身分の低い歌姫出身でありながら皇后の位にのぼりつめた異色な女性。
その人柄は謙虚で倹約家だったことが史書や息子・曹植の誄(亡くなった人物を悼む詩)に記される。
また、たびたび曹操に従軍し、曹操死亡の誤報が入った時は慌てる者たちを諭して混乱を鎮めた逸話がある。
倹約家のエピソードとしては、曹操からいくつかの耳飾りから一つ選ぶように言われると、
「高価なものを取れば強欲と思われ、安価なものを選ぶと偽りの倹約と思われる」
という理由で中程度のものを選んだという話がよく知られている。
以前の人物名は卞皇后だったが、今作は全面的に「皇后」呼びは廃止され、彼女も氏という無名の人物につける呼称に変更された。
一方で曹操の側室の杜氏は杜夫人という尊称に変わり、結果的に曹操の妻のなかで一番格下な名前になってしまった気がしないでもない。
ちなみに諡号で呼ぶ場合は「武宣皇后」となる。