東海大森林


 東海地方では“穴”が開いた直後から植生が異常繁殖し、地方全体が森林化している。
 あくまで「森」であり「ジャングル」ではないが、生態系も変化しており、本来なら東海地方では見られるはずのない動植物まで発見された。
 切り開いても一晩で生えてくる樹や二メートル級の巨大な昆虫、根を足のように動かして這いずるツタや身体の各所に外骨格を持つ熊など、「暴走した自然」とでも言うべき存在が多数確認されており、旧日本の西と東を隔てる要害となっている。

 一般的に住人は集団自衛のために遊牧民のような移動生活を送っているが、大戦前の建造物に住み着く者、火炎放射器やチェーンソーなどで森を切り開いて小さなエリアを確保している者、住居を持たず森と一体化して生活する自然主義者など、一定の地域に住み着く人間も幾らかは存在している。