行政法 / 地方自治法


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地方自治法の基本原則

 地方自治法は、「地方自治の本旨」に基づいて、地方公共団体の区分や組織・運営、国との関係などを定めるものをとなっている。

 ここで、地方自治の本旨とは、「住民自治」と「団体自治」の二つの柱から成り立っている。

住民自治
地方行政についてその地方の住民の意思で自主的に処理させること
団体自治
中央政府から独立した法人格を有する地域団体が、地方政治を担当すること

 つまり、地方自治法は、住民自治・団体自治を前提に、地方公共団体の区分や組織・運営、国との関係などを定めるものであり、住民自治・団体自治に反するような区分や組織・運営、国との関係を定めてはならないということになっている。

地方公共団体の種類

総論

 地方自治法は、地方公共団体の区分として、普通地方公共団体と特別地方公共団体に分けている。前者は、都道府県・市町村を指し、後者は特別区、組合、財産区、地方開発事業団を指す。

普通地方公共団体

 普通地方公共団体の、市町村において、市については、普通の市、政令指定都市・中核市・特例市の4種類がある。

  • 政令指定都市
    • 人口50万人以上の市で政令で定められたもの
    • 都道府県の事務の一部を処理する権能を認められている
  • 中核市
    • 人口30万人以上の市で政令で指定されたもの
    • 政令指定都市ほどではないが、それに準じた事務処理の権能が認められている
  • 特例市
     人口20万人以上の市で、中核市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが特例市が処理することに比べて効果的な事務、その他、特例市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる

 次に、都道府県とは、市町村を包括する広域的な地方公共団体をいう。
 市町村と都道府県の関係については、都道府県は市町村を包括する団体であることから、広域にわたる事務、町村に関する連絡調整事務、一般の市町村が処理することが不適当な規模の事務処理を行い、通常の一般的な事務については市町村が優先的に処理するものとされている’市町村優先の原則)。

特別地方公共団体

 特別地方公共団体は、法律が定める特別の事務処理を行う地方公共団体をいい、特別区、地方公共団体の組合、財産区、地方開発事業団の4種類がある。

  • 特別区
     東京23区のことを指す。市町村と同様の性格を持ち、基礎的な地方公共団体として、市に関する規定が適用される。
  • 地方公共団体の組合
     複数の地方公共団体が一部または全部の事務を共同して処理するために設ける団体を言い、以下の4種類がある。
    • 一部事務組合
       普通地方公共団体または特別区が、その一部の事務を共同処理するために設ける組合
    • 広域連合
       普通地方公共団体または特別区が、広域的な処理が必要な事務について行政需要に対応できるように、総合的・計画的に処理するために設ける組合
    • 全部事務組合(2011年8月1日に廃止)
       町村に限り、その事務の全部を共同処理するための組合
    • 役場事務組合(2011年8月1日に廃止)
       町村に限り、執行機関の事務を共同処理するための組合
  • 財産区
    • 市町村または特別区の一部で財産を有しもしくは公の施設を設けるものをいう
    • 財産区は、その財産または公の施設の管理・処分・廃止につき法律上の人格を有する
    • 市町村合併の際に旧市町村が所有や管理していた山林や温泉などを、新市町村に引き継がずに旧市町村の地域で管理・処分するために設置される場合などがある
  • 地方開発事業団
    • 複数の普通地方公共団体で事業を行うために設置される行政組織
    • 住宅、工業用水道、道路、港湾、水道、下水道、公園緑地その他政令で定める施設の建設や、土地区画整理事業に係る工事などを行う

地方公共団体の事務

総論

 地方公共団体が処理する事務には、地方政府である自己に固有の事務(自治事務)と、中央政府が本来行うべき事務を肩代わり的に行う事務(法定受託事務)の2種類がある。

自治事務

 地方公共団体の独自の事務。多種多様な地方公共団体の事務をとらえるため、法律では、「地方公共団体が処理する事務で、法定受託事務以外のもの」と定義されている(2条8項)

法定受託事務

 国・都道府県が本来すべき事務だが、それを地方公共団体が代わって行う事務のこと。以下の2つに分類される。

  • 第1号法定受託事務
     法律またはこれに基づく政令により、本来は国の事務だが、それを都道府県・市町村・特別区に委託して処理して貰う事務。戸籍に関連する事務がこれにあたる。
  • 第2号法定受託事務
     法律またはこれに基づく制令により、本来、都道府県の事務だが、それを市町村・特別区に委託して処理して貰う事務。都道府県議会議員の選挙に関する事務がこれにあたる。

住民


基本事項

意義

 市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

権利義務

 住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を分担する義務を負う。

選挙権・被選挙権

 日本国民たる地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員および長を選挙する権利を有する。

選挙権等まとめ

年齢要件住所要件国籍要件
議員・長の選挙権20歳以上あり(3ヶ月在住)あり
被選挙権議会の議員25歳以上あり(3ヶ月在住)あり
市町村長25歳以上なしあり
都道府県知事30歳以上なしあり

住民の直接請求制度

 普通地方公共団体における住民には、直接請求が数多く認められている。直接請求とは、住民が一定の事柄について、議員などを通じて(間接的)ではなく、そのまま直接に当該機関に請求することをいう。
 この住民の直接請求制度は、現行法では5種類定められている。

条例の制定・改廃請求

  • 意義
     普通地方公共団体において選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の1/50以上の者の連署をもって、その代表者から当該普通地方公共団体の長に対して、条例の制定または改廃を請求することができる。ただし、地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料および手数料の徴収に関するものは除く
     上記の住民の連署については、条例の制定または改廃の請求者の代表者は、条例の制定または改廃の請求者の署名簿を市町村の普通管理委員会に提出してこれに署名し、印を押した者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。
     また、選挙管理委員会は署名の証明を求められた場合においては、その日から20日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。
  • 請求を受けた者の対応
     上記の請求を受けた長は、直ちに請求の要旨を公表する。また、長は請求受理から20日以内に議会を招集し、違憲を付けて議会に付議して、結果を公表および代表者に通知しなければならない。なお、付議された事件の審議を行うときは、政令の定めによって代表者に意見陳述の機会を与えることとされている。

監査請求

  • 意義
     普通地方公共団体において選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の1/50以上の者の連署をもって、その代表者から、当該普通地方公共団体の監査委員に対し、監査の請求をすることができる。なお、監査の内容は、当該普通地方公共団体の事務の執行に関する包括的な監査を指す。事務の執行に関することなら内容は限定されない。
     また、よく似た概念に住民監査請求があるが、これは、財務・会計上の違法・不当な公金の支出に監査内容が限定されている点で区別される。署名の証明については条例の制定・改廃請求と同様となる。
  • 請求を受けた者の対応
     上記の請求を受けたときは、監査委員は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。また、監査委員は、請求に係る事項につき監査し、監査の結果に関する報告を決定し、この決定内容を請求の代表者に送付し、公表するとともに、当該普通地方公共団体の議会および長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会もしくは公平委員会、公安委員会、地方労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会または委員に提出しなければならない。

議会解散請求

  • 意義
     普通地方公共団体において選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の1/3以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対して、当該普通地方公共団体の議会の解散を請求することができる。
     なお、選挙権者の総数が40万を超える場合にあっては、有権者の1/3という要件は緩和され、その超える数に1/6を乗じて得た数と40万に1/3を乗じて得た数字とを合算して得た数で足りることとされている。つまり有権者数が80万人の場合、本来であれば80万の1/3以上であるから、約26.6万人以上の連署が必要となるが、緩和の要件でいくと、(80万 - 40万) * 1/6 = 約6.6万人で、これに40万 * 1/3 = 約13.3万人をプラスするので、約20万人の連署で足りることとなる。
  • 請求を受けた者の対応
     上記の請求を受けたときは選挙管理委員会は直ちに請求の要旨を公表しなければならない。また選挙管理委員会は、これを選挙人の投票に付さなければならない(つまり住民投票を行う必要があるということ。この結果、過半数の産制があれば議会は解散する)。
  • 効果
     解散の投票の結果が判明したときは、選挙管理委員会は直ちにこれを代表者および当該普通地方公共団体の議会の議長に通知し、かつ、これを公表するとともに都道府県にあっては都道府県知事に、市町村にあっては市町村長に報告しなければならない。その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。さらに、普通地方公共団体の議会は、解散の投票において過半数の同意があったときは、解散するものとする。
  • 行使の制限
     普通地方公共団体の議会の解散の請求は、議会の議員の一般選挙のあった日から1年間および解散の投票のあった日から1年間は、これをすることができない。

議員および長の解散請求

  • 意義
     普通地方公共団体において選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の1/3以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職、および長の解職請求をすることができる。連署の数の緩和については、議会の解散請求と同様となっている。
  • 請求を受けた者の対応
     上記の請求があったときは、選挙管理委員会は、直ちに請求の要旨を関係区域内に公表しなければならない。また、選挙管理委員会は、これを当該選挙区の選挙人の投票に付さなければならない。この場合において選挙区がないときは、全ての選挙人の投票に付さなければならない。つまり、住民投票を行う必要があるということになる。住民投票の結果、過半数の賛成があれば議員および長は失職することになる。
  • 効果
     解職の投票の結果が判明したときは、選挙管理委員会は直ちにこれを代表者および当該普通地方公共団体の議会の議長に通知し、かつ、これを公表するとともに、都道府県にあっては都道府県知事に、市町村にあっては市町村長に報告しなければならない。その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。
     さらに、当該議員および長は、解職の投票において過半数の同意があったときは、解職するものとする。
  • 行使の制限
     普通地方公共団体の議会の議員または長の解職の請求は、その就職の日から1年間および解職の投票の日から1年間は、これをすることができない。

特定の職員の解職請求

  • 意義
     普通地方公共団体において選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の1/3以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対して、当該地方公共団体の”知事もしくは副市町村長、∩挙管理委員もしくは監査委員または公安委員会の委員の解職を請求することができる。
  • 請求を受けた者の対応
     上記の請求があったときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
     また、当該普通地方公共団体の長は、これを議会に付議し、その結果を代表者および関係者に通知し、かつ、公表しなければならない。
  • 効果
     議会において、当該普通地方公共団体の議会の議員の2/3以上の者が出席し、その3/4以上の者の同意があったときは、当該職員はその職を失う。
  • 行使の制限
     副知事もしくは副市町村長の解職の請求は、その就職の日から1年間および解職確定の議会の議決の日から1年間は、これをすることができない。

直接請求制度まとめ

種類範囲請求者請求先請求後の措置
条例の制定・
改廃の請求
条例に関するすべて。
但し、地方税の賦課
徴収や分担金・使用
料・手数料の徴収に
関するものは除く
選挙権者の1/50以上の連署
によって代表から
\禅瓩鮗理した日から
 20日以内に議会にかけ、
 結果を公表しなければ
 ならない。
∋件の審議を行うに
 当たって政令の定める
 ところにより、代表者に
 意見を述べる機会を
 与えなければならない
監査請求地方公共団体の事務
のすべて
選挙権者の1/50以上の連署監査委員監査委員は監査して結果を
公表する
議会の
解散請求
地方公共団体の議会選挙権者の1/3以上の連署選挙管理
委員会
住民投票を行い、過半数の
同意があれば解散する
議員および
長の解職請求
地方公共団体の議会
の議員
選挙権者の1/3以上の連署選挙管理
委員会
住民投票を行い、過半数の
同意があれば失職する
地方公共団体の長
役員の解職請求副知事・副市長・選挙
管理委員・監査委員・
公安委員会の委員など
選挙権者の1/3以上の連署議員の2/3以上の出席で、
その3/4以上の同意が
あれば失職する

地方議会

 普通地方公共団体には、地方議会を置くものとされている。地方議会は、住民により選挙された議員により構成され、住民の意思を反映して普通地方公共団体の議決機関として活動する。議会と長とは対等関係にあり、それぞれに法定された制限を自らの判断と責任の下に行うのみとなっている。
 なお、町村は、条例で議会を置かずに、選挙権を有する者の総会を設けることができるが、反対に、都道府県と市には必ず議会を置くこととされている。

議会の招集と会期

召集

 地方議会の招集は、地方公共団体の長が招集する
 また、議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる
 さらに、議員定数の1/4以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき案件を示して臨時会の招集を請求することができる
 そして、請求を受けた長は、請求のあった日から20日以内に臨時会を招集しなければならない。


会期

 地方議会は、定例会と、臨時会(必要に応じて長が予め告示した特定の内容を処理するために招集)の会期で活動する。

議長および副議長、委員会

 議会では議長および副議長を選挙により定める必要がある。議長は委員会に出席して発言することもできる。
 議長および副議長は議会の許可を経て辞職することができるが、副議長は、議会閉会中は、議長の許可を得るだけで辞任できる。

 議会における委員会の種類は以下の3つとなっている。

  • 常任委員会
     その部門に属する事務の調査を行い、議案・陳情等を審査する。
  • 議会運営委員会
     議会運営に関する調査や議会の会議規則等に関する事項に関して調査を行い、議案・陳情等を審査する。
  • 特別委員会
     議会の議決で付議された特定の事件を審査するため、議会で審議されている間設けられる。

議事

  • 定員数
    • 議会では、原則として半数以上の議員が出席しないと、会議を開くことはできない
    • また、議会の表決についても、原則として過半数で決定し、可否同数の場合には議長が決定する
  • 議案の提出
    • 議案の提出は長が行うことができる
    • また、議員が提出する場合には、議員定数の1/12以上の賛成が必要となる
      • ただし、議員は予算に関する議案は提出できない
  • 秘密会の開催
    • 議会の会議は公開が原則となっている
    • ただし、議長または議員3人以上の発議により、出席議員の2/3以上の多数で議決した場合には、秘密会を開くことができる
  • 会議録・請願
    • 会議録については、議長が、事務局などを調製させ、記載させ、議長および議会において定めた2人以上の議員が署名しなければならない
    • また、議会に請願書を提出しようとする者は、議員(1人で可)の紹介により請願書を提出しなければならない。

地方議会の権限

議決権議会は、法定の事項について地方公共団体の意思を議決する。
選挙権議長・副議長の選挙、仮議長の選挙など。
監視権検査権と監査請求権。
調査権いわゆる100条調査権。地方公共団体の事務に関する調査を行い、出頭・証言・記録の提出を請求する。
決定権議会の行う選挙についての異議に対する決定、議員の資格決定
意見提出権地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会または関係行政庁に提出する。
同意権副知事や副市町村長の選任に対して同意を与える。
懲罰権法令に違反した議員に対して、議決により懲罰を与える。
不信任議決権長に対する不信任決議。
請願受理権請願の受理。
会議規則制定権議会運営に関して、会議規則を設ける。
条例制定権法定の事項について自立立法である条例を制定する。

条例制定権


意義

 条例とは、地方公共団体の議会によって制定される自主立法のことを言い、憲法第94条に「地方公共団体は、(中略)、法律の範囲内で条例を制定することができる」と規定されており、地方公共団体が自主立法権として条例制定権を有することを規定している。
 条例は、地方自治の本旨として団体自治、すなわち地方公共団体が国から独立してその地域の行政事務を処理することが認められていることから、その自治権の内容として、自主行政権と共に当然に自主立法権として認められている。
 条例は可決されると、議会の議長から長に3日以内に送付される。そして、条例が制定されると、特別の規定がない限り公布の日から10日経過した日から施行される

範囲

 条例制定権は、国会の立法と異なり、以下のような制約を受ける。

  • 条例は、地方公共団体が団体自治に基づいて、その団体の事務を処理するために必要な自主立法権であるため、条例は、その地方公共団体の事務に関してのみ制定することができる
  • 地方公共団体の事務であっても、もっぱら長その他の執行機関のみで処理すべき専属的権限に属する事項については、条例を制定することができない
  • 自主立法権と言えども国法秩序の下にあるため、条例は、法律の範囲内で定めなければならない

100条調査権

意義

 地方分権化に伴い、地方政治をより効果的・機能的に行えるために、当該普通地方公共団体の事務に関して議会に特別な権能を付与したもの。
 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭および証言並びに記録の提出を請求することができるとされている。
 なお、100条の2では、「普通地方公共団体の議会は、議案の審査または当該普通地方公共団体の事務に関する調査のために必要な専門的事項にかかる調査を学識経験を有する者等にさせることができる」としている。

適用除外

 次の場合には、地方故郷団体の事務に関する事項であっても調査権は行使できない

  1. 自治事務の場合、地方労働委員会および収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるもの
  2. 法定受託事務の場合、国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるもの

罰則等

 100条1項の規定により出頭または記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が正当な理由がないのに、議会に出頭せずもしくは記録を提出しないときまたは証言を拒んだときは、6箇月以下の禁錮または10万円以下の罰金に処する
 また、議会が100条1項の規定による調査を行うため当該普通地方公共団体の区域内の団体に対し照会しまたは記録の送付を求めたときは、当該団体等は、その求めに応じなければならないとされている。

地方議会の議員

 地方議会の議員の任期は4年とされている。

 また、議員は、以下のような一定の職種との兼職を禁止されている。

  1. 普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員または参議院議員と兼ねることができない
  2. 普通地方公共団体の議会の議員は、地方公共団体の議会の議員ならびに常勤の職員および地方公務員法に規定する短時間勤務職員と兼ねることができない
  3. 普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者およびその支配人または主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役もしくは監査役もしくはこれらに準ずべき者、支配人および清算人たることができない

執行機関

 執行機関とは、地方公共団体の事務を管理し、執行する機関であり、その担当する事務について自ら意思決定を行い、表示ができる機関をいう。従って、地方公共団体の執行機関としては、長と行政委員会が該当し、補助機関などは執行機関には含まれない

長の地位と権限、補助機関

地位

 地方公共団体の長は、住民の直接選挙により選出される。また、都道府県には知事を、市町村には市町村長をおくものとされている。
 それぞれ任期は4年であり、任期中は、衆議院議員または参議院議員と兼ねることができず、また、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員および短時間勤務職員との兼職も禁止されている(兼職禁止規定)。
 さらに、関係し企業との癒着を防止するために、長は当該普通地方公共団体に対し請負をする者およびその支配人または主として同一行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く)の無限責任社員、取締役、執行役もしくは監査役もしくはこれらに準ずべき者、支配人および清算人と兼業することができないとされている。

権限

 長の権限は概観すると以下の3つになる

  1. 当該普通地方公共団体の事務を管理しおよびこれを執行すること<149条>
    1. 普通地方公共団体の議会の議決を経るべき事件につきその議案を提出すること
    2. 予算を調製し、およびこれを執行すること
    3. 地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金または手数料を徴収し、および過料を科すること
    4. 決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること
    5. 会計を監督すること
    6. 財産を取得し、管理し、および処分すること
    7. 公の施設を設置し、管理し、および廃止すること
    8. 証書および公文書類を補完すること
    9. 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること
  2. その補助機関たる職員を指揮監督すること
  3. 当該普通地方公共団体を統轄・代表すること

 また、議会に対しては、拒否権を有する<176条等>。
 なお、長はこれらの与えられた権限を執行するために、法令に反しない限りにおいて規則制定権を有する<15条>。

補助機関

 補助機関とは、長の職務執行を補助するための機関をいう。

  • 都道府県知事の主な補助機関
     副知事と会計事務の責任者である会計管理者が置かれる
  • 市町村長の主な補助機関
     副市町村長と会計事務の責任者である会計管理者が置かれる

規則と条例の比較

規則条例
制定機関
∨[Г猟蠅瓩ある場合、行政委員会が
 定めることもできる。
仝饗Г箸靴董議会の議決により制定
議会を招集する暇などがないと認めるとき、
 長は議会の議決を経ずに制定できる
対象長の権限に属する事務地方公共団体の事務
罰則5万円以下の過料(秩序罰)2年以下の懲役・禁錮・100万円以下の罰金・
拘留・科料・没収(行政刑罰)または5万円
以下の過料

長の補助機関

都道府県市町村
長の保佐名称副知事副市町村長
人数定数は条例で定める。なお、条例で置かないことも可
選任長が議会の同意を得て選任
解任長は、議会の同意を得ずに解任できる。
会計事務名称会計管理者
人数1名
選任長が任命

行政委員会

 行政委員会とは、数人の委員によって構成される合議体の執行機関をいう。また、行政委員とは、原則として単独で職務を行う独人制の執行機関である(以下、便宜的に両者をまとめて行政委員会と表す)。
 行政委員会は、行政の中立性確保・専門的知識の必要などの要請から、長から独立して行うべき事項について、長の政治的な影響力を排除して、長から独立した立場で事務を管理・執行する機関が必要なことから認められるものとなっている。

種類

 地方自治法や関連する法令は、都道府県および市町村におくべき行政委員会について、規定している。

  • 都道府県・市町村に共通に置くべき委員会
    1. 教育委員会
    2. 選挙管理委員会
    3. 人事委員会(公平委員会)
    4. 監査委員
  • 都道府県のみに置くもの
    1. 公安委員会
    2. 地方労働委員会
    3. 収用委員会
    4. 海区漁業調整委員会
    5. 内水面漁場管理委員会
  • 市町村のみにおくもの
    1. 農場委員会
    2. 固定資産評価審査委員会

長と議会の関係

議会に対する長の抑制

  1. 長の一般的再議権
    1. 普通地方公共団体の議会における条例の制定もしくは改廃または予算に関する議決について異議があるときは、当該普通地方公用団体の長は、その送付を受けた日から10日以内に理由を示してこれを再議に付すことができる。
    2. 議会が再議の結果、出席議員の2/3以上の多数で再議決した場合には、その議決は確定する
  2. 長の特別的再議権
    1. 議会の議決または選挙がその権限を越えまたは法令もしくは会議規則に違反すると認めるときは、長は、理由を示してこれを再議に付しまたは再選挙を行わせなければならない。
    2. 再議または再選挙の結果がなお違法と認めるときは、都道府県知事は総務大臣、市町村長は都道府県知事に対し、当該議決または選挙があった日から21日以内に審査を申し立てることができる。
  3. 長の財務上の特別的再議権
    1. 議会の議決が、収入または支出に関し執行することができないものであると認めるときは、長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
    2. 議会において次に掲げる経費を削減しまたは減額する議決をしたときは、その経費およびこれに伴う収入についても、同様とする。
      1. 法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他普通地方公共団体の義務に属する経費
      2. 非常の災害による応急もしくは復旧の施設のために必要な経費または伝染病予防のために必要な経費
  4. 長の専決処分
     例えば、普通地方公共団体の議会が成立しないとき、会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、または議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。これを長の専決処分という。
     この場合は、長は次の議会に報告し、承認を求めなければならない。
     なお、前記のように緊急の場合に行われる専決処分の他にも、議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定した場合(議会の委任)に認められる専決処分もある。

長に対する議会の抑制

  1. 長に対する議会の不信任決議
    1. 議会において、長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を長に通知しなければならない。この場合においては、長は、その通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる
    2. 議会において長の不信任の議決をした場合において、10日以内に議会を解散しないとき、またはその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から長に対しその旨の通知があったときは、長は、当該機関が経過した日または議長から通知があった日においてその職を失う
    3. 不信任の議決については、議員の2/3以上の者が出席し、初めの不信任決議においてはその3/4以上の者、再不信任においてはその過半数の者の同意がなければならない
  2. 長の議案提出に対する議決権
  3. 事務の管理、議決の執行および出納の検査権
  4. 事務に関する調査権
  5. 副知事等の選任に対する同意権

監査

目的

 地方公共団体およびその機関の事務・事務の執行または財務の状況を検査し、その正否を調べることによって、事務・事務の執行党が効率的・合理的な行政を確保する。

監査委員による監査

  • 意義
    1. 監査委員の選任は、長が、識見を有する者と議員のうちから、議会の同意を得て行う
    2. 監査委員は、常勤の職員や短時間勤務職員と兼ねることができないほか<196条3項>、衆議院議員・参議院議員・検察官・警察官・収税官吏・公安委員会委員と兼ねることもできず、選挙権・被選挙権を有しない者も監査委員となれない<201条>。
      さらに、長、副知事・副市町村長と親子・夫婦・兄弟姉妹関係にある者の就任が禁止されている<198条の2>。
    3. 選任される監査委員の数は、都道府県および政令で定める市にあっては4人とし、その他の市および町村にあっては2人とする。ただし、条例でその定数を増加することができる<195条2項>。議員の内から選任する監査委員の数は、都道府県と人口25万人以上の市の場合には2人または1人、その他の使徒町村の場合は1人とされる<196条1項>。
    4. 監査委員は、識見を有する者のうちから選任される監査委員の1人を代表監査委員とするものとされており、代表監査委員は、監査委員に関する庶務を処理するほか、住民訴訟の結果地方公共団体が大和に対して訴訟を提起するときに団体を代表する<199条の3第1項、2項>。
      なお、都道府県の監査委員には事務局を置くことを要し、市町村の監査委員については条例で事務局を置くことができるものとされており、事務局には、事務局長、初期その他の職員を、事務局が置かれない場合には事務の保佐のための初期その他の職員を置く<200条>。
    5. 監査委員の任期は、識見を有する者の内から選任される委員は4年、議員から選任される委員は議員の任期によることになる<197条>。
    6. 監査委員はその身分が保障されており、その罷免については、長は、心身故障のため職務遂行に堪えないとき、職務上の義務違反その他監査委員たるに適しない非行がある時に限り、公聴会の開催を要件とする議会の同意を得て行うことができるものとされており、それ以外にその意に反して罷免されることはない<197条の2>。他方、監査委員が退職するには長の承認が必要とされる<198条>。

本来の監査

  • 一般監査
    1. 財務に関する事務の執行および経営に係る事業の管理を監査すること。
    2. 年1回以上実施される定例監査と必要がある時に実施される随時監査がある
  • 特別監査
    1. 住民からの事務監査請求による事務遂行の監査
    2. 住民監査請求による財務事務の監査
    3. 議会からの請求による監査
    4. 長からの請求による監査
    5. 長からの請求による財政援助団体等への監査

特例監査

  1. 決算および証書類等を監査委員の審査に付さなければならない。
  2. 現金の出納は、毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならない。
  3. 監査委員は、必要があると認めるとき、長の要求があるときは、指定された金融機関が取り扱う当該普通地方公共団体の公金の収納または支払の事務について監査することができる。

外部監査人による監査

  • 意義
     監査委員は地方公共団体の内部機関なので、独立性や専門性の確保には限界がでてくる。そこで、地方公共団体の組織に属さない外部の専門化と地方公共団体の間で締結した契約に基づいた監査制度が導入された。
  • 資格要件
  1. 普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた見識を有する
    1. 弁護士
    2. 公認会計士
    3. 国の行政機関において会計検査に関する業務事務に従事した者
    4. 地方公共団体において監査もしくは財務に関する行政事務に従事した者
    5. 税理士(普通地方公共団体が必要と認めるとき)
  2. 外部監査人は、監査の事務を他の者に補助させることができるが、政令の定めるところにより、予め監査委員に協議しなければならない。
  • 対象
    1. 包括外部監査契約
      • 会計年度ごとに案件を限定しないで監査を委託するものであり、都道府県、政令指定都市、中核市は包括外部監査契約を締結しなければならない
    2. 個別外部監査契約
      • 特定の場合に監査委員の監査に代えて監査を委託するもの。
    3. 包括外部監査契約と個別外部監査契約は相反する契約ではないので、併存することができる

監査委員と外部監査人との関係

 外部監査契約を締結したとしても、監査委員の制度は地方自治法に法定されている制度であるため、廃止することはできない。両者は併存する。

住民監査請求と住民訴訟

 地方公共団体における違法・不当な行為に対する住民の対抗措置としては、住民監査請求と住民訴訟が挙げられる。

住民監査請求

意義と要件

 住民訴訟請求とは、住民が、財務会計上の行為につき、違法または不当な行為または必要な行為を怠る事実があると考えるときには、まず監査委員に対して当該行為の防止・是正その他の必要な措置を講ずるべきことを請求することをいう<242条>。
 なお、住民の直接請求制度に挙げられていた「事務の監査請求<75条>」とは以下の点で異なる。

  1. 財務会計上の行為のみが対象となる
  2. 違法または不当な行為を要件とする
  3. 住民が複数人ではなく単独でも行うことができる

効果

 監査委員はまず監査を行い、請求に理由がないと認めるときは、理由を附してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。
 逆に、請求に理由があると認めるときには、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関または職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
 なお、監査委員の監査および勧告は、監査請求があった日から60日以内にこれを行わなければならない。

住民監査請求と監査請求の差異

住民監査請求監査請求
請求者住民(1人でも可)選挙権者の1/50以上
対象違法・不当な公金支出
(財務・会計上の行為に限る)
地方公共団体の事務一般
個別外部監査可能
請求後の処理監査結果を通知・公表
訴訟監査結果に不満があれば、住民訴訟を
提起できる
なし

住民訴訟

意義

 住民訴訟は、監査請求をした住民が、その監査結果や監査に基づいて執られた措置に不服がある場合に提起できる客観訴訟であり、かつ、法律で特に認められる民衆訴訟である。
 なお、この訴訟は、財務会計上の行為や怠る事実が違法である場合に限られるため、不当な行為や不当な怠る事実では訴訟を提起することはできない<242条の2第1項>。
 住民訴訟においては、いきなり訴訟を提起することができず、まずは住民監査請求手続を経なければならない。これを住民監査請求前置主義という。
 監査請求を行った後に、以下の5つの場合に限り訴訟提起ができる。

  1. 審査の結果に不服がある
  2. 監査委員のした勧告に不服がある
  3. 議会や執行機関や職員の措置に不服がある
  4. 監査委員が機関内に監査をしない、または勧告をしない
  5. 議会や執行機関や職員が必要な措置を講じない

出訴期間

 住民訴訟は、上記の5つの場合に対応して、以下のように出訴期間を定めている。

  • 請求理由
    1. 監査の結果に不服がある
    2. 監査委員のした勧告に不服がある
    3. 議会や執行機関や職員の措置に不服がある
      • 出訴期間:監査結果や勧告内容の通知または勧告内容の措置についての通知のあった日から30日以内
    4. 監査委員が期間内に監査をしない、または勧告をしない
      • 出訴期間:請求した日から60日を経過した日から30日以内
    5. 議会や執行機関や職員が必要な措置を講じない
      • 出訴期間:監査委員の勧告で示された期間を経過した日から30日以内

住民訴訟の請求内容

 請求内容は、次の4つに限定されている<242条の2第1項>。

  1. その機関や職員に対するその行為の全部または一部の差止請求
    • 「その行為の差止」は、その行為を差し止めることによって人の生命または身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害する恐れがあるときはすることができないとされている
  2. 行政処分であるその行為の取消または無効確認の請求
  3. その機関・職員に対する怠る事実の違法確認の請求
  4. その職員またはその行為や怠る事実の相手方に対して損害賠償や不当利得返還の請求をすることを、執行機関等(通常は長)に求める請求(職員等に対する賠償命令の対象となる者の場合には、その賠償命令をすることを求める請求)

 なお、住民訴訟の手続は、原則として行政事件訴訟法によることとされている。

財務

地方公共団体の会計

 地方公共団体における会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年の3月31日までを一会計年度としている
 また、会計は、一般会計特別会計に分かれる。特別会計は、特定の歳入で特定の支出を賄うものであり、特定の事業を行う場合などの一般歳入・歳出と区分して経理する必要がある場合に設けるもので、条例で設置する。
 なお、都道府県は必ず金融機関を指定して公金の収納または支払の事務を取り扱わせなければならない(市町村は金融機関を指定するか否かは任意)。

予算

 一会計年度における一切の収入・支出はすべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。
 全ての予算に関する行為は長が行う。長は、予算を調整し、会計年度開始前に議会の議決を経ることになる。なお、長の予算調整兼および提出権は独占的であり、議員に予算調整権および提出権はない。
 議会に提出された予算は、秘訣、可決または修正議決される。なお、修正決議については、削除または減額修正、もしくは増額修正が可能となっている。
 なお、一般会計においては、予想外の支出や債務超過に充てるために、予備費を計上しなければならない。逆に、特別会計については、予備費か必ずしも計上する必要はない。この予備費については、議会の議決を必要とせず、長の権限で使用できる。

収入

 地方公共団体の収入の種類については、以下のものが挙げられる。

  • 地方税
    • 法律の定めるところにより、都道府県税・市町村税を賦課徴収する。
  • 分担金
    • 特に利益を受けている者から徴収する金銭であり、条例で規定する。
  • 使用料
    • 許可を受けて行政財産を使用する場合(たとえば、庁舎内の売店営業)や、公の施設の使用にあたって徴収する金銭であり、条例で規定する。
  • 加入金
    • 公有財産についてその使用を認められた者から徴収する金銭であり、条例で規定する。
  • 手数料
    • 事務の役務提供の対価であり、条例で規定する。
  • 地方債
    • 地方財政法などの法律で定める場合に、予算の定めるところにより地方債を起債できる。なお、再起の目的、限度額、記載の方法、利率、償還の方法は予算でこれを定めなければならない。

支出

 普通地方公共団体は、その事務を処理素津雨に必要な経費その他法律またはこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費について支弁(支出)する。なお、公益上必要がある場合において、寄附または補助することもできる
 この支出は、長が自ら行うのではなく、出納事務を行う会計管理者に対して、支出を命じることにより行う

決算

 決算は、毎会計年度、政令の定めるところにより、会計管理者が、決算を調整し、出納の閉鎖後3ヶ月以内に、長に提出しなければならない。なお、出納の閉鎖は翌年度5月31日をもって閉鎖する
 長はこれを受けて監査委員の合議による審査と議会の認定に付する
 決算が認定されるとこれを市町村の場合には都道府県知事、都道府県の場合は総務大臣に報告し、かつ、その容量を住民に公表しなければならない

公の施設

公の施設の利用

 公の施設の利用にあたっては、普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。また、普通地方公共団体は、住民が公の施設を離礁することについて、不当な差別的取り扱いをしてはならない。

公の施設の設置・管理等

  1. 公の施設の設置にあたっては、法律またはこれに基づく政令等特別の定めがあるものを除くほか、条例でこれを定めなければならない。
    また、条例で定める重要な公の施設の内条例で定める特に重要なものについては、これおw廃止し、または条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において2/3以上の同意を得なければならない。
  2. 公の施設の管理に関する事項は、条例で定めることとされる<244条の2第1項>。
    なお、地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体で地方公共団体が指定する者に、公の施設の管理を行わせることができる<244条の2第3項>
  3. 地方公共団体が指定する団体は、「指定管理者」と呼ばれ、指定の手続、指定管理者が行う管理の基準・業務の範囲などは条例で定められるほか、指定管理者の指定については、期間を定めて行われるとともに、あらかじめ議会の議決を経るものとされている。
  4. 指定管理者の制度は、従来の管理委託の方式から管理委任の方式へと変更し、公の施設の管理に関する権限を指定管理者に委任して代行させるものであり、指定管理者は、使用料の強制徴収、過料の賦課徴収党のように権力的な処分を除いて、使用許可などの処分行為も行うことができる
    なお、利用料金については、公益上必要があると認められる場合には地方公共団体自身が条例で定めるが、それ以外の場合には条例の定めるところにより指定管理者が予めその地方公共団体の承認を得て定める。そえrに加えて、地方公共団体は、適当と認めるときは、公の施設の指定管理者に公の施設の利用にかかる料金をその指定管理者の収入として収受させることができる。
  5. 公の施設の管理の適正を期すため、指定管理者は、毎年度終了後、事後報告書を作成し、設置地方公共団体に提出することが義務付けられる一方、長または委員会には、指定管理者に対する報告徴収権、実値調査権および私事権が認められているほか、指定管理者が指示に従わないときやその指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときの指定の取消権や管理業務の全部または一部停止命令権が与えられている。

区域外の設置利用、不服申立

 普通地方公共団体は、自己の管轄する区域外においても、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる。また、他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができる。
 なお、長の下公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は、審査請求や異議申立てをすることができる。この場合、審査請求の相手方としては、都道府県知事がした処分については総務大臣が相手方となり、市町村長のした処分については都道府県知事が相手方となる。

地方公共団体に対する国の関与

国の関与の形態

245条

 関与とは、1号が規定するところの、助言または勧告、資料の提出の要求、是正の要求、同意、許可認可・承認、指示、代執行、2号が規定する競技、3号が規定するその他の行為を言う。以下は特に抑えておくべき点となる。

  • 是正の要求
     是正の要求とは、普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる、当該違反の是正、または改善のため必要な措置を講ずべきと言う要求をいう。
     この要求を受けた地方公共団体は、その違反の是正、または改善のために必要な措置を講じる義務が生じる。
  • 指示
     各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県知事その他の都道府県の執行機関に対して、必要な指示ができる。
  • 代執行
     代執行とは、普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき、または当該普通地方公共団体が事務処理を怠っているときに、その是正のために当該地方公共団体に変わって是正の措置を行うことを言う。

関与の手続

 地方自治法の定める関与制度は、関与の手続について透明性の原則を採用している。
 すなわち、書面主義の原則、判断基準の設定と公表、標準処理期間の設定と公表の努力義務、届出の到達主義の採用党を定めている。

国地方係争処理委員会

 国と地方公共団体との間で関与などを巡って紛争が生じたような場合に、これを処理するシステムが国地方係争処理委員会となっている。

意義

 国地方係争処理委員会は、普通地方公共団体に対する国の関与に関する審査の申出につき、この法律の規定によりその権限に属された事項を処理する委員会をいう。

組織

 国地方係争処理委員会は、総務省に置かれる。国地方係争処理委員会は、国地方係争処理委員5人をもって組織され、委員は非常勤とされる。ただし、そのうち2人以内は常勤とすることができる
 国地方係争処理委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。委員の任期は3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。また、委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。国地方係争処理委員は、再任されることができる。
 国地方係争処理委員長は委員の互選によりこれを定める。そして、委員長は、会務を総理し委員会を代表する。
 なお、委員長に自己があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理することとなる。

審査

  • 審査対象
     普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるものに不服があるときは、委員会に対し、当該国の関与を行った国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
     また、普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の不作為に不服があるときは、委員会に対し、当該国の不作為に係る国の行政庁を相手方として、文書で審査の申出をすることができる。
     さらに、普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する当該普通地方公共団体の法令に基づく協議の申出が国の行政庁に対して行われた場合において、当該協議に係る当該普通地方公共団体の義務を果たしたと認めるにも関わらず当該協議が調わないときは、委員会に対し、当該協議の相手方である国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
  • 審査手続
     普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たる者に不服があるときは、当該国の関与があった日から30日以内にしなければならない。
     ただし、天災その他、審査の申出をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りではない。なお、この場合でも審査の申出は、その理由がやんだ日から1週間以内にしなければならない。

審査後の手続および訴訟の提起

  • 関与が違法または不当の場合
     国の関与が違法または不当と判断された場合には、国地方係争処理委員会は、国の行政庁に対して、理由と期間を付して必要な措置を執るべきことを勧告する。また、委員会は地方公共団体に対しては、その長や執行機関にこの旨を通知し、公表することとされている。
     なお、国は、勧告で示された期間内に勧告に則った措置を講じて、その旨を委員会に通知しなければならない。
  • 関与が適法かつ妥当の場合
     国の関与が、適法かつ妥当と判断された場合には、国地方係争処理委員会は、地方公共団体と国の行政庁に対して、理由を付して通知する。
  • 調停
     国地方係争処理委員会は、審査過程で職権により調停案を作成し、両当事者に提示してその受諾を勧告することができる。
  • 訴訟の提起
     地方公共団体は、国が勧告を受けて行った措置に不満がある場合や、委員会の審査結果に不満がある場合には、措置の通知、審査の結果通知から30日以内に高等裁判所に対して訴訟提起ができる。

地方公共団体相互の紛争処理

自治紛争処理委員会の意義

 国と地方公共団体が紛争を生じた場合には国地方係争処理委員会というシステムがあったが、都道府県と市町村に紛争が生じた場合には、地方公共団体相互の紛争処理として、別に自治紛争処理委員というシステムがある。ここで、国地方係争処理委員会と異なるのは、「委員」が活動するのであって、「委員会」という組織活動ではない点となっている。

組織

 自治紛争処理委員は、3人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣または都道府県知事がそれぞれこれを任命する。なお、自治紛争処理委員は事件毎に任命されるのであり、国地方係争処理委員会と異なり、常設の機関ではない。
 この場合においては、総務大臣または都道府県知事は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任する各大臣または都道府県の委員会もしくは委員に協議するものとする。

任務

  • 調停  普通地方公共団体相互の間または普通地方公共団体の機関相互の間の紛争があるときは、当事者の文書による申請に基づき、または職権により(都道府県または都道府県の期間が当事者となる者にあっては総務大臣が職権を有し、その他のものにあっては都道府県知事が職権を有する)紛争解決のために、自治紛争処理委員を任命し、その調停に付することができる。
     自治紛争処理委員は、調停案を作成して、これを当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。さらに、自治紛争処理委員は、調停案を当事者に示し、かつその受諾を勧告したときは、直ちに調停案の写しを添えてその旨および調停の経過を総務大臣または都道府県知事に報告しなければならない。
  • 審査
     市町村長その他市町村の執行機関は、担当する事務に関する都道府県の関与について不服がある場合には、関与があった日から30日以内に、総務大臣に対して自治紛争処理委員の審査に付する旨の申し出をすることができる
     自治紛争処理委員は関与が違法である場合には、都道府県の行政庁に理由と期間を付して必要な措置を講じるべきことを勧告する。
     この審査の結果に不満があれば、審査の結果通知から30日以内に高等裁判所に訴訟提起ができる