中野RPG / アルバート

アルバート †

後日談 †

政務官としてのアルバートは共和制だったとされる魔動機文明への憧れや、父への反発からくる英雄不要論など、蛮族の攻勢に苦しむ状況に適さない思想の持ち主であり、必ずしも優秀ではなかった。
しかし、深刻な人材不足の中、強い義務感と行動力、医術の心得を活かした健康管理能力を武器に激務に耐え続け、彼ならではの特徴的なエピソードを多く残している。
以下はその一部である。

●ユノス杯武芸大会
“勇者嫌いの”アルバートが一度だけ率先して２国６都市すべてに告知を出し、大規模な武芸大会の開催を企画した事がある。
大会では訓練所中退生から複数名の騎士が誕生し、旧知の友人達がモトリロメオに長逗留している。
なお、この期間に干拓、治水工事が局地的な水面の凍結、河川の逆流などの天変地異に味方されて一挙に片付いている。

●帰郷
“魔動機宰相”アルバートが首都に移住後に、始めてオプトラを訪れた時の話。
アルバートは隠居を決め込んでいた祖父を拝み倒し、ボイルを王国魔動機術顧問に招聘する。
余談ではあるが、この訪問中にオプトラの教会で若い夫婦が結婚式を挙げている。

●西方交易
“売国奴の”アルバートはカルマンギア交易の窓口であった。
私怨で輸出の差し止めや粗悪品の輸出を行う者は厳しく罰し、カルマンギアの領土拡大には守りの剣の売却や貸与を強行した。
また、カルマンギア訪問の際には魔動バイクで行程を短縮したが、道中で必ずエグ味の強い変な草を採集していたという。

●鉱山開発
“棒倒しの”アルバートはノームの友であり、鉱脈の情報を詳細に知る事ができた。
アルバートは妖精使いであったが、妖精に祝福も隷属も求めず、ただ隣人として取引をした。
「金属資源は国家の大事」と宣言してノームと遊ぶ様子は、どう見ても楽しげであったという。

●冷血と猪突
“天邪鬼の”アルバートの子飼いにギブリという騎士がいた。
旧知とはいえ、仮にも目上であるアルバートを堂々と殴りつける粗野だが愛嬌のある男である。
この好漢をアルバートは「“鮮血の英霊”に匹敵する」と言って重用した。

●ヒルズブルグの娘
“子供好きの”アルバートはヒルズブルグ伯ニコライの娘を預かっていた事がある。
無邪気な伯爵の勝利宣言に苦笑いしながら、この小さな友人を歓迎し我が子と同様に厳しく教育した。
この伯爵令嬢が後の“テラノの爆弾姫”“スカディの恋敵”であるが、それはまた別の話である。

ソレント・アルバート記念図書館に残された無記名の記録より抜粋