大きな状態和を使って軌道に占める割合をフェルミ粒子とボーズ粒子について導きます。
フェルミ粒子は一つの軌道に2個以上入ることができません。
今、フェルミ粒子同士は相互作用せず、それゆえ粒子は独立な存在であると仮定します。
そう考えると一個のフェルミ粒子だけを考えればよいことになります。
一個のフェルミ粒子に対する大きな状態和は
です。 よってその軌道が占められる確率は
です。
軌道のエネルギーが化学ポテンシャルに等しい時は温度に関係なく
となるので半分だけ満たされていることがわかります。 半導体の分野ではこれをフェルミ準位と呼ぶようです。
ボーズ粒子は一つの軌道にいくらでも入ることができます。 ある一つの軌道だけを考えます。軌道のエネルギーは入った個数に比例します。 よって大きな状態和は
となります。 軌道を占める粒子の数は
です。
もし、軌道を占めている粒子の数が非常に小さい時は、フェルミ粒子とボーズ粒子を区別する理由がありません。
この時の分布を古典分布といいます
ちなみにフェルミ分布をしていても温度よりもずっと高いエネルギーの軌道にいるすそ野の粒子は 軌道の密度のわりに占めている粒子の数が少ないので古典分布で近似されます。 ダイオードの電流を受け持つ伝導電子はフェルミ分布とはいえ古典分布で近似されることが多いようです。