ガルヴェ / 〜A moment of eternity〜


ガルヴェローザ 〜A moment is eternity〜


 それは過ぎ去りし未来、未だ来ぬ過去。
>それって何時の事よ……
 時の狭間を流るる時、在らざりし世界“ガルヴェローザ”での物語。
>あっ、無視!?
>うっさい、冒頭ぐらい突っ込みいれんな。只でさえ意味無いんだから……。
>おひ


ガルヴェローザ
〜A moment is eternity〜

 彼の地に“緋き眼のエタニティー”と恐れられる男がいた。
>彼の地ってどの地よ?
>さっき言ったガルヴェローザだ。そこに、そう呼ばれる奴がいたんだ。
 エタニティーは長身痩躯、容姿端麗の魔導師だった。
 特にその髪と瞳は『血の如く真紅き瞳にして透き通るような白銀の髪』と形容されていた。
>赤い眼で白い髪って、つまりアルビノって事?
>そう、アンタの世界で言うところのアルビノだな。


 ガルヴェローザでは、エタニティーの様な赤眼白髪の者は、“神々の寵児(プレス・フュート)”と呼ばれていた。
 なぜなら、“神々の寵児(プレス・フュート)”は類稀なる才能を持って生まれてくるのだから……
>ねぇ、それってどれ位の割合なの? その類稀なる才能をもって生まれて来るってやつ
>才能の内容こそ違うが、確実に、例外なくに、だ。
>例外なくって。……本当に?
>ああ……
 その呼び名の通り神々に愛されているかの如く……。
>……にな。
>じゃあ、その才能って、具体的にどういう才能があったの?
>有名な者だと剣聖ペテルギアの圧倒的な剣術、歌聖アリスマリアの聴くもの全てを魅入る歌声、預言者ノートンの完璧な未来予知などが有名だな。
>ふ〜ん。じゃあ、エタニティーも?
 もちろん、エタニティーも例外ではなく、何者にも劣らない魔術の才能を持っていた。
 幼くして魔術を極めた彼は、様々なオリジナル呪文を生み出す。
 そしてそのオリジナル呪文を以って《竜鳴の谷ドランキャリオ》に住むと云われる伝説の古代龍エンシェント・ドラゴンを従えさせたり、《狂嵐の死海デスリード》に住む魔獣クラーケンを倒したりと、社交の場を様々な武勇伝で賑わしたのだ。
>ふ〜ん。でも、クラーケン退治ぐらいなら簡単そうじゃない?
>いや、確かにアンタなら楽勝かも知れんが……

 しかし“神々の寵児(プレス・フュート)”にも欠点があった。
 それも運命的とも言う欠点が……。
>あっ、その欠点ってなんか捻くれた、そう……、例えば極めて短命とかでしょ。
>少し違うが短命というのは近いな。
 殆どの“神々の寵児(プレス・フュート)”が十代後半から二十代前半に消息を断っているのだ。
 それも寿命ではなく何なかの事件に巻き込まれたかの様に、だ。
 一説にはその力を恐れる魔族によって消されたとか、神々が与えた試練に打ち勝てなかったとか言われてはいる。
 が、その真相を知る者はいないに等しかった。
>えっ、さっき言ってた預言者ノートンって奴もなの?
>ああ。まあ、彼も自分の死ぬ様を占った事は無かったらしいがな。
>へえ〜。でも全員が全員消息を絶つってなんかの呪いなのかしら。
>さあな。

>……で、もちろん、そのエタニティーって奴も消息を断ったのね?
>ああ……
 もちろん、エタニティーも例外ではなかった。20歳を超えたある日、1つの村の消滅と共に姿を消したのだ。
 ――彼の魔力が暴走した結果、彼自身が巻き込まれた。
 そう、それが、エタニティー失踪に対する世間の風評だった……
>……とは言うもの、事の真実はアンタも知ってるはずだが?
>えっ、そうだっけ?
>おいおい、忘れたのかよ……
>う〜ん、思い出せない……。というか作者がまだ思い出すなって言ってるのよねぇ……
>おいっ!?



 場面は変わって、エタニティーが消息を断って1年後、昼の峠道に移る。
>……なんかいきなりシーン変わったわね
>あのままだと話進まないだろ。
>ま、それもそうだけど、じゃあ今までのはなに?
>ナレータにもよく分からんが基本知識かなんかじゃないか?
>まあそれでも良いけど……
 人通りこそ少ないが、そよ風に揺れる木の葉のざわめきが中々に乙な物である。
 風を楽しむ余裕がある者ならば、一時ばかり脚を止めているだろう。


 そんな峠道を一人の少女が走っていた。
 その娘こそ、この物語の主人公、セツナ・トワ・シルヴィオン、15歳、通称セツナである。
>……、その名前、どこかで聞き覚えあるんだけど……、どんな娘だっけ?
>確かに顔見知りのハズだ。で、あ〜と、外見だっけか。
>えぇ。
 外見はというと綺麗よりは可愛い系で、さらっとした栗毛の髪を後ろでまとめてポニーテールにしている。
 背丈は同年代の同姓に比べると小さい。
 胸は……、本人の名誉のため伏せておこう……。
>まあ、さすがにアンタよりは大きいが、服の上からでもよく見なければ膨れているのがどうか分からない程度だ。
>へぇ〜、その歳でその胸なんてかわいそうね。
>いや、胸どころか身体の成長すら見込めないアンタと違って、まだまだこれからだと思うぞ?
>うっさいわね。……1回死んで見る?
>つ、謹んで遠慮する。
 ちなみに服装は魔導師風。
 ……とは言っても祭儀用のローブの様な動きにくい格好ではない。
 薄手のブラウスにローブ代わりのベストとマント、下半身は腰巻にズボンと割と動きやすい格好だ。
 特記すべきは、ネックレスと両手にしている腕輪、そして髪留めのそれぞれに魔法の宝石(マジック・ジュエリー)がはめ込まれている事。  それと、腰に材質のわからないガラスのような物で出来た短剣を差している事ぐらいか。
>とまあ、こんな感じだがなんか思い出したか?
>そうねぇ……

>セツナは近くの魔法学校に通う遅刻常習犯(ふつうのおんなのこ)で、今日も今日とてトーストくわえ、学校に向かって一直線。
>……だったら、それはそれで面白いのかも知れんが、残念ながらここは異世界だ。そんな便利な食べ物があるハズないだろ。
>ちえっ
>いや、似たような食べ物ならあるか……。だが、『トースト』と言う名の食べ物は断じてない。
>あるんだ……。
>ある……。

>……。ねぇ、それって、どんな食べ物?
>え〜とな。このガルヴェローザにはトゥーストというウサギのような耳を持つコウモリ型のモンスターが居るんだ。コウモリ型と言っても主に昼に出現する、ドラクエで言う所の『ドラキー』と同レベルの、言わば雑魚に該当するモンスターだけどな。
>で? そのモンスターがどうしたのよ?
>まあ、上位種にあたるハムエッグ・トゥースト(ネズミのような前歯を持ち、卵の腐ったような臭い息を吐く)やブレンチ・トゥースト(耳が植物の葉の様になっており、回復系魔法を使ってくる)はその比ではないのだが、それでも中の下、いや下の上辺りか。
>あのね……
>ん?
>モンスターの話はどっちでもいいから、さっさと食べ物の話に戻しなさい!
>いや、本筋はそこでもないんだが……。まあ、そのトゥーストの耳は火で軽く炙ると手で持たずとも美味しく食べれるから、巷で結構人気があるんだ。特に希少種ハニー・トゥーストの耳は市場に滅多に出回らない幻の美味として人気を逸しているな。
>じゃあ、今度それお土産に頂戴♪
>うげ。

 ――閑話休題


 セツナは魔法学校の生徒でなければ、普通の女の子でもない。
 風の向くまま気の向くまま、行く宛てのないのない渡り鳥、風に流れる根無し草。
>いわゆる……
>プータローね
>違っ! 冒険者だっ! ぼ う け ん し ゃ !! ビシッと言う効果音と共に人差し指立ててボケてるんじゃねぇ!!!
>同じ様なもんじゃない。どこが違うのよ。
>……、危険度の高さ?
>……。
>は、話を元に戻していいか?
>いいわよ……。

 そう、いわゆる冒険者だ。
 それも十五歳の若さで一人旅をし、冒険者として生計を立てていると言うのだから、かなりの凄腕だ。
 確かにセツナ位の若い冒険者もいないことはないのだが、見習い――つまり上級冒険者の付き人――をしているのが殆どで、一人旅というのはあまり類を見ない。
 特にセツナと同じ魔導師タイブだと、師匠か護衛の剣士と共に旅をする為、その傾向が目立つ。
 だから、若年の魔導師でありながら一人旅をしているセツナは、冒険者筋ではかなり有名だ。
 セツナはそれを可能とするだけの実力を有してる。でないと一人旅なんぞ出来るハズも無い。
 トゥースト程度の雑魚モンスターなら、文字通り呪文1つで、魔法無しでも物の数分で、20匹以上倒せる実力である。
 もちろんセツナにとってはそれ位は朝飯前である。
>さすが元“緋き眼のエタニティー”と呼ばれたTSっ娘って所ね。
 ちなみに、その軽い身のこなしと風の呪文を好んで使うことから付いた今の通り名は、“舞い風のセツナ”だ。
>……。って、やっと思いだしたのかよ!?
>まあ、まだ口止めさせられてる事も結構あるけど、それ位ならもうボケる必要が無くなったみたいだし。
>ボケてただけかよ……



 さて、そんなセツナが走ってる理由、それは簡単だった。
 ある団体――ぶっちゃけ野盗――から逃げているのだ。
 それも勝てないからではなく、相手するのが面倒だからだ。
 モンスター相手なら問答無用で張り倒すセツナだが、如何せん相手が人間では殺すわけにもいかない。
 もちろん人間相手でも賞金首になってるなら話は別できっちり稼がせてもらう。
 だが、今回は賞金首にもならないような雑魚だ。なら、相手に諦めて貰うのが一番だろう。
 相手しても疲れるだけで何の特もない。
 だから相手にするだけ魔力の無駄と、逃げの一手を取っていた。
>さっさと返り討ちにしちゃった方が早いんじゃないの?
>いや、ナレータもそう思うが、一度叩きのめした位で諦めてくれるのなら、追いかけっこをしている間に諦めているだろ。
>あっ、それもそうね。(笑

 だか、そんなセツナを1日経っても野盗達は追って来た。
 この野盗たちはかなり諦めが悪いらしい。
>1日って……、諦めが悪いにも程があるわね。
>ある意味、賞賛に値するかもしれないな……
「はぁ……、そろそろ相手するかぁ」
 セツナはとうとう撒くのを諦めて相手する事に決めた。
>もしかしてそのまま相手をするつもりだったりする?
>いや、どうやら袋小路を見つけ、そこに誘い込む作戦のようだ。

 まず広域認知魔法《鷹の眼(ホークアイ)》を発動する。
 するとセツナの脳裏に周辺の風景が航空写真の様に浮かぶ。
「……、あった」
 目的地はすぐに見つかった。
 後は誘導するだけだ。
 《脚力強化(レッグ・ブースト)》によって高められた脚力で、野盗が追って来れるよりほんの少しだけ早く走る。
 つかず離れずちょうどいい距離になるように、だ。
 なおも追い縋ろうとする野盗たち。
 セツナは気配を背に感じつつ、その間抜けさに苦笑を浮かべていた。
>多分隠そうとしてたバレバレの気配を隠すのを止めたのが可笑しかったのでしょうね。
>まあ、そうだろうな。

 暫くすると狙いどおり袋小路へと行き着いた。
 作戦通りなのだが、セツナはしまったとばかりにおろおろしてみせる。
 言うまでもなく演技である。しかも雰囲気だけで全く意味はない演技。
>ホントに意味ないわね。
>文句はセツナに言ってくれ。本当にしてるんだから。……もしくはそれをさせた作者だな。
>わかったわ♪

「はぁはぁ。や、やっと追い詰めたぜ。き、昨日から、お、おちょくりやがって」
 やっとの事で追い着いた相手がが息は絶え絶えで言う。
 見るからに野盗の頭らしい奴である。
 残りの30人はいるはずの部下はまだ追い着いていない。
>正確には野盗の頭らしい奴をいれて35人だな。……、余計なことかも知れんが。
「おちょくる?」
 途端におろおろするのをやめ、小ばかにしたようにセツナが問う。
>実際、小ばかにしているんでしょ?
>あぁ。


「追いついたと思えば逃げ、離されたと思えば休憩し……」
 まあ、《脚力強化(レッグ・ブースト)》をかけた上で、追ってくる奴らから着かず離れず、さながら馬の目の前にぶら下げたニンジンの様に逃げたのだ。
 つまり、そうなる様に逃げたんだと言えなくもない。
>なんでそんな面倒くさい事を……
 もし相手しなくてはならなくなった場合を考えて、相手だけか疲弊するようにしたのだろう。
 何しろ魔法が使えるとはいえ、相手より確実に体力が少ないのだ。
 それぐらいのアドバンテージは欲しい。
>……、魔法を使って全力で逃げたら簡単に撒けたのじゃない?
>あっ……。

「あっ、それね。いつ次の分岐点で待ち伏せしてくるか、わくわくしてたのに全然来ないから飽きちゃった。折角分岐点ごとに休んでたのに」
>って、わざとかよっ!?
>あはは、やるじゃん。セツナっ♪
>ちなみにこの二人の会話は、いわゆるテレバシーで行っている。よって実際に口にして会話するより高速でやり取りできるのだ。
>……誰に言ってるの?
>……まだ見ぬ読者。

「なっ!?」
 野盗の頭らしい奴――言いにくいけど面倒臭いし、このままでいいか。どうせ雑魚キャラだ――は絶句している。
 言われてやっと気付いた、そういう風な表情で。
>バカね。

「ま、まあいい。者共出会え、出会え」
 部下が追い着いたのを見計らってか頭らしい奴が吼える。
>ちょっ!? 何処の世界の時代劇よっ!?
>……、アンタとこのじゃないのか?
>こっちでも、いまどきあんなの言わないわよ……。多分。
>多分って……。
>しゃあないじゃない。最近見てないんだから……。そ、そんなことよりとっとと進めるっ。
>へいへい。

 ちなみに追い着いた部下34人中22人ぐらいが、まだ胸で息をしている。
「あのさ、ボクが言うのもなんだけど、なんかみんな行き絶え絶えなんだけど……。少し休ませてあげたら?」
 その様子を見てセツナがおちょくる。セツナの方は割と余裕らしい。
「ふざけやがって!! と言いたいところだが、どうせもう逃げ道は無いんだ、お言葉に甘えさせてもらうぜ」
 頭らしい奴は誘い込まれたとは露とも思っていないらしい。
>ねえ……、素直に受け取るのは良いけど、ちょっと情けないと思わない?
>……、同感。

「まあ、どっちでもいいけど。にしても34人? 少ないね。ボクとしてはもう少しモルモットが欲しかったな……」
>おいっ!?
「なっ!?」
 その言葉に頭らしい奴は二度目の絶句。

 まあ、セツナもセツナでそんな事は気にせずに何やら怪しげな考え事を始めたようだが。
>なに驚いてんのよ。セツナの言う通りじゃない。34人じゃ少なすぎて魔法の実験台にもならないわよ?
>いや、それ以前にモルモットって酷くないか?
>そう? 某天才美少女魔術師だって『悪人に人権はない』って言ってるわよ? それにセツナだって……
 ――物理的にも精神的にも殺すようなことはするつもりないし、実験台にした所で問題ないでよね。
>って、思ってるんだし大丈夫よ。
 ――《風の刃(ウインド・エッジ)》の強化版で全治12ヶ月の重症になったり、無差別転送魔法《奇妙な道(オッド・ロード)》で石の中に転送させたりするかもしれないけど、まあそれは魔術の発展の為の尊い犠牲ってことで。
>あたしなら獣化呪文《狂獣の爪牙持て(ライカンスロービング)》のアレンジ版でリアルバニーガールにするんだけどなぁ……
>って、それは大丈夫なののか!?

「な、なに黙ってやがる。そ、そうか、この期に及んで怖気ついたんだな? いいぜ、思う存分いたぶってやる」
 頭らしい奴は、セツナがなにやら危なっかしい事を考え込んでいるとは露とも思わず自分勝手に解釈して吼える。
 何となくかわいそうになってくるが雑魚とはそんなもんなのだろう。
 まあ言われた側のセツナは考え込んでいて、やはり聞いてなかったのだが。
「えっ?なんか言った?」
 仕方なく聞き返しらしいのだが、どうやらこの言葉が野盗の頭らしい奴の逆鱗――こんな奴を竜に例えるのは勿体無いなぁ、と言うわけで――訂正、堪忍袋の緒を切ってしまったようだ。
「ふ、ふざけやがって! しゃらくせぇ、てめえらやっちまえ!!」
「「「おう!!!」」」
>なんだ!? そのベタなやり取りは!?
>あ、あたし、頭いたい……
>……どうやらセツナも同じ感想らしいぞ。
 セツナは軽く頭を押さえて小さく呟いた。
「こんな奴らに魔法使うのがすごく勿体無くなってきた……」
>なんか、その気持ちが良くわかる気がする……。
>同じく……。



「ちょっとまてぇい」
 少しの躊躇の後に諦めて呪文を唱えようとしたセツナに、旅の剣士と思われる男が声を掛けた。
 軽戦士なのか、黒光りする軽鎧(ライトアーマー)に皮の靴、普通よりも多少長めに感じられる長剣(ロング・ソード)が武器なのだろう。
 ……、ピンチを救うヒーローのつもりか、声の掛け方がちょっと芝居掛かってたような気がするが、気にしたら負けなのだろう。
>……一体、なにによ……。
>知らん。
 だが、セツナも声を掛けられるまで気付かなかった位だ、実力はかなりあると見て良いだろう。
 登場が芝居掛かってたのが気になるが。

 ちなみにセツナの獲物は前述の短剣。
 透明な刀身に魔法を込める事で様々な効果を付加する事ができるという優れものだ。
 込める魔法により刀身の色を変えることから、付けられた名前が《プリズムドライブ》。
>ただ今特許申請中♪
>そういや、アンタが作ったんだったな……



「そこのおまえ、助けてやる。100ギルでどうだ?」
 なるほど、要するに救ってやるから金をくれと言ってるらしい。
 まあ、勝手に救っておいて後で法外な額を吹っ掛けられるどっかの妖精よりはましだと言える。

 それに100ギルとは安い。
 この値段には、さすがの頭らしい奴も文句を言いたそうだ。
>ねぇ、100ギルって、こっちで言うとどれ位の額になるの?
>う〜んと、日替わり定食一食分ぐらいだから1000円位だな。
>ふ〜ん。ならちょっと高いわね。雑魚35人ならその半額でも多いんじゃない?。
>いや、普通に考えて明らかに安いだろ……。
>確かになんの力もない普通の少女からしたら確かに安いかもね。でもセツナは魔法使いの端くれでしょ? 自分ひとりでなんとでもなるのにそんな額払うとは思えないわ。
>そうか?
「高い! 1人1ギル合計35ギル!!」
>ほらね。
「なっ!?」
 思っても無かったセツナの値切りに頭らしい奴ほか34名が目を点にした。
 もしかしら、一人頭100ギルのつもりだったのかもしれない。

「いや、さすがにそれは可愛そうだろ。せめて1人2ギルにしないか?」
>ナレータは2ギルでも言いすぎだと思うが?
>相手するのが面倒なことを加味した上での折衷案でしょ? あたしなら更に半額でもいいけど……
「いやだ。それにこれ位ならボクだけでもどうにでもなるし。そっちにしても妥当だと思うけど?」
>ぽいな……
「まあ、確かに妥当な線だが……、こちどら腹へって死にそうなんだ。なんか喰いもん買えるぐらい出してくれないか。」
「なら、計25ギルでおまけに干し肉5切れでどう?」
>干し肉?
>まんま、干した肉。ひたすら噛む事で飢えは誤魔化せるが、かなりむなしい物がある。ちなみに干し肉は1切れ2.5ギルぐらい。って干し肉より安いんだな、こいつら……。
「しゃあないか……。背に腹は変えられんし、商談成立だ」
「いいよ」

 ところでその頃、夜盗たちはというと……、とんでもない商談に付いて行けずただただ唖然としていた。
 そんな夜盗たちが正気を取り戻したのは、商談を終えた男が頭らしい奴ほか34名に声を掛けた時だ。
「と言うわけだ。お前さんたち覚悟はいいか?」
「くそっ、なめやがって。行くぞ!てめぇら!!」
「「「おう!!!」」」
 弱い犬ほどよく吼えると言うものだろう。夜盗たちは手にしたシミッターを振り上げ吼えた。
 それにしても、こりもせず芸が無いやり取りを……、もう勝手にしてくれとナレータは言いたい。



 勝負は一瞬にして着いた。男の圧勝だ。
 有名な剣術大会に参加しても苦戦する事も無く楽に上位に食い込めるのではないか、そう思える程の腕で瞬く間に野盗を倒していった。
>予想以上に凄い剣の腕前ね。にしてもあんた……
>……、ナレータが怠けてた訳ではないぞ?
>ほんとに?
>いや、あんたも見てただろ。文字通りナレーションする間も無く終わったんだ。じと目で見られてもその事実は変わらないのだからしょうがない。文句あるなら作者に言え。
>ん、そうする。



「じゃあ、これ、約束の報酬ね」
 セツナは男に渡す物を渡してさっさと歩き出す。
 が、文句があるのかそんなセツナを男が引き止めた。
「お、おい。ちょっと待て」
「ん、なに?」
 その呼掛けに悪怯れた様子も見せずに、セツナは振り返る。
「足りないって事は無いハズだよ?」
「いや、逆だ。これじゃあ多すぎる。約束より干し肉5枚余分だ……」
「それ、凄い剣技を見せてもらったお礼。」
 そう言って頬を掻くセツナの顔には、どこかテレの混じった笑顔が浮かんでいた。
 案外誉めるのが苦手なのかも知れない。 「畑違いとはいえ、見る目はあるつもりだよ? だから遠慮なく受け取ってよ。まあボクの見込み違いなら返してくれてもいいけど?」
「そう言われたら……、断るのも失礼にあたるわな。じゃあ、ありがたく貰っておく」
「ん。そうしといて。ホントのところ、それ以上の価値あるんだから、アンタの剣技は」
「ほう、そう言ってくれるとありがたいね。お前さんもなんかやってる口か? あれぐらいどうでもなる口ぶりだったが……」
 セツナは深く考えるそぶりも見せず事も無げに答えて見せる。
「ボク? ボクは魔法を少々……ね。」
 どうでもいい話、魔法少々と魔法少女、似ている気がする。
>……ちなみにガルヴェローザには魔法少女という職業なんてない!!
「ほう、魔法少女か。若いのにやるね」

   ずべしっ!!

 その回答にセツナは思わずこけた。
 そして一緒にこける外野の二人。
>普通、素で間違えるか!?
>それより、そもそも若くない魔法少女っているの!?
>……、なんか異世界から複数の殺気がするんだが……。
>そ、そうか、いるんだ……。あはははは……
 そんな事を他所に、男は言葉を続ける。
「で、なんで襲われてたんだ? どうも結構前から追っかけられてたようだが……」
 その問いに正気に戻ったセツナはとぼけてみせる。
「……さあ? なんでだろう」
 見事なとぼけっぶりである。
>さすがに水浴びしていたところを見られた仕返しにアジトを半壊した挙句、無断で慰謝料を少々頂いたとは言えないわよね……。
>ナレータに言わせて貰えば、セツナの慰謝料も“少々”で収まる額ではないはずなのだが……。
>一般的解釈なら、そうなんだけど魔道って結構お金掛かるのよ? あたしやセツナみたいになんかの研究をしてるなら特にね。
>ふーん。そんなもんかねぇ。でもまあ、野盗も相手がアンタじゃ無くてよかったよな。もしアンタだったら半壊じゃなく全壊、慰謝料も全財産掻っ払ってただろうし。
>なに、当たり前の事いってんのよ。こちどら花も恥じらう17歳よ? そんな乙女の柔肌よ? それでも安いぐらいよ。
>……、どう見ても7才児にしか見えないんだけどな。
>うっさいわね。

「まあ、いいか。で、話を切り換えて相談に乗って欲しいんだかいいか?」
「相談?」
「ああ。実はいま俺は一文無しなんだ。と言う訳で、俺を用心棒として雇ってくれないか? 報酬は食費だけでいい」
「……あのさ、それじゃあ、ボクには得がないと思うんだけど。特に襲われる心当たりも無いし……」
「ある程度なら一人でも十分。ってか?」
「うん」
「心当たりの方なら大丈夫だ。さっきの奴ら、みね打ちにしといたから気が付いたら追ってくる筈だ。」
「……もしかして計算ずく?」
「まあな。それに断られても最悪は俺が向こうに付けばいいだけだし。……、あまり気のいい選択肢ではないけどな」
 野盗が相手ならばともかく、この男を相手にするとなると厄介だろう。
>とりあえず敵に回さない方が得策じゃない?
>セツナもそう判断したらしいな……
 ため息をつき、仕方なさげに答える。
「はぁ、他に選択肢はない、んだよね……」
「まあ、町に帰ったら返す当ては有るんだが、さすがにゆきずりの相手を信用できんだろ? だからこそ商売に持ち込んだんだが……」
「……、まあいっか。食物の恨みは恐いって言うし、ひとり旅も飽きたところだし……」
「よかった。俺はアッシュ。アッシュ・アルトライズ。見ての通り剣士だ」
「ボクはセツナ・トワ・シルヴィオン。セツナでいいよ。よろしく」
 そう言って二人は握手を交わした。

「よろしくな。嬢ちゃん」
「うん」
セツナはあまり余暇考えずに頷き、一拍の後『嬢ちゃん』と言われた事に気付き……
「……って、ボクは男だ!!」
 思わずとっさに反射的にセツナはそう返していた。
>……あのさ、その言い回しなんかおかしくない?
>確かに『思わず』と『とっさに』、『反射的に』を重ねる必要はないよな……
>でしょ?
>作者としてはそれぐらいの勢いで反応したと思って貰いたいんだろ?
>そんなもんなのかなぁ
 確かに見た目15歳ぐらいの少女になっているが、心は男のつもりなセツナだ。
 『お嬢ちゃん』などと言われて黙っている云われはない。
 だから……
 ――全くボクのどこをどう見たら女の子に……って、いまはどう見ても女か……。
 ……などと心の中で愚痴を零したものの、世の無情(誤字にあらず)に気付き、しばし固まるのであった。

 一方、アッシュは目を点にして一言……
「えっ、うそだろ……?」
 そして確かめ直すようにセツナの顔を見、納得できない表情でそのまま視線を下ろし、視線を止めた。
 いくら『心は男』と主張した所で『身体は女』である事には違いはない。
 だから、まだ小さいとは言え、胸を見られたら、丸分かりだ。いや、丸分かりのハズだ。
 数秒の間のあとアッシュの方から「ぽん」と手を打つ音が聞こえた。
 なにやら、アッシュはアッシュで勝手に納得したようだ。
「すまん、あんまり女っぽい顔をしてたもんだから女と勘違いした。」
 ぐさっ。
 アッシュの『女っぽい顔』という言葉がセツナの胸に突き刺さる。
 実は、セツナが男だった時から言われてきた禁句だったりする。
「そうだよな、こんな胸が小さい奴が女なハズないよな」
 ぐさぐさっ。
 心は男と言いつつも胸が小さい事は気にしているセツナに立ち直る間も与えない追撃。
「いや、納得してくれたのは嬉しいけど……、そこで判断されると……」
 セツナが傷ついた様な微妙な表情を浮かべ呟くも、その声はアッシュに届く事なく風に散ったのであった。


≪次回予告≫
 時は一年前に遡る。
 寂れた、どこか郷愁を漂わせる小さな村ホシキコタン。
 その村ににエタニティーは訪れていた。
 特に理由も無くただ何となく、だが何かに誘われる様に、その村を訪れたのだ。
 いや、本当に誘い出されたのかも知れない。
 その村にか掛かっていた呪いに……。

 次回、ガルヴェローザ第二話 〜Because of lost village(仮)〜


《後書きというかなんつうか》
 ども、とうとう長編と言うか連載に手をつけてしまった天爛です。
 ほんと、打ち切りゴメンとならずに最後まで書き切れるか今からガクブルものです。
>あんたってほっんと〜に、なっさげないわよね。
 タメを作ったまで言うなよ……
>なによ、ほんとの事じゃない……
 いや確かにそうだけど。

 しかしナレーションにチャチャを入れるという暴挙に出てしまったわけだが……
>別にそれ自体は良いんじゃないの? 物は試しっていうし。
 でも、お陰で話反れまくり。
>下手したら半分以上は反れてるわよね? コレ。
 ソノカノウセイハヒテイデキナイ・・・・・・
>じゃあ、次回はこの形式やめちゃうの?
 んにゃ、とりあえずこの形式が次回以降も続くかは皆様の評判次第。
>ということは、評判が悪けりゃやめるのね?
 そういう事。でも、そうなるとお前の出番は格段に減る。
>マジで?
 マジで。素の出演が決まっている次回は兎も角、それ以降は分からん。
>そ、そんなぁ。って、アレ? もしかして次回あたしの出番あるの?
 うん。次回は回想でセツナがTSした理由(?)をメインに書こうと思ってるからそのときにね。
>ふ〜ん。

>で、今回はなんかギミック入れたの?
 太字になっている二ヶ所にカーソル持って行くと関連作品の情報が……
>あっ、ほんとね。ってなんで『さま』付け?
 いや、なんか後が恐そうだし(汗
>あっ、なんか分かる……。

 では、今回はこれ位で
>じゃあねぇ♪ ……って今回あたしの名前一回も出てないっ!?。



BBS

 BBS

設定集

登場人物
魔法・技
その他設定

小説(TS)

オリジナル

【天体観測】
プリティーサーラ
ガルヴェローザ
胡蝶の見る夢
探偵物
目覚めの夜に別れを告げて

シェアード・版権

華代ちゃん
華代ちゃん番外編
ハンターシリーズ
※提供:真城悠さま
これは夢オチシリーズ
※提供:Zyukaさま
花子の悩み相談室!
※版権:流離太さま

小説(その他)

シェアード・版権

六門世界
※版権:グループSNE

参考資料

参考資料(創作用)

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