リッジレーサーLD・サウンドトラック「リッジレーザー」


  • ナムコ/namco
  • ビクターエンターテインメント
  • LD/音楽CD
  • 1995.3-4
  • 楽曲、アレンジ制作

リッジレーサーLD / Ridge Racer LD

  • リッジレーサーのスーパープレイが収録されたLD。これ用に書き下ろしたのがタイトル曲でもあり唯一のフュージョン曲である「リッジレーサー」のジャズグルーヴ版。
    • 当時US3やUFOに夢中だった佐野が初めて手掛けた「ジャズグルーヴもの」。結局、当初予定していた楽曲の方向性とは違う形になったが、それでもこれはこれで良い雰囲気が出てると思う。
      • ジャズグルーヴと言いながら808/909系の音や、E-muのVinkeyのクワイヤー、メロトロン系のプリセット、を使っているあたりが微笑ましいというかある意味オリジナリティがある。ちなみに当時このメロトロン系プリセットは大変気に入っていて多用した。
    • コンセプトとしては、「リッジレーサー」を古いナイトクラブでプレイしているジャズトリオのレコードからサンプリングして作った曲、だった。当然そのような音源は無いので、人のざわめきやレコードのトレース音等を混ぜて作った。
      • 一つ悔やまれるのはこの時作った「サンプリングネタ」のキックの音のみが前に出過ぎてしまい、ネタとしての一体感を壊している点。
  • このLD製作の際、はじめてMAスタジオでの立ち会いを経験した。

リッジレーザー / Ridge Laser

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  • ジャケット、インナーデザインからフォントまで口出しして作ったCD
    • 当時のゲームサントラの「ちびっ子向けデザイン」や「開発者のオナニーコメント」が大嫌いになっていた(自分も何度かやったことで一層嫌いになった)ので、徹底的に口出しした。
  • このCDは前述のLDのサントラにあたり、つまりはゲームのオリジナルサントラでは無いのだが3万枚近く売れたらしい。
    • 原因はちょうどこのCDのリリース時がプレイステーション版リッジレーサーの発売日と重なったためではないかと予想される。つまりはこれがリッジのサントラだと勘違いしたのかも知れない。勘違いした方、申し訳ないです。
  • とはいえこのCDに収録された曲、Had Grippedはオリジナル曲に匹敵するぐらい良い曲だと思う。
    • 昔レーサーだった男が、よく晴れたある日に、愛車のポルシェで子供の遊ぶとある公園に乗りつける。と、あの頃のレースをゆっくりと思い出していく....というバックストーリー。
      • 曲の最初と最後に入る車のエンジン音は本物のポルシェのそれ。ポルシェ採用の理由は、当時サウンドスタッフで箱根に遊びに行った際に「ポルシェ博物館」にて刷り込まれた事による。
      • 古い映画風なストリングスはJD800のストリングスカードのプリセットで、プリセット名にも確かフィルムかシネマか、そのような名前が入っていたと思う。実は相原氏に紹介してもらった音色で、これ以来大変気にいって使い倒した。
    • 低めのピアノでコードを奏でていく手法が非常に気持ちが良い。相原氏に「俺もこういうのやりたかったんだよー」と悔しがられて嬉しく感じたのを思い出す。
    • 川崎にしては小洒落たバーに、サウンドの後輩を連れ出し、このCDのこの曲を店のスタッフにかけさせ、悦に入っていた事を思い出した。今考えると身の毛もよだつほど恐ろしくイヤな先輩だ。しかも自分の曲に心底酔いしれて、その後あまり覚えが無い。最悪にもほどがある。ただ一つ覚えているのが、店の人から「あー普通の曲なんですねえ、良かった。変な曲だったらどうしようかと思って」というズッコケコメントをもらった時は酔いが一気に醒めた。
    • 曲名も大変気に入っている。が、果たして英語的に自分が想定するイメージを伝えているのかどうか不明である。
    • レースの思い出に心をゆだねた男が、ふと子供達の声で我にかえり、エンジンを止め、車から降りようとする....曲の最後はそんな場面を描いている。
      • かなりコテコテだが、楽曲自体の良さに引っ張られ、全体として印象深い作品に仕上げられていると思う。個人的にも非常に好きな1曲。
      • 実はこのストーリー上の「男」は、遠い将来の自分の理想型でもある。が、まだまだポルシェを手に入れて公園にて昔を思い出すには早すぎるし、何しろ収入が遠く及ばない。まだまだ頑張らなくてはいけないようだ。

佐野電磁業務履歴