I Will...


来生たかお大百科 >『ONLY YESTERDAY』←自作曲→『Étranger

概要

1986年にリリースされた来生たかおの12枚目のオリジナルアルバムである。

リリース日に関して、10月1日*1や10月21日*2との記事が事前に存在するが、実際は9月25日である。

この年、来生は年男で、前年に天中殺が終わった為、必ず良い事があるとし、歌手デビュー10周年目にも当たるので我武者羅に頑張るつもりだと語っている*3

前々作『ROMANTIC CINEMATIC』や前作『ONLY YESTERDAY』は、少年時代や青春時代をイメージしたアルバムだったが、本作は10周年記念という事もあり、新たなスタートとして「今」をイメージしたと述べている*4。アルバムタイトルは先に決まっており*5、10年を一区切りとし、また新たな気持ちで音楽をやって行こうという気持ちが込められている*6。30代も半ばになり、若い頃に戻りたいという気持ちが強くなる自分がいるが、今やその先の事が大事という考え方で制作して行ったという*7

サウンド面では、1970年代のアメリカン・ポップスのイメージで、若々しく前向きなものを意図したという*8。それは、マイナー調の楽曲がほとんどなく、フォークギターのカッティングに強目のエコーを掛ける等、なるべく「生」の音を基調にしたやり方に表れている*9

アルバム制作は1986年の5月中旬から始まり*10、当初は時間に余裕があったが、同時期に急遽、歌手デビュー10周年企画コンサート『来生たかお 10th ANNIVERSARY ELEVEN NIGHT THEATER』が開催される事になり、6月からその準備に追われ、翌月に掛けてレコーディングが出来なくなってしまった*11。オケ録り(伴奏を録音)は大体終わっていても、歌入れ(ヴォーカルの録音)はコンサートの終演後でしか出来ない状況になった為*12、コンサートの全日程が終了した後、疲労困憊した身体で伊豆のスタジオに(5日間*13)缶詰めになって歌入れをしたという*14。来生の記憶によれば、この段階で歌詞は2曲くらいしか出来ておらず、来生えつこも自宅で缶詰めになり、同じ期間で残りの歌詞を書くという状態で、ディレクターやミキサーも含めて大変だったと回顧している*15

ジャケット写真で来生が空に向けて投げている林檎は、2500円の大振りのものが使われており、撮影後に食べようと思っていたが、何度も土手に落としてしまった為、叶わなかったという*16

歌手デビュー10周年に当たり、CD化された既出のオリジナルアルバム(『浅い夢』から『夢の途中』)、ベストアルバムTAKAO GRAFFITI』と同様、帯に「10th anniversary -since 1976-」と記載がある。

LP版の帯では、既出のオリジナルアルバムベストアルバム、第20弾オリジナルシングルフェアウェル」(写真入り)が宣伝されている。

「I Will...」と記されたポストカードやカード型カレンダー、ジャケットの林檎を投げている写真でテレフォンカードが制作された。

編曲者の矢倉銀は、来生のペンネームである。

収録曲

※各曲の収録時間はLP版、CT版、CD版に記載がないので通販サイト等に準拠

トラックタイトル作詞作曲編曲収録時間トラックタイトル作詞作曲編曲収録時間
LP/CTCDLP/CTCD
SideA-11WE WILL来生えつこ来生たかお清水信之3:23SideB-16フェアウェル来生えつこ来生たかお清水信之4:39
SideA-22Simply来生えつこ来生たかお矢倉銀3:42SideB-27DOUBT来生えつこ来生たかお武部聡志4:11
SideA-33恋のHard days来生えつこ来生たかお矢倉銀4:06SideB-38夏色の彼方来生えつこ来生たかお武部聡志4:23
SideA-44夢の加速来生えつこ来生たかお武部聡志5:18SideB-49水の抱擁来生えつこ来生たかお矢倉銀3:59
SideA-55森への地図来生えつこ来生たかお久石譲5:34SideB-510夢のスケッチ来生えつこ来生たかお八木正生3:53

参加ミュージシャン

  • Piano:清水信之(SideA-1/SideB-1)、松田真人(SideA-2,3/SideB-4)、武部聡志(SideA-4)、国吉良一(SideA-5)、八木正生(SideB-5)
  • Keyboards:清水信之(SideA-1/SideB-1)、松田真人(SideA-2,3/SideB-4)、武部聡志(SideA-4/SideB-2,3)、久石譲(SideA-5)、柿崎洋一郎(SideA-2,3/SideB-4)
  • Electric Guitar:土方隆行(SideA-1,4)、鳴海寛(SideA-2,3/SideB-4)、松下誠(SideA-3)、柴山和彦(SideA-5)、清水信之(SideB-1)、青山徹(SideB-2,3)
  • Acoustic Guitar:鳴海寛(SideA-2/SideB-4)、吉川忠英(SideA-4)、清水信之(SideB-1)
  • Guitar:中牟礼卓則(SideB-5)
  • Bass:富倉安生(SideA-1/SideB-1)、多田丈信*17(SideA-2,3/SideB-4)、三久月千晴*18(SideA-4)、渡辺等(SideA-5)、岡沢茂(SideB-2,3)、斉藤誠(SideB-5)
  • Drums:河野道生(SideA-2,3/SideB-4)、江口信夫(SideA-4)、上原豊(SideA-5)、渡嘉敷裕一(SideB-1)、菊池丈夫(SideB-2,3)、鈴木正夫(SideB-5)
  • Percussions:石井コータロー(SideA-2/SideB-4)、木村誠(SideA-4)、ペッカー(SideA-5/SideB-2,3)
  • Chorus:山川恵津子(SideA-2/SideB-2,4)、鳴海寛(SideA-2/SideB-2,4)、ラジ(SideA-3,4/SideB-3)、桐ヶ谷仁(SideA-3,4/SideB-3)、桐ヶ俊博(SideA-3,4/SideB-3)
  • Strings:加藤ストリングス(SideA-4)、金子明日香ストリングス(SideA-5/SideB-1)、玉野ストリングス(SideB-5)
  • Linn Programming:清水信之(SideA-1)
  • A. Whistle:堀口博雄(SideA-4)
  • Tenor Sax:包国充(SideA-5)
  • Trombone:早川隆章(SideA-5/SideB-2)
  • Trumpet:兼崎順一(SideA-5)、数原晋(SideB-3)
  • Vibraphon:大井たかし(SideB-5)
  • Harp:山川恵子(SideB-5)
  • Flute:旭孝(SideB-5)
  • Oboe:山本陽一(SideB-5)
  • Horn:沖田グループ(SideB-5)

参加スタッフ

  • All Lyrics Written by 来生えつこ
  • All Songs Composed by 来生たかお
  • ©1986 by Kitty Music Corp., Tokyo
  • Executive Producer:多賀英典
  • Producer:石谷仁
  • Director:高橋良一
  • Recording & Remix Engineer:清水高志(MIX)
  • Recording Engineer:山崎進、井川彰夫(MIX)
  • Assistant Engineer:長島道秀、渡辺省二郎、荒井優、中鉢正綱(MIX)
  • Recorded at KRS Recording Studio, HITOKUCHIZAWA Studio, ONKIO HAUS, WONDER STATION, Studio JIVE
  • Remixed at KITTY IZU studio, Shizuoka(May〜AUGUST, 1986)
  • Artist Manager:竹脇隆(Kitty Artists Inc.)
  • AD & Designer:Akira Kumano(soap)
  • Photographer:佐藤秀春
  • Stylist:川端身永子
  • Special Thanks to:宮崎真哉(Kitty Music Corp.)、新村直美(Kitty Music Corp.)

録音

  • 1986.05-08/KRSレコーディングスタジオ、一口坂スタジオ、音響ハウス、ワンダーステーション、スタジオ・ジャイブ、キティ伊豆スタジオ(リミックス)

初出 & 復刻

発売年月日メディア:規格品番発売元/レーベル備考
1986.09.25LP:28MS-0107キティレコード○シール仕様の帯に「CDオリジナル・セレクション」「10th anniversary -since 1976-」の記載
○LP:オリコン最高22位(売上累計17,930枚)/CT:オリコン最高25位(売上累計8,580枚)/CD:オリコン最高18位(売上累計19,420枚)
CT:28CS-0107
CD:H33K-20054
1991.04.25CD:KTCR-1057キティレコード
1995.07.21CD:KTCR-1567キティエンタープライズ/キティレコード○歌手デビュー20周年に際し、高城賢によるデジタルリマスター
○帯に「20th anniversary」の記載
○Q盤CD選書シリーズの1枚
2007.03.21CD:UPCY-6366ユニバーサルミュージック○21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』に1995年版を収録
○帯なし
2019.01.30CD:UPCY-9891ユニバーサルミュージック○限定
○ボーナストラックに「あした晴れるか」「グラスの宇宙」を収録
○紙ジャケット仕様
○デジタルリマスター
○SHM-CD

アルバムタイトルの表記

ジャケットケースの側面部
LPI Will...I Will...I Will...
CT※帯がないので該当なしI Will...I Will...
CDオリジナル版I Will…I Will...I Will...
1991年版アイ・ウィル…I Will...I Will...
1995年版I Will...I Will...I Will...
2007年版※帯がないので該当なしI Will...I Will...
2019年版I Will...(復刻LP版)
I Will...(新版)
I Will...I Will...

パッケージの体裁

  • オリジナル版CD:ジュエルケースにブックレットを挿入
  • 1991年版CD:ジュエルケースにオリジナル版CDのものを基調としたブックレットを挿入
  • 1995年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード・既出オリジナルアルバムのディスコグラフィー)を挿入
  • 2007年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード)を挿入(及び厚紙製ケース付き)
  • 2019年版CD:紙製ケースにLP版のものを基調とした歌詞カード(及び、ボーナストラック分の別紙歌詞カード)を挿入

帯のコピー

  • LP:つみかさねた想いを明日につなげて。
  • オリジナル版CD:つみかさねた想いを明日につなげて。
  • 1991年版CD:※記載なし
  • 1995年版CD:つみかさねた想いを明日につなげて。 「夢の加速」、「フェアウェル」を含む、12thアルバム。
  • 2019年版CD(復刻LP版コピー/新版コピー):つみかさねた想いを明日につなげて。来生たかおオリジナルアルバム18タイトル 紙ジャケット・コレクション つみかさねた想いを明日につなげて。 1.WE WILL 2.Simply 3.恋のHard days 4.夢の加速 5.森への地図 6.フェアウェル 7.DOUBT 8.夏色の彼方 9.水の抱擁 10.夢のスケッチ ボーナス・トラック「あした晴れるか」「グラスの宇宙」収録


*1 『?』1986年?月号"僕には、音楽がいちばん"(?/1986)
*2 『FMレコパル』1986年9月22日号“RECOPAL NOW 今、話題のアーチストの素顔に迫る!!”(小学館/1986.09.22)
*3 『就職マガジン』1986年2月1日号“VISUAL INTERVIEW”(中日新聞本社/1986.02.01)
*4 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』(キティ・ミュージック・コーポレーション/1987)
*5 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*6 『?』1986年?月号"僕には、音楽がいちばん"(?/1986)
*7 『?』1986年?月号"僕には、音楽がいちばん"(?/1986)
*8 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』(キティ・ミュージック・コーポレーション/1987)
*9 『?』1986年?月号"僕には、音楽がいちばん"(?/1986)
*10 『?』1986年?月号"僕には、音楽がいちばん"(?/1986)
*11 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*12 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*13 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*14 来生えつこ著『わたくし的生活』(講談社/1991)
*15 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*16 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』1987年3月25日号 Vol.70“TAKAO CLUB VOL.40”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1987.03.25)
*17 「多田文信」の誤記
*18 「美久月千晴」の誤記