背景


背景

国際救助隊のアイディアの背景となる事象や歴史をちらりメモしておきます。

第二次世界大戦、ユネスコ憲章、そして日本国憲法の戦後

言うまでもなく第二次世界大戦は人類が経験した中でも最大最悪の戦争の一つ(犠牲者数、参戦国数、戦闘地域)であり、多大な犠牲を払って1945年に終結しました。戦勝国、敗戦国それぞれに膨大なドラマがあり、またほぼ全ての戦争がそうであるように、どちらかが絶対的な正義であったということはない、無関係な市民が多く犠牲になった悲劇でした。 そして第二次世界大戦では、スペイン内戦以降先鋭化していた「戦略攻撃」と括られる「前線ではなく背後の市民生活を破壊する攻撃」が大規模に行われました。ドレスデン、ロンドン、東京など多くの空襲があり、市民が亡くなり、そして究極的には広島、長崎がありました。 戦争がもはや市民生活から離れた場所での職業兵士同士の戦いでなくなり、非戦闘員殺戮も含めた総力戦となり、さらに、核兵器が登場するに至って、人類は「これ以上(大規模な)戦争、特に核兵器を用いた戦争をすれば、共倒れどころか人類の未来はないかもしれない」との結論に、少なくとも第二次大戦終了直後には多くの市民は思ったはずです。この戦禍から人類が学んだことが素直に多くの国の憲法や国連の創設に生かされました。 戦争の放棄を盛りこんだ憲法を持つ国は、ヶ国。また有名なユネスコ憲章(英文はこちら)には

この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり宣言する。

戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。

相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。

ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。

文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。

政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。

という素晴らしい文章が刻まれています。全行全て素晴らしい内容です。 そして、もちろん、日本国憲法、特に前文を忘れるわけにはいきません。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

忘れてならないのは、これらの宣言、文章が、終戦直後の世界で、ほぼ大多数の賛成を得て記され、承認されたということです。日本国憲法の成立については膨大な議論、意見がありますが、わたしは、日本国憲法は多くの国民に歓迎されて成立したと思っています。当時国民は「こんな押しつけられた憲法は嫌だ」と反対運動をしたのでしょうか? 女性の権利を大幅に増やした新しい憲法案を知って、日本の女性はそれでも「アメリカが作った憲法は嫌だ」と反対の声が多かったのでしょうか。そんなことはなかったですよね。

大切なことは、成立課程の細々した経緯ではなく、我々がそれを受け入れたこと、そしてその内容です。前文に書かれている内容に反対の方はいるのでしょうか。

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいとは思わない。

という方がおられるなら、残念ながら議論の根本の立ち位置が異なりますので、本サイトの内容は全く無意味になるでしょう。しかし

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

という考えには賛成だという方は、本サイトで取り上げている国際救助隊の考えを少し一緒に考えてもらえたら、と思います。

前半のまとめ

  • 第二次世界大戦は人類が経験した中でも最悪な戦争のトップ候補
  • 市民への無差別攻撃は戦略として完全に組み込まれ、究極的には核兵器が控えている
  • そのような悲惨な戦争が終わった直後に、世界でさまざまな平和的憲法、憲章が起草された
  • 例としてユネスコ憲章、日本国憲法前文がある
  • 日本国憲法前文の趣旨に、実現の不可はともかく、賛成な方はこのサイトを見てください。反対な方は残念ながら人間としての根本的な立ち位置が異なるようで、本サイトの情報は無意味です

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