大国・勢力
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その他の勢力
匈奴
匈奴（きょうど）。
紀元前５世紀ごろから紀元後５世紀にかけて北アジアに存在した遊牧民族、あるいはそれが中核になって興した遊牧国家。
優れた騎馬技術と武器により周辺諸国を圧迫した。
匈奴などの君主（大首長）の称号は単于（ぜんう）と言う。
正式には撐犁孤塗単于（とうりことぜんう）と言う。中国で言う「王」「皇帝」に相当する。
匈奴は、マイナーな印象を受けるかもしれないが、このころの歴史の転換点に登場することが多い。
例えば
- 黄巾の乱後、南匈奴の於扶羅?が長安から逃げ出した献帝を救い出す。
(このことは、三国志演義では登場しない。）
- 於扶羅の孫、劉淵は304年に自ら匈奴大単于(皇帝)を名乗り、五胡十六国時代の端を開く。
などである。
また、漢（後漢）王朝の嫡流は309年に匈奴の（このとき国号は漢と称している。後に趙（前趙）となる。）汲桑軍に殺され断絶している。
歴史
- 匈奴は自分自身の記録という物を残していないので、その記録のほとんどは中国の物である。
- 初めて中国の史書に姿を現すのが戦国時代の終わり、紀元前3世紀の半ばごろ、趙の北に現れ、趙と交戦したと記述される。
- 前漢の宣帝の時代（紀元前50年ごろ）に後継争いで内紛が激しくなり匈奴は弱体化。
- 後漢時代、匈奴は南と北に分裂する。（北匈奴、南匈奴）
- 後に南匈奴は漢に属し、北匈奴は南匈奴、鮮卑族に圧迫される。
（後に、北匈奴は圧迫を逃れるために西へ移動したと言われる。）
（南匈奴は漢の戦力として北匈奴に対する防衛力として使われたりした。）
- 黄巾の乱後、南匈奴の於扶羅が長安から逃げ出した献帝を救い出す。
（この頃から多くの族人が長城内（華北）に移住するようになり、これが後の五胡十六国時代への伏線となる。）
- 304年、晋（西晋）が八王の乱で混乱する中、於扶羅の孫である劉淵は自ら匈奴大単于
(皇帝)を名乗り漢（後に趙（前趙））を建国。同時代、匈奴の別部族が趙（後趙）を建国。
- 311年、永嘉の乱起こる。劉聡（劉淵の四男、或いは三男とも）西晋の都、洛陽を攻め
晋（西晋）皇帝の懐帝を捕らえる。
- 316年、劉曜（劉淵の甥）、晋（西晋）の愍帝を捕らえる。（西晋の滅亡）
- 401年、匈奴の沮渠蒙遜（そきょもうそん）、涼(北涼)を建国。
- 407年、劉淵の一族であった赫連勃勃（かくれんぼつぼつ）後秦から独立し夏(大夏）を建国。
- 439年、涼（北涼）、北魏に滅ぼされる。（北魏が華北を統一、南北朝時代に入る）
- 北魏が華北を統一後（中国の南北朝時代）、匈奴は北魏の政権内（北魏は鮮卑が建国）に取り込まれていき、集団としての匈奴の名は消えていく。
※北魏の国号は単に「魏」であるが、戦国時代の魏や三国時代の魏（曹魏）と区別するため史上このように称される。
（北魏は三国時代の魏とは別のもの）
烏丸
烏桓（うがん）。
中国北方に存在していた民族。三国志などでは「烏丸」と表記される。
烏桓は東胡から出た遊牧民族で、匈奴に追われた後、烏桓山に割拠したためこの呼び名が付いたといわれている。
騎射に優れ、その騎兵は精強で鳴らした。
歴史
- 紀元前には匈奴に服属するが、匈奴が弱体化してくると烏桓は自立する。
- 袁紹と公孫瓚との争いで袁紹に味方し、その功績により蹋頓?ら有力者は単于に任じられた。
- 207年、曹操に敗れた袁紹の残党を迎え入れたため、曹操の攻撃を受け、蹋頓が討ち取られる。
- その後、漢民族や鮮卑と同化していき、歴史の表舞台から姿を消す。
羌
羌（きょう）。
現在のチベット周辺で遊牧生活を営んでいた民族。
タングート、蔵人、番子などとも呼ばれる。
漢の時代には「西羌」と呼ばれ、たびたび漢の涼州に侵入した。
歴史
- 周の文王に協力して殷打倒に大功をあげた者の中に姜族があるが、ここで言う「羌」と関係があるかどうかは不明。（姜族は羌族の一部族ともいわれるが不明である。）
※太公望は姜族出身と言われる。
- 後の五胡十六国時代に自らの国を建てる。（後秦、384年〜417年）
- 唐、北宋の時代には「西夏」を建国する。（後にチンギス・ハーンに滅ぼされる）
- 西夏滅亡後は「羌」としてのまとまった動き（政治活動）は見せず現在に至っている。
※三国時代の蜀（蜀漢）の正式国号は「漢」であるが、他の時代の「漢」と紛らわしいので、ここでは「蜀」の名称を使用した。
