こんにちは。初めまして。私は
最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、 お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。
さて、今回のお客様は…。
今回のミッションは予想外に梃子摺っていた。
集団被害としては人数はかなり少ないほうだが、1人で片つけようとするとやはり量が多い。
更に被害者はすべて幼稚園児ぐらいになってるから、体のごつい私達(?)が近づくだけで怖がって逃げ出してしまう。
――こりゃ、見栄を張らずに援軍を呼んだほうが良かったかもな……。
噂のいちご先輩なら、これほど手間取らずに済むんじゃないだろうか。
でも、あの人はいま引篭り中らしいしなぁ……。
「ふう。まだいるな……」
「やはり、もう少しが人手あった方が良かったんじゃないか?」
「それも若い女性なら文句はないんだけどね♪」
「合(ごう)、なにを不抜けたことを。この程度のミッション、女の手なんか借りたら男の威厳に傷がつく。たがか20人程度、俺たち1人で充分だろ?」
「赤(せき)はそういうけど、例えばりくちゃん先輩でもいたらこんなミッションもう終っちゃってると思うよ。白(はく)もそう思うだろ?」
「まあ、確かに相手が大人の状態なら我々1人で充分ですが、如何せん相手が子供となると分が悪いですね」
「でも、今更『子供になった被害者が逃げ回って捗らないから援軍頼む』なんで恥かしくて俺は言えないぜ?」「まあ、それも判らなくはないですが」
とまあ、1人で言い争いをしていると不意に直ぐ近くで女の子の声が聞こえた。
「おにいちゃん」
声につられて振り返ると、そこには小学生程度の女の子がいた。
見たところ7,8歳ぐらいだが、なぜこんなところに子供が?
服装から言っても今回の被害者とは違うようだが。
どっかから迷い込んだのかも知れないな。
面倒だか適当に話を併せてこの場から遠ざけといたほうがいいかもな。
……でもまあ、合(ごう)に任せとけば大丈夫だろう。
「どうしたの? 迷子にでもなったの?」
「ううん、違うよ。わたしはね、セールスレディーなの。――あっ、そうだ、お兄ちゃんにこれあげる」
といってその女の子は白くて四角い紙切れを渡してきた。
ぼくは何となくそれを受け取ったけどどうも名刺みたいだ。
“ココロとカラダの悩み、お受けいたします”――『しんじょうはなよ』ちゃんか。
ははぁ、セールスレディーごっこをしてるんだね。
ならちょっと付き合ってあげようかな。
「おっ、名刺だね。じゃあ、ぼくのもあげよう。名刺交換だ」
「あ、ありがとうございます。”はんたー30ごう”え〜と……」
「御傘袮 十倍(みかさね とうま)と読むんだよ」
「へぇ〜、変わった名前ですね」
「はは、よく言われる。ちなみにそちらは”はなよ”ちゃんでいいのかな?」
「あっ、ちがいますよ。”かよ”ですよ」
『かよ』だって? 『かよという名の女の子』、『名刺』、『セールスレディー』……なんか聞いたことある様な気がするけど。
まあ、思え出せないことだし大した事じゃないよね?
などと、いつもの様におきらく思考をしている合(ごう)が口を開く前に、ある一種の予感に駆られて、わたしは『かよ』と名乗るその少女に確認してみることにしました。
「え〜と、かよちゃん? もしかして苗字も”しんじょう”じゃなくて”ましろ”だったりするのかな?」
「はい、”ましろかよ”ですよ。あっ、でもよく間違われちゃうんで気にしなくでもいいですよ?」
「「え゛っ」」
ビンゴ、しかもすこぶる悪いほうに……。
そう、この状態の張本人歩く自然災害こと”真城華代”本人だった……。
「え〜と、どうしました?」
『「ちょ、なんでこんなところに華代ちゃんがこんなことにいるんですか」
「そんなんおれに聞いても知るか。合(ごう)、おまえ気付かなかったのか?」
「うん」
「うんって、おまっ!」
「そういうあなたはどうなんですか!?」
「いや、ちがう漢字だと思ってたし、まさかこんな子供とは……。って、白(はく)。お前も気付いてなかったじゃねえか」
「だ、だって華代ちゃんが直後に同じ場所に現れる確率はかなり低いと報告書でも書いてましたからですね・・・」』
「あ、あの〜?」
気付くと真城華代は目を白黒しておろおろしていた。
「「「あっ、忘れてた……」」」
「もう、ひどいですよ〜」
ぷく〜っと頬を膨らました顔は確かに可愛いですが、油断してはいけませんね。なんせ相手はあの『真白華代』なんですから……。
「すまんすまん。で、な、なにかな?」
「えとその前に、もしかしておにいさんって多重人格者さんなんですか?」
ふむ、ここは冷静に答えとかないとややこしくなりそうですね……。
「ま、まあ、そうですけど」
「やっぱりそうなんですか。でもひとつの体にたくさんの心ってややこしくないですか?」
「そうなんだけど、人格をひとつにしちゃうと他の人格を殺してしまうことになりますから……」
「あっ、そうか……」
かよちゃんは何か合点か言ったように手を打った。
なかなか頭がいいらしい。この点に関しては事無きを得たようだから安心していいのかも知れませんね。
「そうだ、忘れる所でした。おにいさんたち、悩みとかありませんか?」
やはり来ましたか。ここは何とかして話をはぐらかさないと……
「あっ、ちょうど誰か手伝ってくれないかなって思ってたんだ。ぼく達みたいなごつい男じゃなくって若い女性だと一番なんだけど」
「ちょっ、合(ごう)! 何勝手に言ってるんですが、もうちょっと考えて発言を……」
「そうだ、おれは1人で充分だ。ほかの助けなんかいらん」
「赤(せき)まで! そんなこと言ったらわたし達が分身させられた上に女性にされてしまうじゃないですか! もうちょ……」
「そうですね、それで行きましょう。」
「えっ……?」
次に気付いたとき、わたしの目の前には既に華代ちゃんはおらず、16歳程度の、同一人物かと思えるそっくりな少女が2人いた。
――ははははは、まさかね。
「あ、あなたたちは?」
予想外に可愛い声がした。華代ちゃん被害にあった先輩たちもそうなのだが、わたしも例に漏れず女性化してしまっているらしいです。
……まあ、それはいまは置いときましょう。
それよりいま問題なのは目の前の二人。あれはもしかして……
「お、おれはハンター30号 御傘袮 十倍(みかさね とうま)だ。――もしかしてお前も?」
予想通り、同じ声で答えてきた。やはり……。
「はい、わたしもハンター30号 御傘袮 十倍(みかさね とうま)です」
とりあえず、わたしも同じ声で返しておいた。それにしても”おれ”(=赤)ですか。ということはもうひとりは……。
「えっ、君たちもなの? ぼくもだけど、珍しいね」
「「ちが〜う!!」」
先ほどの少女――自分自身と同じ声でボケた返事をした少女――に、思わず同じ声で突っ込むわたしたち。
やっぱり”ぼく”(=合)か……
「なるほど、他の人を巻き込まずに人手を増やす為に、おれ達を分離させたと言うことなんだな」
「ええ、たぶん。そして合(ごう)の”若い女性”と言うリクエストに答えて、いまの姿にしたんでしょうね」
「あっ、そうなんだ」
「「……」」
「なに? どったの?」
「はぁ……、なんでもない」
「とりあえず本部に報告しときましょうか」
「そだね♪」
「それにしても、おまえらそっくりだな」
「私から見ても二人とも同一人物に見えますよ?」
「うん♪ ぼくから見てもだよ♪」
「ということは……、これがおれ!?」
「気持ちはわかりますが、指差さないで下さい……」
いや〜、多重人格の人ってほんとにいるんですね。わたし初めて会っちゃいました。もお、ビックリです。
今回は人手が欲しいということだったんですが、もう1人の方(?)が他の人に頼みたくないと言われたので困ってってしまいました。
でももう1人の方がヒントくれたのでわたし閃いちゃいました。
そうですよ。人手が足りないなら自分自身に手伝って貰えばいいんですよね。
いままで「1人から複数の人を作る」のはやったことなかったんですけど、上手に出来てよかったです。
でも、これで人手も増えて多重人格も治って一挙両得ですね。
そういえば、わたしの友達にも”ハンター”をしているって子がいるんですけど、ハンターさんってどんな仕事してるんでしょうね?
その後、ハンター本部。
「ボス、またハンター内に華代被害者が発生しました」
「なに!? 今度は何号が被害にあったんだ?」
「30号だそうです」
「そうか、ならば名前は『半田 美央(みお)』か」
「いえ、それが……」
「ん? どうした」
「あと二人分考えてもらえますか?」
「なに? 他にも被害者がいるのか?」
「いえ、被害者は30号1人なんですが……、なんか3人に分かれてしまったらしくて」
「なにっ!!」
「なんでも各人格ごとに分けられた模様です」
「……、なら美央それと美玲(みれい)、美登(みと)まとめて30号にしとけ。面倒だし」
「はぁ」
《おまけ》
「ボス、お呼びでしょうか?」
「美玲か、待っていたぞ」
「はっ」
「さて早速だか話がある」
「なんでしょうか」
「お前、眼鏡かけろ」
「それはなぜでしょうか?」
「美央が”おれっ娘”で美登が”ぼくっ娘”だからだ」
「は?」
「”おれっ娘”、”ぼくっ娘”と来て何か足りないと思わんか?」
「……、”拙者っ娘”……ですか?」
「そういえばそれもあったな……。ふむ、お前がそちらのほうがいいと言うそっちでもなら構わんが」
「――”めがねっ娘”でお願いします」
「そうか。残念だ……」
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