精神医学 / ○×問題


精神医学

2006年度

(2)神経症性障害の薬物療法において、抗不安薬に加え、抗うつ薬も主要な選択薬である。
  ○ 抗精神病薬を使うこともある。
(4)いわゆる森田神経質とは、感情の不安定さと攻撃性、衝動性の強さを主とする人格の障害である。
  × 神経質(森田神経質)の特徴
(7)強迫性障害にみられる強迫観念は、本人の意思に反して湧き起こる不快な思考であり、本人自身が思考した内容ではない。
  × 強迫観念は自分自身の心から生まれたものであり、外部から強制されたもの(思考吹入)ではないという認識がある。
(8)従来の分類におけるヒステリー神経障害は、現在の分類における離人(転換)症と同義である。
  × ヒステリーは現在の解離性障害にあたる。
(9)解離性(転換性)障害は心因性の失立失歩や失声又は、各種知覚障害が主症状で、健忘や昏迷といった記憶、意識に関する症状などを呈することはほとんどない。
  × 解離性健忘といって心的外傷に関連した出来事を思い出せなかったり、また解離性昏迷といって随意性運動が極端に減少して、ほとんど動かなくなることもある。
(10)身体表現性障害は〜略〜うつ病との鑑別が重要である。
  ○

(2)振戦せん妄は飲酒時におこる
  × 飲酒中止後1〜3日目に出現します。
(5)ナルコレプシーにはREM睡眠の過剰がみられる。
  ○ 健常人ではまずnon REM睡眠の状態になって70〜100分後にREM睡眠になるが、ナルコレプシーではいきなりREM睡眠に陥る。
(6)インターフェロンの副作用としての精神状態は気分障害が多い♪   ○ インターフェロンの副作用でうつになって自殺することもある。
(8)抗てんかん薬は投与開始してから中止は不可能である。
  × 日本神経学会のてんかん治療ガイドラインでは、2年間発作がないとき、抗てんかん薬の中止の可能性を考慮し、患者と話し合うとなっています。

(1)高齢者に見られるうつは内因性の鬱病が多く薬物治療に反応しやすい
  × 高齢者のうつは、身体疾患や喪失体験とからんでいることが多く、身体症状が前景に立ち、治療抵抗性のことが多い。
(2)軽度認知障害は自立生活に支障はなく、認知症とは関係ない。
  × 軽度認知障害Mild Cognitive Impairment MCIは痴呆の診断基準を満たさない認知障害でアルツハイマー型認知症の前駆状態だと考えられている。
(3)アルツハイマーの特徴的な病理所見は、老人班と神経原繊維変化である。
  ○
(7)高齢化社会とは全人口にしめる老年人口の割合が14パーセント以上である!!!
  × 65歳以上が7%以上で高齢化社会、14%以上で高齢社会。
(8)認知症などにより自身の財産を管理することができない人を保護するために、成年後見人制度がある。
  ○
(9)血管性認知症の有病率よりも、アルツハイマー病のそれの方が高い。
  ○
(10)現在アルツハイマー病患者に対して用いられるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、この病気の進行をある程度遅らせることができる。
  ○

【4】次の文が正しければ○、誤っていれば×を解答欄に記入せよ。
(1)自閉性障害と診断された子供の中核症状は、知能の遅れである。
  × 知能低下が見られることもあるが、「中核」となると対人関係発達障害か。自閉症の主症状は、「対人関係発達障害、言語・意志伝達発達障害、活動・興味の極端な限定」。
(3)注意欠陥多動障害の生涯り患率は1%である。
  × 日本ではADHDの頻度は7.7%。
(5)児童精神外来を受診する子の主訴と親の主訴はほとんど一致している。
  × 親が過剰に不安になってたり、親のほうが精神障害のことも。
(6)教育従事者の情報は養育者の情報ほど、精神障害の診断に寄与することは少ない。
  × 学校での観察も重要です。ADHDの診断基準では家庭と学校でなど異なる場面で症状がでることが必要です。
(7)被虐待児では、注意欠陥多動性障害の発症率がそうでない子供に比べて低い。
  × 被虐待児では発症率が高いという報告がある。 


(1)せん妄状態では、意識障害が無い。
  × 軽い意識混濁と強い意識狭窄に高度の認知障害が加わった意識の変容がある。
(2)振戦せん妄は、アルコール離脱時に見られる。
  ○ 最終飲酒後2〜3日で生じる後期離脱症状。  
(3)全般発作にはバルプロ酸が第一選択薬である。
  ○
(4)側頭葉てんかんは全般性発作に含まれる。
  × 複雑部分発作に分類される。   (5)意識障害の診断に脳波は有用でない。
  ×?
(6)ナルコレプシーにはREM睡眠の過剰が見られる。
  ○ non-REM睡眠をとばして一挙にREM睡眠に陥る。
(7)インターフェロンには精神症状の副作用はまれである。
  ×
(8)アルツハイマー病のもっとも特徴的な病理所見はレビー小体である。
  × 老人斑(ベータアミロイド)が特徴的。
(9)ピック病においては局所血流の低下が前頭葉や側頭葉で見られる。
  ○ 前頭葉・側頭葉で萎縮が見られる
(10)脳波は通常加齢とともに変化する。
  ○
(11)見当識は時間、場所、人物の順に障害される。
  ○
(12)幻視や幻触は器質性精神障害に特徴的である。
  ○
(13)せん妄状態においては症状の経時的変化はめだたない。
  × 短期間(数時間から数日)で出現する。1日のうちでも波があり、夕方〜夜間前半にかけて増悪する傾向がある(夜間せん妄)
(14)ピック病は脱抑制などの人格変化が起きる。
  ○
(15)三相波はヤコブ病に特徴的な所見である。
  × 周期性同期性放電(PSD)が見られる。三相波は肝不全で見られる。 
(16)振戦せん妄はベンゾジアゼピンが通常使用される。
  ○
(17)MMSE(Mental State Examination)は器質的精神障害の診断によく用いられる。
  ○
(18)脳波上発作波があれば、てんかん発作が起きていなくても抗てんかん薬を投与する。
  × 発作症状とEEGから発作型を確定してから治療する。
(19)ピック病の有病率はアルツハイマー病のそれより高い。
  × 稀な疾患で、アルツハイマー病との比率は1:100.
(20)脳死判定に脳波検査はかかせない。
  ○ 「平坦脳波」は診断基準の一つ。また、植物状態(脳波+)との鑑別にも必要。

2005年度

(1) 広汎性発達障害(PDD)の子の中核症状は精神発達遅滞である。
  × 発達遅滞がみられる頻度が高いですが、PDDの症状の中核は対人関係の障害です。広義のPDDに含まれるAsperger症候群では精神発達遅滞はみられません。
(2) 広汎性発達障害の治療薬はメチルフェニデートである。
  × メチルフェニデートはADHDの治療薬。PDDでは行動療法や心理療法などを行います。
(3) 注意欠陥多動性障害(ADHD)の生涯発症率は約1%である。
  × 約5%と講義中にありました。
(4) 軽度発達障害は女児に多い。
  × PDD, チック, ADHD全て男児の方が多い。
(5) 児童精神外来を受診する子の主訴と親の主訴はほとんど一致している。
  × 親が子供の異常をきちんと認識していないことも多いので、子供と二人だけで話をすることが必要だそうです。
(6) 教育従事者の情報は養育者の情報ほど、精神障害の診断に寄与することは少ない。
  × 「学業や他の子との生活がうまくいっていない」という教師の気付きから疾患が明らかになることも多い。
(7) 被虐待児では虐待を受けていない子に比べ、注意欠陥多動性障害の発症頻度は少ない。
  × ADHDの障害頻度は5%ですが、被虐待児では30%にのぼります。
(8) 虐待している親は自身が虐待していることを認識しており、そうした親の精神障害の発症率は虐待していない親と変わらない。
  × 親の精神障害が子の虐待に寄与している例は少なくありません。
(9) 産後うつ病は育児の負担が大きくなる産後6ヶ月後くらいから発症しやすい。
  × 産後1,2週〜1,2ヶ月が発症時期。
(10) 産後うつ病発症の危険因子として最も重要なものは産科合併症である。
  × 精神科既往歴・望ましくないライフイベント・周囲の支援不足・負荷の大きな育児(子の疾患など)・望まれない妊娠などがリスク。

(1)神経症は心因の関与が大きいと考えられる器質性の精神障害である。
  × 機能的精神身体障害  (4)神経症の薬物療法では従来より用いられている抗不安剤の他抗うつ剤を積極的に用いるようになってきている。
  ○
(5)神経症では環境の影響が小さいものほど治療予後がいい。
  × 症状持続が短く、性格問題が小さく、環境因子が大きいと予後良。
(6)身体表現性障害は以前は神経症と分類されていたが、新しい診断基準で概念化されたものである。
  ○?
(9)アセトアルデヒドの分解酵素を阻害する嫌酒薬の名前
 シアナミドcyanamide

(1)思考途絶は、統合失調症でよく見られる症状のうちの一つである。
  ○
(2)思考抑制は、うつ病性の感情障害で見られる症状のうちの一つである。
  ○
(3)錯覚と幻覚は区別がつかず、一般の精神病性障害でよく見られる。
  × 錯覚は実際の刺激を誤って知覚すること、幻覚は実態なき知覚。
(4)人は精神科症候学によって、正常と異常に医学的に区分される。
  × 正常と異常の境界は明瞭でない。
(5)せん妄は、意識障害のひとつの表現型であり、精神運動性興奮を伴うこともあるが、伴わないこともある。
  × 軽度の意識障害と精神運動興奮を伴う。
(6)せん妄は、術後せん妄、震戦せん妄、夜間せん妄、作業せん妄、等種々の疾患において起こり、種々の症候学的表現型を取る。
  ○?
(7)統合失調症は、薬物療法は無効である。
  × 薬物療法は第一選択。
(8)統合失調症は、精神療法は無効である。
  × 支持的精神療法、家族療法は有効。ただし洞察的精神療法は原則適応なし。 (9)統合失調症の薬物療法の基本は、クロールプロマジン、ハロペリドールを中心とした古典的抗精神病薬の使用である。
  ○
(10)滅裂思考の重症状態は、言葉のサラダとも言われ、統合失調症の特有に見られる思考障害である。
  ○?(「特有の」といわれるとすこしひっかかりますが…)
(11)中毒性精神病では、統合失調症に比較して、幻覚においては幻視が見られることが多い。
  × 覚醒剤中毒では幻聴が中心。(「統合失調症に比較して」といわれるとその通りかもしれませんが。)
(12)電気痙攣療法はその変法まで含めて、現在効果に関して否定的であり、全く行われていない療法である。
  × 薬剤の効果が不十分な統合失調症・うつ病に適応あり。
(13)うつ病で特徴的に見られる妄想は、微小妄想、貧困妄想、罪業妄想などである。
  ○
(14)連合弛緩は、躁病でよく見られる思考障害である。
  × 統合失調症でよくみられる
(15)1950年代の精神科治療は、フロイトの影響もあり、精神分析学的治療が盛んであったが、現在は生物学的精神医学の分野が急速に進歩している時代である。
  ○
(16)うつ病では、過眠はきたさない。
  × 季節性うつ病では過眠と過食を呈する。
(17)抗精神病薬投与中に、筋緊張更新、高熱、多量の発汗、振戦、CPKの上昇が見られた。その治療のため、抗精神病薬を増量した。
  × 悪性症候群の可能性。抗精神病薬は中止する。
(18)悪性症候群に最もよく用いられる、治療剤は何か?
  ダントロレン(静注)
(19)炭酸リチウムは、躁病、感情障害に用いられ効果がある薬剤として知られているが、副作用として中毒症状の出現が報告されている。そのため血中濃度を測定しながら投与することが望ましいが、中毒症状で最も注意しなければならないのが、急性肝細胞壊死である。
  × 重要な副作用は意識障害、けいれん、錯乱、昏睡など。
(20)抗うつ剤の効果出現は、比較的早くどれも約2,3日である。
  × 2〜3週間かかる。   (21)うつ病の治療で用いられる3環系抗うつ薬の副作用は、抗コリン作用が問題となる。たとえば、口渇、唾液分泌減少、起立性低血圧、視力調節障害、尿閉等がある。
  ○
(22)ICUシンドロームとは、治療に絶望し、離人症や恐怖症を起こすことである。
  × 昼夜の区別もなく、対人的接触のない刺激の少ない環境でせん妄を起こす。「5/20 リエゾン精神医学」
(23)慢性期の統合失調症においては、生活療法や社会復帰支援(レクリエーション療法、作業療法等)は、あまり効果がないため、それらを行うことや施設の設置はあまり意味がない。
  × このような施設さえあれば精神科を退院できる患者が多い。
(24)次のうち統合失調症に特徴的な症状はどれか?
(1)妄想知覚  (2)作為体験  (3)情動失禁  (4)両価性  (5)常同言語
(6)観念奔逸  (7)思考察知  (8)滞続言語  (9)思考途絶  (10)気分倒錯
  (1)(2)(4)(7)(9)
(25)近年日本にも導入された、新しい抗精神病薬である、SDAやMARTAに属する薬剤は、古典的抗精神病薬のクロールプロマジンやハロペリドールと比較して、副作用が少ないのは明らかだが、効果が少ないためあまり用いられない。
  × 副作用が少なく陰性症状にも有効性が高いため、維持療法によく用いられる。
(26)漢方薬は、精神疾患には効かないので処方しないほうがよい。
  ×
(27) 漢方薬は精神医学的症候に対してのみ、対症的に用いるのが望ましい。
  × 漢方の基本的考えは"心身一如"であり、精神と身体両方の症候に働き掛ける。
(28) 漢方薬を処方中に証が変化しても同じ薬を投与し続けるほうが良い。
  × 証に合った処方(随証療法)でないと、副作用(誤治)が起こりやすい。
(29) 狭義のリエゾン精神医学と狭義のコンサルテーション精神医学とは概念が異なる。
  ○ リエゾンでは精神科医がチームに常駐し、トラブルを予防する意味があります。コンサルテーションの場合は何か問題が起こったときに精神科医が借り出されるということです。
(30) 精神医学的薬物治療においては、単剤投与が原則である。
  ○ (特に統合失調症の場合は) 原則単剤投与。単剤でダメならやむなく併用という例も現場ではまれでないようですが。

(2)1970年代以降、日本を除く先進諸国では精神科病床数が著しく減少した。
  ○
(9)急性覚醒剤中毒の離脱時には抑うつ状態と食欲抗進になる。
  ○? 現れる症状としては、不快気分のほかに疲労感、鮮明で不快な夢、不眠または過眠、食欲の亢進、精神運動制止または興奮、など。

2004年度以前