曹操の晩年にクーデターを企てようとした、漢王朝最後の徒花。
「群衆を惑わし都を揺るがす才能の持ち主」と称される天性のアジテーターで、
その才を聞きつけた鍾繇の推挙で仕えると、その名声と人望で多くの士大夫と交流する。
評判通りの才能で「九卿・宰相以下ことごとく彼に心を寄せて交流を結んだ」とまで記されるほどの人脈を築き上げた彼は、
219年、曹操が漢中遠征からまだ帰還していない間に反乱を起こし政権を掌握しようとした。
しかし反乱を持ちかけた相手である陳褘が曹丕に密告したことで発覚しており、未遂に終わり処刑された。
魏諷の反乱には多くの名士、高官の子弟が加担していたが、彼らもまとめて処罰されている。
本作に登場している武将の関係者としては張繍の子である張泉や王粲の子二人(どちらも名前は不明)が処刑されている。
また、文欽も疑惑をかけられ処刑されかけるが、父・文稷の功績に免じて許されたという。
さらに、魏諷を推挙した鍾繇はこの責任を取って免職となっている。
演義や演義準拠の吉川英治版・横山光輝版に登場しないため、昔はかなり知名度の低い人物だったが、
近年になって『蒼天航路』で大々的に魏諷の乱が扱われたことにより日本での知名度を飛躍的に高めた。
『蒼天航路』での大抜擢は「魏」国に吹く「言」葉の「風」という彼の名前が余りに美味しすぎたせいだろう。