今回の展示のテーマ


この話は、今回の展示には欠かせない。 なぜかというと、企業広告戦略に常にCI(コーポレートアイデンティティー)を求められているのと同様に、こういう展示の広告、運営にも、一貫したテーマが必要だからだ。

とかく、皆さんもよくお分かりの通り、この学科に言える事の問題点は、とかく『集団制作に弱い』『作るものに繊細さを欠いている』という点ではないだろうか。冒頭から厳しい事を書いているが、これが他の学科から『芸情はオタクの集まり』と吐き捨てられてしまう所以だ。

この点をふまえ、芸術情報学科としての『統一性』『繊細さ』『高級感』を意識した、アイデンティティーを確立する事で、一貫したテーマの元に卒展を運営しようではないか。決して無理な話ではない。必要なのは、意志と行動。そして、これらのテーマを元に、有志達によるキービジュアル制作が行われる事になる。

さてそこで、以下のように考えを整理してみよう。

芸術情報学科とは何ですか?

  • 色々やる
    CG、映像、WEB、音楽、絵本、立体、文章表現とかね。
  • 方向性がバラバラで焦点が決まっていない
    上記の理由で、他の学科と違い専門分野としての特筆が少ないのは、周知の事実。
  • 4年間を振り返って、芸情とは何なのか?
    この我々の学科が、いかなるものか?それそのものが、この卒展のテーマと言えないだろうか?

芸術情報を語るキャッチコピーを考えてみる。

  • 何かを伝えるテクノロジー
    WebやTVももちろんそうだ。でも、芸術っていうのは、本質的には何かを伝えたいという発想から生まれてきたものである。だからアナログな絵画も、デジタルなコンテンツも、皆等しく芸術情報なのだ。
  • 思いを伝えるテクノロジー
    小説で感動する。映画を見て涙を流す。ゲームを遊んで勇気をもらう。 きっとそれらは、その向こうにある思いが伝わっているから。それを思いを伝えるテクノロジーというんじゃないかな。
  • 僕らの得た、無限の可能性
    一見何の役にも立たないように思う広く浅く得た知識。ただ、知っているのと知らないのとでは大違い。知識として得た世界は、クリエイターとしての僕らに無限の可能性を与えてくれた筈である。
  • したいこと、すべきこと。
    伝える、というのは本質的には義務感が根底にあると思う。何かを伝えたい、と心から思うときは、『伝えなくては』という感情が必ず伴うだろうから。伝えたい、伝えなくちゃならない。やりたい。やらなくちゃいけない。したい事をやり遂げるのは、楽しい事ばかりじゃない。そうしたクリエイターとして向き合っていくべき覚悟が、この言葉には有ると思う。
  • 『情報』の再定義
    情報っていう言葉が、限りなくデジタルな言葉になっている。 本当の意味での情報を見つめなおしていくと、いろんなものの意味が見えてくる。
  • 伝えたいことがある
    必死に分かって欲しいから、だから人はペンを取り、筆を取り、そしてキーボードを駆るのではないだろうか。それこそが創作の原動力だろう。
  • 『萌え』って言うけどさ。
    オタクって言われる人種には別に珍しくも無い言葉。でも、普通の人には異質の言葉。そこには、見えない隔たりがある。おなじ日本人で共有できない奇妙な感覚が、この言葉に集約されている。
  • 僕たちの伝えたいINFORMATION
    伝えたい事。気持ち。心。思い出。そのすべてはInformation。
  • 伝えたいこと:Information
    上のキャッチから派生。伝えたいこと、それが情報。
  • 伝えるという事:Art
    上とセット。伝えたいことが情報なら、伝えるという行動そのものがアートなのだ。

芸術情報のイメージ調査のアンケート回答

今回の回答で目立つのは、芸術情報という学科を直接的に答えているものだ。 その殆どが『多種多用』『広く浅く』など、専門分野として1つに特化していない事を良くも悪くも評価している。個人的な意見としてはもっと本質的な部分を語ってくれる人が居たら良かったんだけど…という感想だけども、他にもいろいろ回答はあるし、その中で何気なく使っている言葉に深みを感じたりもするので、ここから思いついたキャッチコピーをいろいろと上の項に勝手に書いていってみます。

  • 設問:「芸術情報とは何だと思いますか?」
    • 楽。手抜き。お気楽。
    • 「何か」をする。
    • 自分で自分が何をしているか分からない。
    • あいまい。
    • オタクが多い。
    • 良くも悪くも自己満足。
    • 色んな人がいて色んなことをしてる。
    • 周りの人間が何をしているか分からない。
    • 色んな方面に手を出して、どっちつかず。
    • 広く浅い。
    • 様々な芸術分野を情報技術を用いて手軽に。
    • 受身では得るものが少ない。個人次第で授業や環境が良くも悪くもなる。
    • 芸術という形のないものを情報という枠で区切ったもの。
    • 区切られた中で自分の方向を探求する場。
    • 芸術は個人の資質。情報は表現の可能性。
    • 芸術という枠の中で、数理の技術も利用し、新しい表現の模索。
    • 芸術も情報も兼ね備えた新しい分野。
    • 十人十色。
    • 情報(メディア)による芸術表現。
    • 表現分野が多く、個人の自由の幅が広い。
    • 多種多様なことを学びつつ最先端を行く全く新しいコース。
    • 「したいこと」「すべきこと」を「選ぶことができる」のではなく「選ばなくてはいけない」。
    • 多種多様な経験の中で知識を増やし感性を磨き視野を広め、プロデューサーの立場にたつ。
    • 色彩や造形美などの外観のデザインではなく、情報という曖昧な部分もデザインする。
    • 新しいメディアと従来のアートの融合。組み合わせることで新しい物を創造する。
    • 連帯感がなく個人主義。情報に関する様々な分野を勉強研究できる。
    • 自由度が高いことは短所であり長所。