Basic Input/Output System(ベーシック インプット/アウトプット システム、略称 BIOS - バイオス )はファームウェアの一つで、コンピュータに搭載されたプログラムのうち、ハードウェアとの最も低レベルの入出力を行うためのプログラムである。コンピュータの電源を投入した直後に実行される。
BIOSはもともとはCP/Mの用語であり、ギリシャ語のβίος(Bios, 命)から由来している。
1997年頃までのPCでは、BIOSはROMに格納され、コンピュータに組み込まれた形で提供された。ROMライターといった特殊な装置が無い限り、BIOSは書き換えられないのが普通であった。
それ以降は書き換えが自由なフラッシュメモリに格納された製品が出回るようになり、バグ対応や新機能サポート時のBIOSの書き換え作業には特殊な装置の必要がなく、書き換え用にフロッピーディスクに簡素なオペレーティングシステム(主にMS-DOSやその互換OSが利用される)の環境を作成、そこから起動し、書き換え用ソフトウェアを起動することで簡単に書き換えを行う事が可能となった。さらに2000年以降はフロッピーディスクから起動せずともWindowsやUNIX系OSといった統合環境上で直接書き換えすることができるようになった。現在では、「BIOSの設定画面上でBIOSを書き換える」といったシステムを備えたBIOSも登場し、書き換え方法の選択肢が広がっている。
しかしBIOSの書き換え中に停電など何らかのトラブルで書き換えに失敗した場合、そのコンピュータは全く起動しなくなる。したがって、メーカーは「パソコンに問題があってその解決方法がBIOSアップデート以外に存在しないときやOSのアップデート時にのみアップデートを実行してください」などと注意を促している。
BIOSはコンピュータの起動の根幹であるため、内容が破壊されるとそのコンピュータ自身では再セットアップすら出来なくなる。復旧する方法はBIOS ROMの交換、または専門の業者などで「ROM焼き」と呼ばれる復旧作業をしてもらうのいずれかである。BIOSチップがソケットに差し込まれているタイプのマザーボードでは自身で同一のマザーボードを用意し、起動後に破壊BIOSに差し替え再書き込みをするという荒業も可能ではあるが、起動中のコンピュータのBIOSを抜く事は大変危険である為推奨されない。また、2000年以降に出回っているコンピュータ(マザーボード)によっては、ROMを2つないし4つ持っているものもあり、別バージョンへの切り替えができるようになっているものもある。
従来は、アプリケーションが周辺機器の制御を行う場合に、入出力ポートを直接触ることなくBIOSが提供するサブルーチンを呼び出すことで制御が行えるようになっていた。しかし最近ではこの役割がOSにとって代わられており、アプリケーションはBIOSを使わず、必ずOSが準備したシステムコールなどを通じてBIOSが提供する機能を使うようになっている。BIOS機能を使わなくなったOSも多く、BIOSはOSを起動するための機能だけを提供するようになっているものもある。
BIOSには多数の設定項目が存在し、これらの設定を変更することでオーバークロックといったコンピュータの性能を変化させることが可能となっているが、自作パソコン初心者にはこれらの項目を派手に弄りすぎて問題が発生する場合が少なくない。
しばしば、PCトラブルの際に「BIOSを初期化しましょう」といった表現がなされることがあるが、これはBIOSメニューの設定を初期状態に戻すCMOSクリアを意図して誤った表現となったものであり、BIOSそのものを書き換える訳ではないので注意が必要。