天体観測 / 宛名のない手紙(2)


【天体観測】〜宛名のない手紙(2)〜


『1997年7月7日

 空、おまえは元気か?俺は、元気だ。
 今日、従姉妹から電話があった。なんか転校生が来たと言ってた。それを聞いたとき空かと思ったんだけど違うらしい。そう従姉妹の学校に来た転校生は女の子、でもおまえは男……。その転校生がお前だったらってなぜか思った。』

 今夜も俺は自分の部屋についているベランダで星を眺めていた。晴れているときはいつ
もやってる日課だ。でもここ10日間は普段より長く見ている気がする。
「流ぇ〜、電話よぉ〜」
 部屋の外から俺を呼ぶ声がする、オフクロだ。
「わかった。直ぐ行く」
 俺は大声でそう返し、電話を取りに行った。
「で、誰から?」
「それは秘密ですぅ。なんちゃって」
「あ、そう」
「あうぅ、流の言葉が冷たいよぉ。寒くて凍え死ぬぅ」
「はいはい、死ぬんなら他の場所にしてね。あっ、遺書に俺に殺されたって書くのも無しね」
「うぅ〜、流のいけずぅ」
「古い。いいから受話器」
「はぁ〜い」
 オフクロがしぶしぶ受話器を渡す。
 しかし、誰だ? オフクロが受話器渡すのにこんなやり取りするなんて、余程俺と親しい奴でもない限りしないぞ?

 あっ、もしかして空か?
 受話器を受け取った俺は期待半分に電話に出た。
「代わりました、流ですが」
「あっ、流? 私、つばさ」
 違った。従姉妹の白鳥つばさ。
 こいつも星好きで――と言っても俺が引きずり込んだ様なものだが――星の話をする為、稀に電話を掛けてくる。いつもならそれに付き合ってやるのだか俺は期待を裏切られて 少々機嫌が悪い。
 どうもそんな気にはなれなかった。
「なんかようか?」
「ん〜、なんとなく?」
「なんとなく? なんだそりゃ? 用がないなら切るぞ?」
「いや〜、なんとなくなんだけど流に伝えといた方がいいと思ってね……」
 実はこいつの勘はかなり当てになる。
 特に「なんとなく」と付けた時は9割ぐらいの確立で当たっている気がする。
 もしかして空の事を何か聞けるかも知れない。
「な、なんだ? もしかして転校生が来たとかいうんじゃないだろうな?」
「あったり〜♪ よく分かったね。流ってもしかして超能力者?」
「そんな事はどうでもいい。そいつどんな奴だ? 男か?」
「ううん、とっても可愛い女の子よ。本当に可愛いからみんなからは”姫”って呼ばれてる。本人は嫌がってるけど(笑」
「……そうか」

「ん? どうかしたの? 急にスローダウンしたけど」
「いや、な、先週な、俺の学校から転校した奴がいるんだ……」
「あっ、それが“そら”なんだ?」
「そっか、その子も空っていうんだ……」
「うん♪」
「でも……、空じゃないんだよなぁ」
「えっ、どう言うこと?」
「簡単だ。俺の言ってる空は女じゃなくって、男なんだ。ただそれだけ」
 それだけ。そう、それだけ、だけど……、それが果てしなく遠い……。
「ふ〜ん、そうなんだ」

「そういえば流は例の彗星見れた?」
 しばしの沈黙のあと、つばさが話題を変えてきた。俺もそろそろ沈黙に耐えられなくなって来たので有り難く乗っかる事にした。

「うんにゃ、残念ながら雨。友達……、さっき言った空、なんだけど、そいつと一緒に見ようと思ったんだけどさ……」
「ふ〜ん、こっちのそら、あっ、姫って言った方が分かり易いよね。」
「ああ、そうして貰えると助かる。」



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