刑法の重罰化について


刑法改正

刑法改正 その1 刑法等の一部を改正する法律案要綱

第一  刑法の一部改正  一  有期の懲役及び禁錮   1  有期の懲役及び禁錮は、一月以上二十年以下とすること。(第十二条、第十三条関係)   2  死刑又は無期の懲役若しくは禁錮の刑を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とすること。(第十四条第一項関係)   3  有期の懲役及び禁錮を加重する場合においては、三十年にまで上げることができるものとすること。(第十四条第二項関係)  二  刑法の罪の法定刑等   1  わいせつ、姦淫及び重婚の罪(第二十二章)関係    (一)  強制わいせつ及び準強制わいせつの各罪の法定刑を六月以上十年以下の懲役とすること。(第百七十六条、第百七十八条第一項関係)    (二)  強姦及び準強姦の各罪の法定刑を三年以上の有期懲役とすること。(第百七十七条、第百七十八条第二項関係)    (三)  集団強姦等      (1)  二人以上の者が現場において共同して強姦の罪(第百七十七条)又は準強姦の罪(第百七十八条第二項)を犯したときは、四年以上の有期懲役に処するものとすること。(第百七十八条の二関係)      (2)  (1)の未遂は、罰するものとすること。(第百七十九条関係)    (四)  強姦致死傷の罪の法定刑を無期又は五年以上の懲役とすること。(第百八十一条第二項関係)    (五)  集団強姦等致死傷  集団強姦等の罪(第百七十八条の二)又はその未遂罪(第百七十九条)を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処するものとすること。(第百八十一条第三項関係)   2  殺人の罪(第二十六章)関係  殺人の罪の法定刑を死刑又は無期若しくは五年以上の懲役とすること。(第百九十九条関係)   3  傷害の罪(第二十七章)関係    (一)  傷害の罪の法定刑を十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金とすること。(第二百四条関係)    (二)  傷害致死の罪の法定刑を三年以上の有期懲役とすること。(第二百五条関係)    (三)  危険運転致傷の罪の法定刑を十五年以下の懲役とすること。(第二百八条の二(第一項前段中致傷の部分並びに同項後段及び同条第二項中当該部分に関する部分に限る。)関係)   4  窃盗及び強盗の罪(第三十六章)関係  強盗致傷の罪の法定刑を無期又は六年以上の懲役とすること。(第二百四十条(負傷に係る部分に限る。)関係)  三  国外犯処罰  集団強姦等の罪(第百七十八条の二)及びその未遂罪(第百七十九条)並びに集団強姦等致死傷の罪(第百八十一条第三項)を、国民及び国民以外の者の国外犯とすること。(第三条、第三条の二関係) 第二  刑事訴訟法の一部改正  一  公訴時効の期間  死刑又は無期若しくは長期十五年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪について、時効は次に掲げる期間を経過することよって完成するものとすること。   1  死刑に当たる罪については二十五年(第二百五十条第一号関係)   2  無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年(第二百五十条第二号関係)   3  長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年(第二百五十条第三号関係)  二  いわゆるビデオリンク方式による証人尋問  裁判所は、集団強姦等の罪(第百七十八条の二)及びその未遂罪(第百七十九条)並びに集団強姦等致死傷の罪(第百八十一条第三項)の被害者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所に証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話する方法によって、尋問をすることができるものとすること。(第百五十七条の四第一項関係) 第三  組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正  組織的な殺人の罪の法定刑を死刑又は無期若しくは六年以上の懲役とすること。(第三条第一項第七号及び第二項(第一項第七号の罪に係る部分に限る。)関係) 第四  暴力行為等処罰に関する法律の一部改正  加重傷害及び常習傷害の各罪の法定刑を一年以上十五年以下の懲役とすること。(第一条ノ二第一項、第一条ノ三第一項(刑法第二百四条の罪に係る部分に限る。)関係) 第五  附則  一  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)  二  この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。(附則第二条ないし第七条関係)   法の一部改正) 第 一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。  第三条第五号及び第三条の二第一号中「準強姦」の下に「、集団強姦等」を加える。  第十二条第一項及び第十三条第一項中「十五年」を「二十年」に改める。  第十四条中「二十年」を「三十年」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。      死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。    第百七十六条中「七年」を「十年」に改める。  第百七十七条中「二年」を「三年」に改める。  第百七十八条中「わいせつな行為をし、又は姦淫した者は、前二条」を「わいせつな行為をした者は、第百七十六条」に改め、同条に次の一項を加える。  2  女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。    第百七十八条の次に次の一条を加える。   (集団強姦等)  第 百七十八条の二 二人以上の者が現場において共同して第百七十七条又は前条第二項の罪を犯したときは、四年以上の有期懲役に処する。    第百七十九条中「前三条」を「第百七十六条から前条まで」に改める。  第百八十条第一項中「前条までの罪」を「第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪」に改め、同条第二項中「から前条までの罪」を「若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪」に改める。  第百八十一条中「から第百七十九条までの罪」を「若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪」に改め、同条に次の二項を加える。  2  第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。  3  第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。  第百九十九条中「三年」を「五年」に改める。  第二百四条中「十年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」を「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に改める。  第二百五条中「二年」を「三年」に改める。  第二百八条の二第一項中「十年」を「十五年」に改める。  第二百四十条中「七年」を「六年」に改める。 (刑事訴訟法の一部改正) 第 二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。  第百五十七条の四第一項第一号中「第百七十八条」を「第百七十八条の二」に改める。  第二百五十条中「左の」を「次に掲げる」に改め、同条第一号中「あたる」を「当たる」に、「十五年」を「二十五年」に改め、同条第二号中「あたる」を「当たる」に、「十年」を「十五年」に改め、同条第六号中「あたる」を「当たる」に改め、同号を同条第七号とし、同条第五号中「あたる」を「当たる」に改め、同号を同条第六号とし、同条第四号中「あたる」を「当たる」に改め、同号を同条第五号とし、同条第三号中「十年以上」を「十五年未満」に、「あたる」を「当たる」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。   三  長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年 (組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正) 第 三条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。  第三条第一項第七号中「五年」を「六年」に改める。 (暴力行為等処罰に関する法律の一部改正) 第 四条 暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の一部を次のように改正する。  第一条ノ二第一項及び第一条ノ三第一項中「十年」を「十五年」に改める。    附 則 (施行期日) 第 一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 (経過措置) 第 二条 この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第   号)の施行の日前である場合には、第三条のうち組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第三条第一項第七号の改正規定中「第三条第一項第七号」とあるのは、「第三条第一項第三号」とする。 2  この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律第五条の規定の施行の日前である場合には、第四条のうち暴力行為等処罰に関する法律第一条ノ二第一項及び第一条ノ三第一項の改正規定中「第一条ノ三第一項」とあるのは、「第一条ノ三」とする。 第 三条 この法律の施行前にした第一条の規定による改正前の刑法(以下「旧法」という。)第二百四十条の罪に当たる行為の処罰については、なお従前の例による。 2  この法律の施行前に犯した罪の公訴時効の期間については、第二条の規定による改正後の刑事訴訟法第二百五十条の規定にかかわらず、なお従前の例による。 第 四条 併合罪として処断すべき罪にこの法律の施行前に犯したものと施行後に犯したものがある場合において、これらの罪について刑法第四十七条の規定により併合罪として有期の懲役又は禁錮の加重をするときは、旧法第十四条の規定を適用する。ただし、これらの罪のうちこの法律の施行後に犯したもののみについて第一条の規定による改正後の刑法第十四条の規定を適用して処断することとした場合の刑が、これらの罪のすべてについて旧法第十四条の規定を適用して処断することとした場合の刑より重い刑となるときは、その重い刑をもって処断する。 (刑事確定訴訟記録法の一部改正) 第 五条 刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。

(国際受刑者移送法の一部改正) 第 六条 国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。  第十七条第一項第二号及び第二項中「二十年」を「三十年」に改める。 (国際受刑者移送法の一部改正に伴う経過措置) 第 七条 この法律の施行前に国際受刑者移送法第二条第十一号の受入移送犯罪(二以上あるときは、それらのすべて)を犯した者に係る同条第二号の共助刑の期間については、前条の規定による改正後の同法第十七条第一項第二号及び第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。