Makky の日記 / 2006-08-17


Makky の日記

人の命の価値の求め方

誰ですか、今日のタイトルを見て「ギクっ」とした方(笑)清算価値を求めたりしませんよ。

今日は、交通事故で人が死亡した際の逸失利益の計算方法について、解説したいと思います。これは、別に私が考案したものではなく、全国の裁判例を集積した別冊判例タイムズ(いわゆる赤本)からの引用です。

死亡事故の場合の逸失利益の求め方は次のとおりです。

収入(A)×生活費控除割合(B)×就労可能年数に応じたライプニッツ係数(C)

たとえば、30歳の男性、それも一家の主(専業主婦の奥さんと子供1人)が、交通事故で死亡したとします。話を簡単にするために、加害者側の過失割合が100%だったとして逸失利益を求めてみましょう。

収入について特に何の主張もなかった場合、賃金センサスを基に年収を求めることになります。平成16年の賃金センサスによれば、30〜34歳の男性の平均年収は、4,779,000円となっています。

赤本によれば、一家の支柱(扶養者2人)の場合の生活費控除割合は30%となっています。

同じく、赤本によれば、人が就労可能なのは、67歳までとされています。残年数は37年で、中間利息を5%とした場合のライプニッツ係数は、16.7112です。

A×B×C = 4,779,000×(1-0.3)×16.7112 = 55,903,977.36

そう、少なくとも、交通事故に基づく損害賠償請求訴訟の場においては、この男性の命の価値は、約5600万円とされるわけです。

この計算には、よく見れば、おかしな点がいくつも見つかります。人が働けるのは67歳までというのと、生活費控除割合が30%というのはまだいいとして、30歳の時の年収はずっと上がらないままですし、中間利息は金利に関係なく常に5%とされています。

ちなみに、中間利息というのは、裁判実務でよく使われる言葉で、割引率や還元率と同じ意味です。そうです、収益還元法を用いているのですよ。

もちろん、いくらやってみても、人の金銭的価値など実在するはずがありません。ここで重要なのは、裁判の実務では、そのような約束になっており、それでほぼ不満が出ることなく、実務において処理されているということです。

これは、たとえば、裁判の実務において、適正な賃料を求める際や、企業価値を求める際においても同じことが言えます。もう、ここまで言えば、私が何を言いたいのか、賢明なみなさんなら、わかりますよね。

続きは明日の日記に書きます。

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