理想気体のエントロピーとエネルギーの関係を考察をする


熱力学入門


理想気体のエントロピーとエネルギーの関係を考察をする

先ほどは位置のエントロピーを考えましたが位置を無視してエネルギーに関して考えて見ましょう。 等間隔のエネルギー準位を考えます。つまり、エネルギー準位 1 に入るにはエネルギーが 1 だけ必要で、4 に入るにはエネルギーが 4 必要だとします。 エネルギー準位には分子はいくつ入ってもよいとします。 あくまでモデルですから。

ここで、温度を1粒子あたりの平均エネルギーとします。 粒子数 N=3 、温度 1 の時の状態が 下図の左端に示されています。

elevel.png

温度が1のN=3のエントロピーは log 3 で N=4 は log 5 で N=7 は log 15ですが、 N=3 と N=4 を混合させても log 3 + log 5 =log 15 ですからエントロピーは増えません。 これを違う温度で混合させるとエントロピーは増加します。試して見てください、

温度が同じ系を混合させてもエントロピーは増えない。
温度が違う系を混合させるとエントロピーは増える。

では粒子数を固定して、温度を上げていくとエントロピーはどの様に増えていくのでしょうか。 下の表は 粒子数4,5,6,7 に対してUを2ずつ増やしたときのτdσの値です。

UN=4567
401.931.951.921.86
421.931.961.941.88
441.941.981.951.90
461.951.991.971.92
481.962.001.951.94
501.962.012.001.95

この値はおおよそ2でdUの増分と一致しています。

t04_2_1.png

この式は前の温度の定義と全く同じです。これを変形すれば

t04_2_2.png

温度が高いと微小熱量δQが抜かれてもエントロピーはさほど減少しません。 逆に温度が低いと微小熱量δQが与えられるとエントロピーが大きく増加します。 よって、高温から低温へ熱が流れることになり、温度が等しくなると平衡に達します。

熱量が流入するとエントロピーが増える。

N=7、T=1 の時エネルギー分布が一番上の図のSUM と書いた欄にのせてあります。 これがエネルギー分布なのです。

参考:細野 敏夫著 ”エントロピーの科学” コロナ社


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