電気電子設計/スイッチングレギュレーター

今日の19件

counter: 394
today: 1
yesterday: 0
online: 1

電源1 †

■ページ内リンク
1.スイッチングレギュレーターとは？その種類
2.スイッチングレギュレーター動作原理
3.スイッチングレギュレーターの作成と検証
4.その他

1.スイッチングレギュレーターとは？ †

スイッチングレギュレーターとは文字通り、スイッチをオンオフさせながら必要な電圧を取り出す回路のことです。
主に2あります。
前回引き続きですので番号も引き継ぎます。

　2-1.ダイオード整流レギュレーター　－－－－－②
　2-2.同期整流レギュレーター　－－－－－－③

説明より、動作原理を見ていった方が理解が早いので、さっそく動作原理をみていきます。

まず、前回のおさらいです。リニアレギュレーターの構成は下図のようでした。

・図1 リニアレギュレーター

この回路は常に平衡状態で電流が流れ続け、トランジスタVceで常に発熱が生じしてしまいます。

・図1 リニアレギュレーター

入力電圧が高すぎると、損失の方が大きくなってしまいます。
なんとかならないでしょうか？

2.スイッチングレギュレーター動作原理 †

下図をご覧ください。
仕様としては、入力5[V],出力2.5[V] 1[A]とします。
どうやって実現したらよいでしょうか？
図にも書きましたが、エネルギーは逃げも隠れもしないですからエネルギーで考えるのがよさそうです。

・図3 スイッチングレギュレーター案

図では、入力電流Iinを”?”とかきましたが、入力電力より大きい電力が取り出せる可能性は"0"ですので、最大で、2.5[W]にしかなりません。
結局どうやるかは別として、入力電流は、5[V] × Iin[A] =2.5 [W]ですから、Iin =0.5 [A]が最大です。

時刻でみてみます。下図の通り。いまのことろ一定に2.5[W]を消費させます。

・図4 消費電力時刻による変化

エネルギーの総量Eとし、これは W × 秒　[J] でした。(定義ととらえてください。)
下図の面積となります。

・図5消費電力時刻による変化2

つまり、面積が同じなら、エネルギーとしてはつじつまが合うわけです。
下図でもよいですね？

・図6消費電力時刻による変化3

なぜ、1秒あたり5[W]と、2.5[W]の2倍にしたのかというと、入力電圧が出力電圧の2倍だからです。つまり、下記のようにしてつじつまを合わせます。

5[V] × 1[A] × 3[sec] = 2.5[V] ×1[A] ×6[sec]

というわけで図3の　"　?　"　に入る素子はスイッチみたいなもので、断続的に電力を供給させればいいことになります。
仮にSW1とします。(下図7)

・図7 図3にSW1を追加

SW1を単純にこのままオン、オフさせます。
負荷Rをつなげます。
当然下図8のように、出力は5[V]or 0[V]となります。

・図8 SW1追加回路図　出力電圧時刻グラフ

しかしあくまでほしいのは2.5[V]です。
ここで電荷を蓄えられる素子としてコンデンサがありますので、追加してみます。(下図9)

・図9 SW1、出力外付けコンデンサ追加回路図　出力電圧時刻グラフ

だいぶよくなりましたが、まだギザギザしています。
ここでコイルを入れてみます。(下図10)

・図10 SW1、出力外付けコンデンサ追加、出力外付けコイル追加回路図　出力電圧時刻グラフ

コイルの動作は難しくありません。
下図のようにバネと同じです。入力電圧の急峻な変化をなだらかに変えます。

・図11コイル動作原理

負荷が変化したらどうでしょうか？
必要な電力が増えたらオン時間を長くする必要があります。
そのため、出力電圧を見張っておくための抵抗を追加しました。（図12）

・図12 SW1、出力外付けコンデンサ追加、出力外付けコイル追加、センス抵抗追加、出力電圧時刻グラフ

やっぱり電力いらなかったというときは、自然減ではなかなか2.5[V]まで落ちてきませんので、SW2を追加し、
強制的にさげることで2.5[V]を維持します。SW2を追加してGNDへ余剰電力を廃棄します。(図13)

・図13 SW1、SW2、出力外付けコンデンサ追加、出力外付けコイル追加、センス抵抗追加、出力電圧時刻グラフ

だいぶ見慣れた回路になってきました。
さて、実際のスイッチはメカスイッチではなく、電気的に行いたいので、スイッチングデバイスを使うことにします。
そうです、トランジスタです。
またN-channel　FETもほぼ同等の動作をしますのでこちらの場合も示します。(図14)

・図14 SW1(Tr1)、SW2(Tr2)、出力外付けコンデンサ追加、出力外付けコイル追加、センス抵抗追加、出力電圧時刻グラフ

最期に整理して実際よく見かける配置へ書き直します。（図15）

・図15 SW1(Tr1)、SW2(Tr2)、出力外付けコンデンサ追加、出力外付けコイル追加、センス抵抗追加、出力電圧時刻グラフ

3.スイッチングレギュレーターの作成と検証 †

それでは、今までの動作原理を元に、シミュレーション回路を作ります。
簡単のため、負荷変動はないものとします。(PWM制御なし)

・図16 スイッチングレギュレーターシミュレーション回路図（PWM制御なし）

動かしてみた結果は下グラフの通りです。
緑：Vout出力です。およそ2.5[V]位になっているのがわかります。
青：UGATE FET1のゲート電圧です。
赤：LGATE FET2のゲート電圧です。

・図17スイッチングレギュレーターシミュレーション結果グラフ

さて、ミクロの動作をみてみます。
緑：Vout出力です。2.51~2.46[V] 0.05[V]ずれるとして誤差2%です。青：UGATE FET1のゲート電圧がオンのとき、Vout出力は上昇しています。
赤：LGATE FET2のゲート電圧がオンおんとき、Vout出力は下降しています。
赤：LGATE FET2のゲート電圧がオンのとき、Vout出力は下降しています。

・図18スイッチングレギュレーターミクロの動作と精度

このように、スイッチングレギュレーターは、スイッチングのタイミングで出力が少しずれます。
前回リニアレギュレーターの誤差が0.01%程度でしたので、原理的に精度が若干悪くなります。

このようなレギュレーターを同期整流DCDCコンバーターといいます。
解析のポイントとしては、入出力電圧が正常かどうかは当然確認します。
出力電圧が異常の場合、ゲート電圧を確認するとよいでしょう。

4.その他 †

受動素子としてはコイルの動作がわかりにくいと思います。
しかし、本質的なことはメカ的な挙動と同じですので、極端に言えばバネがわかるなら、コイルも分かる、と記述しました。

もっとも、電圧を加えるというのはどういうことなのか？ということに対し理解がないことが一因と思われます。

F = eV [N]:  F[N] は、電荷eにVをかけたもの
F = Ma [N]:  F[N]は　質量Mに加速度aをかけたもの。加速度がaです。

上式より、電圧は電子eに対し、加速度を与えるものと解することができるのです。
物理的な挙動と電子回路の挙動は同等です。

ですのでメカ的な理解が、電子的な理解を大きく手助けすることがわかると思います。

今日の20件

stillalive(3)
verilog/DE0-CV/installation test1(2)
電気電子設計(2)
PIC(2)
bookmark(1)
html(1)
PukiWiki/1.4/Manual/Plugin/S-U(1)
PukiWiki/1.4/Manual/Plugin(1)
Arduino/Positioning1 GPS by Spresense(1)
PukiWiki(1)
verilog/DAC_SPI2_24(1)
Arduino(1)
電気電子設計/トランジスタ(1)
電気電子設計/マイコン(1)
電気電子設計/電源シーケンス1(1)
電気電子設計/スイッチングレギュレーター(1)
実効値の説明(1)
スイッチングレギュレーター(1)
デジタル回路基礎(1)
高周波コンデンサ(1)

counter: 394
today: 1
yesterday: 0
online: 1

電気電子設計 / スイッチングレギュレーター

最新の20件