バリーメイザー著(アーティストハウス刊)のこの本は名著。
うんこ受験産業では試験問題になっているということで、広告にもなっている。マイナス3かけるマイナス2はなぜプラス6か。高校入試だそうな。さて、この広告にある具体例とやらは、「毎日2度づつ気温が上がる場所の2日後はプラス4度。毎日2度づつ気温が下がる場所の3日前の気温はプラス6度になるから」だそうです。
こんないい加減な問題が入試で出るのだから、まったく数学的な思考は養われないのは間違いない。マイナスかけるマイナスはなぜプラスになるのかという説明になっていないのだ。毎日2度づつ気温が下がる場所の3日前の気温はプラス6度になるからマイナス3かけるマイナス2はプラス6。「だからマイナスかけるマイナスはプラスになる」なんて説明が、果たして数学なのか?何の証明にもなっていない。出題した先生どもはとても数学者とは言えない。そして、こんな答えを出さなければ入試に合格できないなんて、これはつまり受験産業に投資しないと入試には合格できないという現実を教えてくれる。
この受験産業屋が言うには、「理解の難しい内容についてどれだけ深く理解しているかが問われています。」だそうです。全然深く理解していないのは受験産業屋の方ですね。
マイナスかけるマイナスはなぜプラスになるのか。答えは「分配則」を使わないと決して説明できない、奥深い問題なのだ。そしてそのことを教えてくれたのも「黄色いチューリップの数式」だ。
目から鱗のこの項。「虚数iは自乗するとマイナス1になる」程度で終わらせてしまった高校数学を思い出させてくれる。高校生の頃にこの本に出会っていれば、もっと数学が好きになったかもしれないなあ。