ふぇんりる氏 第十一章:白と黒


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Another story of ZI 第十一章:白と黒(1) 「ティア=シュラー少佐、着任しました」  敬礼してティアは報告をする。目の前には黒髪の女性がデスクに座っていた。 「ご苦労様、ウグルス少将からの報告は受けているわ。あなたには私直属の 遊撃隊員として待機、戦闘情報が入り次第、そこに向かって貰う事になるわ。 まぁ、そんなには無いでしょうけど。一応、『蒼雷』が生還か、死亡が確認された 時点で別命ねぇ〜。正直なところ、男なの?」  レスダト海峡付近の国境警戒部隊を率いる女豪傑―マリタ=シンガー准将の 言葉にティアは唖然とする。 「その様子だと図星ね。若いってことはいいことね。でも、彼の死が確認されても、 ここは軍よ。わかるわね」  マリタは念を押す。そして、間髪をいれず、 「とりあえず、あなたには私の部下を一人つけるわ」  手元のインターホンを押し、 「エア、エア=オーフレ准尉をここに」  しばらくすると、ドアをノックして女の子が入ってきた。まだ10代か、 鼻の付近にソバカスがある。 「エア、こちらはティア=シュラー少佐、しばらく彼女に付いて行動して頂戴」  マリタの指示を聞くと、エアは目をきらきらさせて、ティアに近寄る。 「貴女がシュラー少佐ですか!!私、エア=オーフレと言います。階級は准尉で スリーサイズは上から78、59、79なんです〜。好きな食べ物は、オレンジで、 嫌いな物はミルクです。どうしたら、少佐みたいに綺麗になれます〜?私、少佐に 憧れて、いつかはシュトゥルムに乗ろうとバーサークフューラーに乗っているん ですよ〜」  エアのマシンガントークにティアが気押され、視線でマリタに助けを求めるが、 「そういうコなのよ。仲良くしてあげてね、憧れの先輩!!」  と、あっさり、断られてしまった。 「少佐はなんて呼ばれて欲しいですか?先輩?ティア様?御姉さま?女王様?私は、 名前で呼んでください、できたら『エアちゃん』って。そうしたら私、私・・・う・ れ・しい〜、キャー!!!」  勝手に盛り上がるエアを横目に少しの間だが、ティアはブレイズのことを忘れた。

「凄さまじい・・・、なんだ、あのエナジーライガーBW(ブラック・ウィンド)の 攻撃力は・・・」  ブレイズがエクゼト=アナドルバーリのエナジーライガーBWが一方的にゼロ シュナイダー「白兎」を追い詰めている圧倒的攻撃力の凄まじさに見とれていた。 だが、ミサイルがイクスver.XBの周囲に降り注ぎ、油断をしていたブレイズは 機体を制御できずに地面に叩きつけられた。 『こうなったら、貴様だけは!!』  機体を起こしながらミサイルの飛来方向を見ると、転倒していたロブ=テンルー のゴジュラスギガが黒煙を撒きながら向かってきた。再度、ウェポンバインダー のビームと小型ミサイルがイクスver.XBを再度転倒させる。コンソールに火花が 散り、サブモニターに警告が出る。 [CASコネクト切断、CASイクス機能停止、スタンブレード使用不可、使用 可能武装:小型スプレッドボマー残弾11発 only] 表示を見て、ブレイズは青くなる。 「!!CASが壊れた?!」  機体を起こしつつ、ブレイズは接近するギガを直視する。この状態では太刀打ち できない!先程、手を伸ばした黄色と黒の縞に囲まれた保護カバー付きのスイッチを 見る。そして意を決したように保護カバーの上から拳を叩き込む。保護カバーが ひび割れ、その下のスイッチが入る。 『これで、ジ・エンドだ!!』  ギガから8連ミサイルの波が放たれ、イクスver.XBに襲い掛かった。爆風と共に 雪煙が舞う。

Another story of ZI 第十一章:白と黒(2) 勝手に盛り上がるエアを何とか納めて、隊長室を後に喫茶ルームに連れてきたが、 「先輩は何飲みます?ここのココアおいしいんです〜。絶対、先輩も気に入ります よ!」 「私は・・・」  制止する間もなくエアはアイスココアを2つ取り、一つをティアに渡す。ティアは ココアが嫌いだったが、目をウルウルして、飲むのを見つめているエアの視線に 耐え切れず、無理に喉に流し込む。舌に絡むような甘さに吐き出しそうなのを 我慢して無理に飲み込む。 「キャー、凄い、かっこいい飲み方。先輩、良かったら私のもどうぞ!!」  エアの差し出したもう一杯のココアを引きつりながら受け取る。  そこに、呼び出し用に支給されていた携帯端末が鳴る。近くのインターホンを 取り、 「シュラー少佐よ。どうしたの?」 『実は、ヘリックの実験部隊が何かを見つけた様子です。シンガー准将から少佐を 派遣するようにとの指示が出ました。第5格納庫に少佐とオーフレ准尉の機体が 準備されています』 「そう、わかったわ」  インターホンを置き、まだ手をつけていない2杯目のココアをエアに渡すと、 「エア、出撃よ!」  と、声をかけ、第5格納庫に走るが、エアの、 「出撃ですか!!!うれしいな、先輩と出撃だ〜!!」  という言葉に出鼻を挫かれた。

『やったぞ!「蒼雷」の最後だ!!』  ロブが喜ぶ。ゼロシュナイダー「白兎」を三度地面に叩き付けたエクゼトは気が 付き、 『貴様〜!!』  と、激昂する。だが、雪煙を切り裂いて黒い影が凄まじい勢いでギガに 襲い掛かる。ギガはかろうじて黒い影をかわす。かわされた黒い影は着地と 同時にハイパーブレーキをする。黒い影はライガーゼロの素体の姿になった。 『ほう、流石だな・・・』  立ち上がり距離をとるゼロシュナイダー「白兎」を目で追いながら、エクゼトが 感心する。 『素体のゼロならば装甲が無いはず!今度こそ息の根を止めてやる!!』  咆哮を上げるブレイズの素体ゼロにギガがリロードの終わったばかりの8連 ミサイルとウェポンバインダーを向け一斉に掃射する。 「確かに装甲は無いさ。だが、当たらなければ良いんだ!」 ブレイズは、CASを脱ぎ去り、挙動の軽くなった素体ゼロをギガに走らせ、 着弾する寸前、ステップを繰り返し、小型ミサイル1発のヒットで済ます。 その程度では転倒しない素体ゼロはリロード最中のギガに接近、光る前爪で 引っかきに行く。咄嗟にギガは防御体勢を取り、ダメージを最小で防ぐ。 カウンター気味に踏みつけをし、尾を振り回すギガ。視界真正面にいた素体ゼロの 姿は無く、空を切る。 『どこに行った??』  見回すギガの右側に構える素体ゼロがいた。振り向くよりも早く、素体ゼロの 大振りの光る爪がギガの中枢を抉った。必殺の一撃を放った素体ゼロはバック ステップで距離を置く。中枢を破壊されたギガが膝をつき、爆発四散した。 四散するギガを見たゼロシュナイダー「白兎」は後退しようとする。 『言った筈だ!!戦士として背後を見せることは「死」を意味する、とな!! 喰らえ!レシプロケイティングミサイル!!』

Another story of ZI 第十一章:白と黒(3) エクゼトのエナジーライガーBWが後退するゼロシュナイダー「白兎」に向けて 黒い竜巻の姿―レシプロケイティングミサイルを放つ。だが、発動と同時にハイパー ブレーキをし、Eシールドを張る。エクゼトの発動したレシプロケイティング ミサイルは弾かれ、エナジーライガーBWが逆に転倒する。ゼロシュナイダー 「白兎」は初めて声を発する。 『友軍機が回収できないなら意味は無い、さらばだ』  一気に加速をしてエナジーライガーBWが起き上がる前に戦闘区域から離脱した。 エクゼトのエナジーライガーBWは起き上がると、しばらくゼロシュナイダー 「白兎」の離脱した方向を睨んでいたが、不意にブレイズの素体ゼロに向き直る。 向上した素体ゼロの運動性能はブレイズの残った体力を容赦なく、奪っていた。 戦闘に集中しようと、荒い息の下、エナジーライガーBWを睨むが、操縦桿を握る 手には力が入っていなかった。 『面白い物を見せてもらった。貴様をここで倒すのは容易い。一つ聞こう、私の 部下になる気は無いか?貴様の腕、このまま葬るのはもったいない。私の目的の為、 力を貸せ。望む物があれば与えよう、どうだ?』  エクゼトの思いも拠らぬ提案にブレイズは戸惑う。沈黙をした彼に、 『・・・、邪魔が来たようだ。エナジーライガーBWのテストも十分に済んだ。 再び会おう』  不意に、エナジーライガーBWは向きを変えると、ダッシュをし、あっという間に 姿をくらます。体力が限界にあった、ブレイズは気を失いかかっていた。 レーダーに接近をするゾイドの反応があったが、すばやく反応はできなかった。

とりあえず10章、11章を再アップしておきました。設定は

マリタ=シンガー:30代半ば、准将、ガイロス軍レスダト海峡付近国境警戒部隊 隊長。腕はそれなりだが、天性の判断力と勘を持ち、実戦功績を積み、女性ながら 一隊を任せられるまでになった。

エア=オーフレ:10代後半、准尉、ガイロス軍レスダト海峡付近国境警戒部隊 所属。彼女の明るさが、周囲に迷惑をかけることもしばしば。上官のマリタ= シンガーも持て余し気味。ピンクカラーのバーサークフューラー搭乗。

ロブ=テンルー:20代後半、少佐、へリック共和国機獣師団所属。 アンジェリーナの指揮下で、実験機体(ゴジュラス・ギガ)の実戦テストパイロット を務めるが、功を焦るところがある。

エクゼト=アナドルバーリ:30歳前後、ゼネバス帝国軍皇帝第3親衛隊次席隊長、 黒色のエナジーライガーBW搭乗。若くして親衛隊次席隊長に選抜されるほどの 腕前を持つ。電撃戦を得意とし、その一撃離脱の様から「黒旋風」という別名を 持つ。

素体ゼロ:元来はゼロの元になった野生型を指すはず(?)ですが、 この作品では装備しているCAS、武装全てを強制パージした素体状態のライガー ゼロを便宜上呼びます。アーマー部分の下の機械部分のみの為、防御力は無いに 等しいですが、ゼロ野生型本来のスピードに近い機動性を発揮します。その一方、 武器がストライクレーザークローのみ、そして向上した運動性能の為、パイロット への負担は異常にあがっている。

エア専用バーサークフューラー:ピンクカラー、対ゾイド3連衝撃砲、AZ125 2連装ビーム砲、拡散荷電粒子砲、全方向ミサイル

ロブ専用ゴジュラス・ギガ:プロトゴジュラス・ギガ・カラー、ロングレンジ バスターキャノン、ウェポンバインダー、8連ミサイル。作品内での設定では 先行試作機でアンジェリーナ=ワトソン中佐指揮下の部隊でテストを行っていた。

エクゼト専用エナジーライガーBW(ブラック・ウィンド):エナジーライガー をベースに単騎での攻撃力を重視して再設計された実験機体。実戦テスト パイロットとしてエクゼト=アナドルバーリが任命され、彼のパーソナルカラーの 黒(フューザーズカラー)に塗装されている。各所に追加武装用のハードポイント (固定位置)が設置されている。またエナジーチャージャーも限界までのチュー ニングがしてある為に機動性も悪くない、が実験機の域を出ない。