「凄いなあ…」
少年は口を大きく開けて、巨大なキャタピラに乗せられたロケットを見た。
15〜6歳であろうか。非常に濃い紺色の髪、低い背に大きなライフルを背負って腰には片手銃の最低級メーカーの”アクシズD−27型”がぶら下げられている。しかも今流通してるものより1つ遅れたタイプ。
この武器倉庫には大量の兵器が置かれてある。これも全てこの世界の1つ上の世界と戦うためだ。
「いい感じだろう?」
どこからともなく1人の男が現れた。その顔はしわで占領されている。
「これさえあれば”上”から来るあの醜いものたちだって我らの世界の地面に足をつかせる前に撃墜できる」
男は右手を強く握った。そのしわの奥にある目はしっかりとロケットを見つめていた。
上の”やつら”は奇妙な姿をしていた。
この世界では上の世界の”やつら”は人造人間だと教えられた。もっとも”やつら”人間に見えるかと考えれば決してそうではなかったが…。
「僕たちは勝てるんでしょうか…」
少年は男を見た。それに気づいていながらも男は少年の方を向かず、ロケットを見ている。男は一度見上げていた顔を下ろし首を振ってコキッと音を鳴らした。そして少年のほうを向きうーんとつぶやきながら頭を掻いている。
「いかんなあ…歳をとるとどうも人の名前を覚えれんのだよ…悪いが名は名前はなんと言ったかな?」
男は少年に指を指して言った。
「はい!自分は特攻団体第2班小兵のエルフェ・グリガンダインです!」
エルフェと名乗った少年は敬礼して言った。
「そうかエルフェ君今の現状で言えば我らは圧倒的に不利な状態にある。しかしそれを乗り越えなければ我らに勝利はない」
そういい終えた直後、敵襲のサイレンがなった。あまりに大きいその音はエルフェの体の芯まで入り込んできた。
エルフェは扉を開けて外に出た。空には大量の人造人間が空を舞っている。
「もうこんなとこまで…!!」
そういったエルフェを化け物並みに耳がいい人造人間は上空で見つけ、そのうちの3体がエルフェにマシンガンを撃ちながら急降下してきた。
エルフェは脱兎の如く急いで倉庫に引き返した。そして頑丈な扉を閉めた。
「もうそこまできてます!後ろから逃げましょう!」
エルフェはさっきの男に叫んだ。すると後ろから男がこう言った。
「僕たちは勝てるのかという質問答えてなかったね…」
エルフェは不思議そうな顔をして、は?と言った。
「何言ってるんです!早く逃げましょう!!」
エルフェは男の腕をつかんだ。引っ張って逃げようとするが男がやけに重い。
「答えは勝てないだ」
そういった瞬間男の手がうろこ状の硬い肌になった。そして男はにたりとと笑う。エルフェは驚きすぎて声も出なかった。ただ、反射的にマズイと察知したのか、もう男とは5メートルほど距離をとっていた。
「人造人間には特例があるんだよ…きわめて人間と容姿が似ている特例がね…」
エルフェは背負っていたライフルを男に向かって構えた。
「その特例がこの世界に暗殺者として紛れ込んでいない可能性はないだろう?」
エルフェは叫びながらライフルの引き金を引いた。
上の”やつら”は奇妙な姿をしていない者もいた。
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