実際に実験をするときは、等温過程であったり、等圧過程であったりします。
等温過程のもとで系がどれだけの仕事をなせるかを知りたい時、Helmholtz の自由エネルギー F = U - τσ が
便利です。
熱力学の恒等式は
ですが、rev は可逆な過程であることを示しています。 実際非可逆過程が入ると
となるので、粒子数一定で等温過程では
となります。
左辺は外部に対して行う仕事で、右辺は自由エネルギーの減少分です。
この式が意味するのは外に仕事をするには自由エネルギーをそれ以上に減らさなければならないということです。
つまり、等温過程で系がなし得る仕事量の上限を教えてくれます。
もし、仕事がゼロならば、
となり、反応は自由エネルギーが減少する方向に進むことを教えてくれます。
定温下では反応は Helmholtz の自由エネルギーが減少する方向に進み、系から取り出せる仕事は減少分より小さい。
外部に対してほとんど仕事を行わない場合を考えてみます。等温、定積なので自由エネルギーはこうなります。
この式を見て短絡的に、例えエントロピーが増加しても内部エネルギーが減少しさえすれば反応が進むと考えるのは
誤解を生むかもしれません。
上式のエントロピーは環境を含めた全体のエントロピーではなく、注目している系のエントロピーです。
もちろん全体のエントロピーが増加しない限り、反応は進みません。
自由エネルギーは分配関数 Z と直接的な関係をもっていて
分配関数を求めることが問題を解く基本となります。
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