マッハツェンダー干渉計


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マッハツェンダー干渉計:分布測定

この干渉計は物体の屈折率の変化を測定します。例えば、気体の屈折率は気体の温度の関数ですから温度の変化を見ることができます。また、物体の周りの衝撃波の様子や光学窓の厚さや歪み具合を観察することができます。

原理は一般の教科書にでていますが、あまりに簡単なので重要なことを見逃しがちです。 例えば、光学窓の厚みを測定する場合と歪みの分布を測定する場合ではフォーカスの合わせ方が違います。

それでは一般的な説明から入ることにしましょう。

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レーザー光は接眼レンズで拡大されます。この光がビームスプリッタで二つのビームに分離されます。その時の反射と透過光の割合は半々です。一方の光がターゲットを通過し、もう一方の光はターゲットに影響されない参照光となります。この二つの光が再び一緒になって干渉しあいます。

では横縞や縦縞はどう出すのでしょうか?直感的に理解するには下図が便利です。

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ターゲットがないのに干渉縞ができるということは二つのビームは最早お互いに平行ではありません。 そして上図のようにS'とS''の二つの焦点を持っています。この二つの焦点は有名なダブルスリット法のように働きます。 縦縞を出すにはダブルスリットを考えればわかるようにこの焦点の並びを紙面に垂直におけば良いのです。 ちなみに横縞を出すには紙面に平行におけば良いですね。 もし、S'とS''が一致したら干渉縞はできません。このような状態を無限縞と言います

ターゲットの空気圧を上げていけばこの干渉縞が移動するのを観察できます。 縞の移動の数を数えれば圧力変化を導き出すことができます。

分布は測定できない。

しかしながら、上図の光学系では圧力分布や光学窓の歪みを測定することはできません。 なぜなら、屈折率に分布があると光は屈折してしまい、それがスクリーンのどこにくるか わからないからです。

では、どうすれば分布を測定できるのでしょうか?

二つの焦点

焦点が合うというのはターゲット上の任意の一点から四方にでた光がスクリーン上でまた一点に集まることを指します。

カメラレンズを入れてターゲットに焦点を合わせると、たとえターゲットで屈折してもフィルム面上で焦点を結びます。フィルム面やCCD面上にはターゲットの像がくっきり映し出されています。 こうすれば、ピンぼけしない干渉像を見ることができるのでしょうか。

この時点では参照光と試験光のパスを全く考えていません。

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参照光について見てみましょう。フィルムにとっては参照光が P2で反射されたとは思わないでしょうからまっすぐな線(緑の破線)を引くと試験光と交わります。この交点がなす面を仮想縞局所領域と呼びます。

P2 を回転すると仮想縞局所領域の位置は変わります。この領域の位置を上図のようにターゲットに一致させると 解像度があがります。

残念ながらレーザー光を使って二つの焦点をあわせることは難しく、結局、分散光を使って調整するしかないでしょう。図では拡散プレートを使っています。