法務省回答に対する懇談会見解


法務省回答に対する懇談会見解

平成17年6月2日付「対応の可否」への対応について(案)

平成17年6月8日

真の人権擁護を考える懇談会

1.問題点

○6月2日に、我々が提案した人権擁護法案(政府案)に対する修正イメージにつき、対応の可否が示された。その概要をまとめると、以下のとおりとなる。

(※詳細は別紙参照 /ブログ注記 前掲の法務省回答をみてください。)

修正イメージ                対応の可否
人権侵害の定義の明確化           原則対応不可
人権委員会の権限の縮小化          原則対応不可
加害者とされた者の保護に関する規定の整備  原則対応可
人権擁護委員の資格要件の明確化       原則対応可

○このとおり、提示された対応は、枝葉部分についての修正に留まり、根幹的に問題点は依然として未解決のままである。

<問題点>

/邑⊃害の定義等が不明確
「その他の人権を侵害する行為」(2条1項)を明確化するなど評価できる点はあるが、「嫌がらせ」「不当な差別的言動」(3条1項2号イ)など、依然として抽象的な表現が見られる。

→恣意的な解釈・運用がなされるおそれがあり、結果として民主主義・自由主義の根幹を支える最も重要な要素である「表現の自由」を萎縮させるおそれがあるとの懸念は払拭されておらず、憲法違反のおそれなしとしない。

※「審議会答申の趣旨に反する」から対応不可とのことであるが、理由にならない。

⊃邑委員会の権限が強大
(a)人権委員会は、独立性の高い3条委員会として位置付けられており(5条・7条)、しかも、特別調査及び特別救済(調停及び仲裁、勧告及びその公表、訴訟援助、差別助長行為等の差止請求訴訟)を行う権限を有するなど、その権限があまりにも強大すぎる。

※特別調査並びに勧告の公表、訴訟援助及び差別助長行為等の差止請求権を認める必要性については、十分説明されていない。 ※「審議会答申も求めており、国債機関からも要請されている」から対応不可とのことであるが、理由にならない。

(b) メディア規制条項については、凍結の方針を示してはいるが、依然として規定は残っており、報道機関等が行う人権侵害が特別救済の対象とされていることは、報道の自由等の観点からは問題である。(42条1項4号)

人権擁護委員
国籍要件の追加(22条)、委嘱の特例規定の削除(23条)など評価できる点はあるが、「国会審議の状況により対応可」としており、原案どおりの政府案提出を容認することは、手続的に問題がある。

2.対応策

○上記に掲げた問題点につき、提示された回答においては「本法案の根幹にかかわる」との理由で対応不可とされていることからすると、政府案を修正するという対応は不可とせざるをえない。

○一方で、人権侵害を受けている個別具体的な真の被害者が、現行制度において救済されていないのであれば、真摯に対応すべきである。例えば、下記のとおり、現行法を活用しつつ人権救済を図っていくことも考えられる。

<現行法を活用する案>
(1)人権擁護委員法の整備
現行の人権擁護委員法に所要の整備を行い、人権擁護委員の活用を図る。

(2)人権擁護推進基本法(仮称)の制定
  人権教育及び人権啓発の推進に関する法律を拡充するなどして、人権擁護施策全般に関する事項を内容とする基本法を整備する。

/邑⇒文鄂概腸(仮称)を設置
人権侵害の実態を踏まえ、個別に整備すべき法令の調査検討を行うほか、人権擁護基本計画(仮称)の策定に関与する。

救済手続の整備
・一般救済・・・援助、指導及び調整等:任意調査のみ ・特別救済・・・あっせん、調停及び仲裁:任意調査のみ

○ただし、現実にいかなる人権侵害が発生しているか、現行制度において人権侵害による被害を救済することができないものとしていかなるものがあるかについては、十分な説明を得られていない。実効性のある人権救済制度を構築するに当たっては、人権侵害の実情を把握することが必要不可欠である。


3.結論

○提示された対応は、根幹的な問題点を解決しておらず、受け入れられない。

○そもそも、人権侵害の実情について十分な説明が得られておらず、現時点において、どのような対応を行うのが妥当であるかを判断することは困難。       ↓ ○したがって、人権侵害の実情を十分に把握しつつ、慎重な検討を行うことが必要不可欠である。