下図のスイッチを入れた瞬間、電圧源は向うに抵抗Roが繋がっていることはまだ知らないはずです。
十分時間が経てば、普通の回路と同じようにV/Roの電流が流れるはずです。
それでは電圧源はスイッチを入れた瞬間一体いくらの電流を流すのでしょうか?
スイッチを非常に速く入れると電源は最初に同軸線を見ます。
電圧源は電流をこの電圧に対して同軸線に流せるだけ流します。
それを同軸線の特性インピーダンスといい、電流はV0/Z0だけ流れます。
電磁波の先端は電場が変化するので、変位電流が流れ、電流はそこで閉じています。
それが抵抗Roに到達したとき、Ro=Z0でないと電圧と電流の関係が崩れます。
それで反射波が立ちます。
これをエネルギー輸送の観点からいうとポインティングベクトルによって運ばれる電磁エネルギーが
Ro=Z0の時はすべて抵抗のジュール熱で消費されます。この時は反射が起こりませんが、
抵抗に送られたエネルギーが全てうまく入れないと反射せざるを得ません。
反射波を電源に帰すことによって末端の抵抗がエネルギーの消費がどれぐらいできるかを知らせ、電源側がその情報をもとに電流を調整して送り直します。
これを何回か繰り返すとV0/Roの電流が流れるようになります。
電磁波を粒子と見るとその大きさは波長程度です。
可視光(数百nm)ではたいてい筒抜けです。
導波管では筒程度の波長を通します。電磁波は身をくねらすように通り抜けます。
我々が通常回路で扱うような電磁波はGHz以下(30cm以上)なので、同軸線の径より長い波長の電磁波です。
同軸線を通る時は身をよじらす程度ではだめでところてんのように決まった形しか通れません。
電場も磁場も進行方向の垂直方向にしか存在しない TEM 波となります。
ポインティングベクトルは軸方向を向きます。
等価回路は下図になります。電場、磁場とエネルギーが輸送されていく様子が分かります。
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