残されてしまう村人のための推理・考察方法論


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「あなたはただの村人です。しかしあなたの推理力や発言が、村人側の勝利の鍵になるかもしれません。」

「村人」とは?

村人は、能力者のような人狼を探すための特殊な能力を持たない村側の参加者です。 村人の役割はいくつかありますが、優先されるのは村側能力者の保護です。

  • (1)狼に喰われることで、能力者を襲撃から保護すること
  • (2)騙り能力者の偽判定の対象となり、他の村人達に能力者の真偽の判断材料を増やすこと

(1)はなかなか難しい仕事です。 ヒラ村人の至上の仕事は「潜伏能力者と誤認されて灰(未判定の生存者)の中から喰われる」ことだといわれていますが、
戦術が高度に発達し狼による序盤灰喰いが行われることが少なくなった現在、意識的にそれが出来るプレイヤーはベテランでもそうはいません。
序盤の占先にあがることで、回避COによる占い先割れと占い先襲撃による能力者死亡を抑止するのは悪い仕事ではありません。
喰い残された場合には俗に「保存食」などと呼ばれる占白確定者ですが、確白村人が喰われることで能力者が守られるメリットのほうが大きいので気にしない方がいいです。
占い師は狼に占を当てたがりますが、複数の占師がCOしている状況では、占で黒確定が出ることはまずありません。
たとえ狼が占われ、パンダ判定を受けて吊れたとしても、霊能者が複数COしていたり、 あるいは既に襲撃されていた場合には占の真偽そのものは判明せず「Aが真占の場合にはCは黒、Bが真なら白」という情報が残されるだけです。
対して白確定が出た場合、確実にその占対象は白です。
村全体にシェアされる情報量としては、あなたが「黒でない」と分かることは、狼に占いが当たった場合と比べてもまずまず悪くありません。村人なら占いを逃れないこと

(2)の方は、具体的には占パンダ判定(偽占師によって黒判定される)の後で吊られ、霊判定結果によって占霊の真偽についての情報を増やす、という役割です。 占先になった時点で黒寄りに見られているということかもしれませんが、パンダ判定を受けてからの挙動次第では発言から白推定され、占霊の真偽判断は大きく村側有利になることもありえます。

これら2つの仕事は村人の誉ですが、なかなかそうはならないのが現実です。
村人が灰のまま残る場合はほとんど「スケープゴート(SG)」(=狼が自分の代わりに吊らせようとしている村人)としてです。
残されてしまうSG村人となった「あなた」は何をすればいいのでしょうか?
答はひとつです。

  • (3)正しい推理と有効な説得によって正しく狼を特定し吊ること

それしか村の勝利にあなたが貢献できる道はありません。
幸いなことに、あなたには唯一つ白確や能力者よりも有利な点があります。
「自分自身が村人だということが判明している」 ということです。考察すべきグレー村人が一人少ない。
それを生かし推理の基点とすることで、狼を恐れさせるような考察を出すことが出来れば、灰から喰われるよりもいい仕事になるかもしれません。

本稿では初心者向けの村人講座のような、村人の挙動の基本事項を再確認したりはしません。
普通に振舞っているのに、いつも最後まで残されてしまう「あなた」のための方法論です。~*1

自覚すべきこと

あなたは疑われている
まず第一に、疑われていない灰村人はいません。どんな村人でも黒要素の一つや二つは探せばあります。
決め打ち傾向で考察する人でも、心のどこかで「ひょっとして」という疑心暗鬼の種は必ずあるはずです。狼はそれを育てる術を心得ています。
最後まで残されたあなたは特に、狼に見込まれた育て甲斐のある疑いの種を持っている人、ということになります。
あなたの言動のどこかに、白確定やまとめ役、他の灰村人から疑われうる要素があるということです。
言葉遣いや印象といった、漠然とした感覚的なものかもしれませんし、誰も気づかない、自分でも気づいていない(狼だけが気づいている)論理矛盾かもしれません。
あなたは疑われている、ということを自覚しましょう。
「普通に話してるのに何故疑うんだ!?」とは思わないように。疑っている方が間違っているのではなく、疑われるあなたに黒要素があるのです。*2
あなたの推理はおそらく間違っている
狼は中盤以降、推理が正解に近い人間は灰村人でも喰いにきます。狩人かもしれないから、というのもあります。
最後まで残されてしまう村人は、喰われた村人に比べて的外れな推理をしているということです。
狼が残したいのは「推理は外れているが発言力・影響力のある人」です。自分が白寄りに見られている事だけで安心していると、最後まで残された上で白狼疑惑をかけられ吊られてしまうのがオチ。
もちろん、狼がその裏をかいて「正しい推理」をしている人を残すことでその推理が正しくないかのような印象を与えようと企むことはあり得ますが、たいていの狼は自分達を強く疑っている者から排除したいと考えます。
また、狼でない者を強く疑っている人を狼は残したがります。残っているあなたがロックオンしているアノ人は、狼ではない可能性が高いと考えられます。
あなたの推理は間違っている可能性が高いことを自覚しましょう。狼は常にあなたより一枚上手です
あなたを信じている人は……
自分を信じてくれている人はつい信じてしまいがちですが、しかし何の根拠も無いのに灰村人を信用する人は、ひょっとするとあなたが白であることを最初から知っている人=狼かもしれません。
信じあうことはもちろん人としては美徳ですし、このゲームにおいても村人同士が信頼しあうことで狼を孤立させることは戦略上重要ですが、
それはまずお互いに疑いあい、議論を尽くした末に得られる信頼でなくてはなりません。 これは「人を信じるな」と言っているのではなく、自分を白推定している人の、その推定の根拠を吟味しないといけないということです。
逆に「なぜ私を信じるのか?」と質問し、納得できる回答が得られたなら、その人についてはとりあえず信じておいた方が良いと思います。
考えすぎて疑心暗鬼にとりつかれると、正しい判断からは遠ざかります
あなたを信じてくれている人を、あなたが信じるために、まず疑いましょう。狼はあなたを味方につけたいと思っています
あなたは吊られてはならない
終盤に入って狼がなかなか吊れない状況では、残り手数の使い方を間違えることは致命的です。当たり前のことですが、あなたが村人なら吊られてはなりません。
能力者がまだ潜伏している場合や、占パンダになった場合は別ですが、それでも手数的に自分が吊られると狼を吊りきれない時や、霊能者が襲撃される可能性が高い時、
あるいは偽占に明らかな黒要素がある時は、村人でもすんなり吊られないように抵抗すべきです。
特に表に出ている騙り能力者(狼側)が少ない場合には、あまり素直に吊られすぎると潜伏狂人の疑惑をかけられてしまう可能性があります。
占われるのはかまいません。占では死なないので、村人の数(=村側の票数)は減りません。
むしろ本稿の冒頭に述べたとおり、パンダや白確定になることで、あなたの挙動が占師の真偽判断材料になったり灰域が狭くなったりするので、まったくの手損ではありません。 しかし吊りは違います。狼を墓下に送る手段は吊りしかないのです。
あなたが吊られることで、狼を吊るチャンスを1回ふいにすることを自覚しましょう。狼の目的はあなたを自分の代わりに吊ることです
あなたは騙ってはならない。ただし…
村人騙りはルール違反でもマナー違反でもありませんが、経験的には最悪手の1つです。 「騙るのは狼側」という前提が崩れ、村人同士が少しでも信頼しあわなければならない局面で無用の疑惑を向けられてしまうのは、他の村人の推理の妨げになります。
特に「残されてしまった村人」であるあなたの場合、SGにされかけているのですから、狼が疑いをかける格好の口実を与えることになりかねません。
机上でどれほど上手くいく見通しがあったとしても、あなたは騙ってはいけません。あなたが騙ると、他の人には狼にしか見えなくなります
ただし本国ルール(F国)の場合、最終日に狼や狂を騙ることで村人が有利になる状況があります。たとえば[狼狂村]の3人村で構成が明らかな場合は、あなたが人狼を騙ることで狼狂の連携を崩し、狼を吊れる可能性が出てきます。場合によりけりですが、自分が狂人からも狼に見えている、と考えられるならばやってみる価値はあるでしょう。

灰考察の切り口

灰村人の視点が注がれるべきは、能力者の真偽よりもまず他の灰村人です。
あなたが生き残っていて、村が続いているのであれば、あなた以外の誰かの中に必ず狼が1人以上潜んでいるということです。多くの場合、最後の狼(LW)役としてステルスしている狼は、あなたと同じ灰村人の中にいます。
自分の潔白を主張する傍ら、他の灰村人の考察を怠らないことが重要です。が、灰考察の方法論は経験則に支配されることが多く、その経験則すら、個々の局面において通用するかどうかは博打になります。
以下に、灰考察の基点となるいくつかのポイントを挙げてみます。あなた自身が灰にいる場合、以下の点が他の灰からチェックされていることを念頭に置き、無用の誤解を招かないよう発言に気を配りましょう。

発言からの傾向分析

「多弁・寡黙」「論理的・感覚的」といった発言傾向は、ダイレクトに白黒を判断する直接の情報ではありません。
が、その人の考え方・狼を探す方法論を理解する上で重要な要素です。
寡黙だった人がある日(たとえば、2匹目の狼が吊られた日)を挟んで急に饒舌になった、とか、感覚的な決め打ちをしていた人が占先候補に挙がったとたんに論理的にそれを回避しようとした、という場合には黒要素です。
傾向分析(プロファイリング)とは要するにその人らしさがどこにあるのか?という点を明確にする作業です。

多弁か寡黙か

「多占寡吊」とか「寡占寡吊」などという言葉があるように、情報量の少ない序盤戦ではしばしば発言量そのものが大きな判断要素になります。
寡黙ステルス狼が流行ったひところに比べて「喋らない奴は狼だ」と主張するのは難しくなっている現状があり、寡黙吊の妥当性は揺らいできていますが、
それでも狼に本気の寡黙ステルスをされた場合は脅威ですので、その予防のための寡黙吊は行うべきです。*3

実際のところ寡黙な狼もいれば多弁な狼もいるので、発言量からだけでは白黒の判断はつけられません。
「序盤寡黙吊」は現在の人狼BBSではよく知れ渡ったセオリーであり、「訓練された狼」はそれを回避するためにとにかく喋ります。
「多弁な人は発言から白黒を判断できる」とよく言われますが、本当に恐るべき多弁ステルス狼は発言だけからは判断できません。発言内容から黒推定されないだけの自信があるから多弁にもなれるのです。
多弁な狼が寡黙な狼に比べて評価を下すための根拠が多いのは確かですが、「判断材料が多い」ことと「狼かどうか判断しやすい」ことがイコールでないのはいうまでもありません。情報の多さが、逆に判断を難しくしてしまうこともあります。
「狼は中庸に潜む」というのも、今や過去のセオリーです。多弁占が主流だった頃には中庸に潜むことでそれを避けられたわけですが、その後中庸占が流行りだすと、今度は多弁域にステルスする傾向が見られるようになりました。
そのへんはイタチごっこですので、「まとめサイト」の資料は参考程度にとどめ、直近のログを読んでトレンドを読むことが必要です。


論理的か感覚的か

上手な狼は論理矛盾のない嘘をつきます。したがって発言の論理的な無矛盾性は必ずしも白要素ではありません
同様に、感覚的な決め打ちや根拠の薄い感情的な推察も時として狼の思惑を外すイレギュラーな要素になりえるため、完全に狼側に利する行為とまでは言いきれません。したがって非論理的・感覚的な発言傾向そのものは必ずしも黒要素ではありません
考察の過程が論理的であっても、その論理の前提となっている経験的な根拠(仮定)には個人差があり、その考え方の違いが黒要素に見えてしまうことが多々あります。
基本的に「考察が論理的であるか否か」は個人の資質の問題であり、重要なのは結論と、そこに至るまでの筋道から見える、発言の意図です。

ただし、論理的な発言はその意図が他の村人にも明瞭に伝わりやすく、また前提や推論に間違いがあった場合にも修正が容易です。
実りのある議論を構築するためには、感覚的に得られた「結論」に何か一定の普遍性を持つ根拠を添えることが必要になります。

この発言傾向の判断軸に、襲撃や処刑が絡んだ場合には白黒を判断する材料になる可能性があります。

狼からすると、論理的な発言傾向の村人は論理的な反証によって説得し翻意させることが可能なので、推理が間違っていない場合でも終盤に味方にするため残しておいて損の無い相手です。

逆に感覚的な傾向の人が狼を疑っている場合には、翻意させようとするより喰うほうが巧手です。多くの場合、灰を減らさないように占先に挙げてから喰われます。

以上の前提から

(1)論理的な発言傾向の人は、自分が残っていることをもって「自分の推理・判断が誤っている」と判断するのは早計かも。

(2)感覚的な発言傾向の人は、自分が残された場合には「推理・判断が誤っている」可能性が高いと判断できる。

(3)感覚的な決め打ち傾向の発言をする人がその故をもって占先に挙げられているばあい、彼を占先に挙げている人の中に狼がいる可能性がある。

という程度のことは言えるかもしれません。

考察型か質問型か

自分の考えを述べることに重点を置いているか、他人の考えを探ることに重点を置いているか、ということです。
1日につき20発言という制限がある中で、この両方をバランスよく配分できる人はそう多くはありませんので、この傾向性を見ることはプロファイリングの上で有益です。

「人狼BBS」は基本的に時間の経過とともに情報が増えることで成り立つゲームです。 穿った考察を行うためにはそれなりの情報量が必要なはずですので、序盤のうち村人は「考察型」の発言に(普通は)はなりません。*4
実際のところ、この差が見えてくるのは中盤以降です。

考察型
灰考察では1人につき1発言ぐらい使い、3日目ぐらいからグレースケールを出してくるような人です。このタイプは悪く言えばオブザーバー的で、他の村人同士の疑心暗鬼を煽る傍らで自分は目立たずステルスしている狼の可能性があります。
彼/彼女を考察する場合、まず彼/彼女自身の灰考察を見て、自分が信用されているのか疑われているのかを確認したうえでなぜ信じられて/疑われているのか、細かい点をこちらから問いただしていきましょう。
質問型
発言中に引用符(>)が多い人です。このタイプでかつ多弁傾向の場合、初日から飛ばしてきます。多方面に質問をばら撒くことで、質問者本人の印象を薄くしようとしている狼の可能性があります。
彼を考察する場合、彼が質問に対する回答に反応しているか、またその回答を自分の考察に反映しているか、という点を中心に見ていきます。
回答に対する反応に濃淡がある場合、そこからラインを見ることが可能かもしれません。*5
質問を投げっぱなしで回答が考察に反映されていない(ように見える)なら、その点を指摘して反応をうかがうのもいいでしょう。

この傾向性判断で重要な点は、人狼がその人本人についての判断材料を隠す上でどういう手段を取っているか、を見誤らないようにすることです。
たとえば質問型傾向の人について「他の人との絡みが多く、オブザーバー的ではない」「積極的に狼を探しているように見える」故をもって白推定するのは早計です。狼が自分以外に注意を向けるために質問をばら撒いているかもしれないからです。
考察型傾向の人に対する「ログの読み込みが深い」とか「考察に偏りが無い」という根拠での白評価も同様です。狼は中立的な考察を見せることで他の灰同士の疑い合いを助長しようとしているかもしれないのです。

ロックオンスタイルか心配性か

自分自身のカレントな白黒判断について自信があるかそうでないか、という違い。
ロックオンスタイルは感覚的判断傾向を持つ人に多いのですが、まれに序盤の論理的帰結に対して「それを確かめるために吊る・占うべき」という論理派ロックオンも存在します。*6
心配性スタイルは、考察が流動的で、誰かに特別強い疑いを持たず、確定情報と状況をもとにあり得るケースを残らず考察します。
しつこく念を押すなら、この傾向性そのものが白黒判断に直結するわけではありません。 スタイルの差が最も顕著に現れる領域で、ロックオン派にとって心配性な人は「判断を保留して敵を作らないようにしている狼」に、また心配性にとってロックオン派は「積極的ミスリードを狙っている狼」に見えるため、しばしば中盤の村人同士のいさかいの種となり、狼に利用されます。

この傾向性を判断に利用する場合は、その本人よりも、彼/彼女が疑っている対象の方を見ます。
ロックオン派の人が長期生存している場合、その人は狼に利用されている村人か、あるいは狼です。したがって彼にロックオンされている人は狼でない可能性が高いと言えます。 心配性の人が長期生存している場合、その人がカレントで疑っている対象は狼かもしれません。終盤に狼が心配性を煽り翻意させようとしている、あるいは狼本人がそういう演出をすることが考えられます。

セオリーでは「疑い返すのは不毛」とされていますが、自分が誰かにロックオンされた場合、その人を強く疑い返すことで見えるものもあるかもしれません。

少なくとも当事者2人以外には大きな判断材料を提供することが出来ますので、徹底的に打ち合うのも一つの手です。

-その「不毛な打ち合い」について傍観者的な位置にいる人は、村人共倒れを狙う狼かも知れません。

-村人同士だった場合、徹底討論することで「考え方・方法論の違い」をお互いに理解しあうことが出来るかもしれません。

-相手が狼だった場合、徹底抗戦の姿勢を見せることで相手が怯むかもしれません。確たる理由も無く討論を避けるようなら、それは疑う理由になります。

潜伏希望か早期CO希望か

主張の一貫性というのは、序盤の議事録を見る上で重要な留意点です。
COタイミングについての意見は個人の実戦経験やゲーム以前の希望に基づいている筈なので、主張の一貫性を見る上での目安として後々の推理に役立ちます。
たとえば「潜伏中の能力者が喰われる確率を減らすためにも共有者は1CO1地雷」と言っていた人が、2日目に黒判定の占師がCOした後に「狩人の守護先にするために占は即対抗」と言い出したら「おや?」と引っ掛かりを感じるはずです。
潜伏による確率的な襲撃回避の有効性を重く見ていたのに、翌日の主張では狩人の守護の有効性を訴えているからです。
この点から「2日目の黒判定COを請けて狼が作戦を変えてきた?」という疑惑が浮かび上がります。*7

上の例示でも触れたとおり、潜伏には潜伏の、早期COには早期COのメリット・デメリットがあります。詳細は序盤戦略論ページを参照していただくとして、大切なのは

  • どのメリットを重視しているか
  • デメリットへの対策を考慮している場合、その方法が実際に有効か
    の2点。その人が重視しているメリットを減殺するような言動や、あまり有効とは思えないデメリット対策の主張をしてきた場合、それは疑う(疑われる)要素になります。
    また希望した作戦にそぐわない言動があった場合、それは指摘すべき要素になります。
    たとえば、潜伏作戦中には村人は能力者のフリをしなければならない(能力者ブラフ)筈ですが、極端な例を言うなら村人COしたり、あるいは非能力者と推定されるような言動があった場合、狼側に利する行動を採ったことになります。*8
    フルオープンの時に狩人以外の能力者ブラフをかました、という場合も同様です。

多数派か少数派か

「無難な意見か目立つ意見か」ということでもあります。
このゲームではマイノリティは必要以上に目立つので、少数派にいる=目立つことを恐れていない=非狼、という推定をされることもしばしばです。
初日のCO論議の中で、ほぼ全員が占霊フルオープンを主張している中で立候補制全潜伏を主張している人がいたら、その人に話題が集中することになり、
また、きちんとその場で希望理由を述べていても、後々まで弁明を求められることになるでしょう。狼が最初からそんなリスクを背負って意見を言うわけがない、というわけです。
それに対して多数派の無難なCOタイミングを希望している場合は特にその点で追求を受けるでもなく初日・2日目あたりを無難にやり過ごせるので、ステルス狼のリスク回避としては多数派に与する方が理にかなっているように思えます。

ただし、狼はチームで動きます。

(1)3人のうち1人が目立つ意見を言い、もう2人は他の人の目線がその1人に集中しているのに乗じて無難な意見を言って多数派に紛れ込む。

(2)目立つ1人が最終的に能力者COする。

(3)「能力者視点ならその意見も分かる」ということで世論が落ち着き、結局狼は全員無事に占吊候補から外れる。

という展開も実際には少なくありません。ので、「少数意見を主張している」ことが即非狼だという積極的な根拠にはなりえません

COタイミングについて、目立つ少数意見を言う人がいる場合、その人本人だけではなく、彼を擁護している人、逆に積極的な反対論を言っている人にも目を向けましょう。
追従なのか、仲間切りなのか。


能力者についての言及

村側能力者の所在についての言及

村側能力者、特に占や狩を、狼は早々に食いに行きたい筈です。したがって序盤から能力者を探るような挙動をとることがあります。
村側でも狩人ならCOしている候補のうち真が誰なのかを知りたいでしょうし、ただの村人でも、狩人など潜伏している能力者を吊ってしまわないようにその所在を気にしますが、 それを口に出す必要がなく、またそれ以上に自分が非能力者だと狼に知られないように振舞うはずなので、発言傾向などに比べるとハッキリした黒要素と言えるでしょう。
逆に言えば、序盤から能力者の所在を探るような言動で利益を得るのは基本的に狼側だけです

狂人の所在についての言及

序盤から狂人に言及するのは、狂人本人か狼であることが多いようです。
「狂人を吊って損する」のは手数に余裕の無い終盤になってからの話なので、占霊のCOが出揃うまでは特別狼狂の別は村人が気にするようなことではありません。
したがって、たとえば占3CO時の騙り内訳に関するものなど状況に鑑みて必然性のある場合を除き、序盤から狂人を探すのは村人の思考ではありません

狩人の守護先が増える懸念についての言及

1夜のうちに、狩人は1人しか守れず、狼は1人しか喰えません。
人狼BBSは「不完全情報ゲーム」ですので、局面が移るまで狼も狩人も誰を喰うか/守るかはわからず、また最善手は相互の手筋に依存しているため、3日目の夜が明けるまでは狩人守護が成功するかどうかは予想できません。
確率を算定することは可能ですが、結局のところ、事前の確率に関わらずGJも初手占喰いも起りえます。

ただ、「狩人に守られ得る対象」が少ないまま局面が推移した場合、その選択肢の少なさは狼側に対して心理的プレッシャーとなり、逆に狩人にとっては敵の手筋を読みやすくなります。
守護対象が少ない状況で狼はCO済みの能力者襲撃を躊躇し、占先やグレー域ピンポイント狙いなど無難な襲撃を行いがちになりますので、村側はそれを利用して状況をある程度コントロールすることが可能です。
この効果が「狩人の抑止力」と呼ばれるもので、少なくとも序盤における狩人の存在意義は実際にGJを出すことよりもコチラに比重が置かれます。*9
よって、狩人は守護先が増えることに対して拒否反応を示します
狼の意図を読む際に、変数は少ない方がより確度の高い予想が可能=抑止効果が高くなるからです。

実は人狼も守護対象が増え過ぎることを嫌う場合があります

もちろん、上記の理屈の逆で襲撃の選択肢が増えることは人狼にとって有利な状況なのは確かですが、増えすぎた場合に守護先についての予想を立てにくいという点で狩人と同様の心理が働くことがあるのです。

たとえば、2日目共1占2霊0COの状況で狼にとって共を襲撃するオプションはリスクが小さい(占のどちらかを守っていると予想できる)わけですが、共1占2霊2の場合には占霊と同程度に共に守護が回っている可能性(狼側が霊騙を出したことから狩人が「狼は占霊の信用勝負狙い」と読んで)はそれなりに考慮しなければならず、襲撃先の選定には迷うかもしれません。

したがって、守護先が増えるのを嫌っているからといって、その人が狩人だとは限らないということが言えます。

また守護先が増えるような提案をしていること=濃厚な黒要素と言うわけではない*10、ということも同時に結論できるでしょう。

占師と霊能者の重要性に関する言及

生者の白黒を判定できる占い師と、死者の白黒を判定できる霊能者。重要性という点では明らかに占い師の方が重要です。それは主に以下の理由によります。
(1)占い対象が白だった場合、白確定すれば確実な村側票を吊りによって失うことは恒久的になくなります。吊り対象が白だった場合、その1票は恒久的に失われます。
(2)占い対象が黒だった場合は吊って占の真偽ラインを確かめることが可能ですが、占われずに吊った対象が黒だった場合には占の真偽ラインを霊と結びつけることは出来ません。
(3)占い対象が白で黒判定を受けた場合には、占い対象になった者の視点から黒を出した占の真偽が判明し、それを根拠に考察を出すことが出来ます。霊パンダになった場合、死者の考察は死者にしか見えないものになってしまいます。

そして潜伏と早期COを併用する場合、潜伏の方が生存率は高いわけで、本来なら「占潜伏+霊早期CO」となるのが正しいようにも思えますが、
実際には「占早期CO+霊潜伏」の方針になるケースが圧倒的に多いのです。
その理由は「情報の確実性」という別の要因に帰せられます。
占結果が得られたとしても、COしているすべての自称占い師の結果が揃わなければ確定情報ではありませんので、考察の材料としては不十分な役割しか果たせません。
もし投票COを使用せず、占が潜伏した場合、初手で灰襲撃されれば「その人が占い師だった可能性」を最後まで引きずって考察しなければならないわけで、占い結果は確定情報にはなりえなくなります。
それを厭う心理から「投票COを使わないなら少なくとも占は初日CO」という意見が多くなります。*11
また、早期にCOして狩人の守護対象になったほうが、人狼は占を襲撃しづらいのではないか、という希望的観測が出されることもあります*12

(以下編集中)


禁断の「人狼ブラフ」

お互いに分かり合う、信じあうためには

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*1 「あなた」って具体的に誰を想定しているのかといえばほかならぬ自分なわけですが(汗)。
*2 人によっては、その黒要素を上手く言葉で説明できない人もいます。「あなた」がその人の考察に対して反論しようとする場合、その人が漠然と感じているあなたの黒要素を察した上で説明する必要があります。
*3 寡黙吊はあくまで寡黙ステルス戦術に対する戦術であって、寡黙プレイヤーを制裁するための措置では無いというのが私の考えです。「寡黙はマナー違反」とか「寡黙を残すと会話が少なく面白くないログになる」というのはゲーム的にはクリティカルな理由ではなく、まあ本音ではあるにせよ、それだけを理由に吊りに挙げるのはどうかと思います。
*4 このことから、序盤のうちから考察中心の発言をするというのは薄い黒要素です。もちろん、少ない情報から白黒をはかる独特の方法論を持っている村人、という可能性もあります。
*5 が、上手な狼は仲間との会話が薄くならないように気をつけるものなので、この場合のライン推理は一概に有効な方法であるとは言いきれません。
*6 たとえば何らかの理由で「ペーターが黒ならパメラとヤコブはほぼ白と判断できるからペーターを占うべきだ」など。
*7 ただ、この「主張の一貫性」は狼側が村人に疑惑をかけるときにも利用します。素の村人は常に一貫した主張をするわけではありません。一貫性がありすぎるのは、発言に気をつけている「訓練された狼」かもしれません。
*8 ただ、潜伏中にそれを指摘すると真能力者の「村人ブラフ」だった場合は逆に利敵行為なので、すべてのCOが終わった後に指摘すべきでしょうね。
*9 それでも、村人の中にはこの効果を重視していない人がいるかもしれません。>たとえば「『狩人の抑止力』は狩人と人狼の意図が絡むため単純に確率論的ではない以上、守護対象の多寡に関わらず『守られ得る対象』が増える方が実際には狼の行動を制御しやすい」といった考え方もあります。
*10 薄い黒要素ではあります
*11 「少なくとも占」なのはもちろん、占い結果の方は2日目に結果が出るのに対し霊判定結果は3日目以降にしか出ないからです。
*12 実際には早期COした占はかなりの確率で初手の襲撃対象になります。