った時刻から坑口から出た時刻まで、坑内での休憩時間も含めて労働時間とする

休憩

休憩時間の付与

 使用者は、労働時間の途中に、労働時間の長さに応じた次の休憩時間を付与しなければならない。

  • 6時間以内:不要
  • 6時間を超え8時間以内:少なくとも45分
  • 8時間を超える場合:少なくとも1時間
  • 時間外労働で長時間労働となった場合:その日を合計して少なくとも1時間の付与で足りる

休憩時間の一斉付与

 使用者は、以下の例外を除き、休憩時間を全労働者に一斉に与えなければならない。

  • 労使協定を締結した場合
  • 坑内労働者の場合
  • 運輸交通業、商業、金融広告業、映画演劇の事業、郵便通信業、保健衛生業、接客娯楽業、非現業の官公署の労働者
  • 屋内勤務者30人未満の郵便の業務に従事する者、運送・郵便事業における長距離乗務員等
    • この場合においては、一斉付与だけでなく、休憩時間その者を付与することを要しない

休憩時間の自由利用の保障

 以下の場合を除き、原則として休憩時間は、労働者に自由に利用させなければならない。

  • 警察官、消防吏員、常勤の消防団員、児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
    当然に自由利用をさせないことができる
  • 乳児院、児童養護施設、知的障害児施設等に勤務する職員で、児童と起居をともにする者
    →あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を得て自由利用をさせないことができる

休日

休日付与の原則

  • 週休制の原則
     使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
  • 4週4休日制
     条規の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用されない。

代休と振替

  • 振替休日の用件
    1. 就業規則その他これに準ずるものにより、必要により休日を振り替えることができる旨を定めること
    2. 振り替える前に、あらかじめ振り返るべき日を特定して振り替えること
    3. 4週4休日が確保出来るようにすること

 振替の用件を満たさないで休日労働させた場合は、後日休日を与えたとしても代休の取扱となり、休日労働に対する割増賃金を支払わなければならない。

労働時間・休憩・休日の適用除外者

 以下のいずれかに該当する者は、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない

  • 農業、水産の事業
    • 農業又は水産の事業を労働者を使用して行っている場合を指し、自己のみ又は家族従事者のみで営んでいる場合は自営業者であり、これに該当しない。
    • これらの者は行政官庁の認定や許可などの手続きは不要。
  • 監督・管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者
    • 監督・管理の地位にある者:一般的に管理職を指すが、名称等に係わらず実態に即して判断される
    • 機密の事務を取り扱う者;秘密の書類を取り扱う者に限らず、秘書等の名称で経営者等と一体的に活動し、厳格な労働時間管理になじまない者を指す。
    • これらも者は行政官庁の認定や許可などの手続きは不要。
  • 監視又は断続的労働従事者
    • 監視労働:一定の部署で簡単な計器等を監視し、身体的・精神的疲労の少ないものをいう。
    • 断続的労働:通常は閑散とした業務であり、事故発生に備えて待機するものなどをいう。宿直や日直の勤務もこれに該当する。
    • これらについては従事する労働の態様及び員数について、所轄労働基準監督署長の許可を受けなければならない。

労働時間の弾力的運用

裁量労働制

 みなし労働制は以下の2種類に分類される。

  • 事業外労働:事業場外での労働について、労働時間を算定しがたい場合
  • 裁量労働
    • 専門業務型裁量労働制
    • 企画業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制

  • 対象業務
     業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労使協定で定める業務
  • 実施する場合の手続き
    以下の事項を定めて、これを所轄労働基準監督署長に届け出なければならない
    1. 対象業務
    2. 見なし労働時間(労働時間として算定される1日当たりの時間)
    3. 裁量労働制を実施する旨
    4. 対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置を使用者が講ずること
    5. 対象労働者からの苦情の処理に関する措置を使用者が講ずること
    6. 労使協定の有効期間の定め(3年以内にすることが望ましいとされている)
    7. 以下の3事項を記録し、労使協定の有効期間中及びその後満了後3年間保存すること
      1. 対象労働者の労働時間の状況
      2. 前記 iv の措置として講じた措置
      3. 前記 v の措置として講じた措置

企画業務型裁量労働制

 企画業務型裁量労働制を実施するには、専門業務型とは違い、労使委員会の設置を行わなければならない。なお、労使委員会の設置した事実委員の状況については、所轄労働基準監督署長に届け出る義務は無い。

  • 対象となる事業場と対象業務
     事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務
  • 労使委員会の設置
    労使委員会は次のいずれにも該当するものでなければならない。
    1. 委員会設置の目的
       賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対して当該事項について意見を述べること
    2. 委員会の委員の構成
       その半数については、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、無い場合には労働者の過半数を代表する者に人気を定めて指名されていること
    3. 議事録の保存と周知
       委員会の議事の開催の都度議事録を作成し、かつ開催の日から3年間保存するとともに、労働者に周知すること
    4. 運営規定の定め
       委員会の招集、定足数、疑似その他委員会の運営に関する必要な規定が定められていること
  • 労使委員会の決議
     企画業務型裁量労働制を実施するためには、労使委員会において出席した委員の4/5以上の多数による議決により次の事項を決議し、当該決議を使用者が所轄労働基準監督署長に届け出なければならない
    1. 対象業務
    2. 対象者の範囲
    3. 見なし労働時間
    4. 対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置を使用者が講ずること
    5. 対象労働者からの苦情の処理に関する措置を使用者が講ずること
    6. 使用者はこの裁量労働制を適用することについて労働者の同意を得なければならないこと、及び当該同意をしなかった労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと
    7. 委員会の決議の有効期間の定め
    8. 以下の4事項に関して労働者ごとに記録し、決議の有効期間中及びその後満了後3年間保存すること
      1. 対象労働者の労働時間の状況
      2. 前記 iv の措置として講じた措置
      3. 前記 v の措置として講じた措置
      4. 前記 vi に基づく対象労働者の同意
  • 実施後の定期報告の義務
    • 労使委員会の決議の届出をした使用者は、定期的に、対象労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況について、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない
    • この報告は、当分の間、決議の日から起算して6ヶ月以内ごとに1回行うべきこととされている。

弾力的労働時間制度

1ヶ月単位の変形労働時間制

  • 実施用件
    • 形式:労使協定の締結又は就業規則これに準ずるものにより定める
    • 変形期間:1ヶ月以内とする
    • 1週間平均の労働時間:法定労働時間(40時間または44時間)以下とする
    • 手続き:労使協定を所轄労働基準監督署長に届出を要する
  • 実施する場合の具体例
    • 特定の1日または1週間の労働時間についての制限はない。
    • 期間中の法定労働時間の総枠は、週の法定労働時間 × 変形期間中の総日数/7で算出される。
  • 労使協定等で定めるべき事項
    1. 変形期間の長さとその起算日
    2. 対象労働者の範囲
    3. 変形期間中における各労働日と各週の労働時間数
    4. 労使協定等の有効期間
  • 育児等を行う者に対する配慮義務
     使用者は以下のような事情を有する者には、必要な時間が確保出来るような配慮をしなければならない。
    1. 育児を行う者
    2. 家族介護を行う者
    3. 職業訓練・教育を受ける者
    4. その他特別の配慮を要する者

1年単位の変形労働時間制

  • 実施用件
    • 形式:必ず労使協定の締結を要する
    • 変形期間:1ヶ月を超え1年以内とする
    • 1週間平均の労働時間:法定労働時間(40時間または44時間)以下とする
    • 手続き:労使協定を所轄労働基準監督署長に届出を要する
  • 労使協定等で定めるべき事項
    1. 対象労働者の範囲
    2. 変形期間の長さとその起算日
    3. 特定期間を定める場合には、その期間(対象期間中の業務が繁忙な期間を特定期間とすることができる)
    4. 変形期間中における各労働日及び労働日毎の労働期間(原則全てを特定するが、例外もある)
    5. 労使協定の有効期間
  • 労働日及び労働日労働時間の特定に関する例外
     対象期間を1ヶ月以上の期間ごとに区分する場合には、以下のような例外的取扱いが認められている。
    1. 最初の区分された期間
       原則通り、その期間中の労働日及び労働日ごとの労働時間を特定しておかなければならない。
    2. 第2区分以降の期間
       当初は、各期間ごとの労働日数及び総労働時間を定めれば足り、労働日の特定と労働日ごとの労働時間を特定する必要はない
    3. 第2区分以降の特定
       各機関の少なくとも30日前までに、当該事業場の過半数労働組合またはそれに類する代表者の同意を得て、書面により特定しなければならない。
  • 労働日数の限度
    1. 対象期間が3ヶ月以内である場合:特に制限はなく、対象期間を通じて法定分の休日が与えられていればよい
    2. 対象期間が3ヶ月を超え1年未満である場合:1年あたりに換算して280日が限度となる(280 × 対象期間の総日数/365)
    3. 対象期間が1年である場合:280日が限度
  • 連続労働日数の限度
    • 原則:6日が限度
    • 特定期間における特例:1週間に1日の休日が確保出来る日数が限度となり、最大で12日となる
  • 労働時間の限度
    • 原則:対象期間の長短に関係無く、1日について10時間、1週間について52時間
    • 対象期間が3ヶ月を超える場合は以下の用件を満たさなければならない
      1. 対象期間全体を通じて、労働時間が連続して48時間を超える週の数は3以下
      2. 対象期間の初日から3ヶ月ごとに区分した各期間において、労働時間が48時間を超える週の初日の数は3以下
  • 一定の業務における労働時間の限度の特例
    • 積雪地域における建設業等の特例
       業務の性質上陶器に事業活動を縮小することを余儀なくされる場合には、当分の間、労働時間の限度は1日10時間、1週52時間を遵守すれば足りる。
    • 確実勤務制のタクシー行頭の特例
       当分の間、労働時間の限度は1日16時間、1週52時間となる。
  • 賃金の精算義務
     対象期間の途中で退職する場合や、途中から就労を開始する労働者がいる場合には、その者の労働期間の労働時間が1週間を平均して40時間を超えている場合は、法定の割増賃金を支払わなければならない
  • 育児等を行う者に対する配慮義務
     1ヶ月変形労働時間制の場合と同様。

1週間単位の変形労働時間制

  • 実施用件
    • 対象となる業種:小売業、旅館、料理店、飲食店の事業
    • 規模:常時30人未満
    • 手続き等:労使協定を締結して、所轄労働基準監督署長に届け出る
  • 労働時間の制限等
    • 1日・1週間の労働時間の限度
       1日については10時間、1週については40時間が限度
    • 実施期間中の労働時間の特定
       予め定めておく必要はなく、ある1週間の開始前に、その週の労働日と労働時間を特定し、これを書面により労働者に通知すれば足りる。
    • 通知した労働時間の変更
       やむを得ない事由により通知した労働時間を変更するには、その前日までに書面で通知すれば変更することができる
  • 育児等を行う者に対する配慮義務
     1ヶ月変形労働時間制の場合と同様。

フレックスタイム制

  • 実施用件
    • 業種:業種、規模ともに制限無し
    • 対象労働者:制限無し
    • 手続き等
      • 就業規則その他これに準ずるものにより始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定めた上で、労使協定を締結する
      • 労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない
  • 労使協定で定めるべき事項
    • 必ず定めが必要な事項
      • 対象となる労働者の範囲
      • 清算期間(最長1ヶ月)
      • 清算期間中の総労働時間(法定労働時間の限度内でなければならない)
      • 標準となる1日の労働時間(有給取得時の賃金額計算の目安にするため)
    • 任意に定められる事項
      • コアタイム
      • フレキシブルタイム(労働時間として選択することができる時間帯)
  • 育児等を行う者に対する配慮義務
     規定無し。