Transaction †
要約 †
トランザクションとは、何らかの形で計測可能な作業単位のこと。たとえば「ソフトウェアを起動する」など。
「5回までは起動できるけど、それ以降は使えなくなる」みたいなパターン。
料金の計算方法はいろいろ考えられる。
- トランザクション単位の定額料金
- 他の何かから導出した率を掛ける
- スライド形式(トランザクションが増えるにつれて、単価を下げるなど)
- 処理に要する作業量に応じた請求(リソースをほとんど使わないシンプルな作業もあれば、大量のリソースを使う複雑な作業もある)
すべてのトランザクションを同じサイズ(処理時間や分量など)にする必要はない。
トランザクション課金の例としては、電気通信業界における通話料がある。
このビジネスモデルは、エンタープライズソフトウェアの世界に特有のものだ。
marketectの役割は、トランザクションを定義したり、ターゲットとする市場に対してどんな料金体系を組み立てるかを考えたりすること。
tarchitectは、トランザクションの定義(法的な定義、そしてビジネスモデル的な定義)をきちんと知っておくことが不可欠だ。
コラム:いいね。でも、いったいどんなふうに課金するの? †
ビジネスモデルは、どのように課金するかを定めるだけのものであって、いくら課金するのかを定めるものではない。
いくら課金するのかを定めるのが、プライシングモデル。
プロダクトやサービスに対する値付けは、marketectの仕事の中でも最も難しいもののひとつ。
高くしすぎると競争に不利だし、安くしすぎると、本来得られるであろう収入をみすみす見逃すことになる。
このへんは本書のスコープからは外れるが、参考までに、個人的に役立った原則をまとめておく。
- 価格には、価値を反映させるべし
- 作るのにかかったコストを基準にするのではなく、それによって顧客が得られる利益を基準にする。
- 価格には、作業量を反映させるべし
- 少なくとも、チーム全員の賃金を支払えるだけの価格にすべき。投入した人員ぶんの経費も生み出せないようなプロダクトを、開発する意味はない。
- 価格は、市場における立ち位置を反映したものであるべし
- 「高級品」として売り出すのなら高めに、「ローコスト」だととらえているのなら安めに。
- 価格には、市場勢力図を反映させるべし
- 競合他社のビジネスモデルを理解する。その市場への新規参入を考えているなら、新しいビジネスモデルやプライシングモデルで参入すれば、チャンスがあるかもしれない。
- 顧客を混乱させるような複雑な価格体系は避けるべし
- まあ難しいけどね。オプションがたくさんある場合は、いくつかのオプションをセットにするなりしてシンプルにすることを考えよう。
- 市場の成熟度に見合った価格体系にすべし
- まだ成熟していない市場においては、いろいろなプライシングモデルを用意して試行錯誤する必要があるだろう。
- 後から値上げするのは、値下げするよりも難しい
- 対象となる市場に見合った価格体系にすべし
- 本質的に同じソリューションでも、市場にあわせて価格設定を変えることもある(例:学割や中小企業向け割引)。
担当者のつぶやき †
みんなの突っ込み †