夢の途中


来生たかお大百科 >『Sparkle』←自作曲→『遊歩道

※原則的に、来生たかおは“来生”に省略、来生えつこは“来生えつこ”と表記。

概要

1981年にリリースされた7枚目のオリジナルアルバムである。

来生にとって最高のセールスを記録したオリジナルアルバムで、オリコンではLP版が第2位、CT版は第1位、1982年の年間売り上げでは第11位にランクインした。

これまでは年に1枚のペースでオリジナルアルバムをリリースしていたが、本アルバムは前作『Sparkle』から5ヶ月後にリリースされた。これは、東映映画『セーラー服と機関銃』の主題歌の話が決まり、キティレコードから要望された事が大きな理由だったという*1。来生は、時間がない中で集中的に制作し*2、曲作りに四苦八苦したが、前作『Sparkle』の評判から、特に良いものを作らないと意味がない時期と捉え、もし間に合わなかった場合はリリースの延期も止むを得ないと思いながら手を抜かずに取り組んだと語っている*3

同年9月の上旬、キャンペーンで全国を回りながら提供曲も含めて作曲をし、中旬にはレコーディングが始まった*4。姉弟共に楽曲の依頼が増えた時期で、歌入れに毎日、8時間から10時間掛け、ばたばたとしながら一気にやったものの、それでも納得の行く作品になったので、時間を掛けなくても出来てしまうものだなと感じたという*5。来生えつこは、レコーディングまでに半分以上の楽曲の歌詞が決まっておらず、現場で書いたと述べている*6。来生が歌う側から手直しもし、ディレクターやミキサー、マネージャー等、スタッフも皆、大変だったと述べている*7

当初はピアノとストリングスが中心のバラードが多くなる予定だったが、大分変わり*8 、既出曲の中からアレンジをやり直して収録する構想もあったが*9、実現はしていない。

来生によれば、本アルバムで特に評判が良かったのは「夢の途中」「美しい女」「ためいき春秋」「おだやかな構図」だという*10

歌詞カードに描かれたギルバート・オサリヴァン風のイラストは、歌手デビューの少し前くらいに来生がオサリヴァンを真似て吊りズボン、短いネクタイ等を揃えた際、来生えつこがクレヨンか何かでほんの数秒で悪戯描きしたものなので、採用されたのは恥ずかしかったと述べている*11。また、『来生たかお Concert Tour '82 夢の途中…』にも掲載された同イラストには「自画像」と記されている。

LP版の帯では、既出のオリジナルアルバムSparkle』や第11弾オリジナルシングル夢の途中」、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」が宣伝されている。

編曲者の矢倉銀は、来生のペンネームである。

収録曲

トラックタイトル作詞作曲編曲収録時間トラックタイトル作詞作曲編曲収録時間
LP/CTCDLPCTLP/CTCDLPCT
SideA-11Sonatine来生えつこ来生たかお松任谷正隆1:4223:38SideB-17夢の途中来生えつこ来生たかお星勝4:4522:28
SideA-22Rainy rainy来生えつこ来生たかお矢倉銀5:06SideB-28おだやかな構図来生えつこ来生たかお松井忠重4:53
SideA-33恋ひとつ来生えつこ来生たかお矢倉銀/松任谷正隆2:55SideB-39ためいき春秋来生えつこ来生たかお松任谷正隆5:15
SideA-44白い愁い来生えつこ来生たかお矢倉銀/松任谷正隆4:37SideB-410Sonatine来生えつこ来生たかお松任谷正隆1:42
SideA-55Friendly Pop来生えつこ来生たかお矢倉銀4:15SideB-511さよならのプロフィール来生えつこ来生たかお松任谷正隆5:53
SideA-66美しい(ひと)山川啓介来生たかお星勝5:03

※タイトル表記=SideB-1/7:夢の途中(セーラー服と機関銃)

参加ミュージシャン

  • Electric Piano:中西康晴(SideA-2,4/SideB-1)、石川清澄(SideA-5)
  • Acoustic Piano:中西康晴(SideA-2,4,6/SideB-1)、来生たかお(SideA-3)、上柴はじめ(SideB-2)、松任谷正隆(SideB-3,5)
  • Hammond Organ:乾裕樹(SideA-6)
  • Electric Guitar:椎名和夫(SideA-2,3,4,5)、青山徹(SideB-1)、幾見雅博(SideB-2)、鈴木茂(SideB-3,5)
  • Acoustic Guitar:谷康一(SideA-3,5/SideB-2)、笛吹利明(SideB-3,5)
  • Gut Guitar:椎名和夫(SideA-3)
  • Electric Bass:▲ミッチ長岡(SideA-2,3,4,5/SideB-2)、田中章弘(SideB-1)、岡沢茂(SideB-3,5)
  • Drums:菊池丈夫(SideA-2,4/SideB-2)、田中清司(SideA-3,5/SideB-1)、村上秀一(SideB-3,5)
  • Percussions:▲中島御(SideA-2,3,4,5/SideB-2)、ペッカー(SideB-1)、斉藤ノブ(SideB-3,5)
  • Strings:トマト(SideA-1,3,4/SideB-3)、加藤グループ(SideA-6/SideB-1)、多グループ(SideB-2)
  • Synthesizer:※難波弘之(SideA-2,4)、石川清澄(SideA-2,4,5)、乾裕樹(SideA-6/SideB-1)、上柴はじめ(SideB-2)、松任谷正隆(SideB-3,5)
  • Synthesizer Programer:松武秀樹(SideB-3,5)
  • Horn:山口弘治(SideA-1)
  • Flute:衛藤幸雄(SideA-1,6)
  • Harp:山川恵子(SideA-1,6)
  • Flugel Horn:数原晋(SideB-3)
  • Chorus:伊集加代子(SideA-1/SideB-1,3,5)、和田夏代子(SideA-1/SideB-3,5)、梅垣道子(SideA-1/SideB-1,3,5)、山川恵津子(SideA-2,5)、鳴海寛(SideA-2,5)、鈴木宏子(SideB-1)

参加スタッフ

  • All Songs Written by 来生えつこ、来生たかお Except 「美しい女」Written by 山川恵介(「山川啓介」の誤記)、来生たかお
  • ※Courtesy of AIR RECORDS ▲Courtesy of CBS/SONY INC.
  • Executive Producer:多賀英典
  • Producer:井上彬(WML to J.)
  • Director:角野禎
  • Engineer:高城賢
  • Assistant Engineer:清水高志、諸鍛冶辰也、平良昌弘
  • Recorded at KRS Studio, IZU Studio
  • Aart Direction:千木幸一
  • Photograph:近藤信治
  • Illustration:来生えつこ
  • Thanks to 石谷仁(Kitty Music Co.)、阿部一博(Kyodo Tokyo)

録音

  • 日付記載なし(1981.09*12)/KRSスタジオ、伊豆スタジオ

初出 & 復刻

リリースメディア:規格品番レコード会社/レーベル備考
1981.12.10LP:28MK-0024キティレコード○LP:オリコン最高2位(売上累計245,740枚)/CT:オリコン最高1位(売上累計208,580枚)/1982年・年間売り上げ11位
CT:28CK-0029
1986.07.25CD:H33K-20049キティレコード○歌手デビュー10周年に際し、CD化
○ジャケットデザインはLP版をアレンジ
○シール仕様の帯に「CDオリジナル・セレクション」「10th anniversary -since 1976-」及び「夢の途中」「YUMENO TOCYU」の併記
1991.04.25CD:KTCR-1050キティレコード○ジャケットは1986年版CDと同様
1995.07.21CD:KTCR-1562キティエンタープライズ/キティレコード○歌手デビュー20周年に際し、高城賢によるデジタルリマスター
○帯に「20th anniversary」の記載
○Q盤CD選書シリーズの1枚
2007.03.21CD:UPCY-6361ユニバーサルミュージック○21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』に1995年版を収録
○帯なし
2013.12.18CD:PROT-1110Tower to the People○タワーレコード限定
○新たにデジタルリマスター
○制作:ユニバーサルミュージック
2018.12.19CD:UPCY-9876ユニバーサルミュージック○限定
○ボーナストラックに「夢の途中」(ライヴ・ヴァージョン)を収録
○紙ジャケット仕様
○デジタルリマスター
○SHM-CD

アルバムタイトルの表記

ジャケットケースの側面部
LP夢の途中夢の途中夢の途中
CT※帯がないので該当なし夢の途中夢の途中
CD1986年版夢の途中 YUMENO TOCYU夢の途中夢の途中
1991年版夢の途中夢の途中夢の途中
1995年版夢の途中夢の途中夢の途中
2007年版※帯がないので該当なし夢の途中夢の途中
2013年版夢の途中夢の途中夢の途中
2018年版夢の途中(復刻LP版)
夢の途中 +1(新版)
夢の途中夢の途中

パッケージの体裁

  • 1986年版CD:ジュエルケースにブックレットを挿入
  • 1991年版CD:ジュエルケースに1986年版CDのものを基調としたブックレットを挿入
  • 1995年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード・既出オリジナルアルバムのディスコグラフィー)を挿入
  • 2007年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード)を挿入(及び厚紙製ケース付き)
  • 2013年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード)を挿入
  • 2018年版CD:紙製ケースにLP版のものを基調とした歌詞カードを挿入

帯のコピー

  • LP:こんなにもフレンドリーなポップ・ミュージックに出逢ったことはありますか 優しさや、おだやかさに浸りたいと思っているあなたに。
  • 1986年版CD:※記載なし
  • 1991年版CD:※記載なし
  • 1995年版CD:「夢の途中(セーラー服と機関銃)」を含む、7thアルバム。 メロディーメーカー来生たかおの真骨頂「美しい女」収録。
  • 2013年版CD:薬師丸ひろ子との競作となったヒット曲“夢の途中”などを収録した来生たかおの傑作7thアルバム。
  • 2018年版CD(復刻LP版コピー/新版コピー):こんなにもフレンドリーなポップ・ミュージックに出逢ったことはありますか 優しさや、おだやかさに浸りたいと思っているあなたに。来生たかおオリジナルアルバム18タイトル 紙ジャケット・コレクション こんなにもフレンドリーなポップ・ミュージックに出逢ったことはありますか 優しさや、おだやかさに浸りたいと思っているあなたに。 ボーナス・トラック「夢の途中(フル・オーケストラ・ライブ・ヴァージョン)」収録


*1 『新譜ジャーナル』1982年3月号“3 SPOT Interview. 僕はまだまだ“夢の途中””(自由国民社/1982.03.01)|『来生たかお Concert Tour '82 夢の途中…』のツアーパンフレット“ぼくはまだまだ“夢の途中””
*2 来生たかお 20th Anniversary Concert Tour '95〜'96 夢より遠くへ』のツアーパンフレット
*3 『月刊エレクトーン』1981年11月号“THE POP TIMES ぼく、本当はのんびりや。でも今は、とてもいい時期だから、無理をしないとね”(ヤマハ音楽振興会/1981.11.20)
*4 『週刊FM別冊 FMスペシャル』1981年9月30日号“FM番組ハイライト ニューミュージック共和国 来生の魅力とは“ありのままの自分”かな?”(音楽之友社/1981.09.30)
*5 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*6 来生たかお Concert Tour '83 ミディアム気分で…』のツアーパンフレット
*7 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*8 『月刊エレクトーン』1981年11月号“THE POP TIMES ぼく、本当はのんびりや。でも今は、とてもいい時期だから、無理をしないとね”(ヤマハ音楽振興会/1981.11.20)
*9 『週刊FM別冊 FMスペシャル』1981年9月30日号“FM番組ハイライト ニューミュージック共和国 来生の魅力とは“ありのままの自分”かな?”(音楽之友社/1981.09.30)
*10 『YOUNG SONG』1982年4月号“'82 MUSIC PEOPLE インタビュー 第1回 “3万枚のカベ”を軽くやぶる、突然の大ヒット! 来生えつこ(作詞)と作るFriendly Popsの秘密は?”(集英社/1982.04.01)
*11 来生たかお Concert Tour '83 ミディアム気分で…』のツアーパンフレット
*12 『週刊FM別冊 FMスペシャル』1981年9月30日号“FM番組ハイライト ニューミュージック共和国 来生の魅力とは“ありのままの自分”かな?”(音楽之友社/1981.09.30)