東京五大煮込み


「煮込み」は「もつ焼き」とあわせて、東京の居酒屋が誇る料理であります。もちろん煮込み自体は全国的な料理だとは思いますが、こと東京に関しては、それぞれの名居酒屋の看板として、独自の発達を遂げているように思われます。

  • 煮込みとひとくちにいっても、共通点は牛のモツやすじ肉が煮込まれているというに等しいものであり、具のバラエティ、汁の感じなどお店によってまちまちです。豚汁の豚肉をモツに変えたようなものから、一見どす黒い濃厚な汁が迫ってくるものまでバラエティに富んでいます。
  • ふつう「東京三大煮込み」と称される店が、次にあげる店の上から三番目までです。ここでは、その三店に加え、本部長の判断でどうしても落とせないと思う二店を加え、東京五大煮込みとして紹介します。
岸田屋(月島)
月島駅を出るといきなりぶつかる「もんじゃストリート」。その名のとおりもんじゃ屋が軒をならべているのだが、その中にいきなり正統派居酒屋が出現する。裸電球の下、居酒屋系のつまみが出される(なおつまみが出てくるのが遅いことでも有名)。ここの煮込みは濃厚系。
大坂屋(門前仲町)
煮込みが現在のかたちになったのは戦後といわれており、戦前は、串にすじ肉をさしておき、串のまま鍋の中に放りこんで煮る形式だったらしい(大阪名物の「どて焼」はこの流れをくむと思われる)。この形式の店は現代でもいくつかあり、この「大坂屋」もそのひとつ。なんと食べ物はこの串型煮込みしかない(濃厚な汁のしみたゆで卵を入れるオプションがある)。店の女将さんが皿に数串よそってくれるのだが、実に上品な感じ。
山利喜(森下)
門前仲町といい、ここ都営新宿線「森下」駅前といい、安くてうまい居酒屋の宝庫である。山利喜(やまりき)はそんな中でも老舗に属する。煮込みはどじょうの柳川のような鍋に入っており、濃厚タイプ。あつあつで表面には脂が浮いている迫力の品。ちなみに、現在のご主人はフランス料理の修行をされた方であり、昔からの煮込みやもつ焼にまじってテリーヌなどのフランス料理もある。ガーリックトーストをかじりながら煮込みをすすり、ギネスを傾けるとこれがまたうまい。
大はし(千住)
「名物にうまいものあり北千住 牛のにこみでわたる大橋」という額が店内に掲げられている。混んでいる店内では外から人が入れ替わり立ち替わりやってくる。煮込みの他に総合的に居酒屋のつまみが揃っている。だいぶん年期の入った内装。上の店よりはさらっとした中、牛すじの味わいが上品。さらに豆腐1丁が入った「肉豆腐」という頼み方もできる。現在店を仕切っておられるのは親子だが、きびきびしており、うけごたえが実に気持ちよい。
宇ち多(立石)
京成押上線「立石」駅前もなかなか飲み食いのスポットであるが、その中でももつ焼といえばこの店にとどめをさす。裸電球の店内を縦横に走る、テーブルというのにはあまりにも狭い「とまり木」の前に老若男女がびっしりとすわり、一心不乱に煮込みをすすり、もつ焼をかじっている。ここの煮込みも濃厚な汁の中、この店のもつ焼と同じように大きく新鮮なネタが多数浮かんでいる。夏も冬もここの煮込みを口にすると幸せな気分になる。なお煮込みは他のもつ焼とくらべてなくなるのが早いが、そんなときは他のもつ焼をたのむときに「ミソ」というオプションをつけることで、焼きあがったもつ焼を煮込みの汁にひたして味付けしてくれる。

いや〜これはまいりました。頭があがりません。↓http://www.jvcmusic.co.jp/speedstar/mshokudo/maki/tokyo/tokyo1.html

ただ「三大」の順番がちょっとちがっていたような…。