懇談会の提言「別紙1」と法務省回答


懇談会の提言「別紙1」と法務省回答

これは、「真の人権擁護を考える懇談会」の問題点摘要である、「別紙1」の各項目ごとの回答となっています。

(「別紙1」とは「真の人権擁護を考える懇談会の提言」として前信で後日掲載としたものです。なお提言では、既に法務部会において法務省から修正を提示された事項についても厭わず書き込んであります。) 

原文は表形式ですが、ここでは、

  • < 某某 >該当する法案条文項目
  • <政府案>該当する法案条文
  • <問題点>
  • <修正の考え方と修正イメージ>
  • <回答>法務省の回答では「対応の可否」という項目名となっています。

の五段構成で表示します。

原文では上記の各項目が、法案の条文―政府案―問題点―修正の考え方とイメージ―回答、の様に横並びで表示されています。

法務省が「対応不可」「本法案の根幹にかかわる」といってる箇所に特にご注目ください。

<定義関係>(2条・3条)

<政府案>

 屬修梁召凌邑△鮨害する行為」(2条1項)

◆嵒鄂、嫌がらせその他の不当な差別的言動」(3条1項2号イ)

「不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的」(同項1号)

<問題点>

○人権侵害の定義があいまいであり、恣意的な解釈・運用が可能でないか。

<修正の考え方と修正イメージ>

○人権侵害の定義を次のとおり明確化する。

 崙本国憲法の保障する権利及び自由を違法に侵害する行為」

◆嵒鄂その他の違法な差別的行為」

「違法な差別的取扱いをさせる目的」

*「差別助長行為」の規定の存否については、なお要検討


<回答>

‖弍可 ただし規定振りについては要検討

対応不可

審議会答申も差別表現に対する積極的対応を求めており、言論を除外することは本法案の根幹にかかわる。

B弍不可

差別助長行為等の要件を「不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的」から「違法な差別的取扱いをさせる目的」に修正することにより、部落地名総鑑等の頒布等による差別助長行為等に対応することができなくなり、審議会答申の趣旨にも反する。

<基本計画の策定>〔新設〕

<政府案>

〔規定なし〕

<問題点>

○人権委員会に準司法的手続を担わせることは、同委員会に大きな権限を付与することにつながり不適当である。むしろ人権委員会には、人権救済全般に対する提言機能を付与するべきではないか。

<修正の考え方と修正イメージ>

○政府(法務大臣?)は、人権委員会の意見を聴いて、人権擁護に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本計画を策定しなければならないものとする。〔下記「人権委員会」の項参照〕。


【基本計画に盛り込むべき事項(案)】

  • 人権侵害の実態の把握
  • 個別の人権侵害に対する救済の在り方(必要な法制度及びガイドラインの整備等を含む。)
  • その他被害の救済を図るための総合的かつ効果的な推進体制

*計画策定権限をどの機関に付与するかについては要検討

<回答>

対応不可 人権委員会の位置付け、権限と関係し、人権委員会を8条機関とした上で権限を縮小することを前提とするものであると思われるが、人権委員会を政府からの独立性のある機関とすることは、審議会答申も求めており、国際機関からも要請されている。人権委員会を8条期間とすることは本法案の根幹にかかわる。 なお、人権委員会の提言機能については、本法案20条に規定されている。

<人権委員会 機関関係>(5条)

<政府案>

○3条機関(法務省所轄)

<問題点>

○人権委員会は3条期間でなければならないのか。


<修正の考え方と修正イメージ>

○次の二つの観点から権限及び位置付けを整理する。

  • 大幅に権限を縮小した上で、大臣から若干の独立性を保った3条機関とするか、あるいは大臣に従属する8条機関とするか。
  • 法務省に設置するか、それとも他の機関(内閣府)とするか。

*権限縮小に伴う名称変更の必要性について要検討

<回答>

対応不可 

人権委員会を政府から独立性のある機関とすることは、審議会答申も求めており、国際機関からも要請されている。この点を修正することは本法案の根幹にかかわる。

<人権委員会 権限関係>(6条)

<政府案>

○人権委員会の所掌事務

  • 人権侵害による被害の救済・予防
  • 人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援
  • 人権擁護委員の委嘱
  • 国際協力
  • その他法律に基づき人権委員会に属せられた事務

<問題点>

○人権委員会の権限が強大ではないか。


<修正の考え方と修正イメージ>

○所掌事務を次のとおりとする。(特別調査権限は削除し、併せて特別救済措置の内容を整理する。) 〔下記「人権救済手続」の項参照〕。

  • 人権侵害による被害の救済・予防
  • 人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援
  • “削除→人権擁護委員の委嘱”
  • “削除→国際協力”
  • 人権擁護に関する基本的な計画に関し、意見を述べること(上記〔責務〕の項参照)その他その所掌に属させられた事務

*人権擁護委員の委嘱をどの機関に行わせるかについては、上記「機関関係」と同様に要検討。またこれと併せて人権委員会と人権擁護委員との関係をどのように整理するかについても要検討

<回答>

対応不可

人権委員会を8条機関とした上で権限を縮小するものであると思われるが、人権委員会を政府からの独立性のある機関とすることは、審議会答申も求めており、国際機関からも要請されている。この点を修正することは本法案の根幹にかかわる。

<人権擁護委員 選任要件>(22条・23条)

<政府案>

○国籍要件なし。

○弁護士会等の構成員であることが委嘱の推薦の要件の一つとされている。(22条関係)。

○委嘱の特例規定あり。(23条関係)。

<問題点>

○外国人に人権擁護委員の選任資格を与えることは不適当ではないか。

○人権用語委員の推薦に当たっての団体構成員枠をなくすべきではないか。

○市町村長の推薦を経ることなく、人権擁護委員の選任を認めた場合、人権擁護委員は、民主的な手続により選任されるとはいえないのではないか。


<修正の考え方と修正イメージ>

○国籍要件を設ける。(次の条文の緑字部分を参照) <ブログ注記 緑字は表示されません。>

○団体構成員に係る文言を削除する。

市町村長は、○○大臣*に対し、当該市町村の議会の議員の選挙権を有する住民で、人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者 “削除→及び弁護士会その他人権の擁護を目的とし、またはこれを支持する団体の構成員”のうちから・・・候補者を推薦しなければならない。 *人権擁護委員の委嘱をどの機関が行うかについては要検討

○23条(委嘱の特例規定)を削除する。 “削除→人権委員会は、市町村長等の意見を聴いて、市町村長が推薦した者以外の適任者に人権擁護委員を委嘱することができる。” *当該規定を削除した場合、市町村長の負担がかえって増すことになるとの懸念もあり、規定の存否について要検討

<回答>

○国籍要件  審議会答申の趣旨を尊重して外国人に人権擁護委員を委嘱することを可能とすべきである。ただし、国会審議の状況により対応は可能。

○団体構成員に係る文言の削除 合同会議において既に修正済み

○委嘱の特例規定の削除 審議会答申で提言された制度であり、削除することは審議会答申の趣旨に反することになるが、国会審議の状況により対応は可能。

<人権擁護委員 服務関係>(29条)

<政府案>

○政治的中立性に係る規定なし。

<問題点>

○人権擁護委員について政治的中立性に係る規定を設けるべきではないか。


<修正の考え方と修正イメージ>

○政治的中立性に係る規定を置く。 人権擁護委員は、その職務上の地位又はその職務の執行を政党又は政治的目的のために利用してはならない。

<回答>

○服務関係 合同会議において既に修正済み

<相手方の保護>

<政府案> 〔規定なし〕

<問題点>

○不当な人権侵害の申出の対象とされた者の保護が不十分ではないか。

<修正の考え方と修正イメージ>

○濫訴的な申出に係る事案等については救済手続を不開始とする旨明示とともに、その具体例(「救済手続の不開始事由に関する規則のアウトライン」)を法律に明記する。

○簡易迅速な救済が図られるということは、申出の相手方の人権が粗略に扱われることではないか。

【アウトラインの概要】

  • 学術上論争の当否等に関する判断を行わなければ、人権侵害に該当するか否か判断できないものであるとき。
  • 特定の法制度が憲法に違反することを前提にしなければ、人権侵害に該当すると認められないものであるとき。
  • 不当な利権を得る目的で申出が為されたとき。
  • 特定団体の運動の思想を喧伝する目的であるとき。

○調査を受けた相手方の求めに応じ、調査結果を通知しなければならない旨の規定を設ける。 人権委員会は、調査をした結果措置を講ずる必要がないと認める場合において、相手方から調査結果について通知を求める旨の申出があったときは、調査の結果を通知しなければならない。 (以上38条関係)

○「勧告」に対して、不服の申出制度を設ける。 勧告を受けた者は、当該勧告に不服があるときは、人権委員会に対し異議を述べることができる。

○「勧告」の通知を受けた被害者について記載情報の濫用防止規定を設ける。 勧告の通知を受けた被害者は、当該内容を用いるに当たり、不当に関係者の名誉又は生活の平穏を害することのないように注意しなければならない。 (以上60条関係)

○申出・申請についての濫用防止規定を設ける。 この法律の定めるところにより、申出をするに当たっては、他者の人権を侵害することがないように留意するとともに、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。 (82条関係)

○相手方の意見を十分に聴取するなどの手続的担保措置(「人権委員会の判断の透明性に関する規則のアウトライン」)を法律に明記する。(38条関係)

【アウトラインの概要】

  • 人権委員会は、人権侵害等の事実を認定するためには、証拠に基づいてしなければならない。
  • 事実認定に基いる(原文のまま。正しくは“用いる”であろう) ことができる証拠は、適法に収集されたものに限られる。

<回答>

○不開始事由 対応可 ただし、規定振りについては要検討。

○調査結果の通知 合同会議において既に修正済み

○勧告に対する不服申出 合同会議において既に修正済み

○勧告の通知を受けた被害者の情報朗詠防止規定 対応可 ただし規定振りについては要検討。

○申出等の濫用防止 合同会議において既に修正済み

○手続的担保措置 対応可 ただし、規定振りについては要検討。

<特別救済>(41条、42条、44条、46条〜65条)

<政府案>

○特別救済手続の対象となる人権侵害等の定義

  • 「不当な差別的言動」
  • 「相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの」(以上42条1項2)号
  • 「前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害」(同項5号)

○報道期間等が行う人権侵害が特別救済の対象とされている(同項4号)

○特別救済措置を行うための前段階の措置として次の特別調査権限あり(44条関係)。

  • 関係者に出頭を求め、質問すること。
  • 文書等の所持人に対し、提出を求め、又は当該文書等を留め置くこと。
  • 人権侵害が行われ、又は行われた疑いがある場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、質問すること。

○特別救済の内容として、次の措置を規定

  • 調停及び仲裁(45条〜59条)
  • 勧告及びその公表(60条・61条・64条)
  • 訴訟援助(62条・63条)
  • 差別助長行為等の差止請求訴訟(65条)

<問題点>

○特別救済手続の対象となる人権侵害につき文言があいまいであり、恣意的な解釈・運用が可能ではないか。

○いわゆるメディア規制条項を削除すべきではないか。

○人権委員会の権限が強大ではないか。

<修正の考え方と修正イメージ>

○特別救済手続の対象となる行為を明確化する。

  • 「違法な差別的行為」
  • 「相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせる方法で行われるもの」(以上42条1項2号関係)
  • “削除→前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害”(42条1項5号の削除)

○42条1項4号を削除する。(ブログ注記 いわゆるメディア条項の削除)

○特別調査に係る規定をすべて削除する(44条関係)。

  • “削除→関係者に出頭を求め、質問すること。”
  • “削除→文書等の所持人に対し、提出を求め、又は当該文書等を留め置くこと。”
  • “削除→人権侵害が行われ、又は行われた疑いがある場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、質問すること。”

○「調停及び仲裁」並びに「勧告」以外の特別救済の措置を削除する。

  • 調停及び仲裁(45条〜59条)
  • 勧告“削除→及びその公表”(60条・“削除→61条”・64条)
  • “削除→訴訟援助(62条・63条)”
  • “削除→差別助長行為等の差止請求訴訟(65条)”

*「勧告」の措置の存否については要検討

*この法律に規定する救済以外については、司法的救済(刑罰・損害賠償請求など)、準司法的救済(裁判外紛争解決手続)又は行政的救済(雇用関係については都道府県労働局長による紛争解決援助など)に委ねることとする。

<回答>

○「違法な差別的行為」

対応不可 

審議会答申も差別的表現に対する積極的対応を求めており、言論を除外することは本法案の根幹にかかわる。

○「相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせる方法で行われるもの」

対応可  

ただし、規定振りについては要検討。

○「前各号に規定する人権侵害に準じる人権侵害」の削除

対応可

○報道関係条項の削除

与党懇の凍結の方針を尊重すべきである。ただし、国会審議の状況により対応は可能。

○特別調査に係る規定の削除

対応不可

人権救済の実効性を担保するため、調査権限を強化することは審議会答申も求めており、本法案の立法の意味はこの点にある。特別調査に係る規定をすべて削除することは、本法案の根幹にかかわる。 ただし、_疥舛魄き下げること、∈絞姪発言等について立入調査を行わないことなどの対応は可能。

○特別救済措置の一部削除 対応不可 人権救済の実効性を担保するため、訴訟援助等の措置を設けることは審議会答申も求めており、本法案の立法の意味はこの点にある。訴訟援助等の措置を削除することは本法案の根幹にかかわる。

<その他>

<政府案>

【目的規定関係】

○「人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害」

○「適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防」(以上1条)

【人権委員関係】

○人権委員会事務局に「弁護士となる資格を有する者」の必置規定あり(15条)。

○〔規定なし〕<ブログ注記 以下の<問題点>の三項目に該当する法案条文がないという意味>

○人権委員と私的な人権擁護団体との調整規定あり(83条)。

<問題点>

○上記修正による定義の明確化を踏まえると、「救済」と同列で「予防」を目的に記載することは不適切ではないか。

○弁護士となる資格を有する者とはいかなる者か不明確ではないか。

○人権委員会による事務局員の監督規定が必要ではないか。

○人権委員会が私的な人権擁護団体と緊密に連携することにより、法律が適正に運用それなくなるのではないか。

<修正の考え方と修正イメージ>

○全体の修正に合わせて目的規定を整理する。 「人権の侵害により発生した被害」 「適正かつ迅速な救済等」

○資格を明確化する。 弁護士法第2章の規定により弁護士となる資格を有する者

○委員長の監督規定を設ける。 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

○「公私の団体」の文言を削除する。 人権委員会・・・は、この法律の運用に当たっては、関係行政機関“削除→及び関係のある公私の団体”と緊密な連携を図るよう努めなければならない。

<回答>

○「おそれ」「予防」の削除 対応不可 人権侵害による被害のおそれがある場合にその予防のために措置を講じることは、人権救済にとって最も効果的であり、審議会答申もこの点強調している。「おそれ」「予防」の規定を削除することは本法案の根幹にかかわる。 ただし、言論等の表現活動に限定して「おそれ」「予防」の場合に、一定の措置を講じないとの構成にとどめるものであれば、対応は可能。

○弁護士資格の明確化 対応可 ただし、規定振りについては要検討。なお、現に弁護士である者に限るということであれば対応不可。<ブログ注記 弁護士となる資格は司法試験に合格し司法修習を終えた者以外に、司法試験合格後一定の条件を満たせば企業勤務者、大学教授、国会議員などでも弁護士となる資格を有します。>

○委員長の監督規定 人権委員会を8条期間とすることを前提とするのであれば、対応不可。

○「公私の団体との緊密な連携」の削除 合同会議において既に修正済み