来生たかお 10th ANNIVERSARY ELEVEN NIGHT THEATER


来生たかお大百科コンサート

解説

既出のオリジナルアルバム11枚(『浅い夢』から『ONLY YESTERDAY』まで)の全収録曲に加え、同アルバム未収録のオリジナルシングルや提供曲を11日間で披露するという、二部構成の歌手デビュー10周年記念コンサート。

但し、11日間連続ではなく、基本的には週末を含む3日程の単位で披露された。また、オリジナルアルバムの収録曲だけではコンサートの曲数として足りない為、第二部として企画アルバムVisitor』『LABYRINTH』の収録曲も披露された*1
 
300名から400名程度の観客を収容するFM東京ホールが会場に選ばれたのは、来生の弾き語りや少人数編成のアコースティックな部分を生かす為だった*2

折りしも、次のオリジナルアルバムI Will...』の制作の途中でもあり、来生自身は同企画を承諾するかどうかかなり悩んでいたが、先んじて告知が出てしまった為、止むなく決行となった。来生えつこは、この企画を先に耳にしていたら絶対に反対したと語っている*3

基本的に来生自身が百数十曲にも及ぶ楽曲のライヴ用アレンジを施した後、バックバンドのスタートルと共にリハーサルを行い、いざコンサートが始まってからも、毎回セットリストが異なる為、ステージが終わる度に次回の練習をこなすという状況で、アルバム制作の方は一旦中断せざるを得なくなった*4。なお、多くの楽曲のアレンジはバンドメンバーの柿崎洋一郎が担当し、「プリズム・ストーリー」は鳴海寛が手掛けている*5

1986年5月の中旬から始まったアルバム制作は*6、当初は余裕があったが、6月から本コンサートの準備をする事になり、翌7月に掛けてはレコーディングが出来なくなってしまった*7。オケ録り(伴奏の録音)は大体終わっていても、歌入れ(ヴォーカルの録音)はコンサートの終演後でしか出来ない状況になった為*8、本コンサートの全日程が終了した後、疲労困憊した身体で伊豆のスタジオに(5日間*9)缶詰めになって歌入れをしたという*10

MCの内容もいつも同じという訳にも行かず、コンサートの後半は来生えつこが台本を用意し、彼女自身もスケジュールの都合が付いた日は舞台に上がった為、観客席でゆっくり楽しめず残念だったと語っている*11。舞台上では「よく喋るね。いつもそんな人生訓みたいな話をしてんの?」と来生をからかった*12

衣装は、本企画に合わせて日程分を自ら購入しに行き、水玉のシャツ等の他、体型を気にして特にズボンに拘ったという*13

最終日は、リクエストが実施された*14。アンコールの際、観客にオリジナルアルバムの収録曲から希望を募り、最終的に来生が選んだ楽曲の楽譜を、袖に控えたスタッフが全楽譜の中から用意した(但し、実際に披露された1曲「シルエット・ロマンス」は、オリジナルアルバムには収録されていない)*15

また、自他共に認める来生ファンの小堺一機がゲスト出演し、来生に肩を軽く叩かれた際に「一生お風呂に入りません」と冗談を言った*16

オリジナルアルバム夢の途中』の収録曲を披露した7月12日は2回公演で、その内の1回目と、オリジナルアルバムONLY YESTERDAY』の収録曲を中心にした最終日の一部は、ラジオで放送された。

本企画を終えた感想として来生は、当初、他のアーチストでも余り類例のない試み故に不安で、通常のコンサートツアーならば2、3公演目でステージの流れが掴めるが、今回は日替わりの構成の為、スタッフ共々、常に初日のようなテンションで臨むのが大変だったと語り*17、後に最も印象に残っているステージとして挙げている*18

各公演

  • 1日目
    +  ...

スケジュール

日付会場開場/開演料金/席種備考
1986.06.30(月)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席浅い夢』の回
1986.07.02(水)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席ジグザグ』の回
1986.07.04(金)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席By My Side』の回
1986.07.05(土)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席Natural Menu』の回
1986.07.06(日)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席AT RANDOM』の回
1986.07.11(金)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席Sparkle』の回
1986.07.12(土)東京都・FM東京ホール/16:004000円/指定席夢の途中』の回
FM東京で放送
/19:00
1986.07.13(日)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席遊歩道』の回
1986.07.20(日)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席Ordinary』の回
1986.07.21(月)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席ROMANTIC CINEMATIC』の回
ゲスト:来生えつこ
1986.07.22(火)東京都・FM東京ホール/19:004000円/指定席ONLY YESTERDAY』の回
FM東京で一部放送
ゲスト:小堺一機

出演

  • Vocal, Electric Piano, Guitar:来生たかお/Keyboards, Chorus:松田真人、柿崎洋一郎/Guitar, Chorus:鳴海寛/Electric Bass, Wood Bass, Chorus?:多田文信/Drums, Chorus?:河野道生
  • 来生えつこ*19小堺一機*20

セットリスト


1986.06.30(月)*21

+  ...

1986.07.02(水)

1986.07.04(金)

1986.07.05(土)

1986.07.06(日)


1986.07.11(金)

1986.07.12(土)

+  ...

1986.07.13(日)

1986.07.20(日)

1986.07.21(月)


1986.07.22(火)

放送


*1 来生たかお 20th Anniversary Concert Tour '95〜'96 夢より遠くへ』のツアーパンフレット
*2 『ぴあ』1986年6月13日号“チケぴニュース CLOSE UP 十一夜 来生のすべてを聞かせます”(ぴあ/1986.06.13)
*3 来生えつこ著『わたくし的生活』(講談社/1991)
*4 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』VOL.63“TAKAO CLUB VOL.34”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.08.25)|『来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*5 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』VOL.63“TAKAO CLUB VOL.34”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.08.25)
*6 『?』1986年?月号"僕には、音楽がいちばん"(?/1986)
*7 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*8 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*9 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*10 来生えつこ著『わたくし的生活』(講談社/1991)
*11 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』VOL.63“TAKAO CLUB VOL.34”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.08.25)
*12 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』VOL.63“TAKAO CLUB VOL.34”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.08.25)
*13 本コンサート(1986.06.30)のMC
*14 来生たかお 20th Anniversary Concert Tour '95〜'96 夢より遠くへ』のツアーパンフレット
*15 FM東京『10thアニヴァーサリー・ライヴ〜夢の途中』(1986.08.13)
*16 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』VOL.63“TAKAO CLUB VOL.34”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.08.25)
*17 FM東京『10thアニヴァーサリー・ライヴ〜夢の途中』(1986.08.13)
*18 オフィシャルファンクラブ「TAKAO CLUB」の会報『égalité』vol.1(キティ・ミュージック・コーポレーション/1988.04)|『来生たかお マンスリーソロライブ Stand Alone Another Side』(2006.09.22)のMC
*19 ゲスト
*20 ゲスト
*21 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』VOL.62“TAKAO CLUB VOL.33”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.07.25)