週末のとあるゲーセンの大型スクリーンに群がる人々。  画面に映るのはデスザウラーと護衛の帝国ゼロが2体。  ステージはシドニアだが、これだけのゾイドが動き回っても問題ないほどの 広さが感じられる。  動き回る?そう、デスザウラーもゆっくりとではあるが移動している。  巨体を揺らしながら、ミサイルを大量に発射しながら。  その中を、攻撃を紙一重でかわし接近するミラージュのブレードライガー。  そして、LZをビームキャノンで転倒させるDCS−Jシールドライガーの 姿がスクリーンに映し出された。

「ナイス援護!」 「猫はなんとかする!デスぶった斬ってこい!」 「りょーかいっ!」

 接近するBLからカノンと8味噌が軌跡を描き、DSに全弾HITする。  爆風の中、怒りを表すかのように顎を開けるDS。  その瞬間、BLはブレードを展開し荷電を避けつつ斬りつける。  DSは断末魔の叫びを上げ、地面に崩れ落ちた……。

 『カノンを獲得しました』  『Sカラーチェンジャーを獲得しました』  アイテム獲得メッセージが勝利画面に表示される。 「ありがとう、ザルカの遺産を止めてくれて」 「これは、私のチカラの一部。役に立てばいいけど」 「それと、これも。このコのために」 「あなたが、これからもこのコと生きてくれることを信じてる……」  カノンのセリフがフェードアウトし、EDロールが流れていく。  カードを回収し、二人のゾイド乗りはCPU筐体から離れた。

「うっしゃ、スペシャルシナリオクリアー!」 「まあ、オレの的確な援護のおかげだな」 「今日は気分がいいからノーコメント!しかし、カノンって効果なんだろね?」 「ベンダーに通せよ、すぐに分かるだろうに」  どこかあきれたような相方の声にムッとしつつも、ベンダーに向き直る。 「へぇ、これはいけそうだね」 「ほほう、たしかにオレ達には相性よさそうだな」  早速、OPを換装しニヤリと笑う。 「これで、ブレードもハイデンも使いやすくなるよ」 「頼もしい限りだな。ところで、新しいBLはどうだ?」 「ん、慣れれば以前よりいいね。ブレードがスロ4でショックカノンとの同時 使用不可なのと、展開しながら8味噌とシールドが使えないのは残念だけど」 「ん?8味噌はスロ5になったんじゃなかったか?」 「発動がソニックと同じ条件なんだよ、ブースト中にRW引きっぱなし」 「なるほどな。しかし、それでも強いんじゃないか?」 「うん。判定は昔と変わらないし加速もする。いちいちHBしなくても閉じる」 「それってエグくないか?」 「ただ、あのEN消費は変わらないから。そういうSLは?」 「DCSのキャパが下がったのがありがたいな。ようやく対物理がつけられる」 「DCS、衝撃上がってない?」 「ああ、威力・衝撃・EN消費が向上している。誘導性能は皆無になったがな」 「微妙な変更だね、それ……」 「まあ、装備時限定のアレがあるだけで問題ない」 「アンタそーゆーの好きだからねえ」 「お前こそ、BLの新技にあれだけ喜んでたくせに」 「アレは、漢として燃えるでしょう!」  力説する相方に苦笑しつつベンダーを見ると、見覚えのないアイテムが。 「おい、あの色缶なんだ?」

「へ?普通のなら2個ほど入れてあるけど?」 「いや、Sがついている。試してみていいか?」  問いかけながら、すでに操作を始める相方に苦笑しつつ画面を覗き込む。 「……カノンスペシャル追加されてるー!早速、変更♪」  画面では、BLのカラーリングが微妙に変わってゆく。  一瞬の後、BLはミラージュからカノンスペシャルへと変貌していた。 「そう言えば、さっき表示されてたか。シナリオクリアーのオマケだな」  続けて挿入したSLのコレクションにも同じS色缶が1個。 「こちらは……、Mk−競ラーが追加か」 「あれ?キャンセルするの?」 「オレはDCS−Jが好きだからな。MK−兇覆鵑篤霄紊糞‖里呂い蕕鵝 「また、問題のある発言を……」  汗ジトの相方を無視して、SLのOPをカノンに変更する。 「気にするな。ところで、対戦台が賑やかなようだが、覗いてみるか?」 「そうだね。そろそろ対戦デビューも悪くないし」 「まあ、相手しだいだな。つまらん奴なら乱入する価値はない」 「なんで、対戦デビュー戦から高望みするんだか……」 「ならお前は、初心者狩りしかできん奴に乱入したいのか?」 「それはそれで歓迎だね。勝てば、一瞬でもヒーローになれるから」 「……それもそうか。いや、そういうことではなくてだなあ……」 「まあ、とにかく行ってみない?話はそれからでも、ね」 「確かに。とにかく見てみるとするか」

 対戦台はギャラリーで囲まれていたが、誰も入る気配はない。 「すまん、どうして誰も入らないんだ?」 「勝てないからだよ!もう20連勝されちまってるんだ!」 「しかも、ストレートでだぜ!やってられねーよ!」  ギャラリー達が、吐き捨てるように言い放つ。

 ギャラリーは、自分の仇を討ってくれる人を期待しているのが少数。  残りの大半は、自分と同じ目に会うのを期待しているようだ。 「なんと言うか、腐ってやがるな」 「どうする?今のデビューは危険かもね……って」 「……おもしろい。乱入するぞ」 「決定事項なんだね……」 「いい経験になる。負けて元々だ。負ける気は微塵も無いがな」  オーラの変わった相方に苦笑しつつ、自分の精神も昂揚していくのが分かる。 「どこから、その自信が出るんだか。まあいいや、いってみようか!」

 数十秒後、対戦台の大型モニターに対戦カードが表示される。

PN・Shilow少尉  ZN・Urano Earth(BL) PN・Klow少尉    ZN・Dark Aegis(SL)    VS PN・Lucier大佐  ZN・Silver Breeze(LZ) PN・Luka大佐    ZN・Star Dust(PA)

 ステージは、追加されたペイヴォン岬。  この瞬間から、新たな世界の新たな舞台で、幕が開いた。  白と黒、蒼と碧の物語が……。