『幻想避行編』後書き


『幻想避行編』後書き

 そのまんま、2章後半の明菜と幼少期のエルの旅の後書きです。
 当時拍手に載せていたもの、そのまま転載します。

1.はじめに


さてさて、ぶっちゃけ変わり映えしないタロットだと、
特に拍手する気も起こらないだろうなーということで、
この先の回からはてきとーに、何か書こうと思います。

そもそも読者さんが「俺、応援してるよ!拍手するから!」
的な読者参加的な要素があったりだとか、
萌え絵だとかの、サービスシーンやらを含んだりとか、
ファンならではの知っておきたいこと・ここだけの裏話とか、
うん、これまでがサービス精神皆無だったもんだからね。
あんな突きつけるようなタロットも、どうかと思ってねえ。
あれはあれで頑張ったから、何らかの形で保存しますが。

てなわけで、これからは種々のエピソードの裏話でも
書いていきたいかなーと思っています。
裏話というよりは、アイデアシート的な話になります。
こういう意図があったり、考えがあって書いたよ、みたいな。

ぶっちゃけきつね○さん(伏字になってない!?)みたいなノリで。
いやでも、ああいう愉快なノリって私には難しいのかねえ、うむ。
でも、やっぱり作品を愛して縦横無尽に楽しむっていうことは、
作者としてやっぱり疎かにしてはいけないことと思うのですよ。
とはいえ、半ば強制的に肩に力を入れて楽しもうとしちゃうと、
それだと余計に楽しめずに本末転倒になってしまったりします。

まぁ、あまり力を入れたりせずに、思いつくままに書いてみます。
てなわけで、以降はこんなノリで雑談スペースになります。
事後ブレインストーミング的に語っていきますね。

てなわけで、割と気軽なノリであとがきみたいなのを語ります。

2.トータルテーマコンセプト


割とこの章は紆余曲折あって、こうなった気もします。
最初から最後まで変わっていないことは少ないです。
実は本当に2点くらいしか、生き残ってないかも……。

まず最初に、絶対的な目標としては……

○なんやかんやで明菜が復帰するよ!!

これだけはさすがにブレたりしていませんね。
というか、これができなかったら、いろいろとまずい。
サブキャラの「VSルーツ・ルインド編」へ移った焦点を、
一応の本編となるべき主人公らに戻すのです。
それを前提として、他にもやっとこうという章でした。

次なるメインテーマとしては

○エルに関する謎を振りまいておくこと

次から第3章というわけで伏線成分が足りない。
(別にヒカコに伏線って重要なファクターに見えないけどな!)
重大なサブストーリーを絡める前準備をしたかったのです。

てなわけで、最初はこの2つだけが目標だったのです。

でも、これだけだとねえ……。



3.テーマとやることは案外別なのだよ


到達点は見えたとしても、何をするかが見えない><

そこで何かしら旅の目標を設定しようと考えました。

最初はまんまこの世界は「エルの夢かもしれない」から
始まって、世界の謎を解き明かすor楽しむテーマになり、
もっともっと逃避的な傾向の強い世界観になってました。

この段階での案のときの台詞はこんなのがあります。

「夢が消えちゃうなら、残せばいいんだ。
 どうしてそんな簡単なことに気付かなかったんだろう」

「私は本当はこんなに前に踏み出せたりしない。
 今はこれが夢だからこんなにはしゃいで、前に進むの」

「そういえば、夢で死んだことないかも」

いくつか今の台詞っぽい名残があったりしますね。
それでもかなり夢と逃避が重大な比率でした。
この段階ではエルと明菜の本当に2人だけの物語です。

あと夢か異世界か何か分からないというのもテーマです。
それは出来上がった本編でも地味にそのまんまですね。
特に生かされてないですが、あれは夢現(ゆめうつつ)の
逃避行という感じで、考えや罪悪感の果ての迷走感を
投影したような世界観で旅をさせるという意図がありました。
でも、これだとあんまりに曖昧すぎて、欠点があります。

結局、具体的に何をするんだかさっぱりなんですよ。
これだと明菜が本編にある通り乗ってくれないんですよね。
本編の比較的目的が明示されてるような状態であっても、
ああいう風に自分のことで手一杯になってしまっちゃってて、
他のことに興じずに帰っちゃおうとしちゃう感じですから。
これが普段だと、明菜は積極的に手を貸すんですけどね。
いかんせん、このドS作者が追い詰めすぎたから、
あんな殺伐とした2〜3話の流れになってしまいましたorz

だから、もっと物語の流れを強めようとしたわけですね。
物語に巻き込むくらいが丁度いいかなーと思ったんです。



4.ストーリーの導き手って超大事


そこでやっっっっと、マギー&ミレイが出てくるわけです。
これで得したことがもう一つあったりします。

それは世界観を説明する存在をやっと獲得したことです。
上の台詞見ても分かるとおりに、エルは世界を知らない。
どっちも分からないまま、物語が進んでいったりします。
世界観を語るのは、二人がときたま語る推測くらいなもの。
これだと読者が置いてけぼりを見事にくらっちゃいます。

読者さんはどの場面でも、何らかの解釈を求めます。
ある程度物語の流れや必然性、キャラの動きに納得して、
はじめてその先の謎やこれからの展開にワクワクして
本を一旦閉じて、続きを何週間か待ってくれるわけです。
だから、「精霊の力」にせよ「こういう世界なのだ」にせよ
読者が納得(≒思考停止)してくれる理由付けや着地点を
作者は誘導して、置いていくのがマナーかなーと思います。

ファンタジーや伝奇を書いたりしてると、そこを鍛えられます。
私は実はあんまりこういうの書いたことはなかったのですが、
この縦横無尽に説明できる可能性っていうのは、書いていて、
割と面白かったりしますね。理論的に考えたりするための
いい勉強にもなるので、機会があれば筆者の方々はぜひ。
遊戯王はファンタジーできるのに、うまくまとまったことが
少なかったりするものだから、開拓可能性はあると思います。

で、やっとこれまで霧めいていた話に、骨肉が見えました。
「異世界の危機」を助けてもらうっていう、分かりやすい話。
これなら助っ人型のプロットで、すらすらーと構築できるわけです。
具体的な典型例だと、黒澤明監督の「七人の侍」がそのまんま。
遊戯王であるならば、5D's初期の牢獄編がそれっぽいかな。

<助っ人型プロット>
何か困っている人たちがいる

何か凄い人を見つけてお願い

なんやかんやで引き受ける

反対派を説得したりする

戦いの準備をしたりする

さあ、決戦だ



これで、あらかたの方向性が見えたので、
あとはそれに盛り込める熱い要素探しです。




5.盛り上がる要素を考えてみる


このプロットの中で、遊戯王から言って盛り上がること。
さらに新鮮味や他であまりやっていないことは何だろう。

それは旅の中で仲間カードが増えていくこと、でした。

バトルシティ編でも一応やられていたりしますけどね。
特に城之内の《人造人間−サイコ・ショッカー》とかは
印象的に獲得した!というのがあるかもしれない。

でも、あくまでそれはカードは人格がそこまでないです。
カードに認められて、カードを仲間にする展開がほしい!
まぁ主人公たちが新しい力を伝授されるシーンは
やっぱり少年漫画の王道ですし、盛り上がりますよね。
その王道に、遊戯王のノリで乗っかっても熱いと思って、
ここでカードの人格をさらに強調して、試練にしました。
さらにライバルと決闘して、新しい仲間を得るノリも含める。

遊戯王でこの展開が細かく丁寧に描かれることは、
あまりなかったことだったと思います、多分。
幸いにして、ヒカコはいつのまにやらカードについて、
比較的人格に類するものを持っているであろうという形の
前提やら希望的観測で話が描かれてきています。
(ガガギゴ、アエル・アクイラ、ミルリル、スカブスカー)
この文脈からいけば、そういうノリも無理がなさそうでした。

そこでようやっと、デュエルシーンの目的が出ました。
「相手に意思の強さを認めさせるデュエル」なのです。

ここまで来て、あとは書くだけに近い段階になりましたとさ。
以降の構想は本編を見たとおりに近い形となります。

あとは細かな裏話について、雑談してみますね。

って、おかしいな。いつのまにか真面目な語る流れになってるorz



6.リューゲルじいちゃんの受難


感想掲示板で少し触れてたのを覚えてる人はいるかな。
一番立ち位置があれこれ変わったのが、この人です。

最初の明菜とエルの二人夢幻逃避行の段階では、
この人が全部の物語の先導役をやらされてました。

明菜とエルだけだと、謎がそこにあるだけで進まない。
そこでこの毒リンゴ魔女か狼男のようなトラブルを
持ってくる奴が絶対に必要だ!いなくてはならない!
さらにその人は最初は善人っぽい振りをさせて、
世界観の説明とか、会話の誘導とかをさせればOK!
そして、裏切ってエルちゃんを塔にでもさらえばいい!

っとまあ、いろいろ全部兼ねた訳分からん役でした。
これだと確かに全部この人ですまなくはないけど、
なんかいろいろと無理やりになっってしまうよなー
それに本編からどう考えても逸れ過ぎだろ常考……。

そこで保留にして云々考えて、説明はマギミレに。
さらに威厳とかけれんみのあるボス、王子が見えました。
そんで、この人はどうしよっかなー、一気に王子は難しいし、
中ボスのかませ犬で、塔に行く旅の邪魔をさせればOK!
いきなり雷を落としてくる危ない奴という感じにしよう!

ここまで決まった段階で、既に幻想避行の本編を執筆。
ところが、思ったより全然世界観が謎のままなことが判明。
もっとアドバイザーがほしいお、説明フェイズが必要だお。
でも、そろそろ分かりやすいバトルとか入れないと、飽きる。
どっちも兼ねられるといったら、どんな感じにすればいいかなー。

ファイナルアンサー:森の賢者の謎かけ。

そこでようやく、今の存在意義のあるキャラになりました。



7.最近は小さい珍獣は再流行してるのか


マギーとミレイは、すらすらと書けています。見ての通り。
どっちも役割が近いもんだし、イメージも沸きやすいです。

イメージとしては、セーラームーンのルナ(猫)だとか、
CCさくらのケルベロスがまんま近いかと思われます。
小動物の相棒があの頃は多分地味に流行ってました。
今もなんかプリキュアにいろいろいるそうですね。
あとは守護キャラだっけか。分かりやすい定番なのかも。

まとわりつきながらいろいろと説明してくれたりするけど、
自分は非力だから、主人公にいろいろと任せる。
そんで終わったら、読者の誉める感想を代弁する。
またはいろいろな謎について補足説明をしたりする。
そんな役割を果たせればいいかなー、と出してみました。

結果的に思った以上に働いてくれて、物語が明るくなりました。

マギーはしゃべるわ、おどけるわで、とってもノリノリ。
ミレイは心配させたり、レディーぶったりします。

明菜もエルもどっちもかなり真面目一直線なものだから、
こういうわき道にそれる、話題を広げるキャラは
可能性としていてくれて、よかったなーと思ってます。

思えば、ここまでキャラを増やしたのは、珍しいです。
基本的に物語と焦点を絞るのが、作風でしたから。
みんなを活躍させてあげられてるかは、不安ですが、
練れば練るほどいろんな可能性のあるプロットにするには、
こういう風にキャラを増やすのも手かなーと思いました。

さて、そろそろネタでもやってくれよ!


8.作者さん、もうちょい配置考えてください


プロットとかデュエルとかは練るし、キャラも掘り下げる。
でも、単純な(?)キャラの書き分けが微妙なヒカコクオリティ。

き○ね丸さんに乗っかって、少し考えてみるよ!


<1人称かぶりすぎじゃね?>
()で囲んだ人は今のところモブ的な人

俺……翼、(剣山)、マギー
私……(孤宇月)、(柚原)、(鏡原)、ミルリル、佐藤、ミレイ
僕……<span style="color:#f30000;">藤原、早乙女</span>、(翔)
我……(水前寺)、王子
儂……(チルヒル)、リューゲル
あたし……明菜
わたし……エル
オレ……(黒永)
ワタシ……ウロボロス
ボク……兼平、(ユベル)

結論:意外とかぶってなかった!

それでも僕について、藤原と早乙女がかぶってるのは致命的。
一人称って、後から直すのが実は効かない要素に近いです。
なので、最初から共演関係とかを意識していったりしないと、
かぶって書き分けが大変になるから、気をつけないとなあ……。



9.むしろ口調がまずい。すごくまずい


キャラのしゃべる内容はいいんだけど、口調がなあ……。
ぶっちゃけると、久白・藤原・レイ・明菜がかぶるかぶるorz
藤原は少し固いしゃべり方をさせることで、なんとかなるかも。
それでも久白・レイ・明菜が混同すると、とってもまずい。

しゃべる内容では、かなり分類はできてるけど、
内容の無い会話(相槌・感嘆)とかだと難しかったりします。
この辺は丁寧語とか、ぶっきらぼうとか、神秘的とか、
いろいろな特徴を覚えて使ってみるべきだったのかも……。

下のコメント欄では、そんなアドバイスを募集してます><
切実にアニメ漫画的書き分けが不勉強なので、
何か勉強方法を教えてくれると助かるのです><

一応、そんな反省を踏まえて、幻想避行編は書きました。

みんな一人称がかぶってなかったりするのは、見ての通り。
それでもマギー&ミレイの知識アドバイスの役割がかぶったり、
女性陣の特に内容の無い台詞は誰だかたまにわかんないけど!
こういうのをみんなあらかじめ決めてからやってるのかナァ。
みんなすげーうまく書き分けてるように見えるんですよね。

特にエルについては、もっと特徴分かりやすくすべきだよなぁ。
なんだよ、口調が舌足らず気味で率直とかって。
文字で書いてみても、全然差別化が怪しいんだよ、コンチクショー!
いや、これはこれで3章でいろんな効果を(以下ネタバレ自粛

てなわけで、ここのコメント欄では切実にアドバイスを募集してます。
誰かコツとかアドバイスをお願いいたしまする。




10.本当のあとがき


さてさて、そんなわけで「幻想避行編」は終了です。

敢えてここのコーナーでは後ろ向きなことは書きません。
だって、欠点なじる作者よりも、ワクワクする意図とかを
振りまいておいたほうが、読んでいる方も楽しめそうですし。

書いてみて、思った以上に冒険の旅が強調されました。
異世界はついで扱いにしようと思いきや、前面に出ました。
本当はいくらでも旅させようとすれば、旅はさせれます。
別に試練の塔に行くために、7つの紋章を集めさせたり、
そういうお使いイベントだって組み込めるんですけどねw
全体的な比率を考えて、何箇所か圧縮しています。

明菜は今回初めてメインを長らく勤めることになりました。
デッキもメリハリがありますし、新鮮味もあります。
それに何より真っ直ぐで切実なのが、いいですね。
普段だらけ気味の私たちには、あの凛と真っ直ぐな
明菜の姿勢がとても瑞々しいものに感じられます。

ぶっちゃけ、主人公のやること奪ってなくも無いけどな!
久白くん、9話くらい出てないよ! 主人公だよね?
どこかの忍者漫画の主人公並みにやばいよ!(サ○ケェ……
まあ、その編の調整は未来の村瀬さんが何かうなって
妙案を考え付いて、うまいこと調整してくれるかと(ぇ

エルとの約束をもっと前面に出したかったのもあります。
エルはちょっと出番増やすのは案外難しかったです。
でも、仕上がりはそれなりに前に出たテーマにはなったかな。
これからの物語の焦点になってきたりするので、
うまく扱っていきたいところです。ロマンチックです。

大体こんなとこかなー、王子とかは放っておいても
今回に突込みが来ると思うので、省略しますw
かなり雰囲気や流れを調整するのがずっと難しくて、
筆が進むときと進まないときの差が一番激しいのが、
この幻想避行編の悩みどころだったと思います。
脱線やら自由度の高さがかえって難しいんです。

ここを書きあがったので、いよいよ終盤となります。
2章も割りとずっとクライマックスのターン!だったけど、
3章はもっと緊張感のあるシーンが持続するかと。
作者が気力振り絞り、人気投票の時期をにらんで、
9月あたりの完結を目標としていたりするようです。
何話で終わるとは明示しませんが、頑張ります。


あと一応、2章も終わったということで、
章末特集のネタを募集してみたりします。
とはいえ、オリカやデッキ特集とかは
連載終了後にやるし、ネタはあるのかな。

次回更新時に、3章のリンクを増やすついでに、
この2章もアップロードしなおすので、誤字指摘も
助かるので、もしあったならお願いします。

ではでは、下が最後のメッセージ欄になります。
ここまで長いあとがきに付き合ってくれて、
ありがとうございました&お疲れ様でした。

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