オプションのリスク指標のひとつ。原資産レートの変化に対するデルタの値の変化率である。 例えば、ガンマが4%というのは、ごく小さい範囲で原資産のレートが変化した場合、その変化分の約4%、デルタが変化することを意味している。ガンマの値が大きいときはデルタ・ヘッジによってデルタ・ニュートラルにしてあっても、原資産レートの変動により「ヘッジしすぎ」や「ヘッジが不足」、という状態になりる。 ユニットオプションについては通常ガンマ値を提示することはあないが、常に提示されるデルタ値の変化を観察することで、ガンマの影響を把握することができる。通常行使レートの近辺でもっともガンマの値は大きくなり、イン・ザ・マネーおよびアウト・オブ・ザ・マネーになればなるほどガンマの値は小さくなり、オプション価格の変化が直線的(デルタがおよそ一定)になる。
満期までの残存時間減少によるオプション価格の変化幅の事。通常1日の単位時間減少に対して価格減少分(増加することがありません。)がプライシング・モデルから算出される。
オプションのリスク指標のひとつ。原資産レートの変化に対するオプション価格の変化率である。 通常 -100% から +100%の間のパーセンテージであらわされる。デルタが60%というのは、原資産のレートがごく小さい範囲で変化するなら、オプション価格がその金額のおよそ60%変化することを意味している。たとえば、デルタ値+40%のオプションは市場レートが1円上昇する(円安に向かう)と、そのオプション価格が約0.4円増加する。 コールオプションのデルタ値は常に正の値をとります。すなわち市場レートの円安方向の変化がオプション価格の増大をもたらす。プットオプションのデルタ値は常に負の値で、市場が円高方向に向かうとオプション価値が増大する。どちらもアウト・オブ・ザ・マネーの状態ではゼロに近づく。
コールオプションのSpot時点におけるプレミアムをPV、受け渡し時点におけるプレミアムをFV、スポットレートをSとすると
原資産の価値変化と、オプションの価値変化を、デルタ値の合計がなるべく小さくなるようにして、総合で価値の変動を軽減しようとすること。 オプションが、ポジションが対象となるオプションのデルタで釣り合いがとれたなら、デルタ・ヘッジされてると言う。例えば、コール・オプションのロングが額面250,000のショート・ポジションをとることでデルタ・ヘッジする事が出来る。すなわち、対象商品の価値の小さい変化のために、オプション・ポジションに起こる変化を等しく相殺することである。オプションのデルタは、原資産の価格、ボラティリティ、満期までの期間と金利の変化によって変化する。この結果、デルタ・ヘッジを頻繁に再評価することが要求される。これはデルタ・ニュートラル・ヘッジとして知られている。 金融機関がオプションを使用する場合には、まず先に、企業等と取引をしたオプションのポジションがあり、その市場リスクを管理するためにデルタヘッジを直物や先物為替にて行う。ガンマの値に示される通りデルタヘッジでは静的にニュートラルなポジションは作れないので、動的にデルタの変化分、ヘッジの為替を追加したり、ヘッジ為替をはずしたり(逆の為替取引でポジションを相殺する)する。 一方、長期間でのヘッジ目的で、原資産の満期近くまで存続するオプションを購入する場合は、デルタの影響を考慮する必要は無い。原資産と同じ金額の想定元本を持ち、原資産の償還時に日本円にしたい為替レートの近辺の行使レートを持つプットオプションを選んで購入することで、十分なヘッジ効果が得られる。この方法は、すでに十分に為替含み差益が出ている原資産を持つ場合に有効である。現在の為替レートから、10円程度円安側の行使レートを持つプットオプションを利用すると、オプション代金中、本源的価値がゼロで、時間的価値のみになるため、安くヘッジをかけることができる。つまり為替差益を確定するわけである。ただし、オプション期間が原資産の満期より少しでも短ければ、オプション期間が終了したあとの為替レートの急変には無ヘッジ状態になるので、必要であれば適宜追加のオプションを購入する。 外貨預金や単純な外債のデルタ値は100%だが、条件付二重通貨債などは、為替レートの水準によっては急に価値変化が起こるため、デルタヘッジを考慮することが適当でなく、最終的な償還額や通貨を見極めて適切なヘッジとなるユニットオプションを購入することになる。
二項分布モデルは、ジョン・コックス、ステファン・ロス、マーク・ルービンシュタインらによって1979年に発表されたモデルである。初等数学を使ってオプション価格決定理論を展開させたものとして、また、非常に難解なブラック・ショールズ・モデルを一般化するものとしてよく利用されている。通常アメリカンタイプのオプション価格計算に用いられる。
原資産のボラティリティの小さい変化に関するオプションの公正価値の変化の事。
オプションのリスク指標のひとつで、非危険利子率の小さい変化に関するオプション価格の変化率である。通常金利1%上昇に対する1外貨あたりのオプション価格の変化であらわす。 オプションの価格算出に使用される、五つのファクターの中では比較的金利の与える影響は低く、特に残存期間の短いオプションではあまり考慮されない指標である。
HVに対しインプライドボラティリティは 実際にマーケットにおいて取引されているオプションのプレ ミアムから逆算されたものです。 一般的に高くなれば 変動に対して市場参加者が身構えたことを意味し、 低いときには参加者は変動 がないだろうと安心していることを示すといわれています。 そこには市場心理というものが加味されています。
Black&Sholes 式によりマーケットのプライスからボラティリティを逆算した場合、 ストライクレートによってボラティリティが変化する現象であり、 図1のように、ATM(アットザマネー)近辺でもっとも低く、 OTM(アウトオブザマネー)になればなるほど高くなるという特徴を持つ。
ボラティリティの形状を示す言葉と言えばわかりやすいのですかね?一般的にOT MはATMとは異なるボラティリティレベルで取引され(需給要因などで)、その 為にストライク毎に(もしくはデルタ毎に)ボラティリティの値をプロットして行 くと、笑った口のような形状の曲線となるために、一般にスマイルカーブと呼ばれ ます。スキューも同様に(スキューの直訳は“まがり”とか“歪み”です)、結局 ボラティリティのカーブの形状を示す言葉です。
微分方程式は、微小時間あるいは瞬間の変化を等式で表現したもので、あまり馴染みのない等式です。微分方程式を使って解く計算方法を解析法と呼んでいます。連立方程式(代数方程式)における時間の間隔を1分、1秒と短くすると、微分方程式で解いた答えと一致します。 オプション評価には、複数の変数を使った微分方程式を利用します。これを偏微分方程式(へんびぶんほうていしき)と呼んでいます。
モンテカルロ・シュミレーション法では、コンピューターに乱数を発生させて原資産価格の予測を行い、満期日の原資産価格の変動を予測します。こうした予測を数千回、数万回と行い、予測された原資産価格から各々のオプション価格を求めて合計します。これを試行回数で割った平均値を満期日のオプション価格とする方法です。これを安全利子率(短期金利)で割り引いたものが現在のオプション価格となります。
ツリー(樹形)型の価格変動モデルを利用してオプション価格(プレミアム)を計算する近似計算法です。発案者3人の名前から呼び名がついたCRRモデル(コックス・ロス・ルービンシュタイン)も、2項モデルとして広く知られています。
記号 | 読み方 | 意味 | 備考 |
Σ | シグマ | 合計(離散的変数の総和) | ギリシャ文字大文字 |
σ | シグマ | ボラティリティ | ギリシャ文字小文字 |
∫ | インテグラル | 合計(連続的変数の総和) | 積分記号 |
E(x) | イクペクティド・バリュー | 期待値 | ExpectedValue? |
C | シー | コール価格(オプショシ) | Callの略 |
P | ピー | プット価格(オプション) | Putの略 |
K | ケー | 権利行使価格 | Strike Price (上場オプション) |
X | エックス | 権利行使価格 | Exercise Price (店頭オプション) |
S | ストックプライス | 原資産価格 | Stock Price |
S | スポットレート | 原資産価格(為替) | Spot Rate |
ert | イーのアールティ乗 | 連続複利計算 | ert≒1+rt |
exponetial | エクスポネンシャル | 指数関数の底 | ネピアの数 イラー定数 e=2.718 281… |
N(d) | エネディ | 標準正規分布の累積確率 | 累積確率密度関数 |
δ | デルタ | ヘッジ比率(連続的差分) | ギリシャ文字 小文字 |
Δ | デルタ | ヘッジ比率(離散的差分) | ギリシャ文字 大文字 |
f(x) | エフエックス | Xの関数 | function |
…分散と標準偏差に関しては,求め方は分っていてもそのものの持つ意味合いが詳しく分りません。
分散はデータのばらつき具合.二乗されていて,そのままだと解釈しにくいので,これの正の平方根をとって,実際の測定値と同じ尺度に戻してやったも のが標準偏差.
意味合いの例: 平均値から1.96*標準偏差を引いたものと,平均値に1.96*標準偏差を足したものとの間に,その平均値や標準偏差を求めるのに使用したデータのおよ そ95%が含まれる.
その他,変動係数の形にしてやると,ばらつきの指標であることが理解し易いのでは.また,標本平均の標準偏差(=標準誤差)の方を考えると,標準偏 差のありがたみを実感できるのでは.ということで,変動係数や標準誤差を学んでみるのも,標準偏差の理解につながるのではないかと思います.
1827年、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンは、水に浮かべた花粉の微粒子が、まるで生き物のように震動していることに気付きました。この不思議な動きは時間とともに複雑性を増していきます。この粒子の運動過程をブラウン運動といいます。
ブラウン運動が作りだす確率過程のことをウィーナー過程といいます。確率過程とは、時間とともに推移する確率現象の数学的モデルのことで、確率とは、ある出来事が起こり得る可能性の度合いのことをいいます。
一般化したウィーナー過程とは、ウィーナー過程にドリフト項(基本的な方向性)を合わせたもので、「酔っ払いの千鳥足」の動きに例えられます。酔っ払いが家路に向かうとき、左右にフラフラとよろけながら、家のある方向に歩きます。酔っ払いの千鳥足は、一定方向へ向かう動きとフラフラする動きからなっています。
原資産価格の動きには、不安定な動きだけではなく、基本的な方向性を示す確定的な動きも見られます。この基本的な方向性を示す部分をドリフト項といいます。
ウィーナー過程は、酔っ払いのフラフラした動きに相当します。酔っ払いの程度によってフラフラする足取りが大きくなったり、小さくなったりします。このフラフラの動き、ぶれの大きさを変動率(σ)で表わします。このぶれが大きいと、酔っ払いはなかなか帰宅できません。いつもなら10分で帰れるところが30分かかったりします。10分後に酔っ払いがどこにいるのかは、偶然たどり着いた場所なので特定できませんが、家の近辺にいる可能性が最も高く、家から遠く離れている可能性は低くなります。こうした価格の現れ方(確率分布)をグラフにすると、釣鐘型のグラフになります。この確率分布を正規分布と呼んでいます。
この「酔っ払いの千鳥足」の例えを、原資産の予測モデルにあてはめて説明してみましょう。
原資産価格が1日ごとに、上がるか下がるかという動きを繰り返すとします。仮に、1日の変化幅が1円であった場合、100日間連続して上昇するとプラス100円に、連続して下降するとマイナス100円になります。原資産価格は、マイナス100円からプラス100円の価格帯に分布することになります。確率的には、上昇と下降を同程度(50回 100÷2=50)繰り返す場合が一番多いと予想できますから、価格が0円のところで終わる可能性が最も高くなります。この確率分布は、正規分布になります。
「酔っ払いの千鳥足」の動きを数式(関数)で表わすと、基本的方向性を示す動きと確率的変動が合成されたものとなります。
原資産価格の動き
ドリフト項 | 確定的な変動 | 基本的な方向性を示す動き |
ウィーナー過程 | 確率的な変動 | 不安定な動き |
ドリフト項は、原資産価格の期待収益率(予想平均収益率)を示します。ドリフト項は、グラフでいう直線の傾きに相当します。 ウィーナー過程は、ぶれの大きさである変動率と、標準正規分布からの無作為標本と、経過時間を掛け合わせたもので表わされます。 ドリフト項(基本的な方向性)をウィーナー過程に合わせたものを、一般化したウィーナ−過程といいます。
原資産の微小変化量 = ドリフト項 + ウィーナー過程
Δ S = μ Δ t + σ ε √Δ t
μ(ミュー):期待収益率、 σ(シグマ):ボラティリティ、 S:原資産価格、 Δt (デルタ・ティ):微小時間、 ε(イプシロン):標準正規分布からの無作為標本
σ(シグマ)×ε(イプシロン)×√Δt(ルートデルタ・ティ)
=変動率×標準正規分布からの無作為標本×変動時間の平方根で表わします
※σ(ボラティリティ)は、原資産価格の変動(ぶれ)の平均値で、リスクの大きさを捉える指標です。(参考 : ボラティリティ ) ※ε(イプシロン)は、標準正規分布からの無作為標本を表わします。正規分布する動きを表わす数学記号です。時間が平方根で経過するというのは、ランダム(無作為)な動きの広がりのスピードが遅いことを示します。
価格幅でのブラウン運動を算術的ブラウン運動といいます。これに対して、何パーセントという変化率(価格比)でブラウン運動をすると仮定したものを幾何ブラウン運動といいます。金融の原資産価格はマイナスにはならないので、原資産価格の予測モデルには幾何ブラウン運動を用います。
原資産価格が、価格幅での変動を繰り返すと、計算上マイナスの数値となる場合があります。しかし、現実の原資産価格がマイナスになることはありません。これでは、予測モデルの原資産価格が、現実の原資産価格の動きと適合していないことになります。これは、変動の様子を価格幅(変化量)で捉えたことが原因です。
そこで、「価格幅」で変動するのではなく、「価格比(変化率)」で変動すると置き換えると、価格が下がり続けてもマイナスにならず、予測モデルは実際の動きに適合します。
原資産価格は、価格幅で変動
原資産価格は、変化率(%)で変動
Δ S/S=μ Δ t + σ ε √Δ t
算術的ブラウン運動の確率分布は、正規分布になります。一方、幾何ブラウン運動の確率分布は、対数正規分布になります。対数正規分布は、正の値をとる左右に歪んだ釣鐘型の分布です。原資産価格の対数である価格比(変化率)は、正規分布することになります。
対数とは、大きな数字を指数に置き換えて表示したものです。例えば、1000=103(10の3乗)の場合には、 3を「10を底(テイ)とする1000の対数」といい、3=log101000と表現します。 8=23(2の3乗)の場合には、3を「2を底とする8の対数」といい、3=log28と表現します。
底をe(ネピアの数(すう))にしたものを自然対数といいます。e=2.71828…で、loge または、ln という記号を使います。 「 x=loge株価」では、xという株価の対数が正規分布することを意味しています。
連立方程式は、XやYという代数を使って計算するもので、代数方程式ともいいます。数学の教科書で馴染みのある等式で、一組の等式で表現されることから、一般に連立方程式といいます。
連立方程式は、1時間とか1日といった短期間の変化を等式で表現したもので、これを使って解く計算方法を数値計算法と呼んでいます。
微分方程式は、微小時間あるいは瞬間の変化を等式で表現したもので、あまり馴染みのない等式です。微分方程式を使って解く計算方法を解析法と呼んでいます。連立方程式(代数方程式)における時間の間隔を1分、1秒と短くすると、微分方程式で解いた答えと一致します。
オプション評価には、複数の変数を使った微分方程式を利用します。これを偏微分方程式(へんびぶんほうていしき)と呼んでいます。
満期日をX軸、行使価格をY軸、ボラティリティをZ軸とした3次元グラフのボラティリティの形状をいいます。いかなる行使価格と満期日の組み合わせでも、ボラティリティが均一である場合、このサーフェスはフラットとなります。