美空ひばり

来生たかお大百科 ＞ 楽曲提供＆カヴァーアーティスト

以前から、楽曲を提供したい人物として美空の名を挙げていた来生は、「夢の途中」のヒットにより作曲家として一人前になれたと感じ*1、1982年末にコロムビアレコードのディレクターに意向を告げた所、美空の承諾を得られ、翌1983年の初仕事になった*2。なお、プロデュースも担ったとの記事*3も存在する。因みに、この企画がまだオフレコの段階だった時期に、来生がラジオ番組で語ってしまった為、予定よりも早く公表されるに至ったという*4。

まなざしの彼方 †

• 作詞：来生えつこ
• 作曲：来生たかお
• 編曲：坂本龍一
• 4:44
• 録音：1983.04.05
  • 来生たかおがカヴァー

笑ってよムーンライト †

曲作りに際し、美空の裏声を綺麗と認めつつもそれを使いたくなかった来生は、美空のレコードを何回も聴いてキーを確かめたが、美空からの来生のキーで歌いたいという要望で進んだ*5。なお、美空のリズム感の良さが伝わる「恋人よ我に帰れ」がイメージの元になったと述べている*6。

編曲の坂本龍一は、自ら打ち込み等の楽器演奏を手掛けたが、オケの完成までに日数を要したという*7。また、普段の美空は、歌と演奏とを同時に録音する「一発録り」をしているが、坂本の要望で各パートをダビングして行く「バラ録り」が採用され、通常のレコーディングでは2曲で1、2時間しか掛からない所を4日間も要した*8。

来生は「美空ひばりの名曲ベスト10」において自ら本曲を挙げ*9、自身のラジオ番組*10でも、提供曲の中から「これは良いな」と評価している楽曲の1つとして紹介している。

また、1983年の秋にもシングル曲の提供予定があり、来生はブギ調の本曲とは打って変わってバラード調を考えていたが*11、実現はしていない（来生がボツになったと思っていた「あなたでなければ」は、1984年の秋にアルバムの1曲としてリリースされている）。

オリジナルヴァージョン †

• 作詞：来生えつこ
• 作曲：来生たかお
• 編曲：坂本龍一
• 4:23
• 録音：1983.04.05
  • 来生たかおがカヴァー

★Musicians★
All Instruments（Piano, Bass, Drums, Synthesizer）：坂本龍一*12

ライヴヴァージョン1 †

• 作詞：来生えつこ
• 作曲：来生たかお
• フジテレビ系『シオノギ・ミュージックフェア'83』（1983.08.18）より

ライヴヴァージョン2 †

• 作詞：来生えつこ
• 作曲：来生たかお
• 『’83 歌声はひばりと共に』（1983.12.?／東京都・新宿コマ劇場）より

★Musicians★
演奏：ひばり&スカイ

カヴァーアーティスト †

• 菅ゆう子
• その他

あなたでなければ †

「笑ってよムーンライト」「まなざしの彼方」と共に提供された楽曲で、美空の関係者からは前者の2曲をシングル盤のA面、B面に採用する旨だけが伝えられた為、来生は長らく本曲はボツにされたものと思っていたという*13。なお、この事実は、石井ふく子と対談*14をした折り、彼女が持参した美空のコンサートDVD『芸能生活40周年記念リサイタル 美空ひばり そして、歌は、人生になった。』を視聴して発覚した。石井によれば、美空は本曲を気に入っていたという*15。来生は、Aメロの部分は忘れていたが、サビを聴いて本曲を創作した時の記憶が蘇ったと述べている*16。

オリジナルヴァージョン †

• 作詞：来生えつこ
• 作曲：来生たかお
• 編曲：坂本龍一
• 4:39
• 録音：1984.07.19
  • 来生たかおが『来生たかお Stand Alone 2023 Christmas Color』でカヴァー（未ソフト化）

ライヴヴァージョン †

• 作詞：来生えつこ
• 作曲：来生たかお
• 編曲：佐々永治
• 『歌手生活40周年記念リサイタル』（1986.03.09／東京都・中野サンプラザホール）より

★Musicians★
指揮：保坂俊雄／演奏：ひばり&スカイ、グランプリ・サウンド